海外留学をしようと考えたとき、費用面が心配でなかなか思うように計画が立てられないと悩む人は少なくないのではないでしょうか。
お金がかかるのはわかってるとはいえ、日本とは物価が違うため実際にいくらかかるのかわからず、漠然とした不安を抱える人もいるでしょう。
特に、自分でお金を準備するのが難しい高校生であればなおさらです。
しかし、奨学金制度を活用すればそういった人でも安心して留学を目指せます。経済面を理由に留学に対し前向きになれない人は、ぜひ奨学金の利用を検討してみてください。
今回の記事では、高校生が応募できる奨学金について詳しく説明していきます。
[目次]
奨学金はさまざまな機構や団体が取り扱いをしています。国内だけでなく国外のものもあるので、自分に合った奨学金が見つけられるでしょう。金額や期間などはそれぞれ異なりますが、大きく分けて次の2種類があります。
給付型は奨学金として受け取ったお金を全額もらうことのできる奨学金です。学費や滞在費など留学に関わるすべての費用をカバーしてくれるものもあり、給付型の奨学金が得られれば経済面をほとんど気にすることなく留学ができます。
奨学金を返済する心配がない制度ではありますが、それだけに奨学金の獲得には厳しい条件をクリアしなければならないことがほとんどです。申し込み時点で高い語学力が求められたり、説得力のある志望理由書が必要だったり、ハードルは決して低くありません。
給付型と違って、貸与型は留学を終えた後に返済をする必要があります。返済期間や利率はそれぞれの奨学金制度によって異なるため、一概にいうことはできません。給付型ほど申し込みの条件が厳しくない場合が多いことが特長です。
また給付型に比べ、応募期間や奨学金の利用用途などの制約が少なく、利用がしやすいです。
奨学金の返済に不安がある人には、給付型の奨学金が適しています。給付型奨学金はいろいろとありますが、特に有名なものは下記の3つです。
「トビタテ!留学JAPAN」は世界に通用するグローバルな人材を育てるため、日本の若者の留学をサポートするプログラムです。文部科学省が主導しており、2013年10月に始まりました。大学生、高校生を対象にしたプログラムで、幅広い留学プランに対応しています。
日本国籍を持ち、日本での永住を許可されている人が対象となります。
その他は日本の高等学校、中等教育学校後期課程、特別支援学校高等部、高等専門学校(1~3年次)、専修学校高等課程に在籍していることが条件です。申し込み時の語学力や成績は問われませんが、留学の前後に研修があります。
日本国際生活体験協会(EIL)は異なる文化を持つ人々の交流を促進すべく生まれた団体で、世界で初めてホームステイプログラムを始めました。長年の歴史の中で培った豊富な経験をもとに、各国で留学プログラムを実施しています。
奨学金制度についても充実しており、EILの交換留学プログラムに参加する人であれば「サポーター奨学金」に応募が可能です。
EILの交換留学プログラムに参加予定で、学業及び人物ともに優秀な人が対象です。成績だけでなく、中学校1年から応募時まで、1学年の欠席日数が8日以内、遅刻・早退が8回以内という条件もあります。
AFSは留学や異文化交流を通じ、あらゆる年代の人が“地球市民”になるためのプロセスをサポートする公益財団法人です。さまざまな留学プログラムを実施しており、高校生だけでなく中学生の留学プログラムもサポートしています。
そして、AFSのプログラムに参加する人向けの独自の奨学金も各種取り揃えています。
AFSの留学プログラムに参加する人のうち、奨学金の給付がなければ留学が困難な人を対象としています。奨学生として採用されたあとにAFSの広報活動に協力できることも、条件のひとつです。
続いて、貸与型の奨学金についてご紹介します。
日本学生支援機構は文部科学省所管の独立行政法人で、修学を目指す人だけでなくさまざまな人の学業をサポートする奨学金があります。
海外留学については給付型、貸与型のどちらもあり、貸与型では主に大学生を対象に奨学金の貸し出しを行なっています。高校生が利用する場合、大学へ入学した後在学での申請が可能です。
高等学校または専修学校高等課程最終2か年の成績の平均が3.5以上であることなど。
山口育英奨学会は経済的理由で修学が困難な学生に対し学費を貸与し、優秀な人材を育成することを目的に設立された財団です。昭和34年より事業が始まり、国内の高等学校、大学、大学院に進学する人だけでなく海外留学を目指す人に向けての奨学金も貸し出しています。
人物、成績、健康に優れ、修学にあたり経済的な支援を必要とする人が対象です。在学中、あるいは募集年度中に海外の学校への入学が決まっており、かつ2年以上留学し一定の単位履修を目的とする人でないと応募はできません。
高校生が留学資金を借りる場合、支払い義務が応募者本人に発生する奨学金はあまり数がありません。
後ほど紹介しますが、留学資金を借りる場合には、教育ローンという形で保護者が留学資金を借り入れることも多いため、具体的に借り入れ手段を考えている方は検討してみてください。
奨学金はいろいろとありますが、なかには特定の分野に特化したものもあります。すでに学びたいことが決まっている人であれば、こちらの奨学金を活用するのもひとつの手段です。
音楽教室で有名なヤマハが実施している支援事業です。支援を通じて優れた音楽家及び音楽に関わる科学領域の人材の育成を目的としています。13~25歳を対象としており、高校生でも応募が可能です。
13~25歳で、日本国籍を有し国内外の学校で音楽を学ぶ人が対象です。また、外国籍であっても国内の学校で音楽を学んでいる人であれば応募できます。専門楽器や音楽ジャンルは問われませんが、コンクール参加など明確な学習目標を持っていることが条件として挙げられています。
この制度は若手芸術家に海外での実践的な経験を積ませ、国際的に活躍できる人材を育成するため文化庁が実施しているものです。渡航費、滞在費をサポートするもので、15~50歳と幅広い年齢を対象としています。
対象分野は美術、演劇、映画、舞台美術などと多岐にわたりますが、高校生の場合は音楽と舞踊分野のみです。
日本国籍もしくは日本の永住資格を持ち、専門分野での芸術活動の実績があることが絶対条件です。また、受け入れ先の学校などでの入学許可が確認できること、義務教育を終えていることも求められます。
こちらは数学を専門としてアメリカ留学を希望しているものの、経済的理由でアメリカ留学が難しい学生を対象とした奨学金です。大学、もしくは大学院の授業料に対し年間300万円までが支給されます。返還不要ですが、滞在費や渡航費など授業料以外についてはカバーされません。
日本在住で、日本にある高校もしくは大学に通っている人が対象です。応募時に数学を専攻している必要はありませんが、渡米後に応用数学や保険数学など数学に関する学問を学ばなければなりません。
高校卒業後の進路として、海外の大学への進学を考えている人もいるでしょう。そんな人に向け、長期留学でも対応できる奨学金をいくつかご紹介します。
先ほども紹介した日本学生試験機構には、「海外留学支援制度(学部学位取得型)」は給付型もあります。年間250万円を上限とし授業料を給付、また滞在費などに使える奨学金を月額6~12万円の範囲で支給しています。
海外の大学への入学が決まっており、留学先の大学が発行する正式な入学許可証を提出できる人が対象です。原則、学校を通じて申し込みをします。各種手続きについては学校が窓口になるため詳細は各学校に確認する必要があります。
公益財団法人グルー・バンクロフト基金はアメリカのリベラルアーツ大学への留学を目指す日本人学生を支援する団体です。リベラルアーツ大学とは学生数が2,000人ほどの規模の学校で、学部教育を通じて自然、人文、社会科学といった分野を学ぶ4年制大学のことです。
進学先はリベラルアーツ大学の条件に当てはまるところに限定されますが、数多くの大学が対象となっているため自分の行きたい大学が対象となるのか確認しましょう。
日本国籍を有し、高等学校教育まで終えている人が対象です。また、保護者の収入が合算で2,000万円以下でないと応募はできません。
柳井正財団はグローバルな視野を持ち、日本だけでなく世界でも活躍できるリーダー育成を目指し奨学金事業を展開しています。
海外奨学金プログラムではアメリカ、もしくはイギリスの大学に留学する学生を対象に、授業料及び滞在費などをサポートしています。予約型と合格型の2種類があり、予約型は学校からの推薦が必要です。
応募資格は在学期間中を通して日本国籍を持ち、将来日本社会の発展に寄与しうる資質を持つ者、と定められています。また、財団が企画する広報活動などに協力することも求められます。
短期留学を対象とする奨学金はあまり多くありません。
しかし、代わりに各教育機関や留学エージェントが実施している短期留学プログラムを費用無料で受けられることがあります。選考があるため希望者全員が参加できるわけではありませんが、海外へ飛び出すチャンスにはなります。
高校生がアメリカやカナダ、イギリスなどの国へ交換留学できるプログラムです。留学中はホームステイをしながら、現地の高校へ1年間無料で通うことができます。現地の高校生と同じ授業を受け、クラブ活動にも参加が可能です。
出発前には保護者も同伴でオリエンテーションを受け、現地での生活やルールを学びます。また、事前に英語力向上のためのトレーニングやプログラムを受講できることも特徴です。留学中のサポートも充実しており、現地で困ったことがあっても相談できる体制が整っています。
出願後にオリエンテーションへ参加し、SLEP TEST50点以上、ELTiSのスコア212点以上を獲得すること
United World College(UWC)はロンドンに本部を置く国際的な民間教育機関で、高校生の国際交流を促進し世界にはばたくリーダーを育成することがその目的です。イギリス、カナダ、オランダ、香港、アメリカなどにカレッジ(高校)を持ち、世界各国から留学生を受け入れています。
1~5週間のショートプログラムも実施しており、その中には条件を満たした人に対し奨学金を給付しているものもあります。
各コースによって異なります。ショートプログラムについてはUWC日本協会は派遣手配をしていないため、自身で下記URL(英語)より申し込みをする必要があります。
このプログラムは「外交官」として日米の高校生が交流し、異文化を学び、将来国際的に活躍できる人材を育てることを目標としたものです。日本プログラムと渡米プログラムがあり、渡米する場合には夏休み期間中に約3週間、アメリカに滞在します。渡航費や滞在費などすべて無料で、アメリカの学生と共同生活やスポーツをしたり、街中の散策をしたりします。
所属学校の推薦を受けた人で、事前合宿も含めすべてのプログラムに参加できる人が応募できます。また、日本の代表として周りの参加者と協力し、事前の英語力向上などに積極的に取り組める意欲も求められます。
以上見てきたように、奨学金はいろいろな金融機関や団体が取り扱っています。選択肢がたくさんあるのはうれしいポイントですが、一方でどれにすればいいのかと悩んでしまう人もいるでしょう。
そこで、ここでは高校生が奨学金を選ぶ際にどんなことに注目すればいいのか、ポイントをまとめてみました。
奨学金はいろいろと種類もあり、その応募条件もさまざまです。自分が利用したい奨学金が、応募条件に合っているのか事前に確認しておく必要があります。
奨学金を希望する場合は、早いうちから準備を進めておきましょう。条件が厳しい奨学金ほど応募条件に満たなかったり、書類の準備が締め切りに間に合わなかったりする可能性があるため注意が必要です。
しかし、応募条件が厳しければ応募者数も限定され、倍率が低くなることも予想されます。悪いことばかりではありませんので、応募条件をよく確認して自分の希望に沿ったものを探すようにしましょう。
自治体が高校生の海外留学を支援していることも珍しくありません。たとえば、埼玉県のグローバル人材育成センター埼玉は「埼玉発世界行き」という奨学金制度を設立し、埼玉に住む高校生~大学生の留学をサポートしています。他にも広島県や佐賀県なども同じように若者の海外留学に対し奨学金を給付しています。
こういった自治体の奨学金はその地域に在住、在学などの条件があり誰でも応募できるわけではありません。もし、自分の住んでいる地域にこういった奨学金があれば大きなチャンスとなりますので、ぜひ調べてみましょう。
下に主要自治体の奨学金制度を紹介するページをまとめたので、ぜひ自分の住んでいる自治体がどのような制度を設けてみるか確認してみてください。
自治体名 | 奨学金情報掲載ページ |
---|---|
東京都 | 東京都教育庁「学費及び奨学金」 |
神奈川県 | 神奈川県庁「神奈川県高等学校奨学金」 |
大阪府 | 大阪府教育庁「奨学金制度のご案内」 |
埼玉県 | 埼玉県「『埼玉発世界行き』奨学金制度」 |
北海道 | 北海道教育委員会「様々な留学支援制度・海外派遣プログラム」 |
福岡県 | 福岡県庁私学振興・青少年育成局「福岡県アンビシャス外国留学支援事業」 |
静岡県 | 静岡県庁「グローバル人材育成事業」 |
茨城県 | 茨城県教育委員会「奨学金情報」 |
広島県 | 広島県教育委員会「広島県高等学校等奨学金(留学奨学金)について」 |
奨学金の中には、「アメリカの大学に進学する人向け」など留学先が限定されているものもあります。あるいは留学先でのアクティビティやプログラムがすでに決まっているものも少なくありません。そういった条件を見て、「自分とは関係ない」と選択肢から外してしまう人もいるでしょう。
しかし、よくよく検討してみれば実は自分のやりたいことと合致していた、ということもあります。自分で選択の幅を狭めるのではなく、まず「自分は何がしたいのか?」をよく考え、あらゆる可能性を検討してみましょう。その上で奨学金を探してみれば、自分の希望に見合ったものも見つかりやすくなるはずです。
最後に、奨学金を検討するにあたり事前に知っておくべき注意事項をまとめました。下記事項をよく確認し、保護者ともよく相談して決めるようにしましょう。
奨学金によって、申し込みのスケジュールは異なります。申し込み時に留学先の入学許可証が必要なこともあればそうでない場合もありますので、よく確認が必要です。それに合わせ、事前の勉強や手続きのスケジュールを組みましょう。
また、給付についても奨学金ごとに違います。留学前に給付されるもの、留学中に定期的に給付されるもの、など千差万別です。「奨学金を頼りにしていたのに、必要なときにもらえなかった!」とならないためにも、給付のタイミングも把握しておく必要があります。
貸与型に比べ、給付型の奨学金は応募のハードルが高いことが一般的です。また、応募して終わりではなくそのあと選考があり、面接や小論文などさまざまな課題が課されます。当然ながら全員が受かるわけではないので、対策と準備が必要です。
選考に漏れてしまった場合には留学の実現が難しくなる人もいるかもしれませんが、そういった人は教育ローンも視野に入れてみましょう。教育ローンを組んでおけば、急に物入りになったときにも対応できることが多く、自由な留学を実現できます。
教育ローンについては下記ページで詳しく解説しているので、気になる人はぜひ読んでみてください。
留学ローンって実際どうなの?種類から利用方法、借り入れまで徹底解説
貸与型、あるいは教育ローンを利用する場合は借り入れ金、利子の返済が必要です。低金利で借りられる場合もありますが、それでも借り入れ金額以上の金額を返済することになります。
返済開始がいつなのか、返す目処が立てられるか、など事前によくチェックし、自分にとって無理のない借り入れなのかを検討しましょう。自分の名義で借りた場合でも保護者の方に保証人になってもらうこともあるので、保護者の方とのすり合わせも必要です。
今回の記事では、高校生が利用できる奨学金について詳しく見てきました。給付型、貸与型、長期向け、短期向け、と奨学金の種類は実にいろいろありますので、留学の期間や目的に合わせて選べるでしょう。中には留学プランを自由に決められる奨学金もありますので、自分の夢や希望に向かって歩き出す後押しとなるはずです。
留学に興味はあるけど、金銭的な理由でなかなか一歩が踏み出せないという人は、ぜひ今回の記事を参照に奨学金の利用を検討してみてください。
なお、語学留学を検討している場合には、ぜひスクールウィズのLINE相談をご利用ください。費用イメージやおすすめの国や都市、語学学校の提案、お見積りや申込みといった手続きなど、検討状況に合わせて留学カウンセラーが無料で相談に乗っているので、検討が前に進みます。
語学留学を具体的に検討するなら、まずは留学を実現するまでの流れを確認しましょう!留学準備では大まかに5つのステップがあります。
留学を思い立ったら、まずは渡航時期、期間、渡航先の目星をつけてみてください。
いつ、どれほどの期間、どんな国で留学するかイメージが持てると具体的な計画を立てやすくなります。
留学へ行くとなると考えることはたくさんあります。
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