世界でも国土面積3位を誇る広大なアメリカ。広大な国内での移動は主に車が利用されています。しかし州から州へ、特に大陸を横断するとなると車での移動は困難です。
そこで活用したいのが鉄道です。鉄道は飛行機に比べ安価で移動でき、多くのアメリカ人に使われている移動手段です。
今回はアメリカの鉄道について詳しく紹介します。これからアメリカに行く予定のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
なお、アメリカの観光情報については下のページでまとめているので、おすすめの観光スポットや人気の料理などを知りたい方はチェックしてみてください。
アメリカのおすすめ観光スポットやイベント、グルメなどを紹介
※記事内ではアメリカドルをUSDと表記し、為替レートには2023年3月30日時点での情報を参照し、1USD=134円で計算しています。
[目次]
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アメリカで広く普及している移動手段は車です。そのため、日本のように鉄道が全土に広がっているわけではありません。
しかし、車利用者が多いことにより、大都市では通学や通勤のラッシュアワー時に酷い渋滞が発生します。渋滞を心配しなくても良い公共交通機関である電車は、重要な移動手段としてアメリカの多くの人に利用されています。
また、鉄道は飛行機と比べ移動時間はかかってしまうものの、車内での交流や車窓の風景を楽しみたいという方に人気の移動手段です。
そんな便利な鉄道には、移動する距離によって長距離列車と中・短距離列車の2種類に分けられます。
長距離列車はシカゴを拠点に、アメリカのほぼ全主要都市へと東西南北に広がる路線です。主要都市同士は結ばれていますが細部までは網羅していません。長距離列車が走っていない区間への移動は、後述する短・中距離列車を活用しましょう。
目的地の都市に短距離列車がない場合は、バスやレンタカーなど他の交通手段に頼ることになります。
下記に、アメリカで活躍する長距離列車の中でも、需要が高い路線名をご紹介します。
シルバー・メテオ シルバー・スター | マイアミからニューヨークを結ぶ。 |
---|---|
サウスウエストチーフ | シカゴからロサンゼルスまでを結ぶ。 |
カリフォルニア・ゼファー | シカゴからフランシスコまでを結ぶ。 |
エンパイア・ビルダー | シカゴからシアトルを結ぶ。 |
クレセント | ニューヨークからニューオーリンズまでを結ぶ。 |
短距離列車とは、日本でいう私鉄電車に近い存在です。始発と終点の距離が長距離列車に比べて短かく、通勤や近距離での旅行などに活用されます。
アメリカでは短距離列車は主に人口密度の高い大都市にのみ整備されておらず、全く旅客列車がない土地もあります。
一方で、ニューヨークやサンフランシスコ、ロサンゼルス、ワシントンD.C.など車の渋滞が酷い大都市付近では、都市と郊外を結ぶ通勤手段として、短距離・中距離列車が利用されることも少なくありません。
短・中距離列車は長距離列車に比べて料金が低価格です。鉄道によっては乗車距離に関わらず一律同額となるサービスを提供しているケースもあります。また、7日パス、30日パスなど利用頻度の高い人がお得に利用できるサービスも豊富です。
アメリカの鉄道の歴史は深く、始まりは1800年代まで遡ります。
1800年代初頭、アメリカの工業は発展と進化の最中でした。それに伴い、大規模な荷物や製品を長距離に渡って運び出す必要がありました。
当時の人々を助け、産業を支えたのが蒸気機関車の存在です。
1800年代、主流の移動手段だった馬よりも手軽に長距離を移動できる蒸気機関車は、アメリカを発展させる礎(いしずえ)となりました。産業・商業製品だけでなく、人々の移動手段としても、蒸気機関車は活用されていたそうです。
その後、1827年にはアメリカで最初の鉄道である「ボルチモア アンド オハイオ鉄道(B&O)」が建設されます。B&O鉄道の誕生により、人々はより気軽に長距離の旅行を楽しめるようになりました。
アメリカで唯一、長距離を走り大陸を横断する旅客列車はアムトラックです。シカゴを拠点に東西南北に路線が延び、西海岸から東海岸までを電車で移動することができます。
アムトラックとは、アメリカを代表する長距離列車の運営会社です。アメリカの長距離列車そのものを、アムトラックと呼ぶこともあります。
アムトラックはアメリカ連邦政府が運営を担っており、アメリカ全土を結ぶ列車を運行しています。アムトラックという名称は、「American」と 「Track」が組み合わさって出来たものです。
アムトラックが抱える長距離列車の路線は数多くあります。そのため「アムトラックに乗る」と一言で言っても、アムトラックのどの路線に乗るかにより、行き先や料金、乗車時間などが変わります。
長距離列車のチケットの購入は、ネットや電話で事前に行う人がほとんどです。
時期によってはすぐにチケットが売り切れることもあるため、アムトラックの長距離列車を利用する場合は、事前に購入しておきましょう。
チケットをネットで購入するには、アムトラックのウェブサイトにて乗車駅と降車駅、出発日と出発時間を入力する必要があります。検索結果が出てきたら、ルートや路線などを確認した上で、購入をしましょう。
料金形態は「Saver」「Value」「Flexible」「Business」「Premium」の4つです。一番安い「Saver」は購入後24時間までは、キャンセルと返金ができます。24時間を過ぎると返金ができないこともあるため、ご注意ください。
電話でチケットを購入する場合は、アムトラック運営会社の電話番号(1-800-872-7245)にかけてください。
基本的な対応はジュリーと呼ばれる自動音声がしてくれます。直接係員と話したい場合には「Agent」と電話越しに言うか、電話の「0」を押すと電話が繋がります。
スマートフォンにアムトラックのモバイルアプリをダウンロードすると、アプリからチケットの予約、購入ができます。
そのほかにも旅行や駅の情報、鉄道の運行状況などの確認も可能です。加えて乗車時はアプリのe-ticketを見せるだけで手続きが済むため、手間が省けます。
とても便利なアプリなため、アメリカで長距離列車を使う際はダウンロードをおすすめします。
上では都市間の移動手段として長距離列車をご紹介しました。しかしアメリカの都市は広大で、都市に着いてからも移動することがほとんどです。
ここではそんな都市内の移動に便利な短・中距離列車について紹介します。
サンフランシスコでは大まかに分けて「カルトレイン」「バート」「ミュニメトロ」の3種類の鉄道が走っています。
各路線はダウンタウンや空港、シリコンバレーなどサンフランシスコの主要エリアを結んでいるため、観光の際の移動手段として重宝するでしょう。
鉄道の利用方法は、使う鉄道会社によって異なります。多くの場合は日本と同様にチケットを購入し、乗車する流れになるため、気軽に利用ができます。
サンフランシスコでの電車の乗り方はこちらの記事をご確認ください。
サンフランシスコの電車の乗り方解説!利用の注意点からお得に乗るコツまであわせてご紹介します
ロサンゼルスの鉄道は本数が多く、ほとんどの路線で10~20分間隔で運行されています。そのため移動手段として非常に便利です。
電車が走る区間も主要なエリアを網羅的に繋いでいるため、観光する際は気軽に使うことができます。
ロサンゼルスのメトロではTapカードと呼ばれるICカードが使われています。駅構内に設置されている自動発券機でカードを購入し、チャージすることで利用できます。
ロサンゼルスでの地下鉄の乗り方はこちらの記事をご確認ください。
ロサンゼルスの地下鉄はどう乗ればいい?乗り方から料金、気になる治安までご紹介
ニューヨークの鉄道は、ニューヨークシティの東西南北を網羅しています。かつては治安の悪さが特徴だったニューヨークの鉄道ですが、近年では安全に乗れるように施策が行われています。そのため、現在では観光客も気軽に利用できるようになりました。
メトロカードを構内で購入し、乗車します。
カードには事前に利用料金が決まっているもの、利用額が選べるものなど様々なものがあります。購入する際は自分の目的に合わせ、チケットを選びましょう。
詳しいチケットの買い方はこちらの記事をご確認ください。
ニューヨーク地下鉄について徹底解説!料金や切符の買い方は?
ボストン・ニューヨーク・ワシントンD.C間を走るのは、先ほど紹介したアムトラックです。アムトラックの路線はアメリカ全土に広がりますが、自社路線はこの3都市間のみとされています。
通常、短距離鉄道のチケットは構内の発券機で購入するのがスタンダードです。しかしアムトラックの小さな駅には発券機・駅員がいないケースもあります。その場合は電車に乗ったあと、乗務員からチケットを直接購入する必要があります。購入は現金のみとなるため、注意しましょう。
インターネットで事前にチケット購入をすると、料金が安くなります。余裕のある方は事前に購入しておくのがおすすめです。
アメリカで鉄道に乗る際の流れは、日本で電車に乗る流れとほとんど変わりません。
しかし乗車までのシミュレーションができていると、現地でのトラブルを回避できます。
ここからはアメリカの電車の乗り方の一連の流れや料金目安について、簡単に解説します。
前売り券を購入した場合
アムトラック等のチケットをネットで予約した場合、駅構内にあるキオスク端末「Quik-Trak」でチケットを印刷します。Eメールアドレスに送られたE-チケットをすでに印刷してある場合は、Quik-Trakを使う必要はありません。
当日券を購入する場合
当日券は利用する鉄道によってチケットの発行形式が異なります。各駅の構内にある自動発券機で画面の案内に従ってチケットを購入します。
改札がある場合、日本のようにチケットを通す場所があれば通し(またはチケットをタッチさせる)、ゲートを手動で開いて改札を通過します。日本のように自動で開くゲートは多くありません。自動改札と勘違いして「チケットを通したのに開かない!」と焦らないようにしましょう
行き先、列車が来るプラットフォームを確認します。鉄道と駅によっては一度改札を通ってしまうと、反対側のプラットフォームに行けないケースもあります。改札を通る前に必ず確認しましょう。
目的の電車が来たら乗車します。指定席の乗車券の場合は、指定されている席を利用しましょう。自由席のチケットを持っている場合は、指定席に座らないように注意してください。
目的の駅に着いたら下車します。アナウンスが聞こえない場合もあるので、駅に停車したら今どの駅にいるのか確認したほうが良いでしょう。
長距離列車は利用料金が移動区間によって異なります。以下ではロサンゼルスーサンフランシスコ間、ロサンゼルスーニューヨーク間の料金をご紹介します。
利用列車:コースト・スターライト
ロサンゼルスからサンフランシスコへ移動する手段として人気があるのが、コースト・スターライト(Coast Starlight)です。
ロサンゼルスからワシントン州のシアトルまでの西海岸を結んでいます。海岸線を走る間で見られる景色は素晴らしく、人気が絶えません。
乗車時間
ロサンゼルスからサンフランシスコまで11時間ほどです。飛行機で飛べば1時間の距離ですが、座席の間は飛行機よりも広く足が伸ばせる余裕があり、快適です。
料金
料金は約80USD(約1万720円)です。
利用列車:サウスウエスト・チーフ/レイクショア・リミテッド
ロサンゼルスからニューヨークへ行くには、列車を乗り換える必要があります。
まずロサンゼルスからシカゴまで、アムトラックの「サウスウエスト・チーフ号」で43時間かけて行きます。その後「レイクショア・リミテッド号」に乗り換え、18時間かけてニューヨークへ向かいます。
乗車時間
総乗車時間は60〜70時間です。
料金
料金は約232USD(約3万1,088円)かかります。Coach料金には食事が含まれてないことがあります。その場合、食事代は都度、追加で支払う必要があります。購入時に食事代の有無について確認しておきましょう。
アメリカの列車内、駅構内の治安は年々改善されつつありますが、それでも注意すべきポイントが多々あるので、ご紹介します。
治安が改善されてきているアメリカの鉄道ですが、深夜や早朝などの時間帯は、犯罪がおきやすい傾向にあります。人の気配が少なく、あたりも暗い時間に移動する場合は、鉄道は利用せずにタクシーやUberを利用しましょう。
日本の電車に慣れていると、アメリカでも空いている車両を選びたくなるかもしれません。しかし人の少ない車両は、何か起きたときに助けを呼びにくいというデメリットがあります。昼間であっても恐喝や事件に巻き込まれる可能性が否定できません。
空いている車両は避けて、できるだけ人の多い車両に乗りましょう。
電車に揺られていると眠くなることもあると思います。日本であれば目を閉じて、乗車時間を休息タイムとする方も多いでしょう。
しかしアメリカでは、電車の中で寝ないほうが安心です。無防備になり、スリやその他の犯罪に巻き込まれる可能性があります。
盗みの被害にあった際に「隙を見せたほうにも原因がある」という考えが一般論である国は、少なくありません。アメリカもその例に漏れないため、電車では眠くても目を閉じないようにしましょう。
いかがでしたか?
日本ではあまり知られていないアメリカの鉄道事情をご紹介しました。アメリカの鉄道は車や飛行機に比べると国内での利用頻度や認知は、低いかもしれません。しかし、利用方法や注意点を抑えれば、快適に利用できる移動手段です。
また、アメリカの自然を楽しみたいなどの観光目的にも鉄道は利用されています。みなさんもアメリカへ行く際は、ぜひ鉄道を利用してみてくださいね。
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