TOEICでいつも時間切れになってしまい、期待したスコアに届かないと悩んでいる方は少なくないのではないでしょうか?
TOEICでスコアを伸ばすには、まず目標スコアに対して必ず正答するべきパートとそれぞれの時間配分、1問あたりにかけられる解答時間を意識しながら、素早く的確な判断で解答を進めていくことが重要です。
そこで今回は、以下の内容を主にご紹介します。
・TOEICのパートごとの時間配分や1問あたりの目安の解答時間
・時間配分がうまくいっていない時に想定される課題
・TOEICの時間配分をコントロールできるようになるまでの体験談
・時間配分を改善するための対策
・目標スコア別の時間配分で意識するポイント
時間配分の悩みを解消して、TOEICで目標スコアを獲得したいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
[目次]
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TOEICは、リスニングセクション(パート1〜4)とリーディングセクション(パート5〜7)から構成される英語能力テストで、以下のように全部で7パートあります。
<リスニングセクション:約45分、全100問>
・パート1:4つの英文を聞いて、問題用紙にある写真から最も適切な描写を選ぶ問題
・パート2:音声を聞いて、その後流れる3つの音声から最も適切な応答を選ぶ問題
・パート3:会話を聞いて、3つの設問に対する適切な答えを4つの選択肢から選ぶ問題
・パート4:音声を聞いて、3つの設問に対する適切な答えを4つの選択肢から選ぶ問題
<リーディングセクション:約75分、全100問>
・パート5:短文の空所に入る語句を4つの選択肢から選ぶ問題
・パート6:長文にある4つの空所に入る語句や文を、それぞれ4つの選択肢から選ぶ問題
・パート7:1つの文書(シングルパッセージ)または、複数の文書(ダブルパッセージ、トリプルパッセージ)の内容に対して2〜5問の設問があり、それぞれ4つの選択肢から答えを選ぶ問題
TOEICを制するには、時間配分がとても重要です。以下の表では、パート別に問題形式や問題数、目安の解答時間、1問あたりの解答時間をまとめています。パートごとにかける目安の時間配分を知り、時間内に解答することを目指しましょう。
問題形式 | 問題数 | 解答時間目安 | 1問あたりの解答時間 | |
---|---|---|---|---|
パート1 | 写真描写問題 | 6問 | 約4分30秒 | 約45秒 |
パート2 | 応答問題 | 25問 | 約8分 | 約15秒〜20秒 |
パート3 | 会話問題 | 39問 | 約18分 | 約25〜30秒 |
パート4 | 説明文問題 | 30問 | 約15分 | 約30秒 |
パート5 | 短文穴埋め問題 | 30問 | 約10分 | 約3分 |
パート6 | 長文穴埋め問題 | 16問 | 約10分 | 約35〜40秒 |
パート7 | 読解問題 | 54問 | 約55分 | 約1分 |
リスニングセクションは、音声案内によって解答時間が整理されているため、全体の時間配分を改善していくには、目標スコア別にパート5〜7のリーディングセクションの見直しが大切です。
なお、TOEICは基本的には午前と午後で実施され、以下のタイムテーブルで進行します。試験の時間帯に、自身の集中力が働くように生活リズムも整えて臨みましょう。
午前実施 | 午後実施 | |
---|---|---|
受付 | 9:25〜9:55 | 14:05〜14:35 |
試験の説明・音テスト | 9:55〜10:20 | 14:35〜15:00 |
リスニング(パート1〜4) | 10:20〜11:05 | 15:00〜15:45 |
リーディング(パート5〜7) | 11:05〜12:20 | 15:45〜17:00 |
問題用紙・解答用紙の回収 | 12:20〜12:35 | 17:00〜17:15 |
終了 | 12:35 | 17:15 |
TOEICでは、自分の裁量で進めなければいけないリーディングセクションで時間が足りなくなるのはよくあることです。
また、「時間配分」を意識すると、「目標スコアに達するには全問解かなければいけない」と思い込んでしまう方も少なくないかもしれません。しかし目標点数が900点以上でない限り、すべてを解く必要はありません。そのため全問題を解くのではなく、自分が確実に得点できるところの時間を再配分することがポイントになります。
そこで次は主にリーディングセクションでの時間配分について解説していきます。
時間内に問題を解き終わらないのは、各問題への時間配分がうまくできていないからと言えるでしょう。なぜ適切な時間配分ができないのか、想定される課題点や原因を解説します。
TOEICでは、現在のスコアや目標スコア、そして試験までに確保できる学習時間などによって、本番で取り組む問題の優先度は変わります。
例えば、試験日まであまり時間がないなかで、現在のスコアと目標スコアのギャップを埋めたい場合、取り組む問題の優先度を整理してみましょう。上手に時間配分をして戦略的に解くことで、スコアアップにつなげられます。
具体的には、パート5やパート6などの点の取りやすい問題への解答時間を長めに確保して確実に正解を狙ったり、時間がかかりがちなパート7の「複数の文書」を扱う設問をあえて飛ばしたりすることなどです。
このように、目標スコアを取るためには、解くべき問題の優先度を整理して時間配分を工夫することが大切になります。
時間の感覚を持たずに解くと、気がついたら時間切れということはよくあります。パートごとの目安の時間配分は最初の章で紹介しましたが、頭で理解するだけではまだ足りません。
時間内に収まる解答のスピードかどうか、解きながら自身の感覚で把握できるようになるのが理想的です。普段からタイマーを使って問題を解く練習をしましょう。
語句のインプットが少なければ、問題文や選択肢で知らない語句に出会うことが多くなります。分からない単語やフレーズがあっても解ける問題はありますが、知らない言葉の意味をいちいち推察しなければならず、解答に余分な時間がかかりやすくなります。
また、文法も大切です。きちんと理解していないと文章を正しく読めず、正答率が下がるでしょう。TOEICでは文法に関する引っ掛け問題も多く出題されているため、文法の勉強をおろそかにするとスコアアップから遠のきます。
しっかりと得点を確保するためには、基礎的な語彙力や文法力を身につける必要があるのです。
TOEICには独特な問題形式や文章の構造があります。問題に慣れていないと、問題文や選択肢の理解に時間がかかったり、どのようにアプローチすべきかを迷ったりするかもしれません。
結果として、時間を無駄に使い、適切な解答にたどり着けない可能性があります。本番の試験前に、問題の内容や特性をしっかりと理解してから臨みましょう。
筆者がTOEICの模試を初めて解いた時、パートごとの問題説明文をいちいち読むなど時間のロスがたくさんあり、最後まで時間内に解ききれませんでした。
さらに時計を確認していても、自身の解答のスピードが制限時間内に間に合うのかどうか分からず終始焦り、ケアレスミスも頻発しました。この時、適切な時間配分で解答を進めるための時間感覚が、本当に重要だと実感したのです。
その後、TOEICの勉強を本格的にスタート。特に時間感覚を身につけるために、リーディングセクションでは以下のような勉強をしました。
(1)パート別に問題の形式、問題数、目安の解答時間、1問にかけられる解答時間を確認する
(2)パート別に問題集の例題をじっくりと解き、それぞれの解答のコツや問題パターンを理解する
最初はスピードよりも正しく解答することに重点を置いたことで、問題傾向や解答のコツをしっかりと体得できたように思います。
反対に、問題に慣れていないうちからタイマーを使って速く解く練習をすると、時間内に解答できても、なかなかスコアが伸びませんでした。
問題集の例題をクリアした次は、タイマーを使って目安の解答時間を意識しながら練習問題を解きました。
これを繰り返すことで、自身の解答スピードが適切か、時間がかかりすぎかが分かるようになり、時間の感覚が身についてきたのを感じました。そうすると段々と時間内に問題を解ききれるようになり、正答率も上がっていきました。
試験まで1カ月を切ったら、週に1~2回、試験と同じ制限時間で模試を実施。本番で集中力を切らさずに実力を出すための練習を始めました。最終的には、時間の感覚が身についた状態で本番に臨め、最初のスコアより200点以上アップしました。
上記の体験にもとづいて、時間配分を改善するための具体的な対策を以下でご紹介していきます。
最初に目標スコアを定めましょう。そして、TOEICの勉強を始めるにあたって、自分で模試を解いて現在の実力を測ります。
というのも、目標スコアを定めると、各パートで何問正解する必要があるのかが見えてくるからです。そこで現在の実力とのギャップを知り、自身の得意不得意などを加味して、目標のスコアを獲得するには、どのパートでどれくらいの正答数を目指すべきかを確認しましょう。
そして目安の解答時間内に何問正解すべきか、具体的な目標を持って勉強を始めることが大切です。
次にパート別に出題形式を把握しましょう。パートごとによく出題される問題のパターンや、解答のコツがあります。これらは多くの参考書などで、効率良く解くためのヒントとして紹介されているのでぜひ活用しましょう。
問題の形式を把握し、パターンやコツをある程度掴んでいくためには、じっくりと一問一問丁寧に解くのがおすすめです。この段階では、数をこなすことや速く解くことは置いておいて、時間がかかってもいいので、確実に根拠を持って解答を導き出すようにしましょう。
解答後、間違えた問題はきちんと理由を理解し、正解の問題についても、設問や選択肢の英文に文法や語彙で曖昧な点が無いか見直すことが大切です。問題集や参考書は解答の解説がしっかりと書かれたものを使うと良いでしょう。
参考書や教材については、以下の記事からぜひ参考にしてみてください。
【TOEIC 対策】スコア・パート別におすすめなTOEIC教材・参考書まとめ
パート別の出題傾向を把握し、解答のコツやパターンがだんだん掴めてきたら、最初の章で紹介した目安の解答時間を参考にして、タイマーで測りながらパート別に練習問題を解きましょう。
この時、解きっぱなしにならないように、採点後は間違えた問題も正解した問題も見直しをすることが大切です。この採点後の見直しに意外と時間がかかるため、問題はパート別に数題ずつ解くのをおすすめします。スキマ時間でも演習できるアプリなどを使うのも1つの手です。パート5の演習にはiOSのみの対応になってしまいますが、『Toeic Part5 英語問題集』、パート6や7には『レシピー』がオススメ。どちらもタイマーを使って学習できるので、時間配分を意識した演習になります。
数題ずつ解くことで、集中力の高い状態で解答と見直しができ、より深く理解しやすくなります。
英語の基礎となる語彙や文法は、TOEICにおいても重要です。語彙や文法が分からないと、そもそもの英文の意味を捉えられずスコアを落としやすくなるでしょう。
さらにTOEICでは、語彙や文法に関する引っ掛け問題が多数出題されます。TOEICの勉強を始めたら問題集と並行して、早いうちに語彙力と文法力のインプットにも取りかかりましょう。
特に文法は、一通り勉強すれば、基本的には”終わり”のある分野です。薄い参考書でいいので、文法が曖昧な方は一度落ち着いて読み、理解しておくようにしましょう。
単語やフレーズなど語彙の勉強はキリがないようですが、TOEICによく出る単語や熟語を集中的にインプットすることで、効率良くスコアアップにつなげられます。
頻出の語彙はTOEIC専門の単語や熟語の参考書に掲載されているため、まず1冊購入して徹底的に覚えるのがおすすめです。また、TOEICの練習問題で出てきた知らない語彙も、必ず覚えるようにしましょう。別のノートなどに書き出したりアプリを活用したりしてオリジナルの単語帳を作ると勉強が捗ります。
語彙の勉強は、以下の記事もぜひ参考にしてみてください。
TOEIC対策に覚える単語や熟語一覧!おすすめの本やアプリ、勉強方法まで解説します
ここからは、目標のスコア別に目指すべき正答数と時間配分で意識するポイントを紹介していきます。
以下の表は目標スコア別に目指すべき正答数です。TOEICのスコア配分は非公開であり、各スコアに対する目指すべき正答数は必ずしも確実なものとは言えませんが、目安としては参考になるはずです。
500点台から800点台まで紹介するので、目標スコア別に自身の対策にぜひ役立ててください。
目標500点 | 目標600点 | 目標700点 | 目標800点 | |
---|---|---|---|---|
パート1(6問) | 3〜4 | 4〜5 | 5〜6 | 5〜6 |
パート2(25問) | 16〜17 | 18〜19 | 20〜21 | 22〜23 |
パート3(39問) | 21〜22 | 26〜27 | 28〜30 | 31〜32 |
パート4(30問) | 14〜15 | 18〜19 | 20〜21 | 22〜23 |
パート5(30問) | 13〜14 | 17〜18 | 20〜21 | 25〜26 |
パート6(16問) | 6〜7 | 8〜9 | 9〜10 | 12〜13 |
パート7(54問) | 25〜26 | 30〜31 | 31〜32 | 37〜38 |
リスニングセクション パート1〜4(495点) |
285 | 330 | 400 | 420 |
リーディングセクション パート5〜7(495点) |
215 | 270 | 300 | 380 |
実はTOEICは、リーディングよりもリスニングの方がスコアを上げやすい傾向があります。特に取り組みやすいと言われるパート1や2は60%の正答率を、パート3、4は正答率50%を超えるぐらいを目指しましょう。
リスニングでスコアを稼げれば、リーディングセクションの正答率が50%に満たなくてもなんとか500点を目指せます。
パート5、6は比較的取り組みやすいですが、なかには考え込むような問題も混じっています。また、パート5は知識がないと解けない問題が出題されるため、もし分からなかったら潔く飛ばして先に進みましょう。
パート7は特に時間がかかりがちで最後まで解けない方も多いため、最初からシングルパッセージのみ取り組むと決めるのも戦略の1つです。パート5、6を解き終えて時間に余裕が生まれたら取り掛かるといいでしょう。
前出のように、500点を目指すなら全問を解答しきる必要はありません。「できるところを確実に」のマインドで取り組みましょう。TOEIC500点を目指す方は、以下の記事も参考にしてみてください。
TOEIC300点台ってやばい?500点まで上げる勉強法やおすすめの参考書を紹介
600点を目指す方は、リスニングセクションでは全体で70%の正答率を目指しましょう。パート1や2は取り組みやすいパートのため、集中してできるだけ点数を獲得することで、リスニング全体のスコアアップにつながります。
リーディングセクションでは、全体で55%の正答率を目指すと目標を狙えるでしょう。4割の問題は間違えても良いと言えるため、時間切れになりやすいパート7では”最初から取り組まない問題”を決めて受験するのも1つの手です。
例えば、シングルパッセージのみ取り組む、語彙を問う設問だけは必ず解答するなど、優先度を決めて臨むと良いでしょう。
パート5、6は比較的取り組みやすいですが、知識がなければ解けない問題です。3回問題を読んでも分からなければ、飛ばしていきましょう。
TOEIC600点を目指す方は、以下の記事も参考にしてみてください。
TOEICで600点以上を取る勉強法まとめ!レベル解説からおすすめ参考書まで一挙解説
700点を目指す方は、リスニングセクションでは全体で75%の正答率を目指しましょう。特にパート1や2は、80%以上正解できるのが望ましいです。
リーディングセクションでは、パート5、6が力の入れどころです。引っ掛け問題に気をつけて60〜70%は正答できるようにしましょう。
パート7は、60%の正答率に満たなくてもギリギリ目標を狙えます。最初から手をつけない問題を決めて解答する問題に集中するのも良いでしょう。また、設問のパターンを頭に入れて、優先度を決めてスコアを獲得する戦略もありです。
TOEIC700点を目指す方は、以下の記事も参考にしてみてください。
TOEIC700点のレベルを解説!達成に必要な勉強法やおすすめの参考書も紹介します
800点を目指す方は、リスニングセクションでは全体で80%の正答率を目指しましょう。パート1や2は、満点を取るつもりで臨みたいところです。パート3、4は正答率の高い問題は確実に得点し、さらに複雑で難易度の高い問題も得点できると良いでしょう。
リーディングセクションでは、全体で75%以上の正解率を目指しましょう。特にパート5、6はスピードと精度をあげ、80%以上正解するのが望ましいです。
ややこしい文法の問題や、難しい単語や熟語を問うような問題も解けるように、出題されやすい例外的な文法の用法を押さえたり、目標スコアに合ったレベルの高い単語帳をインプットしたりと、基礎力のさらなる底上げをしておく必要があります。
パート7は、最後まで解ききるようにしましょう。そのためには速読が必要になります。普段の勉強では問題を解くだけでなく、英文の音読を繰り返し行うのもおすすめです。英文の構造や語彙などを体で覚えることができ、速読の訓練になります。
TOEIC800点を目指す方は、以下の記事も参考にしてみてください。
TOEICで860点を取るには?英語レベルの目安や周囲の評価、おすすめの勉強法や参考書を知って目標を突破しよう
この記事では、TOEICの時間配分に関する悩みを解消し、目標スコアを獲得するための対策をご紹介してきました。
TOEICのパートごとの時間配分や1問あたりの目安の解答時間を把握することで、効果的に時間を使いながら問題に取り組むことができます。また、時間配分がうまくいっていない時に想定される課題や、時間配分を改善するための具体的な対策も解説しました。
目標スコア別の時間配分で意識すべきポイントを押さえることで、自信を持って試験に臨むことができるでしょう。時間配分の悩みを解消し、TOEICで目標スコアを獲得したいという方は、ぜひこの記事を参考にして英語学習を頑張ってください。
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