留学前は準備することが多く、あっという間に時間が過ぎるもの。出発日が近づく中、「留学前にやるべき公的手続きはある?」と疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。住民票・年金・健康保険など、どんな手続きが必要になるのかはしっかり確認しておきたいですよね。
そこで今回は、留学前にやるべき公的手続きを一挙解説します。学生と社会人など職業別にやるべきことをまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
なお、留学前にすべき準備は下のページでまとめているので、具体的な検討を進めたい方はチェックしてみてください。
留学準備をスムーズに進めるための11つのステップとは?
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留学前に行うべき公的手続きは主に6つ。それぞれどんな手続きなのか、手続きを行うとどうなるかなど基本情報を見ていきましょう。
1年以上の長期留学に行く場合は「海外転出届」を提出し、住民票を除票する手続きを行います。住民票を海外に移すと書類上でも日本に住んでいないことになるため、以下のように一部の税金の支払い義務がなくなります。留学中の出費を抑えるためにも必ず行いましょう。
・国民健康保険料の支払いが免除される
・国民年金の支払いが義務ではなくなる
・住民税の支払い義務がなくなる(1月1日に居住していない場合に限る)
ただし、「海外転出届」の提出が義務付けられているのは1年程度の長期で海外に行く場合のみ。数カ月の短期留学の場合は申請しても受理されない可能性があります。詳しくはお住いの自治体に確認しましょう。
住民票の詳しい手続きについては下のページでまとめているので、具体的な準備を進めたい方はチェックしてみてください。
留学中、住民票はどうする?海外転出届が必要なパターン・必要ないパターンを解説!
海外転出届が受理されれば、留学中の国民健康保険料はかかりません。その代わり、一時帰国中に病院にかかった場合は医療費を全額支払わなければならないということも覚えておきましょう。
1年未満の留学の場合は住民票をそのままにして渡航します。その場合、留学中に「支払いを滞納してしまった」とならないように、留学中に発生する健康保険料を前納しておくなど、支払いの手配をしておきましょう。
健康保険の詳しい手続きについては下のページでまとめているので、具体的な準備を進めたい方はチェックしてみてください。
留学前にするべき健康保険の手続きって?住民票や国民年金の手続きもあわせて解説
海外転出届を提出すると、国民年金への加入義務がなくなり、支払いも免除されます。
支払う金額が減ると受給年齢になった際に受け取れる金額も減りますが、国民年金は2年前までなら後納することが可能。また、国民年金制度は住民票を抜いても任意加入できるので、将来少しでも多く年金を受給したい人は後納または任意加入すると良いでしょう。
住民票をそのままにする場合、引き続き国民年金は支払わなければなりません。こちらも健康保険と同様に支払いの手配をしておきましょう。
年金の詳しい手続きについては下のページでまとめているので、具体的な準備を進めたい方はチェックしてみてください。
【留学前に必ずチェック】留学時の年金の手続きをまとめて解説
社会人の場合、確定申告の手続きにも要注意。給与所得を得ていた場合、留学前に確定申告と納税を済ませるか、留学中の自分に代わって確定申告や納税手続きを行う「納税管理人」の届出をする必要があります(※1)。
詳しくは国税庁「給与所得者が国外転出するときまでに必要な手続」をご確認ください。
海外転出届を出すタイミングによっては、住民税の支払いが請求される場合があります。
留学中に請求が来ると自分では払えませんが、支払いを先延ばしにすると滞納金がかかることも。そのため、留学に行く前に、親族など自分の代わりに支払い対応をしてくれる人に送り先を変更する、納税管理人を指定するなどの手続きが必要になります。
税金の詳しい手続きについては下のページでまとめているので、具体的な準備を進めたい方はチェックしてみてください。
留学前に必ずやっておきたい税金手続きまとめ【海外転出届の出し方も解説】
通常、運転免許証は誕生日の前後2カ月で更新します。しかし留学中に運転免許証の更新時期が重なってしまった場合、特例として更新期間前に手続きが行えます。
ただし、手続きの際には運転免許証更新期間中に留学していることの証明書の提出を求められることがあります。提出書類は事前に管轄の免許センターや警察署で確認しておきましょう。
社会人か学生かによっても必要な手続きは異なります。そこで次は、職業別にやるべき手続きを、「住民票を抜くケース」と「住民票を抜かないケース」両方の視点から紹介します。
必要な手続き | |
---|---|
住民票はそのまま | ・運転免許証の更新 ・税金の支払い |
海外転出届を提出 | ・運転免許証の更新 ・健康保険 ・国民年金 ・税金の支払い |
住民票をそのままにしておく場合は、運転免許証の更新や税金の支払い手配などを行うだけで大丈夫。海外転出届を出す場合は、これらに加えて健康保険と国民年金の手続きを行います。
国民健康保険と国民年金はいずれも「喪失届」を提出します。ただし、国民健康保険の場合住民票がないと自動的に支払いもなくなるため、自治体によっては提出不要(役所が代理で手続きを行う)なことがあります。
国民年金は、年金を辞めて支払いを免除するか、任意で加入を続けるかが選べます。いずれの場合も年金事務所または役所で手続きを行います(※2)。
必要な手続き | |
---|---|
住民票はそのまま | ・運転免許証の更新 |
海外転出届を提出 | ・運転免許証の更新 ・健康保険 ・国民年金 |
社会人と異なり、学生は給与所得がないため、税金の支払いは基本的に発生しません。運転免許証を持っている場合、期限の更新だけ行っておきましょう。
海外転出届を提出する場合は、これらに加えて健康保険や年金の喪失・任意加入などの手続きも発生します。ただし、上述のとおり、健康保険の喪失届は不要な場合もあるので、お住いの自治体に確認しましょう。
必要な手続き | |
---|---|
住民票はそのまま | ・運転免許証の更新 ・税金の支払い ・確定申告 |
海外転出届を提出 | ・運転免許証の更新 ・健康保険 ・国民年金 ・税金の支払い ・確定申告 |
給与所得者など、確定申告の必要がある人は、留学前に確定申告を済ませたり「納税管理人」の届出を出したりといった作業が発生します。長期留学者はもちろん、短期留学でも確定申告の時期に日本に居ない場合は、先回りして手続きを行いましょう。
ここでは公共機関での手続き方法とポイントを紹介します。
役所で行う手続きは、住民票の除票(海外転出届の提出)、国民年金の任意加入、マイナンバーカードの切り替えなど。海外転出届を提出すれば転出日の翌日より国民健康保険と国民年金の加入義務がなくなります。
海外転出届の手続きに際しては、パスポートや運転免許証、マイナンバーカードなどの本人確認書類が必要になります。手続きは渡航日の2週間前から行えるので、これらを持参し、自治体の窓口にて申請を行いましょう。また、国保の保険証を持っている場合はこのタイミングで返納します。
住民票を除票した後に国民年金に任意加入したい場合は、住んでいる自治体の年金事務所窓口または市役所窓口にて手続きを行います。本人確認書類のほか、基礎年金番号が分かるものを持っていきましょう。
なお、自治体によっては郵送での手続きも可としている場合がありますが、基本的には窓口申請が推奨されています。年金の口座引き落としなどを希望する場合は、登録する日本の銀行口座なども決めてから行くとスムーズです。
税務署では納税管理人の届出を行います。こちらも税庁のホームページから届出書をダウンロードして必須事項を記載し、お住いの自治体へ郵送することもできますが、少しでも不安がある方は窓口で申請することをおすすめします。
運転免許証の更新は免許センターにて行います。現在持っている運転免許証、更新期間中に日本に居ないことの証明書を忘れずに持っていきましょう。なお、通常の免許更新と同じように、特定任意講習などを受けた場合は講習終了証明書も必要になります。
では、留学から帰国したらどんな手続きが必要になるのでしょうか。帰国後の公的手続きについて知っておきたいポイントを3つ紹介します。
住民票を除票している場合、帰国したら「転入届」を提出する必要があります。その際、いつ日本に帰国したかを証明する書類の提出が求められるので、日本入国時はパスポートにスタンプを貰っておきましょう。帰国便のチケットも捨てずに保管し、手続きの際に持参することをおすすめします。
転入届が受理されると、帰国日から国民健康保険や国民年金などが再開されます。それに伴い支払い義務も課されますが、保険料は非割にはならないので要注意。例えば帰国日が4月30日でも、国民健康保険料や国民年金は1カ月分支払うことになります。「なんだか損した気分になる」という人は、帰国日を月初に調整すると良いでしょう。
「住民票を除票するとマイナンバーカードはどうなるの?」と疑問に思いますよね。以前は海外に転出するとマイナンバーも失効されましたが、2024年5月27日より、転出時に手続きを行うことで留学中もマイナンバーカードを継続して使用できるようになりました(※3、4)。
手続きとは、カード内に登録してある住所変更など。代理申請もできますが、基本的には本人が来所して行います。帰国したら転入届の申請と共に、カード内の登録住所を日本の居住地に変更しましょう。
最後に、留学に行く際によく挙がる質問に回答します。
海外移住者でない限り、基本的に留学中にマイナンバーカードを提示または使用する機会はありません。留学中は学生証やパスポート、現地で発行した個人番号(あれば)が身分証になります。
しかし、マイナンバーカードがあれば、帰国時の転入届に役立ちます。日本に帰国後、本籍とは異なるエリアに転入届を申請する場合は「戸籍の附票の写し」が必要になる場合がありますが、マイナンバーカードを使えば役所の窓口に行かずともコンビニなどで戸籍の附票の写しを取得することができます(※5)。
社会人の場合、会社を休職または有給休暇消化中に留学に行く人もいるでしょう。在職中のまま留学がスタートすると健康保険や年金の切り替えが即時にできなくなりますが、転出届さえ提出していれば一定期間海外に在住していることが伝わります。転出届だけ出しておけば、無駄な出費がかからず、希望すれば帰国後に国民年金の後納などもできますよ。
万が一、「長期留学なのに転出届を出すのを忘れてしまった」という場合は、委任状があれば親族が代理で手続きを行うことも可能です。手続き方法は自治体によって異なるので、詳しくはお住いの市町村に確認しましょう。
住民税は、前年度に一定の所得があり、かつ「1月1日に日本に籍がある人」が課税対象になります。請求時期は同年の6月。そのため、渡航時期によっては留学中も住民税の支払いが発生することがあります。
例えば2024年3月に渡航する場合、1月1日の時点では日本に籍があるため、留学中も2023年分の住民税が請求されます。一方、2023年12月に渡航する場合、翌年2024年1月1日時点で住民票が除票されているため、前年の収入にかかる住民税は請求されません。
もし冬場に渡航を考えている人は、留学開始日を年内に調整し、12月31日までに海外転出届を提出することをおすすめします。
変更可能です。例えば一人暮らしの住所ではなく実家に請求書を送ってほしい場合、役所で「送付先変更依頼書」を提出すれば、家族に転送することができます。
また年金に関しては、留学中の手続きを代理人(親族など)に依頼することもできます(※6)。詳しくは自治体に問い合わせましょう。
今回は、留学に行く上で必要な公的手続きについて紹介しました。短期留学の場合は不要ですが、長期留学、特に社会人となると行わなければならない手続きが増えます。留学直前になってバタバタと慌てないように、計画的に進めましょう。
手続きについてひと通りチェックはしたけれど、一人で進めるのは不安……という方は、ぜひスクールウィズの留学サポートを利用してみてください。
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※1...国税庁「海外勤務と納税管理人の選任」(参照日:2024-06-28)
※2...東京都国分寺「海外へ転出、海外から転入したとき」(参照日:2024-06-28)
※3...デジタル庁「国外転出者のマイナンバーカード継続利用」(参照日:2024-06-28)
※4...つくば市「マイナンバーカードおよび住民基本台帳カードの継続利用・券面更新手続き」(参照日:2024-06-28)
※5...目黒区「戸籍の附票の写し(全部・一部)をコンビニ交付サービスで取得するとき」(参照日:2024-06-28)
※6...日本年金機構「年金相談や手続きを代理人に委任するとき」(参照日:2024-06-28)
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