アメリカの名門大学、ジョンズホプキンス大学。多くの日本人が留学していることでも知られており、これまでに数多くの著名な学者や研究者を輩出してきました。
留学先としてアメリカを考えていたり、海外で医学の研鑽を積みたいと考えていたりする人は、ジョンズ・ホプキンス大学への進学が視野に入っているのではないでしょうか。
本気で入学を目指したいなら、数ある大学のなかでも屈指のレベルを誇るこの大学についてなるべく知っておきたいところですよね。
そこで本記事では、ジョンズホプキンス大学の基本知識や留学費用の内訳、必要とされる学力などについて解説します。ジョンズホプキンス大学に興味がある人はぜひ参考にしてみてくださいね。
※本記事ではアメリカドルをUSDと表記します。為替レートには2021年1月27日時点での情報を参照し、1USD=116円で計算しています。
まずは、ジョンズホプキンス大学の基本情報からチェックしましょう。
アメリカのメリーランド州ボルティモアにキャンパスを置くジョンズホプキンス大学の歴史は古く、1876年に設立されました。
設立資金700万ドルを寄付したのは、起業家のジョンズ・ホプキンス。奴隷制度廃止運動に尽力した篤志家としても知られています。
ジョンズホプキンス大学は、世界初の博士号授与制度を整えたことでも有名です。大学院から始まった大学なので、研究を中心にしている大学だといわれています。
他にもアメリカではじめて大学院に公衆衛生学を取り入れるなど、現在の大学院教育に大きな影響を与えています。
アメリカにおける公衆衛生学は、本来大学院レベルでしか学べないもの。大学院から始まったジョンズホプキンス大学だからこそ開拓できたといえるでしょう。
ジョンズホプキンス大学学部・学科には以下のようなものがあります(※1)。
化学、一般(Chemistry, General)
物理学、一般(Physics, General)
生物・物理化学(Biological and Physical Sciences)
人間生物学(Human Biology)
応用数学、一般(Applied Mathematics, General)
心理学、一般(Psychology, General)
公衆衛生、一般(Public Health, General)
医学進学課程(Pre-Medicine/Pre-Medical Studies)
経営学・管理学、一般(Business Administration and Management, General)
音楽理論・作曲(Music Theory and Composition)
映画・シネマ・メディア研究(Film/Cinema/Media Studies)
ジョンズホプキンス大学は、24,000人以上の学部生・大学院生を抱えています。留学生の割合は約11%程度といわれており、そのうちの3割近くをアジア系留学生が占めているのが特徴です(※2)。
ジョンズホプキンス大学は、U.S. News & World Reportで最も留学生の割合が多い大学のひとつであると評価されたとも公表しており、国際色豊かなキャンパスライフが楽しめるのも魅力といえるでしょう(※3)。
ジョンズホプキンス大学があるアメリカのメリーランド州ボルティモアは、実はあまり治安が良くないことで知られています。
アメリカの危険な地域ワースト10に入るほどで、エリアによっては日本人が1人で出歩くと危ないところも。銃犯罪や強盗など凶悪な事件も多発しています。
特にダウンタウン北部など、景観が悪かったり窓に鉄格子がはまっていたりするエリアには近づかないようにし、危険な目にあわないよう対策を講じてください。
【住所】
3400 N. Charles Street ,Baltimore, MD 21218
次に、ジョンズホプキンス大学の特徴を解説します。
ジョンズホプキンス大学は、国内外で高い評価を得ている有名大学です。イギリスの大学評価機関QS(Quacquarelli Symonds)が集計する「QS World University Rankings 2022」では、25位にランクイン(※4)。THE(Times Higher Education)による「World University Rankings 2022」では13位にランクインしています(※5)。
特筆すべき点は、医学のレベルの高さです。医学部や公衆衛生学部には、現職の医師や看護師が大学院への留学を希望するケースも少なくありません。世界中に医療機関を持っているのも特徴です。
また、ジョンズホプキンス大学は世界で最初に公衆衛生学を大学院に取り入れたことでも知られています。現在も全米トップの水準を保っており、公衆衛生学の権威的存在と言えるでしょう。
近年では、世界の新型コロナウイルスについて集計を行い、リアルタイムで感染状況を伝えていることでも再度注目を集めています。
ジョンズホプキンス大学の大学院や専門校もまた、有名なものばかりです。たとえば、ピーボディ音楽院(Peabody Institute)は過去に数多くの名音楽家を輩出した難関校として知られています。
また、ワシントンにある高等国際問題研究大学院(School of Advanced International Studies(SAIS))も世界で高い評価を得ています。
国際関係学と国際経済学に特化した研究ができる大学院で、ワシントンに所在しているためさまざまな有名スピーカーを招きやすいのも魅力。イタリアのボローニャにもキャンパスがあり、そちらへ行くこともできます。
2019年には、名門であるロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)と、共同で修士号プログラムをスタートしたことでも話題になりました。ここでは国際経済学に加えて政治学や開発学も学ぶことができ、キャンパスはボローニャかロンドン大学かを選んで通うことができます。
また、高等国際問題研究大学院は、他大学との複学位プログラムを採用しているのもポイント。他大学で履修済みの科目については履修期間の短縮が許可されており、効率的な単位取得が可能です。
このように、ジョンズホプキンス大学で学んだあと大学院へ進学を考える場合でも、ハイレベルな学びができるのが魅力といえます。
ジョンズホプキンス大学へは、これまでに数多くの日本人が留学しています。なかには学を修めた後、日本の教育や学問に大きく寄与する著名人もいました。
日本の教育の発展に尽力した新渡戸稲造もその一人。東京大学を経て1884年にジョンズホプキンス大学に留学しています。1900年には名著『武士道』を刊行し、その後は京都帝国大学や第一高等学校、東京女子大学などで教鞭を取りました。
ほかにも医学や経済学のスペシャリスト、政治家など、日本の学術や文化を牽引するさまざまな人材がジョンズホプキンス大学で学んでいます。
ここからは、ジョンズホプキンス大学の留学費用の内訳を見ていきましょう(※6、7)。
学費 | ジョンズホプキンス大学の学費は年間約56,000~58,000USD(約650万~673万円)です。 |
---|---|
教材費 | ジョンズホプキンス大学での教材費平均は、年間で1,000〜2,000USD(約12万円〜23万円)です。入学する学部や選択する講義等によって変動します。 |
滞在費 | ジョンズホプキンス大学では、複数種類の学生寮を用意しています。Alumni Memorial Residencesという寮のシングルルームで例を出すと、1年間の滞在費は10,334USD(約120万円)です。ここに、いつでもダイニングが使える食事プランをつけると、プラス7,566USD(約87万円)がかかります。 |
通信費 | 契約するキャリアにも左右されますが、アメリカの通信費は年間約720USD(約83,500円)です。 |
交通費 | 寮生活を送る場合は、交通費はかかりません。地下鉄やバスなどは一回当たり1~2USD(約116~232円)と少額です。通学に1日あたり4USD(約464円)使うと仮定すると、1ヶ月で約120USD(約13,920円)、1年で約1,440USD(約167,040円)かかる計算になります。 |
娯楽費 | アメリカの物価は近年上昇傾向にあります。嗜好品代や交際費は月300~500USD(約3万4,800円~5万8,000円)ほどは見ておきましょう。節約ができる項目なので、お金に余裕がない場合はなるべく嗜好品等を控えるようにするといいでしょう。 |
雑費 | 雑費に関しても娯楽費と同様、月300~500USD(約3万4,800円~5万8,000円)ほどかかります。娯楽費同様に節約ができる部分です。 |
ビザ申請費 | アメリカでの学生ビザ取得には、パスポート代を含めおおよそ600USD(約6万9,600円)かかります。 |
航空券購入費 | ボルティモアへの渡航費は、時期や航空会社によって往復10~20万円と大きく開きがあります。年2回、日本に帰ると仮定すると約20~40万円の計算になります。 |
海外旅行保険加入費 | アメリカに留学する際には、保険が必須。アメリカの保険会社を利用するのも一つの方法ですが、いざというときの医療費負担がおさえられる日本の保険がよりおすすめです。その場合、1年間で約14万〜27万円ほどの保険料がかかります。アメリカでの医療費は、自費負担だと莫大な金額が発生する恐れがあるので、しっかりした内容の保険を選びましょう。 |
これらすべての費用を合計すると、1年間でおよそ1,000万円ほどが必要になる計算に。アメリカ留学は費用が高いのが難点なので、費用を工面するのが難しい人は以下で紹介する奨学金の利用も検討してみてください。
ジョンズホプキンス大学では、返還不要の学費援助や奨学金など、さまざまな学資援助パッケージが充実しています。すべての学生が財政状況に関わらず教育が受けられるよう、豊富に奨学金を用意しているのが特徴です。
主なものは以下のとおりです。
・留学生向け奨学金
・一般・分野別LGBT奨学金制度
・OEDb シングルマザーのための奨学金・助成金
・OEDb 女性向け奨学金
・コンピュータサイエンス奨学金
・LGBTQ奨学金
・女性向け奨学金
・MBA奨学金
入学準備の際には、これらの奨学金の要件もおさえておきたいところです。公式サイトでは概要しか書いていないものもあるので、利用したい奨学金がある場合は大学へ問い合わせてみることをおすすめします(※8、9)。
また、より詳しい奨学金・教育ローン情報は下の2記事を参考にしてみてくださいね。
留学に使える奨学金まとめ!”あなたに合った”がきっと見つかる
留学ローンって実際どうなの?種類から利用方法、借り入れまで徹底解説
次に、ジョンズホプキンス大学へ入学する方法について解説します。
ジョンズホプキンス大学へ正規留学するには、期日までに必要書類と受験料をそろえてオンラインでの出願が必要です。主な必要書類には以下のようなものがあります(※10)。
コースによって必要書類が異なるので、事前に確認しておきましょう。
・願書(オンライン申請フォームに入力)
・英語力の証明書(TOEFLまたはIELTSスコア)
・推薦状(学部・大学院で必要な数が異なります)
・エッセイ(自己推薦文)
・履歴書
ジョンズホプキンス大学では、アメリカの大学の多くで入学審査に用いられる共通テスト「SAT」「ACT」のスコアや、高校の成績評価方法である「GPA」のスコア、TOEFL iBTなどの英語テストの結果が求められます。
日本の他の大学に在学中でも、ジョンズホプキンス大学への編入が可能です。正規留学と同じく、必要書類をそろえてオンラインで出願します。
ジョンズホプキンス大学では、秋学期にのみ2年生もしくは3年生に編入することを許可しており、それ以外は受け付けていません。毎年3月1日までに申請を行い、5月中旬に結果が届く流れです(※11)。
また、日本では東京大学がジョンズホプキンス大学への交換留学制度を設けています。正規留学よりも費用が抑えられるので、在学している場合は問い合わせてみましょう。留学の際は単位互換にミスがないよう注意が必要です。
アメリカの大学留学では、コミュニティカレッジを経て本命大学に進学するケースも少なくありません。進学に必要な学力やスキルを身に付けながら受験に備えられます。
ジョンズホプキンス大学への進学を希望する場合には、セントラルシアトルコミュニティカレッジなどが主な選択肢です。
必要とされる英語力やGPAを取得していれば出願できます。目安として、TOEFLで100点、GPAは最低で3.0必要なので、難易度は高いのが特徴です(※12)。
2016年に開校したMPHプログラムを利用するのも1つの方法です。
認定NPO法人健康医療評価研究機構が運営するこのプログラムは、オンサイトやオンラインでジョンズホプキンス大学の授業が受けられます。
授業料は73,760USD(約855万円)で、加えて諸経費がかかります(※13)。
最後に、ジョンズホプキンス大学へ入学するために必要な学力や英語力などについて解説します。
アメリカの大学で行われる入学審査では「SAT」「ACT」 と呼ばれる全国共通テストのスコアが加味されます。
SAT(Scholastic Assessment Test)は、アメリカの教育機関College Boardが運営する共通テストです。ACT(Scholastic Assessment Test)も同じくアメリカの大学進学に向けた共通テストで、2021年時点ではアメリカの全大学で取り入れられています。
ジョンズホプキンス大学入学者のそれぞれのスコア分布は、「SAT」のMathとReading&Writingがそれぞれ700~800点ずつ、「ACT」は30~36点が目安です。
また、高校の成績平均値であるGPAも評価内容に含まれます。これは在学中に履修した科目の素点を既定のスコアに当てはめて計算する評価方法です。
アメリカの名門大学への入学で必要なGPAスコアは、3.7ほどだとされています。ジョンズホプキンス大学への進学者の平均GPAは4点満点中3.7~3.9ほど。
このスコアを実現するためには、日本の高校に多い5段階評価だと、体育や音楽、美術を含めほぼオール5である必要があります。
海外留学の際、英語力の証明として求められるのがIELTS(International English Language Testing System)やTOEFL iBTといった国際的な英語テストです(※14)。
IELTSは英語圏への進学や就労、移住に際して行われる英語4技能テストのこと。11,000以上もの機関で採用されており、アメリカでも4年制大学の99%が入学審査にIELTSを取り入れています。
ジョンズホプキンス大学への入学で求められている英語レベルは、IELTSが最低7.0、TOEFL iBTテストでは最低100です。
海外留学に必要な英語レベルの平均は、IELTSが5.5〜6.5、TOEFL iBTテストが70〜80点だと言われています。これらと比べると、ジョンズホプキンス大学が求める英語力が高いことが分かりますね。
本記事では、ジョンズホプキンス大学の基本情報や留学にかかる費用の内訳、求められる学力などを紹介しました。
数ある大学のなかでも上位にランクインするジョンズホプキンス大学は、アメリカの大学進学に欠かせない基準テストや英語力テストなどで高い水準が求められます。また、コミュニティカレッジを挟んでの進学もおすすめです。
ジョンズホプキンス大学を留学先の候補に考えている人は、今回紹介した内容をふまえつつ留学準備に取り組んでみてくださいね。
語学留学を具体的に検討するなら、まずは留学を実現するまでの流れを確認しましょう!留学準備では大まかに5つのステップがあります。
留学を思い立ったら、まずは渡航時期、期間、渡航先の目星をつけてみてください。
いつ、どれほどの期間、どんな国で留学するかイメージが持てると具体的な計画を立てやすくなります。
留学へ行くとなると考えることはたくさんあります。
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留学に対するご質問から、留学プランづくり、事前の英語学習、留学中のサポートまで対応しておりますので、ご相談お待ちしております。
※1、2...Jhons Hopkins University「School and Divisions」(参照日:2022-1-31)
※3...Jhons Hopkins University「FACT BOOK」(参照日:2022-1-31)
※4...Quacquarelli Symonds「QS World University Rankings 2022」(参照日:2022-1-31)
※5...Times Higher Education「World University Rankings 2022」(参照日:2022-1-31)
※6...Jhons Hopkins University「2021-2022 ROOM AND BOARD RATES」(参照日:2022-1-31)
※7...Jhons Hopkins University「Tuition and Costs」(参照日:2022-1-31)
※8...Jhons Hopkins University「GRANTS, SCHOLARSHIPS, & TUITION BENEFITS」(参照日:2022-1-31)
※9...Jhons Hopkins University「Affordability」(参照日:2022-1-31)
※10...Jhons Hopkins University「Application Process」(参照日:2022-1-31)
※11...Jhons Hopkins University「 Transfer stufents : Qualifications」(参照日:2022-1-31)
※12...Seattle colleges「Now, you have the opportunity to earn your bachelor’s degree from Johns Hopkins University:guaranteed」(参照日:2022-1-31)
※13...Jhons Hopkins University「TUITION & FEES」(参照日:2022-1-31)
※14...Jhons Hopkins University「INTERNATIONAL STUDENTS」(参照日:2022-1-31)
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