語学留学に行ってみたいと思っても、その学費や生活費をどのように工面するかに苦慮する人は多いと思います。働いて貯金をしてから渡航しようと思っても、なかなかお金が貯まらずいつまで経っても留学できない…ということも起きかねません。
このような場合に頼れる制度が奨学金です。
今回は海外留学経験がありファイナンシャルプランナーの資格を持つ私が、語学留学で申請できる奨学金などについてご紹介します。返済が必要な貸与型の奨学金の場合は、どのような点を意識して受給すると安心なのかも解説していきます。
金銭的な問題で留学したいのに留学できないことは、ご自身のキャリアや選択肢を狭めることに繋がります。「あのとき語学留学しておけば…」と後悔しないためにも、奨学金などを足がかりに世界へ羽ばたきましょう。
なお、語学留学にかかる費用は下のページでまとめているので、具体的な検討を進めたい方はチェックしてみてください。
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[目次]
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この記事では語学留学で取得できる奨学金などについてお伝えします。
「留学」と一言で言っても様々な形があります。その中で語学留学とはどのような留学を指すのかを確認しましょう。
海外の大学や大学院に入学し、学位を取得して卒業する留学です。
2年制のコミュニティカレッジ(日本の専門学校のようなもの)を卒業後に4年制大学へ編入学することも一般的です。大学院は国や地域によって1年~2年と期間が異なります。
海外の大学で授業を受けて単位を取得することを目的とした留学を指します。学位取得はできませんが、日本で通っている大学の単位として認められることが多いです。
学部留学先の大学に通っている学生と一緒に授業を受けることができるため、海外の大学への正規留学と同じような学生生活を経験できます。
日本で通っている大学と協定を結んでいる大学に派遣される留学です。期間は半年~1年程度で、留学先で取得した単位は日本で通っている大学の単位として認められます。
ただし、交換留学生に選ばれるためには大学内での成績や語学力などの選考を突破しなければなりません。なお、交換留学先の大学の学費は免除されます。
留学先の学費など全てを自己負担して渡航する留学です。日本の大学に通っている場合はその大学を休学して留学することが一般的なため、同級生より卒業が送れてしまうデメリットもあります。
また、日本の大学と留学先の学費の両方を負担しなければならないことがほとんどです。留学先で取得した単位が日本の大学で認められることもありますが、必ずしもそうとは限りません。
語学力の向上や習得を目的として海外に渡航し、現地の語学学校に通う留学です。大きく分けると私費留学の1つですので、留学先の学費などは全て自己負担しなければなりません。
原則として語学学校では単位を取得できないため、日本の大学に通っていても取得単位とはなりません。社会人の留学パターンで最も多いのが、この語学留学です。
前の項目で見てきたように、語学留学は学費や現地での生活費、渡航費など全てが自己負担となります。また、留学期間が長ければ長いほど、費用は高くなります。
社会人の場合は語学留学のためにお金を貯めて、貯まった段階で渡航するという道も考えられるでしょう。
しかし、奨学金を受給できれば金銭的な負担が軽くなり、今すぐにでも留学に飛び立てます。仕事を退職して語学留学に向かうとしても、奨学金によって余裕が生まれたお金を帰国後の転職活動の時期の生活費のために使うことができて安心です。
一方、学生であれば費用を保護者の方々が負担することが一般的です。経済的にゆとりのある家庭であれば問題ないかもしれませんが、保護者の経済力の有無によって留学の可否が決まってしまうのは平等ではないですよね。
経済的に留学が困難な環境であっても奨学金があれば留学ができ、語学力をつけることで進路やキャリアの選択肢を広げることができます。
このように奨学金は留学時に大変力になってくれる制度なのですが、残念ながら語学学校への留学の場合に申請できる奨学金は正直なところ多くありません。
中でも返済の必要のない給付型の奨学金はほぼ皆無なのが現実です。また、社会人が申請できる奨学金はほぼありません。
とはいえ、全く方法がないというわけではありません。返済の必要がある貸与型の奨学金や教育ローンならば語学留学でも受給できるものがありますので心配しすぎないでくださいね。
それでは、語学留学でも利用できる代表的な奨学金をご紹介します。
また、奨学金に合わせて教育ローンもご紹介しますので、メリットとデメリットを比較し、ご自身に最もふさわしいものを選択してくださいね。
※各奨学金やローンの詳細は2023年11月時点の内容です。情報が更新されている可能性がありますので、詳しくは各奨学金や教育ローンの運営機関へお問い合わせください。
URL | https://tobitate-mext.jasso.go.jp/ |
---|---|
種類 | 給付型(返済不要)のみ |
対象 | ・高校生 ・大学生 ※留学期間は28日~1年以内 |
給付金額 | 毎月6万円、12万円、16万円(条件に応じて金額は異なる)。 加えて留学準備金などもサポート範囲内 |
メリット | ・学業成績や語学力の要件なし ・他の団体の奨学金と並行しての受給が可能 ・留学のテーマ、渡航先、期間を自由に決められ、自分の希望した留学プランを設計できる ・留学だけでなく、インターンシップやボランティア、研究ほか、実社会と接点を持つ多様な活動での渡航でも申請できる ・受け入れ機関は大学に限らず、研究機関、国際機関、インターンシップを受け入れている海外の企業など。幅広い機関を受け入れ先として申請可能 5年間で5,000名の留学生への支援を予定しているため、比較的間口は広い |
デメリット | ・社会人は対象に含まれない ・語学留学のみの場合は対象外。ただし、語学学校とインターンシップ、ボランティア、研究ほか、実社会と接点を持つ多様な活動を組み合わせた留学プランであれば申請可能 |
URL | https://www.jasso.go.jp/index.html |
---|---|
種類 | ・給付型(返済不要) ・貸与型(返済必要) |
対象 | ・高等専門学校生(4年生、5年生) ・専門学校生 ・短期大学生 ・大学生 ・大学院生 |
給付金額 | 【給付型】 高等専門学校生:毎月最大4万3,300円 その他の学生:毎月最大7万5,800円 【貸与型(無利子)】 博士課程の大学院生:毎月最大12万2,000円 その他の学生:毎月最大6万4,000円 【貸与型(有利子)】 博士課程の大学院生:毎月最大15万円 その他の学生:毎月最大12万円 |
メリット | ・奨学金の申請条件に受給後の使い道は問われていないため、語学留学の費用にあてることが可能 ・貸与型には無利子のもの(第一種奨学金)と有利子のもの(第二種奨学金)があり、特に無利子の場合は返済時の負担が少ない ・貸与型の受給条件はそれほど厳しくはないため、支援を受けられるチャンスは比較的大きい ・貸与型(有利子)のこの10年間の貸与利率は、利率固定方式の場合0.1%~1%前後、利率見直し方式の場合は0.001%~0.3%と、かなり低くなっている |
デメリット | ・社会人は対象に含まれない ・給付型の受給には、世帯収入や資産の要件があるため、条件を満たせない可能性がある ・海外留学向けに特化した奨学金(海外留学支援制度)は、給付型と貸与型のいずれも語学留学は対象外 ・貸与型(有利子)の場合は返済金額に利子が加わるため、返済が長期にわたるほど負担が大きくなる |
URL | https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/ippan.html |
---|---|
種類 | ローン(返済必要) |
対象 | ・学校に通う子どもを持つ保護者 ・社会人(成人し、勤務収入など安定した収入があり、独立して生計を営んでいる学生本人) |
融資金額 | ・子ども1人につき350万円が上限 ・3カ月以上の海外留学の場合は、子ども1人につき450万円以内の融資を受けられるとされている |
金利 | 年2.2%(固定金利、2023年10月時点) |
返済期間 | 15年以内 |
メリット | ・社会人でも申請できる ・3カ月以上にわたり海外の語学学校に通う場合は融資の対象条件を満たす ・学費以外にも、家賃など語学留学に関する様々な用途に使用可能 ・融資の対象条件は比較的緩やか ・民間の教育ローンよりは低金利で借りられる ・固定金利のため、返済を計画的に進めやすい |
デメリット | ・社会人でも申請できるものの、退職してしまうと返済の見通しが困難と見なされるため、退職後に語学留学をする場合は融資を受けられない ・年2.2%の金利は民間の教育ローンより低いとはいえ、「独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)」の貸与型(有利子)の奨学金と比べると利率が高い |
URL | 【一例】 ・みずほ銀行 ・三井住友銀行 ・各地の労働金庫(ろうきん) ※リンクは中央労働金庫のもの ・イオン銀行 |
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種類 | ローン(返済必要) |
対象 | ・学校に通う子どもを持つ保護者 ・社会人 |
融資金額 | 金融機関によって異なる ※語学学校の学費も対象となるかは金融機関によって判断が分かれる |
金利 | 金融機関によって異なる |
メリット | ・社会人でも申請できる ・最短で即日融資が受けられる ・金融機関によっては担保や保証人が不要なため、申請へのハードルが比較的低い |
デメリット | ・社会人でも申請できるものの、規定の勤続年数を満たしていることが条件として課される場合が多い ・社会人が融資を受ける場合、退職をしてしまうと返済の見通しが困難と見なされるため、退職後に語学留学をする場合は融資を受けられない可能性がある(金融機関によって判断は異なる) ・金利は2%前後~9%程度と幅広く、日本政策金融公庫の「教育一般貸付・国の教育ローン」の金利と比べて高い |
ご覧いただいたように、社会人が語学留学を目的として申請できる奨学金は、2023年11月時点では見つかりませんでした。
社会人の方々が金銭面の援助を受けられる手段としては、前述のように公的機関もしくは民間の教育ローンを利用する方法が挙げられます。利率は貸与型の奨学金より高くなってしまいますが、日本政策金融公庫の教育ローンであれば民間の教育ローンほどは高くありません。
どうしても金銭的なサポートが必要な場合は、社会人であれば日本政策金融公庫の教育ローンを検討することが得策かと思います。
ただし、退職してしまうと融資を受けられなくなってしまう可能性が高いですので、退職してから語学学校に通う場合は民間の金融機関が提供している教育ローンも検討せざるを得ません。金利は日本政策金融公庫より高くなってしまうことが一般的ですが、カードローンやキャッシングを利用するよりは利率が低いため安心です。
ここまで見てきた奨学金以外にも、様々な機関が奨学金制度を実施しています。
そこで、奨学金を簡単に探せる検索サイトを3つご紹介します。語学留学に限らず幅広く奨学金を検索することができるサイトもありますので、ご自身の条件に合う奨学金を見つけるためにも、ぜひ活用してみてくださいね。
検索サイト名 | 特徴 |
---|---|
トビタテ!留学JAPAN(文部科学省)「留学奨学金検索」 | 「こだわり検索」の選択肢が多岐にわたり、語学留学だけでなくインターンシップやボランティアに対する奨学金も検索できる |
独立行政法人日本学生支援機構・JASSO「海外留学情報サイト・海外留学奨学金検索」 | 「留学を希望する課程」に「語学学校」の選択肢があるため、語学留学で申請できる奨学金を検索しやすい |
株式会社ガクシー「あなたにぴったりの奨学金が見つかる」 | 幅広く様々な奨学金を検索することができる |
語学留学の場合、返済の必要のない給付型の奨学金の申請条件はかなり厳しく、中でも社会人の場合は給付型の奨学金を得られる可能性は低いことをお伝えしてきました。
社会人の語学留学の場合は返済しなければならない貸与型の奨学金の申請さえ難しいことは前述の通りです。一方、学生であれば貸与型の奨学金であれば申請できる方は多くなりますが、給付型と違って返済の必要があるとなれば受給をためらう人もいるでしょう。
私はシンガポールとインドで4年近く暮らしていたことがあります。現地では日系の人材紹介会社で人材コンサルタントとして働いていました。
その業務を通して海外で働きたいと希望するたくさんの日本人の方々にお会いしてきましたが、半年経っても1年経っても行動に移せず、せっかくの海外就職のタイミングを逃して貴重な経験ができるチャンスを失ってしまう方々も少なからずお見かけしました。
この数年を振り返ってみても、新型コロナウイルスの影響で海外への渡航が難しい時期が続きました。個人的要因だけでなく、社会的な要因によって、いつ、何が起きて海外渡航が難しくなるかはわかりません。
大事なのは”今”というタイミングを逃さず、語学留学したいタイミングで海外に飛び込むことだと私は思います。タイミングを逃さないためにも、いずれかの奨学金や教育ローンにお世話になり、海外に飛び出してみることは決して悪い手段ではないでしょう。
実は私は大学時代に「独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)」の貸与型の奨学金を受給していて、今もその返済を続けています。毎月の返済は決して簡単なことではありませんし負担も感じます。
しかし、奨学金があったからこそ勉学に打ち込めて、それがその後の就職や今のキャリアに繋がったことは間違いありません。
このように貸与型の奨学金や教育ローンであっても大いに助けになります。
お金が手元にないならば生み出さなければなりません。そのためには働くことが必要です。
また、手元にあるお金が少なければ増やす方法を考えなければなりません。そのためには今あるお金を元金にして運用することになります。
しかし、手元のお金を運用して目標の金額まで増やすには何年もの時間が必要です。そのようなときに上手い言葉に惑わされて、仮想通貨のような暗号資産などに手を出してしまうことは危険が伴います。
また、カードローンや消費者金融といったところから融資を受けると、法律で決められた上限(借入額に応じて年15%~20%)とほぼ変わらない高い金利と一緒に返済することになるため、返済できなくなることもあり得るので避ける方が無難です。
それであれば、貸与型の奨学金や教育ローンを利用する方が安全かつ低金利と言えるわけです。
しかし、貸与型の奨学金や教育ローンによって語学留学の学費や費用を捻出した場合は、あらかじめ「帰国後にどのように返済していくか」について計画を立てておくことが非常に大事です。
返済計画をしっかりと立てられないのであれば、こういった返済の必要がある制度に頼ることはおすすめできません。
社会人であれば、語学留学へは仕事を休んで行くか、仕事を辞めて行くか。仕事を辞めて渡航する場合は、帰国後にいつ頃までに再就職するか。再就職までの期間の生活費は十分か。
様々な可能性を考え、慎重にシミュレーションを重ねてから申請するようにしましょう。
最後に、奨学金や教育ローンの申請方法をご紹介します。その方法はそれぞれの奨学金や教育ローンによって異なりますので、詳細は各運営機関のホームページを確認したり、問い合わせてくださいね。
奨学金は年度ごとに奨学生を募集していることがほとんどです。
例えば「トビタテ!留学JAPAN」の場合ですと、学年によって時期が異なりますが前年12月頃に翌年度の募集が開始されています。「独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)」の場合は、毎年春と秋の年2回の募集期間が設けられ、通っている学校を通じて申請する流れが基本です。
一方、教育ローンの場合は一年を通じて申請することが可能です。ただし書類の準備や審査、契約などの手続きがありますので、余裕を持つためにも資金を必要とする時期の2カ月~3カ月前には申し込むことが奨励されています。
奨学金、教育ローンのいずれも、申請には家計基準を設けていることが多いです。
家計基準とは、本人もしくは生計維持者の収入や資産の額に対して一定の基準の範囲内であるか否かのことです。家族構成や障がいの有無、各種保険料の支払額などが考慮されることがあります。
特に給付型の奨学金の場合は収入や資産の基準金額が低く設定されていることが多いため、申請条件を満たせない可能性も考えられます。給付型と比べると貸与型の奨学金はこの基準が緩やかであることが一般的です。
また、「トビタテ!留学JAPAN」など奨学金によっては、申請に際して応募の動機や自己PR、奨学金をどう活用するかの計画案などを提出する場合もあります。
私は大学時代に、ある一般財団法人の給付型の奨学金を申請し、奨学生に選ばれて受給していました。
応募の際には学生生活で取り組んでいる活動や、奨学金をいただいたらどのように活用したいのか、それを将来どのように社会に還元したいのかなど、申請の目的や理由を熱意を持って応募書類に記載して提出した記憶があります。
本来は働いて稼がないと手にできないお金を給付していただくわけですので、それなりの意欲がある人物だと認められる必要があるわけです。ご自身の思いをしっかり的確に運営機関に伝えることが大切です。
今回は語学留学の場合に申請できる奨学金や教育ローンをご紹介しました。
特に社会人の語学留学の場合は選択肢が少なくなってしまいますが、留学はタイミングを逃さないことも大切です。少しでも可能性があるならば諦めずに申請してみることをおすすめします。
ご自身の将来の選択肢を広げるためにも、奨学金や教育ローンを適切に活用してみてくださいね。
語学留学を具体的に検討するなら、まずは留学を実現するまでの流れを確認しましょう!留学準備では大まかに5つのステップがあります。
留学を思い立ったら、まずは渡航時期、期間、渡航先の目星をつけてみてください。
いつ、どれほどの期間、どんな国で留学するかイメージが持てると具体的な計画を立てやすくなります。
留学へ行くとなると考えることはたくさんあります。
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