現地で就労ができ、また約1年の長期滞在も可能なことから人気のワーキングホリデービザ。しかし、海外に長期滞在するには十分な資金とお金が必要です。
「ワーキングホリデーに行きたいけれど時間やお金を確保するのは難しい……」「1年きっちり滞在しないとダメなの?」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、ワーキングホリデーでおすすめの滞在期間について解説します。
基本的には1年の滞在をおすすめしますが、事情があって半年など短期間での滞在しかできない場合もありますよね。そのような方に向けて短期滞在の場合のメリット・デメリットもまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
なお、ワーキングホリデーでできることや費用、後悔しないためのポイントなどは下のページでまとめているので、具体的な検討を進めたい方はチェックしてみてください。
ワーキングホリデー
※記事内ではオーストラリアドルをAUD、カナダドルをCADと表記します。為替レートには2022年12月9日時点での情報を参照し、1AUD=95円、1CAD=102円で計算しています。
[目次]
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日本におけるワーキングホリデー(ワーキングホリデー)は1980年にオーストラリアとの間で開始され、以来徐々に協定国を増やしています。
それほど人気のビザですが、その秘密は滞在できる期間の長さにあります。では、ワーキングホリデービザではどれくらいの期間を現地で過ごせるのか見ていきましょう。
渡航先の国や条件、申請者の状況によって若干の違いがありますが、基本的にワーキングホリデーでは約1年間その国に滞在できます。
カナダやオーストラリア、韓国、ドイツなどはどれも滞在期間を1年としており、ワーキングホリデー中は就学や就労など自由に生活することが可能です。
就労が制限されている学生ビザと異なり、「現地で働ける」のはワーキングホリデービザの大きな特徴です。ちなみに過ごし方は本当に自由なため、就労も就学もせず観光だけすることもできますよ。
このようにワーキングホリデービザは自由度が高く、長期にわたり海外生活を送れるのが魅力です。そのため就学も就労も体験したいと思う人が多く、申請者のほとんどがビザの有効期限である1年間しっかりと滞在します。
ビザの有効期限は取得した日から1年間ではなく、入国日から1年間です。取得日から実際に渡航するまでには1年間の猶予があり、その期間であればいつ出発しても問題ありません。
しかし自由な分「入国日が自由なら出国日もいつでも良いのかな」といった疑問も浮かびますよね。または1年の有効期限内は期限いっぱいまでキッチリ滞在しないといけないのかなといった疑問も感じるのではないでしょうか。
ここでは滞在すべき期間について解説します。
結論からいうと、1年未満の滞在も可能です。滞在期間について設けられているルールは「有効期限より前にその国から出国すること」だけなので、短い分には問題になりません。
極端な話、入国して次の日にすぐに出国しても制度上は差し支えないのです。ちなみに、ビザの有効期限内であれば再度入国することもできます。
ワーキングホリデービザは有効期限内であれば自由に出入国ができる特別なビザですが、取得できるのは1ヶ国につき1回までです。
例えばオーストラリアのワーキングホリデービザを取得し1年間滞在したなら、次にオーストラリアに行くときはワーキングホリデー以外のビザを取得しなければなりません。もし、再びワーキングホリデービザを取得したいなら他の国を選ぶ必要があります。
各国につき生涯1回しか取れないことを考えると、短期滞在にしてしまうのは少しもったいないかもしれません。1年間まるまる滞在した方が、ビザを有効活用できます。
1年間滞在する人が多いワーキングホリデーですが、短期滞在にもメリットはあります。そこで、3ヶ月~半年の短期滞在のメリットを見ていきましょう。
現地での滞在が短くなればなるほど生活費や家賃などに使うお金が少なくなるため、総合的な費用が安く抑えられます。
例えばオーストラリアでワーキングホリデーをするとして、1年間と半年間の生活費の差を見てみましょう。
家賃は1週間200AUD(19,000円)、食費は1ヶ月180AUD(17,100円)で計算しています。これは、実際に私がオーストラリアのメルボルンでワーキングホリデーをしていたときの平均値です。
なお滞在していたのはメルボルンの中心部からトラム(路面電車)で15分ほどの地域で、友人3人とシェアハウス生活をしていました。基本的に自炊で外食はほとんどせず、多くても月に2回程度でした。
<1年間>
<半年間>
1年間の場合、生活費だけで約120万円かかるのに対し、半年ならその半分の60万円ほどで済みます。
実際には交際費や交通費なども必要になるので、上記の金額以上の費用がかかります。ただやはり期間が長くなればなるほど出費が増えるので、費用面では短期滞在の方がメリットが大きいです。
1年間日本を離れるとなると、仕事を辞めたり大学を休学したりしなければなりません。しかし、短期滞在ならその必要がなくなることもあります。
例えば学生の場合、3ヶ月程度の滞在なら長期休みを利用すれば休学せずにワーキングホリデーをすることも可能です。社会人であっても、数ヶ月程度なら休職制度を活用し、退職せずに海外渡航を実現できるかもしれません。
ワーキングホリデーの魅力は海外に長期滞在できることですが、さまざまな理由で日本を長く離れられない人もいると思います。そのネックが解消され、ワーキングホリデーに挑戦しやすくなる点は短期滞在ならではです。
短期滞在なら中だるみが発生せず、留学期間中は集中して過ごせるのもメリットです。
長く同じ場所にいれば、海外といえども徐々にその生活に慣れてきますよね。
初めは向上心を高く持って勉強や仕事に励んでいても、慣れると勉強に集中できなかったりダラダラと過ごしてしまったり、モチベーションが下がりやすくなるのは珍しいことではありません。
その結果、日々を何となく過ごしてしまい、就活でアピールできるエピソードや成果もなく1年間を終えてしまう人もいます。
短期滞在なら時間が限られているため、目標や現地でやりたいことに集中できます。1日1日を濃厚に過ごすことで長期滞在の人と同じくらい、もしくはそれ以上の経験を得ることも可能です。
短期滞在にはメリットがあれば、もちろんデメリットもあります。次は短期滞在の懸念点を見ていきましょう。
短期滞在となると働ける期間も短くなり、職探しをしても採用される可能性が低いです。
アルバイトの求人は長期間で就労可能な人を求めていることが多く、働ける期間が短いと面接時に不利になります。
実際に私がオーストラリアでワーキングホリデーをしていたときも、アルバイトの面接時に「働ける期間」は細かく確認されました。
私は一時帰国の予定があったため、総合的に見れば長く働けるとはいえ、働けない期間がある分それぞれの期間が短いことを伝えると「それでは条件に合わない」と一蹴されてしまったこともあります。
1週間程度の一時帰国が終わればまた継続して働けると伝えても、結局採用に至らず、仕事探しに苦労しました。
このように、現地での職探しはとてもシビアです。現地で就労できることがワーキングホリデーの魅力ですが、短期滞在となると雇う側も再度求人を出したり面談をしたりする手間が発生するため、積極的に採用はされません。
短期滞在では働くことが難しく、ワーキングホリデーの醍醐味を十分に享受できない可能性が高いです。
短期滞在者の就労が難しい理由に、英語力が十分に身に付きにくいこともあります。
現地で働く場合、当然ながら日常会話に困らない程度の英語力が求められます。職種や仕事の内容によってはより細かなコミュニケーションが必要になることもあり、一定以上の英語力がないとなかなか採用されません。
長期滞在する人の場合、ほとんどの人が最初の2~3ヶ月は語学学校に通い、英語力の向上を目指します。そこで必要な英語力を身に付けた後に仕事探しをするのが一般的な流れであり、英語力も身についている分採用の可能性が高まります。
短期滞在の場合は語学学校に通う時間が取れなかったり、または語学学校に行くだけで滞在期間が終わってしまったりすることがあります。もともとの英語力が高くない場合、短期のワーキングホリデーだと英語力が足りないゆえに多様な経験を積むのは難しいでしょう。
以下の記事では、ワーキングホリデー以外の短期留学方法を紹介しています。半年間でできることや目安の留学費用も解説していますので、どうしても1年や半年の長期滞在が難しい人は参考にしてみてください。
半年の留学は成果がある?メリットや注意点、計画に向けて必要なことを解説
ワーキングホリデーの有効期限は原則1年間ですが、実は国によってはそれ以上の滞在ができることもあります。延長するメリットや条件などを見ていきましょう。
2022年時点では、日本は29の国及び地域とワーキングホリデー協定を結んでいます(※1)。
渡航先によっては、一定の条件を満たすことでビザの有効期限を1~2年伸ばすことが可能です。
1年を超える長期滞在となれば、英語力に不安のある人でも十分に時間をとって英語力の向上を目指せます。
また働きながら、旅行や観光などにも時間を十分に使うことができるのもメリットです。
1年以上の滞在が可能な国、及びその条件は下記の通りです。
国 | 条件 |
---|---|
オーストラリア | ファームジョブなど、決められた分野の仕事に3ヶ月以上就労すること(※2) |
ニュージーランド | フルーツのピッキングなど、決められた仕事に3ヶ月以上就労すること(※3) |
カナダ | 政府指定の機関を通じて申請を行うこと(※4) |
イギリス | 2年間滞在可能なビザが発行される(※5) |
オーストラリアは2年滞在に延長できるセカンドビザに加えサードビザがあり、最長で3年滞在可能。
どちらもワーキングホリデー中に一定期間、指定分野の仕事をすることでビザを延長できます。
なお、セカンドビザは3ヶ月の就労期間で取得できる一方で、サードビザの場合は6ヶ月以上働かなくてはいけません(※6)。
カナダの場合、厳密にいうとワーキングホリデービザを延長するのではなく、Recognized Organization visa(ROビザ)というビザを新たに取得します。
政府が実施するInternational Experience Canada(IEC)というプログラムの一環で、現地で就労できるビザが発給されます。ワーキングホリデーと同様カナダの好きな場所で働くことができ、1年間滞在可能です。
イギリスのワーキングホリデービザは「Youth Mobility Scheme(YMS) Visa」と言います。他国のワーキングホリデービザが”holiday”(=休暇)を目的としているのに対し、YMSは就労を目的としたビザで、名称や目的は違いますが、制度としてはワーキングホリデーと同等のものです。
費用面の問題から、滞在期間を悩んでいる人は少なくないかと思います。滞在期間が長くなるほどお金も必要なため、当然の悩みと言えます。
ここでは、滞在期間別におおよその費用を記しているので、検討する際に参考にしてみてください。なお滞在先はカナダで、語学学校に通わないと仮定しての費用概算です。
食費 | 109,000円 |
---|---|
家賃 | 332,000円 |
通知費 | 12,000円 |
日用品代 | 60,000円 |
交際費・観光代 | 180,000円 |
3ヶ月滞在する場合、費用の総額は693,000円です。実際には住む場所や食生活などによって費用は左右されますが、おおよその目安にはなるでしょう。
現地で到着後すぐに仕事が見つかった場合、必ずしも上記の金額を満額貯金していく必要はありません。
例えば週に5日、1日6時間働くとすると1週間で30時間働けます。
カナダは州によって最低賃金が異なり、一番低いところで考えると1時間あたり15CAD(1,530円)です(※7)。
その場合、1週間に45,900円、3ヶ月間働き続ければ約55万円は現地で工面できる計算になります。
もちろん渡航自体にかかる費用は他にもあるため、一概にこの金額だけでワーキングホリデーができる訳ではありません。
しかし仕事が見つかったなら、自分で工面すべき金額は15万円ほど。期間が短いとその分必要費用も少なくなります。
食費 | 218,000円 |
---|---|
家賃 | 663,000円 |
通知費 | 24,000円 |
日用品代 | 120,000円 |
交際費・観光代 | 360,000円 |
半年の場合は平均して139万円ほど必要になります。先ほど挙げた条件で半年間働いた場合、約110万円稼げることになり、期間が長い分現地の生活費として賄える金額が大きくなります。
食費 | 437,000円 |
---|---|
家賃 | 1,326,000円 |
通知費 | 48,000円 |
日用品代 | 240,000円 |
交際費・観光代 | 720,000円 |
1年間の場合、約277万円が目安となります。住む期間が長くなるとどうしても費用は上がってしまいますが、その分アルバイトができる期間も長くなります。
1年間働けば約220万円のお給料をもらうことができ、生活費は57万円ほどあればある程度の生活が担保されます。
しかし、実際には渡航後すぐに働き始めるのは難しいですよね。住む場所を決めたり仕事探しをしたりと働けない期間があるので、期間にかかわらず資金は余裕をもって用意しておきましょう。
また、現地での過ごし方によっても収支が変わります。自分が現地で何をしたいのかをよく検討することで、予算に合った滞在期間も分かります。
短期滞在も長期滞在も可能なワーキングホリデー。自分のやりたいことや置かれている状況に合わせて、適切な期間を選びたいですよね。
最後に、ワーキングホリデー生活をより充実させるためのおすすめの期間と、自分に合った滞在期間を決めるポイントをご紹介します。
基本的にはビザの有効期限である1年間の滞在がおすすめです。
1年間あれば語学学校へ行ったり、アルバイトをしたりといったワーキングホリデーならではの経験を一通り楽しめます。旅行する時間も十分に取れるので、限られた時間の中であっても、満足感の高いワーキングホリデーが実現できるはずです。
しかし人によっては仕事や学業などの事情から、1年間日本を離れるのが難しい人もいるでしょう。
長期滞在が難しい人は、次に挙げるポイントを自身の置かれている状況と照らし合わせながらワーキングホリデー期間を決めてみてください。
まず考えるべきは「最長でどれくらい日本を離れられるのか」ということです。
前述のとおり、仕事や学校の予定によっては数ヶ月から半年が滞在できる最大の期間であることも考えられますが、滞在期間が短いと語学学校に通う時間を短縮せざるを得ません。
しかし現地で仕事を見つけられるかどうかは英語力の有無によって決まり、場合によっては語学学校に数ヶ月通った方が良いこともあります。
ご自身の予定はもちろん「自分の英語力がどれくらいのレベルなのか」「自分が渡航できる最大期間内に働けるレベルまで英語力を伸ばした上で就労できそうか」をまず確認する必要があります。
それでは、以下の2つのパターンからおすすめの滞在期間を紹介します。
英語力がそれほど高くないが時間に余裕がある人は、長期滞在がおすすめです。
長期のメリットは語学学校に通い、じっくり英語の勉強ができること。やはり英語力がないと海外生活では苦労するシーンが多くなります。
最初の3~4ヶ月は英語力の向上に集中すれば、そのあとの期間でアルバイトが探しやすくなったりネイティブと働く仕事に就けたりと、ワーキングホリデー生活を思う存分楽しめます。
語学学校に通う期間と働く期間を合わせて半年~1年あれば、ワーキングホリデーならではの楽しみ方ができるでしょう。
すでに一定以上の英語力がある人は、語学学校に通わなくてもアルバイトを始められる可能性があります。
現地に行ってすぐ就労、そのあと観光や旅行に行くという流れでワーキングホリデーを楽しむこともできるでしょう。半年程度の滞在でもさまざまな経験を積めるはずです。
どうしても時間が取れない人の場合は、3ヶ月など半年未満のワーキングホリデーも可能ではあります。
しかし、3ヶ月と短い期間では現地での生活に馴染むだけでいっぱいいっぱいになってしまいます。ワーキングホリデーらしい経験を積むのは難しいため、敢えてワーキングホリデービザを使用して留学するのはおすすめしません。
できるだけ長く滞在する、または時間を確保できるタイミングで留学するなど、可能な限り時間を取ってワーキングホリデーを実行することをおすすめします。
ワーキングホリデーについてもっと知りたい、具体的なプランを立てていきたいという人は下記の記事もぜひ参考にしてみてください。
ワーキングホリデーの振り返りまとめ!後悔しないために必要なこととは
ワーキングホリデー生活の実態とは?スケジュール例や必要な準備を徹底解説
ワーキングホリデービザは海外に長期滞在が可能、加えて現地で働くこともできるビザです。
有効期限内であれば出入国が自由にでき、期限前に帰国することも可能。時間に余裕がなく長期滞在ができない人でも有効活用できるので、少しでも海外経験を積みたい人におすすめです。
しかし、滞在期間があまりに短すぎるとワーキングホリデーならではの経験をするのが難しく、「ただ行っただけ」で終わってしまうこともあります。
現地での就労や観光、旅行などワーキングホリデーらしいことを楽しみたいなら少なくとも1年程度の滞在がおすすめです。自身の予算や英語力、最大で滞在できる期間などを考慮しながら、自分なりのワーキングホリデーを計画してみてくださいね。
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※1...外務省「ワーキング・ホリデー制度」(参照日:2022-12-09)
※2..Australian Goverment「Second Woking Holiday Visa」(参照日:2022-12-09)
※3...New Zealand Immigration「Information about Working Holiday Extension Work Visa」(参照日:2022-12-09)
※4...Goverment of Canada「International Experience」(参照日:2022-12-09)
※5...GOV.UK「Youth Mobility Scheme visa」(参照日:2022-12-09)
※6...Australian Goverment「Third Working Holiday Visa」(参照日:2022-12-09)
※7...Government of Canada「Pay and minimum wage,deductions, and wage recovery」(参照日:2022-12-09)
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