こんにちは、フィリピンとデンマークで留学経験のあるライターのAyakaです。
「これから留学へ行くけれど、税金の手続きってどうやったらいいんだろう……」とお困りではないですか。
社会人が留学する場合、留学準備と並行して行う必要があるのが税金の手続きです。普段は会社が税の手続きを代行してくれていますが、退職してしまうと自分ですべて対応しなくてはいけません。
今までは意識したことがなかったかもしれませんが、税金の手続きは複雑で面倒。さらに何をしたらいいのかわかりにくいのが難点です。
そこで今回は会社を退社して留学した経験のある私が、実体験を踏まえながら、会社を退職する社会人が留学前にするべき税金の手続きをまとめました。細かく解説しているので、ぜひ役立ててくださいね。それでは、早速確認していきましょう。
なお、留学前にすべき公的手続きは下のページでまとめているので、具体的な検討を進めたい方はチェックしてみてください。
留学前にやるべき公的手続き一覧!役所や公的機関での手続きを一挙解説
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まずは、そもそも留学中に税金の支払い義務はあるのかを紹介します。また、留学中にどのような税金が請求されるのかもチェックしていきましょう。
留学中に税金を請求されるかどうかは、「海外転出届」を提出するかしないかで変わります。
日本国籍を持つ人が、海外転出届を提出すると、日本国内に住所がない状態になります。そのため、“居住しているかどうか”を条件とする税金を請求されることはありません。
ただし、海外転出届の提出は全員に求められているものではありません。原則1年以上海外で滞在する予定のある人に提出が義務付けられています。
では、短期間の留学を考えている人は提出することは可能でしょうか?住民基本台帳法では、1年以上滞在する見込みの人は提出の義務が定められていますが、1年未満の場合でも提出は可能です。
いろいろな市町村のHPを見ると、「1年未満は必ずしも国外への転出届をする必要はない」といった表記をいくつか見つけました。
ただし、税金の支払いを逃れるために提出するケースを防ぐため、実質的に日本国内に住所があると判断される場合もあります。そうなると、住民税が課税される可能性は否定できません。
住民税は前年の所得に対し、1月1日時点を基準に請求されます。具体的にいうと、2022年の税金は2021年の所得に応じて支払っています。
そのため、海外転出届を提出しても、1月1日時点で住民票があれば前年の税金は請求されてしまいます。
(例)
・【転出日2022年2月15日】(1月1日時点で在住のため、2021年1〜12月分が請求される)
・【転出日2021年12月15日】(1月1日時点で在住していないため、2021年分は請求されない)
もし年をまたぐタイミングで海外転出届を出す予定がある人は、12月31日までに出してしまうことをおすすめします。
留学中に支払う税金の全体像が見えたところで、自分は何を支払わないといけないのか、逆に何を支払わなくていいのかをチェックしていきましょう。
ここでは海外転出届の提出と関係あるかないかをポイントに解説していきます。
【海外転出届を提出すると?】提出のタイミングに応じて支払う必要なし
住民税は先ほどもご紹介した通り、前年度の収入に応じて金額が決定されます。住民税の正式名称は「都道府県税・市町村税」です。
1月1日に住民票を置いていなければ、前年の住民税が請求されません。
【海外転出届を提出すると?】日本国内で生じた所得に対しては所得税の支払いが必要
所得税とは、所得に対し請求される税金のことです。住民税が前年の所得に応じて請求されるのに対して、所得税はその年の収入に対して請求されます。給与明細をみると「所得税」「住民税」の欄がそれぞれ見つかるでしょう。
海外転出届を提出することで、日本国民の非居住者という立場になります。住民税の支払いは居住の有無にもとづきますが、所得税は非居住かどうかを問いません。つまり、必要に応じて所得税の支払いが必要です。
海外留学中のケースでは、フリーランスで日本の企業と取引をしている人、日本の会社に在籍しながらフルリモートで働いている人が考えられます。
【海外転出届を提出すると?】納税の義務はなくなるが支払いを続けることも可能
定年退職後や病気やけがなどで障害が生じたときに支払われるのが「年金」です。20歳から60歳の国民は、年金を納める義務があります。年金は「国民年金」と「厚生年金」の2種類に分けられ、会社が年金の半分を払ってくれる厚生年金に加入していない人は、国民年金の保険料を支払う必要があります。
会社を退職する場合、退職の翌月から国民年金に切り替わります。国民年金は非居住者には支払いの義務はないため、海外転出届を出せば請求される心配はありません。
ただし、海外転出中に支払いの義務はないものの、国民年金に加入できたのに加入しなかった期間「カラ期間」にカウントされてしまいます。カラ期間が多くなると受け取れる年金額が少なくなってしまうため、「任意加入」を選択することも可能です。
年金手続きの詳しい情報はこちらをチェック!
【留学前に必ずチェック】留学時の年金の手続きをまとめて解説
【海外転出届を提出すると?】支払いの義務なし
病気やケガ、出産や死亡に対して保険給付を行う医療保険です。日本国内に住所がある場合は、すべての人が何らかの医療保険に加入する必要があります。会社勤めの方で、会社の健康保険(健康保険組合・共済組合・船員保険など)に加入している場合は、月々の給与から「健康保険料」が引かれているでしょう。
しかし、会社の健康保険に加入していない場合は、国民健康保険に加入することになります。
海外転出届けを出した場合、住民票を転出することになるため支払い義務はなくなりますが、海外転出届けを出さずに住民票を残したままにすると、国民健康保険に加入し続けることになります。
国民健康保険に加入し続ける場合は、日本の保険診療の対象内容であれば、現地でかかった医療費を日本の医療費に換算した上で、7割を保険が負担してくれます。
また、海外旅行保険では適用されることが少ない歯の治療についても、国民健康保険では海外療養費として申請すれば帰国後に一部医療費の払い戻しを受けられます。虫歯などが心配な方は、住民票を抜かず国民健康保険を適用できる状態にしておきましょう。
ただし、海外の医療費は日本の医療費より高額になることがほとんどなので、国民健康保険だけでは損をしてしまうことが多いです。仮に国民健康保険に加入し続ける場合でも、別途、海外旅行保険にも加入した方がいいでしょう。
【海外転出届を提出すると?】所有しているのであれば支払いの義務あり
自動車税は所有しているかどうかで税金の支払い義務が異なります。自分名義の車を留学中にそのままにしてしまうと、自動車税が請求されてしまうため、支払いたくない人は名義変更や処分が必要です。
【海外転出届を提出すると?】所有しているのであれば支払いの義務あり
不動産にかかる税金も非居住者かどうかは関係ないため、自分名義のものについては税金が請求されます。また不動産の売買や貸借によって所得を得ている人は、確定申告の必要があります。
いずれのケースも非居住者の場合、本人に代わって税金を納付する納税管理人を選任する必要があります。詳しくはお住まいの市町村の納税係などに相談してください。
次に、海外転出届けを提出するメリットとデメリットをチェックしていきましょう。
一番のメリットは支出を大幅に減らせるということです。私がデンマークに留学に行く際も海外転出届を出すべきかとても悩みました。私の場合、帰国日が決まっていませんでしたが、1年ほどの留学期間になるとわかっていたため提出することを決断しました。
また私が留学したデンマークでは、学生ビザを取得すると現地で健康保険証が発行されます。念の為、海外留学保険には加入しましたが、医療費の負担は学生ビザがあればゼロだったこともあり、日本の国民健康保険料を支払うメリットがありませんでした。
1年以上の留学が明らかではない場合、提出を悩んでいる人もいるかと思います。ただ単に支払う金額が減るという視点だけでなく、全体的にメリットがあるかをぜひ考えてみてくださいね。
海外転出届を出すことで、一部の税金の支払い義務がなくなるため、どれを支払うかという自由度が増します。
国民年金の保険料は月に1万7,000円ほどですが、長期となると支払いは大変だと思います。一方で、支払い続けるという選択もできます。支払いを続けると後々受け取れる金額が増えるため、海外転出届を出すデメリットにはなりません。
海外に留学する際は、何かしらの保険に加入する人がほとんどだと思いますが、国内に一時帰国している時に病気になってしまっても、国民健康保健は使えません。
加入している海外留学保険によっては一時帰国補償特約が付帯されている場合もあります。ただし、すべてではないため、加入前に必ず確認しておきましょう。
次に海外転出届の提出方法を紹介します。今回ご紹介するのは私が住んでいた市町村の対応のため、ご自身が提出する際は各市町村へ問い合わせた方が安心です。
まずは必要な書類を紹介します。手続きを行うには本人もしくは委任状を持った代理人が市役所等の窓口まで出向く必要があります。持ち物は一般的なものを紹介しているので、申請に行く際は事前に各市町村のWebサイトなどで確認してください。「海外転出届 〇〇市」といったように検索すればヒットします。
また、下記のものは窓口へ返却する必要があります。
ただし、返却と言っても失効の手続きを行うだけのものもあります。
私の場合、事前に市役所に連絡し、必要な書類を確認してから市役所に向かいました。当日はマイナンバー通知カード、免許証、印鑑登録手帳を持参しました。マイナンバー通知カードは「失効しました」といった記載がされ、帰国後はマイナンバーカードを発行するよう言われました。
親切に教えてくれるため、心配な人や留学準備の時間が限られている人は電話を入れてから手続きを進めましょう。
申請は転出予定日の14日前から受け付けています。
提出すると決めた日に市役所等に出向いて、「転出届」に記入します。「海外転出届」という書類はないので、基本的に転出先に渡航先の国を書きます。私の場合は、日本国内と同じ転出届に、「海外:デンマーク」と記載をするよう求められました。
書き方がわからない場合やどの書類か迷った時は、市役所の人に聞けば教えてもらえますよ。
留学に必要な税金の手続きについて、全体像を把握できたでしょうか。細かく説明してきましたが、「このケースは?」「私の場合は?」など疑問もたくさん浮かんでいると思います。
ここではよくある質問に答えていきます。
短期留学の場合、海外転出届を出すかどうか悩みどころだと思います。一年は留学しないけれど、半年間でも固定費は削りたいですよね。
1年未満の留学の場合、基本的には海外転出届を出す必要はなく、居住者であると考えられてしまいます。海外転出届の提出は可能ですが、行政が実質的に日本国内に住所があると判断する可能性も否定できません。
どうするべきか決めかねている人は、ざっくばらんに最寄りの市町村に相談してみましょう。
納税管理人とは、納税義務者に代わって、納税に関する手続きを行う人のことです。非居住者となっても税金の支払い義務が生じる場合、行政との連絡や書類の受領などを行える人を用意する必要があります。
私は会社員の仕事の他に、フリーランスでも収入があるため、確定申告を行う必要があります。親族を納税管理人として税務署に届け出ました。住民税については、市役所のHPに納税管理人が必要との記載のあったため確認したところ、「同じ住所に家族がいればそこに書類を届けるので納税管理人の申し出は不要」と言われています。
こちらについても各行政によって対応が異なると思います。納税管理人を用意する必要がある人は早めに確認しておきましょう。
納税管理人を用意する必要があっても頼める人がいないというケースもあるでしょう。納税管理人は親族である必要はないため、弁護士・税理士・友人に依頼することが可能です。
海外に住むお子さんは、国外居住親族として扶養控除を受けることが可能です。
ただし、要件である、「生計を一緒にしている」ことを証明するため、送金履歴などの提出が求められます。
私も有給休暇を消化中に海外に渡航したため、国民年金や健康保険の切り替えや申請がどうなるのかとても心配でした。
結論から言うと、海外転出届を出しておけば、「非居住者だから請求は必要ない」と市町村が判断してくれるそうです。国民年金に関しても、海外転出となっていれば特に手続きは必要ないと最寄りの年金事務所から回答をもらっています。
一部、国民年金の切替で督促のような書類が届いたというインターネットの情報を見たことがあり、心配だったので質問してみました。海外転出が確認できればそのような書類は送らないが、お知らせのような書類が届くことはあるそうです。
おそらく同じ回答を得られるかと思いますが、海外転出届を出す際に市役所などで質問しておきましょう。
今回は、海外留学中にかかる税金についてご説明してきました
ご紹介した以外に、不安な部分がある場合は、行政機関に問い合わせることが手っ取り早いです。私もネットで調べてどうしてもわからなかったことが、電話で聞いたら一発で解決した経験が何度もあります。
社会人でこれから留学を予定しているみなさんは、留学までにやるべきことが多くてとても大変だと思います。この記事が少しでも留学の準備のお役に立てれば幸いです。
なお、行政手続き以外に留学で準備すべきことなどは、LINEで相談を受け付けているので、留学先の手配をはじめ具体的に準備を進めたい方はお気軽にご相談ください。
語学留学を具体的に検討するなら、まずは留学を実現するまでの流れを確認しましょう!留学準備では大まかに5つのステップがあります。
留学を思い立ったら、まずは渡航時期、期間、渡航先の目星をつけてみてください。
いつ、どれほどの期間、どんな国で留学するかイメージが持てると具体的な計画を立てやすくなります。
留学へ行くとなると考えることはたくさんあります。
自分で調べてみたものの、ネット上ではさまざまな意見が発信されていて、何を信じていいかわからないまま、検討途中で止まってしまう留学生は多くいます。その疑問、無理に一人で解決せずに留学カウンセラーに相談してみませんか?
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