日本の約20倍の国土面積を持ち、豊かな自然に囲まれるオーストラリア。シドニー、メルボルン、ゴールドコースト、ブリスベン、と各地に大きな街があり、それぞれ独自の文化やコミュニティを形成しています。
オーストラリアは日本から約9時間と、決して近いとはいえない国ですが、社会人の留学先として非常に人気の高い国です。英語を母国語とする国は他にも多数ありますが、なぜその中でも多くの人からオーストラリアが選ばれているのでしょうか。
今回の記事では、オーストラリアで社会人留学中の私が社会人の留学先としてオーストラリアにどんな魅力があるのかを詳しく解説していきます。
※記事内ではオーストラリアドルをAUDと表記し、為替レートは2023年8月12日時点での情報を参照し、1AUD=96円で計算しています。
[目次]
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オーストラリアが社会人から留学先として支持を得ているのには、主に3つの理由があります。
オーストラリアの公用語は英語です。生活をしていく上で、英語の使用は絶対に避けて通れません。
例えば、私はいまシェアハウスに住んでいますが、ルームメイトはベトナム人とバングラデシュ人、そしてオーストラリア人です。共通言語が英語しかないので、家の中では必然的に英語を話す必要があり、日々鍛えられています。
家の外に出ても、スーパーで店員さんに商品の場所を聞いたり、バスの運転手さんに行き先を確認したりなど、日常の何気ない一コマが常に英語のレッスンです。社会人だと短期留学を選択する人も少なくないですが、留学期間が短くてもきちんと英語漬けの生活を送れますよ。
オーストラリアは多民族社会なので、出会う人が必ずしもネイティブばかりというわけではありません。それでも、互いに分かり合える言語が英語しかないので、英語を使わざるをえないのです。
学生ビザでも現地でアルバイトができるというのもオーストラリア留学の大きな特徴です。他国では、学生ビザでは就労が認められていないことも多いですが、オーストラリアの場合は2週間で48時間までなら働くことができます。(2023年8月現在)
仕事を辞めて留学することに金銭面での不安を抱える人もいるでしょうが、オーストラリアならその不安も解消できるかもしれません。ちなみに、アルバイトであっても最低時給は23.23AUD(2,230円)であり、仮に2週間で48時間働けば10万円以上稼げます。(※1)
また、オーストラリアはワーホリビザを使っての留学も可能です。ワーホリビザでは最長17週までの就学が認められており、語学学校や専門学校などに通うことができるので、「働きながら学ぶ」が実現できます。
実際に働くことで「ビジネスシーンで使う英語」を習得できるのも、社会人にとっては大きなポイントでしょう。
前述の通り、オーストラリアは移民の多い多民族社会です。2021年に行われた国勢調査によれば、オーストラリアの全人口のうち、なんと29.1%の人が国外で生まれているそうです。(※2)
そのため、ひとつの社会の中にさまざまな文化、歴史的背景を持った人がおり、多様な考え方があります。自分にとっての「当たり前」が他人にとってはそうでないことが頻繁にあり、カルチャーショックを受けることも珍しくありません。
そんなオーストラリアに滞在すれば、いろいろな価値観に触れることができ、自分の視野を広げるきっかけとなるでしょう。
上記に加え、オーストラリアだからこそ得られるスキルや経験もあります。英語はもちろん、対人スキルなど仕事をする上で欠かせないスキルを磨くチャンスもあるので、社会人にとっては良い経験になるはずです。その具体例を見ていきましょう。
上述の通り、オーストラリア留学では就学・就労が認められており、学校外でもいろいろな経験をするチャンスがあります。学校で習ったことをすぐに実際の生活の場で試せるので、より実践的な英語力のアップが期待できるでしょう。
私も社会人になってからオーストラリアでの生活を始めましたが、実際に現地の人と触れ合っていると、学校では習わないようなネイティブならではの表現や単語に出会うこともあり、より実践的な英語力を身につけることができていると感じます。
留学中は課題や授業の予習など、毎日やることが目白押しです。スケジュール管理や時間管理が甘いと、すぐに授業についていくのが難しくなるでしょう。そのため、学業に専念する中で自己管理能力も自然と磨かれていきます。
また、学校やバイト先などでは実にさまざまなバックグラウンドを持った人に出会います。恐らく考え方の違いに戸惑ったり驚いたりすることもあるでしょうが、そういった人たちともコミュニケーションを取る中で柔軟性や共感力が磨かれていくはずです。
このようにオーストラリア生活では自己成長できるチャンスに溢れており、自身の成長が実感できれば、自信にもつながりますよ。
そうして得たさまざまな経験やスキルは、キャリアアップや転職活動にも活かせます。もちろん語学力も大きな武器になりますが、それに加えて対人関係スキルなど留学で得たものをアピールできれば、大きなアドバンテージになります。
ただし、「ただ留学した」だけではアピールポイントにはなりません。大事なことは留学を通して「何を学んだか」「何を得たか」です。自信を持って自分のスキルを語れるようになるためにも、留学中は積極的にいろいろな経験をしましょう。
留学にはいろいろな方法がありますが、すでに大学を卒業している社会人の場合は、下記の3つのいずれかがおすすめです。
1つ目は語学学校に通う留学方法です。オーストラリアの各都市には実に多くの語学学校があり、さまざまなコースが開講されています。
一般英語、ビジネス英語だけでなく、TOEFLやIELTSに特化したコースやスポーツフィットネスなど専門的な英語に特化したコースもあります。
語学学校ではクラスも初級、中級、上級と細かく分けられているので、自分に合ったレッスンの受講が可能です。また、就学期間も1週間単位で自分で決めることができます。
1カ月通ってみて物足りない場合にはもう1カ月、というように必要に応じて柔軟に通学期間を調節できますよ。ちなみにほとんどの場合入学要件はないので、英語力に自信がなくても大丈夫です。
カレッジまたはTAFEは日本でいう専門学校のような教育機関です。資格取得や仕事に必要なスキルの習得を目指して、高校を出てすぐの若い世代からすでに働いている社会人まで、いろいろな人が通っています。
調理や美容、経営、ビジネスなどさまざまな専門コースがあり、その中に語学コースもあります。コースによって入学時に求められる英語力は異なりますが、最低でもIELTS5.5は必要です。(※3)
ちなみに、カレッジやTAFEの語学コースに通う人は、永住権取得や他のコース受講を目指して英語を学んでいる人が少なくありません。そのため、授業の内容はIELTSやTOEFLといった英語テストに特化していることが多いです。
すでに日本で学士課程を修了しているなら、オーストラリアの大学の修士課程、博士課程への入学を目指すことも可能です。
大学を卒業してから時間が空いていても問題ありません。現に、私がオーストラリアの大学院に入学したのは日本の大学を卒業して11年経ってからです。
ちなみに、オーストラリアの大学では「入試」はありません。代わりに「入学要件」があり、それを満たすかどうかで合否が判断されます。その中には英語力も含まれ、最低でもIELTS6.0は必要です。
ただし、コースによって求められる英語力が異なるので、自分の専攻コースの入学要件をよくチェックする必要があります。人文科学系(語学や社会学など)はIELTS6.5以上に設定されていることが多いです。
留学を検討するにあたり、費用が気になる人は多いでしょう。もちろん、留学期間や留学先によって費用は大きく変わります。ここでは仮に1カ月間の語学留学をしたと仮定して費用の概算をまとめていきます。なお、詳細は下記の記事をご参照ください。
1カ月のオーストラリア留学にかかる費用は平均して約58.3万円です。費目は学費、滞在費、渡航費、食費、保険料などです。それぞれの内訳は下記の通りです。
語学学校に1カ月通う場合、学費のトータルはおおよそ21.8万円です。これには授業料、教材費、施設利用費などが含まれます。
語学学校によって費用はまちまちですが、就学期間が長くなればなるほど徐々に割安になっていくことがほとんどです。
例えば1カ月なら総額21.8万円ですが、3カ月なら55万円、半年なら98.2万円、とどんどんお得になっていきます。
家賃は1週間あたり200~300AUD(19,200〜28,800円)が相場です。そこに光熱費を加えると、1カ月あたり平均して11.4万円ほどになります。
もちろん、シドニーやメルボルンなどの都心部に近ければ近いほど家賃は高くなります。費用を抑えたいなら、少し郊外の街を選び電車やバスなどの公共交通機関を使って移動しましょう。
航空券はLCCなら10万円ほどで買えることもあります。ただし、その場合は直行便ではなく乗り継ぎ便であることがほとんどです。
航空券は11月ごろから徐々に高くなり、クリスマスシーズンを迎えるとピークになります。反対に、6月と9月は比較的安く買えることが多いので、この時季を狙って渡豪すれば費用を安く抑えられるかもしれません。
食費は滞在方法によって大きく変わります。ホームステイなら食事が提供されることが多いので、自分で食費を支払う機会はそれほど多くないでしょう。
シェアハウスなどで自炊する場合には、1週間で30~50AUD(2,880~4,800円)ほどが目安です。外食も含め、1カ月あたりは3.3万円ほどを見積もっておきましょう。
海外へ渡航する際には必ず海外旅行保険を検討しましょう。保険を持たずに現地で病院にいくと、何万、何十万円と支払うことになります。1カ月なら2万円程度ですので、万が一に備え保険に加入することをおすすめします。
いざ留学にいくことを決めたら、事前にいろいろな準備が必要です。特に社会人留学の場合は次の3点に特に注意しながら、計画的に準備を進めていきましょう。
社会人留学の場合、その後の転職活動時はより実務的なスキルや経験を求められる傾向にあります。
学生なら「新しい経験をするため」「自分の視野を広げるため」といった理由で留学したことをアピールしても、自己研鑽の一環として歓迎されることが多いですが、社会人となるとそうもいきません。
留学で得られるスキルや経験が、その後のキャリア形成にどう繋がっていくのかをしっかり考えながら検討する必要があります。語学力を磨くために留学を考える人は多いでしょうが、そこで得た語学力をどうやって自分のキャリアに活かしていくのか、より具体的にイメージを描いておきましょう。
英語に関して「行けば何とかなる」と思っている人もいると思いますが、より高いレベルの授業を受けたいなら、日本にいるうちになるべく英語力を上げておくことをおすすめします。
というのも、語学学校では最初にレベル分けテストがあり、その結果次第で初級、中級、上級に分けられるからです。初級レベルだとアルファベットからやり直すこともあり、実践的な英会話の学習に入るまでに時間がかかります。
「せっかくオーストラリアまで来たのに…」と後悔しないためにも、基礎固めはしっかりしておきましょう。また、英語に不安があると現地での事務手続きなど日常生活にも支障が出ることがあるため、そういった面から考えても事前の英語学習は必須です。
留学にはお金がかかります。現地で働けるとはいえ、実際に仕事を見つけて働き始めるまでに時間がかかることもありますので、資金は余裕を持って用意しておくことをおすすめします。
またタイミングによっては円安によりさらにお金がかかることも考えられます。資金は想定費用ギリギリではなく、プラスアルファで準備しておくと安心です。
そして奨学金を検討している人は必要書類や締切の確認なども早めに行いましょう。申請には英語の小論文やエッセイなどの提出が求められることもあるので、締切ギリギリになって始めると間に合わなくなる恐れがあります。
特に働きながらだとなかなか時間が取れないこともありますから、何事も早めの動き出しが重要です。
最後に、社会人のオーストラリア留学に関してよくある質問とその回答をご紹介します。
フィリピン留学のメリットは何といってもその安さにありますが、現地で働いたり専門知識を学んだりしたいと考えている人はオーストラリアを選ぶべきです。
同じくカナダも選択肢に入りますが、カナダとオーストラリアではビザ制度が異なるため、学生ビザの場合には働けないことがあります。
例えば、就学期間が6カ月に満たない場合、語学学校へ通う場合はカナダで働くことはできません。オーストラリアでは語学学校の生徒でも就労可能ですので、その点は大きな違いと言えます。
社会人留学では、帰国後のことを考えて、キャリアにつながるような経験をしたいと考えている人も多いことでしょう。「英語で働く」経験を積めるので、帰国後のキャリアを考えるうえでもプラスになるはずです。
留学に年齢は関係ありません。自分の取り組み方次第で、その効果はいかようにも変わります。逆に言えば、10代、20代であっても必ずしも留学の効果を実感できるとは限らないのです。
例えば、語学学校へ通っているものの、授業以外の時間は自室に引きこもってSNSのチェックばかりをするような生活では、劇的な英語力のアップは望めません。友人と遊んだりアルバイトをしてみたり、人とコミュニケーションを取る中で徐々に英語力は磨かれていきます。
年齢にとらわれず、新しいことにどんどん挑戦する姿勢があれば留学の効果は十分に感じられるでしょう。
シドニー、メルボルンの2大都市は留学生に特に人気です。語学学校が多かったり、住居やバイトが探しやすかったり、留学先としての環境が整っています。日本人に限らず世界中から人が集まっているので、街の人が留学生に慣れている点も大きな魅力です。
他にはブリスベンもおすすめです。シドニーやメルボルンほど大きい街ではないですが、生活に必要な機能はすべて整っており、生活面で特に困ることはないでしょう。コンパクトな街で、中心街からそう遠くないところでいろいろな景色が見られるので、ゆったりとした生活を送りたい人にぴったりです。
自分が応募できる奨学金があるか確認しましょう。教育財団の奨学金は「〇〇の研究をしている人」など応募に条件があることが多いですが、中には特に条件がなく応募できるものもあります。
自治体が独自に給付している奨学金もありますので、自分の出身地や居住地にそういった制度がないか調べてみましょう。
以下の記事では、資金調達方法をさらに詳しくまとめています。合わせてチェックしてみてくださいね。
留学資金を調達する方法5つ。費用をおさえるコツも紹介
今回の記事では留学先としてのオーストラリアの魅力について、詳しく解説してきました。
多様な文化の中での生活は、きっといろいろな刺激と知見をもたらしてくれるはずです。オーストラリアは英語を学ぶ環境も整っているので、英語力を磨きながらさまざまな経験がしたい人にぴったりの留学先といえるでしょう。
メルボルンやシドニーだけでなく他にも魅力的な都市がたくさんあるので、ぜひ候補に入れて検討してみてください。今回の記事を読んでさらにオーストラリアについて知りたくなった方は、ぜひ下記の記事も参照してみてくださいね。
【初心者必見】オーストラリア留学で必ず知っておきたい基本情報まとめ
語学留学を具体的に検討するなら、まずは留学を実現するまでの流れを確認しましょう!留学準備では大まかに5つのステップがあります。
留学を思い立ったら、まずは渡航時期、期間、渡航先の目星をつけてみてください。
いつ、どれほどの期間、どんな国で留学するかイメージが持てると具体的な計画を立てやすくなります。
留学へ行くとなると考えることはたくさんあります。
自分で調べてみたものの、ネット上ではさまざまな意見が発信されていて、何を信じていいかわからないまま、検討途中で止まってしまう留学生は多くいます。その疑問、無理に一人で解決せずに留学カウンセラーに相談してみませんか?
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※1...Australian Government「Minimum wages」(参照日:2023-8-21)
※2...Australian Bureau of Statistics「Australia's Population by Country of Birth」(参照日:2023-8-21)
※1...TAFE NSW international「English language requirements」(参照日:2023-8-21)
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