きらきらとしたイメージがある海外留学ですが、慣れない海外生活では何かとトラブルが付きものです。とりわけ、日本に住んでいると「海外は治安が悪い」といわれても、どれだけ危険なのか実感しにくいものですよね。
今回取り上げる、「フィリピン留学」はリーズナブルな費用で英語が学べる留学先として人気ですが、治安に関しては何かと悪いイメージがあります。しかし、防犯のポイントを押さえれば危険を極力回避し、比較的安全に過ごせます。
本記事では、フィリピン留学のリスクについて掘り下げるとともに、留学中に危険に巻き込まれないための具体的な方法を、筆者の留学体験も交えて紹介します。これからフィリピンに留学予定のある人は参考にしてくださいね。
なお、フィリピン留学について、費用やおすすめの都市、学校などは下のページでまとめているので、具体的な検討を進めたい方はチェックしてみてください。
フィリピン留学
[目次]
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ドゥテルテ大統領が2016年に就任して以来、犯罪の取り締まりは強化されていますが、依然としてフィリピンの治安は日本と比較すると、よくはありません。
しかし、フィリピンは欧米5カ国(アメリカ・カナダ・イギリス・オーストラリア・ニュージーランド)に比べると実は犯罪件数が少ないです。
というのも、フィリピンは殺人が多いのですが、その他の重犯罪(強盗・強姦)の発生件数は、欧米の10分の1以下です。
しかも、無差別殺人件数は少数で、殺人事件の多くは麻薬や犯罪組織と接点があります。
つまり、日本人がフィリピンで犯罪に巻き込まれる可能性はそれほど高くないといえます。
外務省が発表している海外安全情報によると、フィリピンの危険度は全体的にレベル1〜3ですが、そのなかでも危険な場所として「マニラ」と「セブ」があげられます。
マニラは、20年前よりも治安は格段に良くなりましたが、いまだに強盗や殺人などの事件が絶えません。
しかし、マニラの中でもマカティやBGCなどのビジネスエリアは外国人駐在員も多く、比較的安全なエリアなため、夜でもコンビニエンストアに行けるほどです。
一方、マラテ・エドサ・キアボは風俗や飲み屋が多く、日本の新宿歌舞伎町のようなにぎやかな繁華街ですが、犯罪者と出会うリスクも高いので注意が必要です。
セブ島は、セブシティのITパークなど経済特区の周辺は比較的治安がよい傾向にあります。しかし、セブシティは路上生活者が多く、スリが多発しているエリアもあります。
都市のなかでも、地区によって雰囲気がガラッと変わるので、知らない場所を訪れる際は、事前によく治安状況を確認しましょう。
フィリピンは治安のよい国とはいえませんが、先述したとおり、実際には欧米諸国と比べると犯罪率は高くありません。
海外で危険に巻き込まれるかどうかは行動次第で変わります。それは、日本でも海外でも変わりません。日本にも夜中に一人で歩くと危ない場所があるように、フィリピンにも地区や時間帯によって治安の良し悪しが違うからです。
遭遇しやすい犯罪やその対処方法を理解することが大切です。
「フィリピンは治安が悪い」と一括りにいっても、被害の内容は様々です。フィリピン留学中に遭遇しやすい危険を5つ紹介します。
フィリピンでは、スリや窃盗の事件が多く、常にその危険があることを意識しなければなりません。
実際にフィリピン留学した人からは、移動中に知らない人から財布を盗まれる、ストリートチルドレンからいきなりポケットに手を入れられるなどの被害の声が時折聞かれます。
貴重品はポケットの中に入れない、リュックは前がけにするなどの対策をしましょう。
男性は特に注意しなければならないのが美人局(つつもたせ)です。
容姿端麗な女性から声を掛けられてついて行くと、後から怖い風貌の人から法外な金銭をたかられたり脅されたりする危険があります。
海外に行くとついつい気持ちが大きくなってしまいがちですが、甘い誘惑には乗らないことが賢明です。
麻薬取り締まりの強化を推進しているドゥテルテ大統領。フィリピンではドラッグ・麻薬を販売した人を問答無用で射殺したり、懸賞金をかけたりすることが行われています。
また、空港で荷物運びをすると気軽に声をかけてきて、カバンの中に麻薬を入れて知らないうちに運ばせる手口もあるようです。
薬物に手を出さないことはもちろんのこと、知らないうちに麻薬の運び屋にされたり、密売人と勘違いされたりすることがないように気をつけましょう。
タクシーで、追加料金の請求やお釣りを返さないなどの詐欺に遭遇することがあります。料金メーターをきちんと作動させなかったり、細かいお金がなかったりして運賃をごまかすケースもあるようです。
乗る前に行き先を伝えて料金を確認。相場も抑えておくとベターです。メーターが動いているかも確認しましょう。また、ぴったりで払えるよう小銭も用意しておきましょう。
もし現地でインターネットが使える環境があれば、配車アプリの「Grab Taxi」を使いましょう。アプリ上でドライバーの顔が見え、費用も事前にわかるため安全性が高く便利です。
夜遅くに一人で出歩くと、人気のない場所に連れ込まれて銃やナイフで脅され、現金を要求される危険があります。
また、留学の滞在先でノートパソコンを出したまま外出した際に、強盗被害に遭ったという報告もあります。
貴重品の管理は、外出の際も滞在先でも細心の注意を払いましょう。
海外で遭遇するトラブルの多くは、事前に対策や地区の治安情報について知っていれば避けられるものです。
ここでは、フィリピン留学で危険を回避する方法を、5つ紹介します。
日本ではお一人さま文化が浸透しており、単独行動でも安全に過ごせます。しかし、海外では一人で行動すると、スリ集団に窃盗や暴力をされるリスクが高まります。
特に客引きや詐欺などは、一人で行動している人をターゲットにすることが多いといわれています。なかには複数人がグルになって、あたかも他人のフリをして集団でスリをはたらくこともあり、細心の注意が必要なのです。
夜遅くに出歩く際は集団で行動して身を守ることが大切です。
フィリピンには「ジプニー」という乗り合いバスがあります。席がギュウギュウ詰めで、隣の乗客とのパーソナルスペースが近くなるので、スリの注意が必要です。
とりわけ、大学周辺や高所得層の居住区域を走るジプニーはスリが多いので、利用する路線の犯罪が発生している状況について事前に確認しましょう。
また、タクシーではドライバーがドラッグをしていることがあります。
そのまま乗車すると暴走運転されたり、目的地とは違う場所に連れていかれたりする可能性があるので注意しましょう。
タクシーに乗車する際はドライバーにまず話しかけ、しっかりと会話が通じるか、雰囲気は変でないかなどを確認してから乗車するとよいでしょう。
フィリピンではネックレスなどの装飾品を着けているだけで「お金を持っている人」とみなされます。フィリピンは貧困の格差が激しいので、華美な装飾品はステータスシンボルとなり、スリや窃盗のターゲットにされやすいのです。
特にネックレスは盗まれる際に背後から狙われたり、首を絞められたりするので注意が必要です。強盗に遭うと最悪の場合、銃やナイフを突きつけられたり拘束されたりして身ぐるみ剥がされます。
旅行先では開放的になり、派手なアクセサリーや洋服などを着用したくなる気持ちは理解できますが、フィリピンではできるだけ現地の人に溶け込むような服装を心がけましょう。
困っている人がいると助けたり、通りすがり人にも親切で丁寧な対応をしたりするのは良いことですよね。でも日本国内なら良いですが、海外では「日本人はお人良し」と揶揄されたり騙されたりする原因になってしまうこともあります。
例えば、フィリピンで気軽に日本語で話しかけてくる人には要注意です。日本語を話して相手を安心させ、トラブルに巻き込んでくる人もいるからです。
体調が悪そうな人を介助していた人が実は詐欺グループの一員で、介助中に脇に置いていた荷物を別のスリのメンバーが盗んだなどの事例報告もあります。
純粋に日本文化や日本語に興味があって話しかけてくるフィリピン人もいますが、簡単に信じず、警戒心をもつことも大切です。
海外では「嫌なことは嫌」と言わないと、トラブルに巻き込まれる可能性が高くなります。
例えば、チップ欲しさに不要なサービスをしてくる人もいるので、不要なサービスははっきりと断る勇気が大切です。
ただし、フィリピンでは子どもに暴力を振るうと重罪になることがあります。したがって、物乞いをするストリートチルドレンに感情的になって手を上げたり、けがをさせたりしないよう、冷静に断るという対応が肝心です。
海外生活で危険を回避するためには、留学先を厳選してリスクを未然に防ぐことが大切です。
以下からは、フィリピンの留学先を選ぶ際のポイントについて、3つ紹介します。
治安の良し悪しは、地域によって大きく差があります。ゆえに、学校が危険な場所にないかを、留学前に確認しましょう。
筆者が過去に留学したアメリカの例にはなってしまいますが、その留学先の学校は、シアトルで有名な治安の悪い地区の周辺に位置していました。警察が見張っていないときは、常時マリファナ中毒者とホームレスがたむろしており、取っ組み合いのけんかを目にしたことも一度や二度ではありません。
これは全て、大学周辺の治安に関して筆者が事前に全く考えていなかったがゆえの失態です。筆者のように、毎日恐怖を感じながら通学することのないよう、留学先の治安情報はあらかじめしっかりと調べましょう。
留学のために万全の準備をしたつもりでも、留学中は予想外の問題に直面することがあります。そのような際に、サポートしてくれる人がいると心強いものです。
フィリピンの語学学校には何かあれば相談できるスタッフが基本的には常駐しています。日本人経営、または日本人が多い学校には日本人スタッフもいることが多いです。
何かあれば、語学学校のスタッフが親切に対応してくれますので、信頼できるスタッフがいるか事前にしましょう。
ここまでフィリピンの治安情報について防犯対策も交えて紹介してきました。次に、フィリピン留学で比較的治安の良い都市を3つ紹介します。
クラークはマニラから車で2時間ほどの場所に位置し、国際空港があるなど都市化が進んでいます。
クラークはクラーク経済特区内か外かによって雰囲気が大きく異なります。クラーク経済特区内は整備されたとても閑静なエリアです。夜にランニングができるほど、安全性が高いエリアです。
一方クラーク経済特区外はいわゆるフィリピンっぽい雰囲気の場所です。東南アジアでも有数の歓楽街があるため、その付近の治安には気をつけましょう。
クラーク経済特区内にも外にも語学学校はあります。クラーク経済特区内は安全性は高いのですが、お店が少なかったり利便性には欠けます。
かつて米軍基地があった名残りから、どの語学学校にもネイティブ講師が多く、ネイティブとのマンツーマンレッスンが受けられるのがクラーク留学の特徴です。
ダバオはドゥテルテ大統領の故郷であり、知事を勤めていた場所で、フィリピン屈指の治安の良さが魅力です。
路上での喫煙禁止・夜間のバー営業禁止など、厳しいルールが定められているので犯罪率も低い傾向にあります。
ダバオでは美しい海も望めるので、勉学の合間にマリンアクティビティを楽しめます。治安の良さを重視しながらも、勉強や遊びも活動的に楽しみたい人に人気の留学先です。
バコロドは、「フィリピンで最も住みやすい都市」に選ばれたほど治安が良いことで有名です。日本からバコロドへの直行便がないため、マニラかセブからフライトを乗り継ぐ必要があります。マニラやセブからはフライトで1時間ほどの場所に位置し、地方都市ならではの穏やかな雰囲気があります。
日本人が少なく韓国人が多いので、日本人のいない環境で落ち着いて勉学に励みたい人にとっては「穴場の留学先」といえるでしょう。
マニラやセブ島に比べると娯楽は少なめですが、ショッピングモールやレストランなど生活に必要な環境は整っています。
本記事では、フィリピン留学の危険度について、防犯対策も交えて紹介しました。
フィリピンの治安は以前に比べると改善しましたが、地区によってはスリや強盗などの犯罪に巻き込まれる恐れがあります。
しかし、「夜遅くに1人で華美な服装をして出歩かない」「あからさまな観光客行動を避ける」などの防犯の基本的なポイントをおさえることで、多くのトラブルを未然に防げます。
留学先を決定する際は、「学校が治安の悪い地区にないか」「何かあったときに対応してくれる担当者は常駐しているか」などを事前にチェックしましょう。
とはいえ、フィリピンには100校以上の語学学校が存在するため、どのように治安面を考慮したらいいか難しいですよね。
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