いざ英語でメールを書こうと思っても、「どのように書けばいいのか分からない」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。英語でのメールが書きにくいと思う原因の一つが、書き出しが決まらないことにあります。
そこで今回は、英語のメールに抵抗感をなくせるように、「書き出し」の文例をまとめました。すぐに使えるように宛先、挨拶、名乗り、要旨の順に記述する各パートの書き出しと、返答のための書き出し表現をビジネス表現を中心にご紹介します。ぜひ実践で使ってみてください。
なお、書き出し以外の英語でのメールの書き方は、下の記事でまとまっているので、気になる方はあわせて参考にしてみてください。
【例文付き】これで完璧!誰でもできる英語メールの書き方とポイント
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英文メールは、宛先、挨拶、名乗りまたは自己紹介(必要な場合)、そして要旨の順で記載します。この順番を守っておけば、読み手にとっても読みやすいメールとなります。
書き出しの中でも最初の部分である、宛先と挨拶文はセットと考えてよいでしょう。早速、具体的な流れを例文で紹介します。
Dear Mr.Jones,
I hope this message finds you well.
(ジョーンズ様、ご清祥のことと存じます。)
Hi Team,
Hope everything is well with you.
(チームの皆さん、お元気ですか?)
その他、宛先には次のような表現があります。
・Dear Sirs and Madames,
・To whom it may concern,
・Hello,
・Hi,
また、挨拶には次のような表現もあります。
・Hope all is well with you. (お元気ですか?)
・Hope you have enjoyed a lovely weekend. (週末は楽しく過ごされたことでしょう。)
・Trust you are well. (お元気でいらっしゃることと思います。)
以下では宛先の使い分け方法もまとめていますので、参考にしてみてください。
日本語でも英語でも、メールでの宛先と挨拶の書き方で問題となるのは「丁寧で礼儀正しい印象を与えられるか」「簡潔で分かりやすい表現を使っているか」だと思います。
そのためにに定形的な表現を使ってメールを書き出すのは、日本語も英語も同じです。一方、英文メールと日本語メールでは「礼儀正しい印象を与える」ための方法が異なります。
日本語の場合、敬語やビジネス的表現を使って、丁寧さ・礼儀正しさを表しますよね。その結果、1文が長めになることも珍しくありません。
これに対して英文メールの場合は「お礼の一言」を伝えることで丁寧さ・礼儀正しさを表現します。1文こそ簡潔・明瞭なものの、英文メールの方が表現の工夫のしどころがあると言えるでしょう。
具体的には以下のようなお礼の文を挨拶の後に一言加えると効果的です。
・Thank you for your time at the last meeting.
(この前の会議ではお時間をいただき、ありがとうございました。)
・Thank you for your kind instruction in the previous message.
(この前のメールではご丁寧に説明をいただき、ありがとうございました。)
定型文に加え、文脈に応じお礼を挨拶に加えることにより、自然でこなれた表現と受け取られます。その上、礼儀を失していないと受け取られ好印象です。
宛先と挨拶の組み合わせを以下の通り表にまとめてみました。
宛先 | 表現 | 記載例 | 表現の使い分け |
---|---|---|---|
特定の個人 | ・Dear Mr. /Ms. 〇〇 ・Hello/Hi 〇〇 |
・Dear Mr. Johnson ・Hello Mr. Johnson |
・Dear Mr. /Ms. 〇〇 一般的に使う機会の多いフォーマル表現。ラストネームを使う。 ・Hello/Hi〇〇 友人などに使うカジュアルな表現。ファーストネームのみを使う。 |
特定の部署、役職 | ・Dear 〇〇 | ・Dear Customer Service, ・Dear HR Manager, |
相手の名前は分かっていないが、部署や役職名は分かっているときに使うフォーマルな表現。 |
担当者不明 | ・To whom it may concern, ・Dear Sir or Madam, |
・To whom it may concern, ・Dear Sir or Madam, |
・To whom it may concern, 面識のない会社や高い役職の人が受け取ることを想定する場合に使うフォーマルな表現。 "To whom it may concern,"よりはカジュアルな表現。 |
宛先を伝えない | ・Hello, ・Good morning, |
・Hello, ・Good morning/Good afternoon/Good evening, |
相手の名前が分からっていないときに使うカジュアルな表現。 |
まず、宛先に使う表現は、相手の名前を把握しているかどうかで使い分けます。名前が分かっている場合、基本的にはDearから始めます。
また、目上の人にはDearを使うのが一般的です。これに対して、同格の相手やよく知っている相手には、HelloまたはHiでも問題はありません。
相手の名前が分かっていない場合、カジュアルな表現を使うのはできるだけ避けた方が無難です。ただし、カスタマーサポートなどに連絡する場合は、Hi 、Hello、Good morningなどで十分な場合があります。
ホスピタリティの世界では、"Greetings from XXX!(XXX:場所やホテルの名前)"という書き出しのメールも目にしますが、オフィス英語としてはあまり目にしません。
挨拶文については、フォーマルな文章や目上の人へのメールでは、"I hope ……"と丁寧に記載するのがよいでしょう。もう少しカジュアルに書きたい時は、主語を落とすこともあります。
挨拶の後は、必要に応じてお礼の一文を書きましょう。さらに、久しぶりにメールをする相手方などに使える便利な挨拶表現として、"It has been a while since I have heard from you/since the last time. (前回からご無沙汰しております。)"があります。これも適宜使ってみるとよいでしょう。
日本語のメールと少々異なり、名乗り表現は、基本的に自己紹介のために行います。署名などで部署名等を明記している場合は、簡略にしても構いません。
・Please let me introduce myself. I am Yumi Komada of Company XX, working in the Finance Department.
(自己紹介をさせてください。XX会社の財務部勤務、駒田由美と申します。)
・I would like to introduce myself. My name is Masao Yamaguchi, working in the GA Department at the Tokyo office.
(東京オフィス、総務部の山口正夫と言います。)
他にも自己紹介の表現には、以下のようなものがあります。
・Let me introduce myself. My name is……
・I would like to introduce myself. My name is……
どちらも「自己紹介をさせてください」と断ってから名乗る表現です。
日本語のメールなら、「お世話になっております。XX社のYY部山田です。」 などと名乗った方がビジネスマナー上礼儀正しいとされています。
しかし、英文メールでは、名乗り表現を使うのは基本的に「はじめまして」のとき、つまり自己紹介時のみです。"My name is"や"I am "などと何度かやり取りしている相手に対して書くのはあまり目にしません。
また、「お世話になっております」と始めて、暗黙のうちにビジネスにおける会社同士の関係性や部署同士の関係性を示して相手を安心させる、ということが日本語のメールではよくあります。
しかし、英文メールでは、「お世話になっております」といった言い回しはありません。自分が相手とどのような関わりがあるのか示したいときには、自己紹介の時に共通の知人を挙げるとよいでしょう。
例えば以下は、「部長の清水さんをご存知の方に、アシスタントの駒田さんから連絡する」といったシチュエーションを想定した自己紹介です。
・Please let me introduce myself. My name is Yumi Komada, working with Mr. Shimizu, our Department head, and assisting him as an assistant.
(自己紹介をさせてください。私は清水部長のアシスタントをしております駒田由美です。)
顔が見えない・相手をよく知らないところでメールを受け取る、というのは相手に不安を与えるものです。そこで、共通に知っている人を挙げれば、どこの誰だか見当が付きやすく、相手を安心させることができます。
このように、相手との距離や、組織での役割のことを考えて、自己紹介ができるとなおよいでしょう。
相手方との関係を考えて、名乗り表現を整理すると次の通りです。
名乗りの表現 | |
---|---|
目上の相手【フォーマル】 | ・I would like to introduce myself. My name is……/I am…… ・Please let me introduce myself. My name is……/I am…… |
同格の相手【カジュアル】 | ・Let me introduce myself. I am ……/My name is…… ・I am ……/My name is …… |
ビジネスでの自己紹介は、フォーマルな印象がある上2つの表現を使うのが一般的です。"Let me introduce myself ……"はややカジュアルな印象がありますが、北米英語ではビジネスの場面でもよく使います。
また"My name is"と"I am" はどちらを使っても問題ありませんが、"My name is" の方が少しフォーマルでビジネス向きなニュアンスがあります。なお、ビジネスの場面では苗字まで名乗るのが一般的です。名前(ファーストネーム)だけだとカジュアルな印象を与えます。
自己紹介に使える代表的な部署名の表現も簡単にまとめましたので、参考にしてみてください。
<部署名の例>
・営業部:Sales Department
・総務部:GA Department
・財務/経理部:Finance / Accounting Department
・人事部:Human Resources Department
・業務部:Operation Department
そして次に、最も大切な要旨を伝える表現を見ていきましょう。「なぜメールを送ったのか」「相手に何を求めているのか」を明確に記載することが、メール内容を分かりやすくするポイントです。
たとえば、注文者へ注文確認メールを送る場合、注文者は今自分のした注文がどうなっているか、今の状況が分かるようにしてほしいものです。下のメールの文章は、that 以下で、今の状況を簡潔に示しています。
・We are happy to inform you that your order is completed and now processed for delivery.
(ご注文が完了し、商品は配達に向けて準備中です。)
また、質問文をいくつも並べると分かりにくくなってしまいます。そこで以下のように「何点か質問するので答えてください」と先に述べることで、自分が相手に何を望んでいるのかが伝わりやすくなります。
・Could you mind answering the following questions?
(以下の質問にお答えいただけますか?)
この他にも、依頼やお願いをする、質問をする、確認を求めるためにメールをした場合、以下のように要旨を伝える一文を記載すると、何のためのメールかグッと分かりやすくなります。
・Would you answer the questions?
(質問にお答えいただけますか?)
・Please let me ask a favor of you.
(お願いがあります。)
・Could you send me the certificate?
(私に証明書をお送りいただけますか?)
・Please see the attached and confirm the draft.
(添付のドラフトをご確認ください。)
記載する順番としては、宛先・挨拶・自己紹介(あれば)の次に、すぐメールの用件の要旨を伝えます。英文メールは、書くことの順番によって読みやすさが大きく異なるので、この順番を守りましょう。
日本語も英語も、ビジネスメールなら簡潔で明瞭に要旨を伝えることが大切です。
相手にしてほしいことをはっきり伝えるために、特に英語の場合はできるだけ「結論ファースト」「誰にでも分かりやすい形式」にするように注意しましょう。
これは私の失敗談なのですが、英文メール初心者の頃、自分の書き方のせいで先方から何度も確認の質問を受けたことがありました。それ以来、行事を知らせる場合などは、箇条書き表現を使い項目を明確にして書くようにしています。
このように工夫することで、内容が分かりやすくなりますよ。
例)
On quarterly end sales meeting (四半期末のミーティングについて)
・Date and time:(日時)
・Venue and accommodation:(場所および宿泊)
・Participants:(参加者)
・Note:(留意点など)
要旨を伝える表現を目的別に整理してみました。
<お知らせ>
・I would like to inform you that……(……をお知らせいたします。)
・ Let me inform you that…… (……をお知らせいたします。)
・I am sorry to inform you that ……(申し訳ありませんが、……をお知らせいたします。)
<質問をする>
・I would like to ask you about……
・May I ask you about……?
<説明を求める>
・Could you clarify about ……/if……?
(……について、ご説明をいただけますか?)
・Your explanation of the following points would be much appreciated.
(以下の点につきまして、ご説明をいただけますと大変助かります。)
<お願いをする>
・Would you mind telling me your thoughts on this?
(この点に関するお考えをお聞かせいただけますでしょうか。 )
・I would like to ask for your help/support:
(どうぞお力をお貸しください。)
・Please confirm the payment made on 25 July.
(25日の支払について、確認をお願いします。)
ビジネスの場面では、説明を求めたり、確認を求めたりすることが非常に多いと思います。目上や取引先とのメールでは、以下のように"Could you ……?"や"Would you ……?"といった相手にお願いをする際に使う丁寧な表現が多用されます。
・Could you clarify if you are available on 14 July at 3 PM?
(ご確認ですが、7月14日の3時は出席可能でしょうか。 )
Clarification / clarify (説明/説明する)は、不明を明らかにするという意味でビジネスでよく使われる用語です。"Could you clarify it ?(ご説明をお願いできますか。) "といった手短に説明を求める表現は、口語・メール双方で多用されています。
なお、お願いをする、確認を求めるなどの際には、可能な限り「何時までに」と期間を指定してお願いすることを心がけましょう。
特に海外とのビジネスでは確実に返信・アクションが欲しい場合、いつまでにレスポンスが必要か時間を指定する方が無難です。どれくらいの緊急性があるものなのかも伝わりますよ。
返信メールの書き方は、先方からメッセージをもらっていることが前提となりますので、まずはメールに対するお礼から入りましょう。
・Thank you so much for your message/invitation.
(メール/招待をありがとうございました。)
そのうえで、自分が確認したことや、お願いに対しての結論を簡潔に書きます。あなたのお願いに答えましたよ、という「結論」を先に記載するのです。これも「結論ファースト」と思っておくとよいでしょう。
・I have duly received and confirmed the attachment.
(添付を確かに拝受いたしました。)
・I will be glad to attend the next meeting in Tokyo.
(東京の次回ミーティングに喜んで参加いたします。)
相手の依頼・お願いを断る、という難しい場合もあると思いますが、そういう場合には丁寧にお断りの意思を伝えます。
・Our apology: unfortunately, the product you ordered is currently out of stock.
(申し訳ありませんが、ご注文の品物は欠品となってしまっております。)
次に日本語メールと英文メールの違いについて見ていきましょう。
返信の場合にも、丁寧で礼儀正しいこと、簡潔で明瞭であることは非常に重要です。その上で返信メールを作成する際は、返信のタイミングによって書き出しを調整しましょう。
もしもタイムリーに返信ができる場合は「メールをありがとうございました」といった書き出しでよいと思います。しかし、もしメールを貰ってから少し時間が経ってしまった場合、相手は何時のメールか、忘れていることもあるかもしれません。
その際は、メールの日付に言及し、返信が遅くなったことへ一言詫びる書き方がベターです。
<例>
Thank you very much for your detailed message on 27 November. My apology for the late response; however, could you clarify the following two points?
(11月27日のメールにて、ご丁寧な説明をいただき、ありがとうございました。返信が遅くなり、申し訳ありません。恐れ入りますが、以下の2点についてご確認をお願いできますか?)
時は金なり、はビジネスの鉄則の1つです。しかし、海外取引の場合はお互いが英語が得意で早急に返信できるとは限りませんよね。このようにタイムリーに返信できない場合は、一言添えると礼儀正しさが伝わりますよ。
返答の書き出しは、目的別に見ると3種類に分類できます。さらに場面に応じた表現をご紹介すると、次の通りです。
<お礼>
・Thank you very much for your message/invitation.
(メール/ご招待をありがとうございました。)
・I appreciate your explanation in the previous e-mail.
(前回のメールでのご説明に感謝いたします。)
<相手にお詫びをする>
・Sorry for my late reply.
(返事が遅くなり、申し訳ございません。)
・My apology that I have not responded promptly.
(すぐにお返事ができず、申し訳ございませんでした。)
・First of all, please accept our sincere apology for your inconvenience.
(最初に、この度はご不便をおかけして、大変申し訳ございませんでした)
<相手の依頼に応える>
・I have confirmed and duly received the attachment/payment.
(添付の書類/支払を確認いたしました。)
・I am sending your requested document as attached.
(添付の通り、ご依頼の書面をお送りします。)
<質問に答える>
・Please see the answer to your questions below:
(以下、ご質問に回答しましたので、ご確認ください。)
・Please see the confirmation below.
(以下の通り、確認しました)
・Would you confirm my answer below?
(以下の質問への回答をご確認ください。)
<相手の依頼を断る>
・Please excuse me for my absence from the next meeting.
(次回のミーティングの欠席をお許しください。)
・Please accept our sincere apology for declining the invitation.
(ご招待をお断りせざるを得ず、大変申し訳ありません。)
・Our apology, but the document you have requested us is not available.
(申し訳ありませんが、ご依頼の書類は見当たりません。)
お詫びの場合には、会社や部署としてその依頼に答えられないのか、または個人的に予定が合わないなどを見極めたうえでMy/IまたはOur/We を使い分けて書きましょう。
英文メールの宛先・挨拶・要旨、そして返答のそれぞれ書き出し部分を相手方や目的などに分類し、使える表現をまとめました。
ここでご紹介した通り、簡潔・明瞭な表現を使い、順序をパターン化して臨めば英文メールも怖くありません。これらの文例を見ながら、自分の工夫を加え、ぜひ英文メールを攻略してください。
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