留学先の選定や滞在先・航空券の手配、留学の準備を始めると時間はあっという間に過ぎますよね。
渡航日が近づく中「留学中の住民税や健康保険、国民年金の支払いはどうしたら良いの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
長期間海外に滞在する際には、住民税・健康保険・国民年金の利用を一時停止する海外転出届を申請する必要があります。
ただしこの海外転出届は、留学期間によっては申請が不要です。
そこで今回は海外転出届が必要・不必要なパターン、そして手続き方法まで徹底解説!必要な手続きをしっかり把握して留学に備えましょう。
なお、留学前にすべき公的手続きは下のページでまとめているので、具体的な検討を進めたい方はチェックしてみてください。
留学前にやるべき公的手続き一覧!役所や公的機関での手続きを一挙解説
[目次]
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「住民票を抜く」とは、海外に長期滞在する際に役所に海外転出届を出し、住民票が除票となること。申請するとその地域に住んでいないと見なされます。
日本に住んでいないことになると、いくつか免除・失効となるものがあります。住民票を抜くと何が免除・失効するのか、詳しく見ていきましょう。
住民票が除票になると、税金の支払いが免除されたり、あるいはそれまで持っていた権利を失効したりといったことが起こります。
免除や失効の対象である国民健康保険や住民税、国民年金、マイナンバーカードにはどのような影響が出るのか見ていきましょう。
まずは国民健康保険です。住民票の除票とともに、国民健康保険は失効するので注意しましょう。
無保険の期間が長いと、万が一の際に多額の医療費がかかる可能性もあります。留学中や無保険の間は、海外でも対応している民間の保険に入りましょう。
住民票の除票になると日本に住んでいると見なされなくなるため、住民税の支払い対象からは除外されます。
ただし、住民税は「その年の1月1日にその市区町村に住んでいる」人が対象なので、留学のタイミングによっては、転出した年内は住民税の支払いが発生します。
【例】
もし年をまたぐタイミングで海外転出届を出す予定がある人は、12月31日までに海外転出届を提出することをおすすめします。
住民票を抜くと、国民年金に加入する義務もなくなります。
毎月の支払いがなくなる一方で、年金を納めない分、将来的に受給できる金額も減ることは頭に入れておきましょう。
マイナンバーカードも住民票の除票とともに返納する必要があります。
とはいえ、マイナンバー自体がなくなるわけではなく、留学から戻ってきたらこれまでと同じマイナンバーを使用することができます。
以下では、住民票を除票するとどのようなメリット・デメリットがあるのかをご紹介します。
住民票を抜くメリットは、主に以下の2つが挙げられます。
それでは、詳しく見ていきましょう。
一番のメリットは、日本在住時に必要だった支払いが免除されることです。
海外転出届を出すと住民税・国民健康保険料・国民年金などの支払い対象から除外されるため、保険料や税金を支払う必要がなくなります。
ただし前述した通り、住民税の支払い対象は1月1日に日本に住んでいる人になります。
年度の途中で海外に行く場合、支払い義務がなくなるのは翌年度からです。その年の残りの住民税は引き続き支払う義務があるので注意しましょう。
これまで税金の支払いに充てていた分の出費を抑えられるため、より多くのお金を留学資金や現地での生活費、旅費に使えるのは嬉しいポイントです。
また税金を滞納したり、帰国後に支払うものが溜まってしまったりという状況も避けられるので、精神的にも安心です。
反対にデメリットとして挙げられるのは次の3つです。
前述した通り、住民票の除票とともに国民健康保険は失効するため、届出を出している期間は国の保険を使用できません。
万が一病気にかかったり事故に巻き込まれたりしたら、高額な医療費を払うことになってしまうので、必ず渡航の際には海外旅行保険などに加入しておきましょう。
ただし、多くの海外旅行保険では歯の治療が保険の適用外となっています。万が一渡航後に虫歯などができてしまうと、高額な治療費を避けて日本へ帰国して治療をする可能性もあります。
国民健康保険では、海外での虫歯の治療も海外療養費として帰国後に申請することで、一部医療費の払い戻しを受けられます。虫歯などが心配なら、住民票を抜かないほうが安心です。
なお、申請に必要となる書類は自治体によって異なるので、自分が加入している保険の運営元でご確認ください。
遺族基礎年金とは、国民年金の被保険者が死亡した場合、それまでに納めた年金を遺族が受け取れる制度(※1)。障害年金とは、病気や怪我が原因でそれまでの生活や仕事が制限される場合に受給できる年金です(※2)。
障害年金は年金受給世代でなくとも受け取れるうえ、加入中であれば留学中の事故や怪我に対応できることがあります。しかし、住民票を抜いてしまうと国民年金の対象から外れるため、障害基礎年金なども受領できなくなってしまいます。
また、年金を支払わない期間が長くなると、将来的に受給できる額が減少する面もあるのです。
ただし日本国籍保持者の場合は、住民票を抜いても国民年金に任意で加入できます。
年金の支払いは必要ですが、将来の受給額が減少したり受給時期が遅くなったりするのが心配な人は、改めて加入するとよいでしょう。
任意加入手続きは、住んでいる役所の窓口にて行えます。
銀行口座やクレジットカードを作成する際は、保険証や免許証などの身分証を提示しますよね。
しかし海外転出届を出すと保険証やマイナンバーカードは失効するため、新たに口座やクレジットカードを作成できません。
口座やクレジットカード作成にあたって身分証明は必須のため、留学の準備を始める前から作成しておきましょう。
海外転出届のメリット・デメリットをご紹介しましたが、実際どのようなケースであれば届出を申請したほうがよいのでしょうか。海外転出届を出すべき判断基準を見ていきましょう。
まず第一の判断ポイントは海外での滞在期間です。短期か長期か、留学期間によって申請が必要かどうか分かれます。
3か月や半年など、1年以内の中長期留学であれば、海外転出届を出す必要はないケースがほとんど。
ただし東京都北区など自治体によっては、1年以内の渡航であっても転出届が必要になる場合もあります(※3)。
自治体によって判断が異なるため、お住まいの自治体のウェブサイトを確認しましょう。
1年を超える長期留学や移住の場合、海外転出届は必須です。
自治体によっては転出後の申請も可能ですが、基本的には渡航日の14日前から、役所の窓口にて申請してください。
次に確認したいのが留学時の状況。
学生か社会人か、社会人でも休職中または退職済みかなど、自分の状況によって手続きをするべきかが分かれます。一つひとつ見ていきましょう。
親の扶養に入っている学生の場合は住民票を抜く必要はありません。
学生は基本的に親の扶養内であれば、親の健康保険などに加入し、厚生年金・健康保険料・住民税など親の所得から天引きされるケースがほとんどだからです。
個人で毎月の支払いがないため、住民票を抜くメリットはほとんどありません。
会社に所属している社会人は、会社が加入している社会保険・厚生年金によって対応が変わります。
国内に居住していることを前提として雇用されている場合は、基本的に住民票を抜くことができません。
また休職するにあたり社会保険・厚生年金の支払いがストップしたとしても、国民年金の支払いは発生します。
会社を退職してから留学する人で、国民健康保険・国民年金に変更している場合は住民票を抜くことができます。
退職後それまで勤めていた企業の健康保険・年金に加入し続けている場合は、事前に国民健康保険・国民年金に切り替えましょう。
それでは実際に住民票を抜くにはどのような手続きを行うのでしょうか。必要な書類と手続きの流れを解説します。
住民票を抜くには、現在住民票を登録している役所で海外転出届を申請します。
海外転出届とは前述した通り、日本国外に移住、もしくは長期間滞在する際に必要な届出。一度申請すると転入届を出すまで「日本に居住していない」状態になります。
海外転出届を出すうえで必要なものは、一般的に下記の通りです。
手続きに必要なのは本人確認書類のみですが、除票するにあたって返却する国民健康保険証やマイナンバーカードも合わせて持って行ってください。
また、自治体によっては納税管理人の選任などが必要な場合もあるので、事前に確認しましょう(※3)。
次に、実際の手続きをチェックしましょう。
市区町村のウェブサイトを確認して必要な持ち物を準備したら、お住まいの市役所・区役所に行きます。
なお、自治体によっては出張所やサービスセンターでも対応している場合があります。
手続きは基本的に市役所・区役所の窓口にて行います。
自治体によっては郵送で手続きできる場合もありますが、届出の内容や添付書類などに不備があると手続きが遅れてしまうため、時間を確保して窓口に行きましょう。
では、海外転出届を出し忘れてしまったらどうなるのでしょうか。住民票を除票しない場合のリスクを解説します。
海外転出届を出さない場合、通常通り住民税などの支払通知が自宅に届きます。しかし、本人が海外にいると支払いができず、税金を滞納してしまうことに……。
住民票を抜かない場合は事前に各種税金を支払ったり、家族にお金を預けて支払ってもらったりといった対策をしておきましょう。
渡航後に届出を申請するには、自分で海外から郵送する方法と、国内にいる家族が代理で申請する方法の2つがあります。
ただし、どちらも提出する書類の数が増え、手続きはやや面倒です。
特に自分で海外から郵送する場合、転出した日付の証明書類や国外での住所・連絡先、パスポートの顔写真や出国日のスタンプの写し、戸籍・本籍の筆頭者名などが必要になります。
そのため渡航後に留学を1年延長したいと思ったら、一時帰国の際に窓口で手続きするのがおすすめです。
一時帰国をしない場合は、必要書類をよく確認し、郵送または代理で届出を出しましょう。
以下では、住民票を抜く際、押さえておきたい注意点をご紹介します。
留学の準備はできるだけ前もって済ませておきたいですよね。
しかし、海外転出届を申請できるのは、出発日の14日前から当日までの2週間に限られます。
渡航日の1か月前になったら書類を用意し、スムーズに申請できるようにしておきましょう。
国民健康保険を抜けると、海外滞在中に予想外の病気やけがなどで現地の医療機関を受診した場合、申請すると一部医療費の払い戻しを受けられる海外療養費支給制度、国民年金を抜けると障害基礎年金といった精度を受けられなくなります。
手続きをしてから渡航日までの間や、海外滞在中に万が一怪我や事故、病気にかかると多額の医療費を払わなければならないので、必ず海外留学保険に加入しましょう。
なお、使用しているクレジットカードによっては海外保険サービスが付帯しているものもありますが、カード付帯の保険は短期旅行を想定した内容である場合がほとんど。
数ヶ月を超える留学には適していないので、留学期間に合った保険に入りましょう。
留学から帰ってきたらできるだけ早く転入届を申請し、住民票をもとに戻しましょう。
基本的に転入届は新しい住所、もしくは転出前に住んでいたところに住み始めてから、または帰国日から14日以内に手続きをすることが推奨されています。
なお、何らかの事情により一時帰国をする場合や日本での滞在が1年未満の際は届出を出さなくても問題ありません。
1年以上日本にいる場合や、完全に帰国した場合は必ず転入届を出して住民票を戻してください。
最後に、留学生活を便利にするおすすめの手続きをご紹介します!ぜひチェックしてみてください。
たびレジとORRnetは、どちらも外務省が提供しているサービスです。たびレジでは海外の安全情報をリアルタイムで把握できるうえ、万が一事件や事故に巻き込まれたときに素早くサポートしてくれます(※4)。
留学はもちろん、短期旅行の際も登録しておくと安心です。
ORRnetは、オンラインで在留届を申請できるサービスです(※5)。外国に3か月以上定住する場合は在留届を申請しなければなりませんが、ORRnetに登録すればオンライン上で完結できます。
留学中に滞在先を変更することになっても、手軽に手続きできるのが嬉しいですよね。
免許更新は誕生日の前後1か月ほどが更新期間です。留学と更新期間が重なると更新に行けず、免許を失効してしまう可能性があります。
そのため、免許更新の時期が迫っている場合は、事前に手続きを済ませておきましょう。
また留学先で車を運転したい人は、国際運転免許証を申請するのもおすすめです。渡航先によっては対応していなかったり、日本の運転免許証で運転できたりする可能性もあるため、気になる方は領事館の案内を確認してみましょう。
今回は留学する際に気になる住民票・保険料などの支払いについて説明しました。
住民票を抜くと支払いが免除になるメリットがある一方、無保険になるという面もあります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、不安を解消したうえで留学に臨みましょう!
なお、住民票の手続き以外に留学で準備すべきことなどは、LINEで相談を受け付けているので、留学先の手配をはじめ具体的に準備を進めたい方はお気軽にご相談ください。
語学留学を具体的に検討するなら、まずは留学を実現するまでの流れを確認しましょう!留学準備では大まかに5つのステップがあります。
留学を思い立ったら、まずは渡航時期、期間、渡航先の目星をつけてみてください。
いつ、どれほどの期間、どんな国で留学するかイメージが持てると具体的な計画を立てやすくなります。
留学へ行くとなると考えることはたくさんあります。
自分で調べてみたものの、ネット上ではさまざまな意見が発信されていて、何を信じていいかわからないまま、検討途中で止まってしまう留学生は多くいます。その疑問、無理に一人で解決せずに留学カウンセラーに相談してみませんか?
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留学に対するご質問から、留学プランづくり、事前の英語学習、留学中のサポートまで対応しておりますので、ご相談お待ちしております。
※1...日本年金機構「遺族年金」(参照日:2022-7-28)
※2...日本年金機構「障害年金」(参照日:2022-7-28)
※3...東京都北区「転入・転出など住所変更や氏名変更等の住民異動届出」(参照日:2022-7-22)
※4...たびレジ「外務省情報提供サービス」(参照日:2022-7-28)
※5...外務省「オンライン在留届」(参照日:2022-7-28)
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