英検3級は中学卒業レベルとされ、英語の基礎が詰まっています。リスニングでも日常的な場面での会話や説明文などから出題されるため、比較的イメージしやすい内容です。
しかし、日本語なら簡単な内容でも、英語となると苦手意識を持ってしまいますよね。リーディングは得意だけど、リスニングはどうやって勉強したらよいか分からないという方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、英検3級リスニングがどのような形式で出題されるか、対策や学習のコツ、おすすめの教材やアプリなどをご紹介します。英検を初めて受けるという方、リスニングのスコアを確実に取りたい方はぜひ参考にしてください。
なお、全般的な英検3級対策は下の記事でまとまっているので、気になる方はあわせて参考にしてみてください。
英検3級のレベルとは?試験内容から合格に必要な語彙数・勉強法まとめ
[目次]
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まずは、英検3級のリスニングパートではどのような形式で出題されるのかを確認しておきましょう。問題は、第1部、第2部、第3部から構成されています。
第1部は、会話の応答文を選択する問題です。男女2人が交互に会話している音声が流れ、会話の後に続くセリフとして適切なものを3択から選ぶ問題です。
問題冊子には状況に合ったイラストが載っているので、イメージしながら会話を聴くことができます。会話および選択肢の音声はいずれも1回ずつ放送され、設問数は10問です。
<例題>
男性:What did you do yesterday?
女性:I went to the new restaurant with my family.
男性:Sounds good! How was it?
<選択肢>
1.My mom drove her car.
2.The food was really good.
3.I’m not hungry.
正解は2です。
第2部は、会話の内容についての質問に答えます。第1部と同じように、男女2人が交互に会話をしている音声が流れます。最後に、会話の内容についての質問が流れ、質問の回答として適切なものを4択から選ぶ問題です。
会話と質問の音声はそれぞれ2回放送されます。なお、第1部では選択肢も音声による読み上げがありますが、第2部では選択肢の読み上げはありません。設問数は10問です。
<例題>
女性:Hello, Karen Brown speaking.
男性:Hi, this is Ken. Sorry, I’m going to be late for work today.
女性:Oh. Are you OK?
男性:I have a terrible toothache. I need to go to the dentist.
質問:What will Ken do before his work?
<選択肢>
1.Make a plan for a trip.
2.Take care of his toes.
3.Brush his teeth.
4.See a dentist.
正解は4です。
第3部は、説明文や物語文などの短いパッセージについての質問に答えます。
文章を読み上げる音声に続いて、質問が流れます。質問の回答として適切なものを4択から選ぶ問題です。
第2部と同じように、文章と質問の音声はそれぞれ2回放送され、選択肢の読み上げはありません。設問数は10問です。
<例題>
Todd does a lot of lessons after work. He takes yoga lessons on Mondays, cooking lessons on Wednesdays, golf lessons on Thursdays. Also, he learns Japanese every weekend.
<質問>
When does Todd take golf lessons?
1.On Mondays.
2.On Wednesdays.
3.On Thursdays.
4.Every weekend.
正解は3です。
ここでは、英検3級の合格ラインについて解説します。
英検ではそれぞれの技能の正答数をもとに英検CSEスコアを算出し、それが合格基準スコアに達していると合格の判定となります(※1)。英検CSEスコアとは、ユニバーサルなスコア尺度で英語力を客観的に評価するものです。
リーディング | 550点 |
---|---|
リスニング | 550点 |
ライティング | 550点 |
合計 | 1650点 |
合格基準スコア | 1103点 |
英検3級はリーディング550点、リスニング550点、ライティング550点で構成されており、合計1650点が満点。英検公式サイトによると、英検3級の合格基準スコアは1103点とされています(※2)。
すべての技能でスコアが均等に配点されているため、特定の技能だけ得意でも高得点を取ることができません。バランスよく得点する必要があります。
また、英検CSEスコアは回次ごとの受験者の正答数から難易度を加味して得点が調整されます。このため、「〇問正解したから〇点になる」という計算はできません。また、正解した問題数が同じでも回次によってスコアが異なり、合否判定も変わってきます。
英検CSEスコアでは満点1650点に対して合格基準スコアが1103点なので、全体で約67%取れれば合格できます。
しかし、先述のとおり英検CSEスコアでは得点が調整されるため単純にリスニングの問題数30問の67%以上である21問を正解すればよい、ということでもないのです。そのため、目標の正解数は67%ではなく、少し余裕を持って90%(27問)正解することを目標にしましょう。
ここではスコアアップのコツを3つ紹介します。
まずは過去問を解いてみましょう。次に答え合わせをしながらスクリプトを読んで、どんな内容が流れていたのか確認します。
スクリプトに分からない単語があれば、しっかり覚えるようにしましょう。リスニングパートで出てくる単語はそれほど難しいものではありませんが、単語を知らなければ聴き取れません。
また、会話や説明文などのシチュエーションは毎回似通ったものが多く出題されます。必然的に出てくる単語やフレーズも同じものが使われるケースが多いです。
過去問に出てくる単語をしっかりと覚えておけば、単語自体を知らないせいで聴き取れなかったということを防げます。
書かれている文で読むと一つ一つの単語は簡単なのに、音で聴くとさっぱり聴き取れないということはありませんか?
英語は発音する際に音が繋がっていたり脱落したりすることがあります。たとえば、“get up”は「ゲラップ」と聴こえたり、“Did you” は「ディヂャ」、“little”は「リル」と聴こえます。「ゲットアップ」「ディドゥユー」「リトル」と発音するはずだと思っていると、これらの言葉を聴き取ることができません。
過去問のスクリプトを見ながら音声を流し、上から被せるように声に出して読んでみましょう。このとき大切なのは、発音の仕方や抑揚のつけ方などもそっくりそのまま真似ることです。
“get up”を「ゲットアップ」、“Did you”を「ディドゥユー」と読んでいると、速度についていけないはずです。聴こえたままに真似しましょう。何度も繰り返し同じ文章を読み、スクリプト無しでも真似できるくらいになると、ほかの文章でも自然と聴き取れるようになってきます。
答え合わせのときにスクリプトを日本語に訳して内容を確認することは必要ですが、問題を解くときに一つ一つの単語やフレーズを日本語に訳すのはやめましょう。
聴き取った英語を日本語に直して問題文の余白に書き込んだりしていたら、時間がなくなります。そうこうしているうちにどんどん音声が流れていってしまい、重要な箇所を聞き逃すかもしれません。頭の中で日本語に訳すのもやめましょう。英語の聴き取りに集中できなくなります。
英語を英語のままイメージすることが大切です。これには慣れが必要ですが、コツ2で紹介した音声の真似が役立ちます。完コピできるようになった英文は、もう頭の中で日本語しなくても英語のまま理解できているはずです。また、英語を聴く量を増やすことも重要。通学中などのスキマ時間に繰り返し聴きましょう。
ここでは、英検3級リスニング対策としておすすめの教材やアプリをご紹介します。
『英検3級 過去6回全問題集』は、英検3級で出題された過去6回分のリスニング・二次試験面接が収録されています。英検は過去に出題された問題と同じような問題が出題される頻度が高いため、6回分の過去問をしっかり解けば対策としては十分です。
過去6回分のリスニング音声・面接音声はCDではなく、次に紹介するリスニングアプリ「英語の友」からダウンロードして聞きます。音声は一度アプリやPCにダウンロードすれば何度でも聞くことができますよ。
リスニングは第1部から第3部まで集中力を切らさないことがとても重要です。本番の練習をするときは、今日は第1部、明日は第2部というように分けず、本番と同様に一気に全部解くことをおすすめします。集中力を切らさない練習をしておきましょう。
英検3級 過去6回全問題集
旺文社が刊行している英検、TOEIC、TOEFLなどの書籍200冊以上の音源が聴けるアプリです。
上述の『英検3級過去6回全問題集』にも対応しており、書籍を持ち運べない外出先などでの勉強にも活躍してくれます。通学中や移動の最中に音声を聴くのもおすすめですよ。
再生スピードを調整できるため、速すぎて聴き取れなかった問題をゆっくり聴いて確認できるのもポイント。音声を真似して声に出す練習法にもぴったりです。最初はスクリプトを見ながら音声と同時に声に出すオーバーラッピング、慣れたらスクリプトを見ずに音声を聴きながら真似して声に出すシャドーイングという順に練習することをおすすめします。
英語の友 旺文社リスニングアプリ
Obunsha Co.,Ltd.無料posted withアプリーチ
英検3級のリスニング問題10回分に相当する300問が無料で学習できるアプリです。
使い方は3通り。「ステージモード」では、1ステージあたり6問で1問ごとに答え合わせができます。ゲーム感覚で気軽にでき、スキマ時間に最適です。
「実践モード」では、実際の英語検定と同じ問題数で出題されます。挑戦するたびに問題が変わり、その都度結果が記録されるのが特徴です。繰り返すたびに学習の成果が目に見えるのは嬉しいですね。
間違えた問題や苦手な問題は「あやふや問題」として登録でき、何度も練習できます。効率的に苦手を克服できるので、なかなか学習時間が取れないときにもおすすめですよ。
英検リスニングマスター 3級
WAO CORPORATION無料posted withアプリーチ
ここでは、試験までにどれくらい時間があるかに合わせて、おすすめの勉強方法を解説します。
1カ月あれば準備に十分な時間があります。過去問を繰り返し解きましょう。何度も繰り返すことで問題の傾向をつかめるようになり、場面や情景をイメージしやすくなります。
英検3級のリスニング問題は、家庭や学校での一コマ、家族・友達や職場の同僚との会話などがほとんどです。過去問で慣れておけば、本番でも同じような状況の会話や似ている内容の説明文が出てくる可能性が非常に高く、得点につながりやすくなります。
同じ問題を繰り返しても答えを覚えてしまうのでは?と思うかもしれませんが、使われる単語やフレーズも過去問とかぶってくることが多いため、むしろ問題文の音声も選択肢もすべて覚えてしまうくらいのつもりで取り組みましょう。
過去問を解くと、得点が取りにくい苦手なセクションが見つかると思います。第1部は音声が1回しか放送されないから苦手、会話だと分かりやすいけど第3部は文章が続くから苦手、というように、それぞれ苦手なポイントがあるでしょう。1週間前の段階では、苦手な問題にフォーカスして繰り返し解くことをおすすめします。
また、リスニングは高い集中力が求められるため、第3部になると集中が途切れてしまう……ということもあります。そういう場合は、とにかく英語に慣れることが重要です。ここから1週間、スキマ時間なども活用してリスニング音声を聴く時間をできるだけ増やしましょう。
リスニングの解き方のポイントは、イラストや選択肢を音声が流れる前にチェックすることです。
テストが開始されたらすぐに第1部1問目のイラストを確認しましょう。1問目の回答をしたらすぐに2問目のイラストの確認、というふうに音声よりも先手で次の問題に移ることがポイントです。第2部以降は、選択肢を確認します。
選択肢に書かれている内容を見ると、これから流れる会話がどんな話題なのか、なんとなく予想することができます。選択肢の情報は音声を聴くうえでのヒントとなるのです。たとえば第3部の例題で挙げた選択肢を見ると、質問が曜日を尋ねるものだと予想できますよね。そうすると、曜日に注意して音声を聴くことができます。
また、第2部と第3部は質問の冒頭に注意して聴くことも重要です。質問の冒頭で5W1H(When, Where, Who, What, Why, How)の何が来るかに注意します。音声は2回放送されるので、1回目の放送で5W1Hの何が問われているかを把握し、2回目の放送でその内容を確認することもできます。
聴き取れなかった問題があると集中が途切れて次の音声が流れても頭に入ってこないということが起きがちです。分からない問題があってもすぐに切り替えて、次の選択肢のチェックに取り掛かりましょう。
英検3級のリスニング対策は、過去問を繰り返し解いて問題形式に慣れ、音声を何度も聞いて英語独特のリズムや発音に慣れることです。
慣れるには地道な作業が必要ですが、本記事で紹介した効果的な勉強方法やコツを知っていれば、短い期間でもリスニング力は向上するでしょう。今回はおすすめの教材や気軽に使えるアプリも紹介したので、ぜひ活用してみてください。本番までの時間を有効に使って、リスニングの得点アップを目指しましょう。
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※1...公益財団法人 日本英語検定協会「英検CSEスコアでの合否判定方法について」(参照日:2024-3-18)
※2...公益財団法人 日本英語検定協会「英検CSEスコアとは」(参照日:2024-3-18)
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