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UK、Great Britain、Englandはどう使い分ける?イギリスの国名を紐解くとイギリスという国が見えてきた!

イギリスの国旗

こんにちは、イギリス在住17年目のMayです。
突然ですが、皆さんは「イギリス」を英語で言う時、なんと言いますか?

England? 
Great Britain? 
それともUK? 

「え、これみんなイギリスってことじゃないの?」と思われた方、答えはYesでもあり Noでもあります。実は日ごろから、「イギリス」や「イギリス人」という日本語訳は勘違いを招きやすい大変やっかいなものだと思っています。

この日本語訳は、今からもう何百年も前に日本に入ってきたヨーロッパの言語が元になっているのですが、実際のところその語源が意味したのは当時のイングランド王国のことで、現在のイギリスで言うと一部分でしかありません

そして問題は、日本人がこの言葉をずっと大事に今日まで使って来たにもかかわらず(ちょっと皮肉です)、当のイギリスときたらこの何百年の間にすっかり変貌してしまったということです!

それでは、数百年前にできた我々の「イギリス」を最もふさわしい現代語訳するために、複雑かつ興味深いイギリスのお国事情を探って行きましょう。今回は「イギリス」という国の呼び方について解説していきます。

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1)「イギリス」という日本語訳の不思議

まず最初に、こちらが皆さんが普段日本語で「イギリス」と呼んでいる国の正式名です。

「United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland」

これを忠実に日本語に訳してみると

「グレート・ブリテン及び北アイルランド連合王国 」

となるのですが、随分と長ったらしくもったいぶった、しかも「王国」なんて言葉はなんだかちょっと時代錯誤な感じもしますよね。そしてよく見てみると、イギリスの正式国名には日本語で言う「イギリス」とか「イングランド」らしき言葉はどこにも含まれていません。

でも「イングランド」ってよく聞くじゃないかってことで、確かに首都ロンドンがあるのもイングランドで間違いないのですが、実は"England"と言うとイギリスを構成する4つの国(元はそれぞれ独立した王国だった)の内のひとつのことを指し、イギリス全体を意味するものではないんです

確かにイングランドはこれら4つの国の中で最も面積が広く、人口もダントツに多く、名実ともにイギリスの中心であることには間違いはないのですが、だからと言って イギリス=イングランド ではないんです

という訳で英語で"England"と言うと、イギリスの中のイングランドという国(特定の地域)しか示さないことになります。ですので、これを日本語で言うところの「イギリス」という意味で使うと、おそらく大概のイギリス人は外国人の英語だということでなんとか理解しようとしてくれるでしょうが、実際のところ彼らには妙な感じに聞こえていることでしょう。

2) 4つの国でひとつのイギリス

イギリスのサッカー

先ほども触れたように、現在のイギリスは便宜上、4つの国(スコットランド、イングランド、ウェールズ、北アイルランド)から成立していると言われています。

というのもこの国の長い歴史の中で、元々それぞれ民族の違う強い個性を持った地域が各々の君主を掲げる独立した王国であった名残りからのようです。

これらの国々の独立した存在が広く一般に見られる例としては、4か国がそれぞれ別の国としてエントリーしているサッカーやラグビーの国際試合がありますが、サッカーファンの多い日本ではもうご存知の方も多いかもしれませんね。

ビッグベン

もちろん実際には、これらの4つの国をひとつの国家として統治するのがイングランドの首都ロンドンにある国会議事堂・ビッグベンでも有名な英国議会(UK Parliament)ではあります。ですが実は、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドにもそれぞれの議会があり、自分たちの地域に密着した教育や医療などの分野に関する条項や法律を制定する権限が与えられています。

また一般の人たちの間でも、それぞれの出身国に対する帰属意識は現在でも非常に高いものがあります。もとはと言えば民族や言語文化が全く違う国同士。正直言って、イギリス国内では想像以上にそれぞれが別の国だという意識を感じます。

現在のイギリス国旗、ユニオンジャックはそれぞれの王国の国旗を組み合わせたものです。最初のユニオンジャックは正式に連合協定が交わされる以前の1606年に、スコットランド王がイングランド王を兼任した際に作られました。

そこから1801年に加わったのは、アイルランド全島がまだ1つの国であった当時の国旗であり、現在UKの一部である北アイルランドのものではないです。ちなみに実質的にイングランドが併合したウェールズの国旗は、ユニオンジャックの中に含まれていません。

イギリスのユニオンジャック
Photo by : https://s-media

【4つの国の統合・合併のタイムライン】

1536年 イングランドがウェールズを統合(この地域一帯はもともとBritainと呼ばれていた)
1707年 スコットランドとイングランド(ウェールズを含む)が連合協定を結び、グレートブリテン王国(Kingdom of Great Britain) となる
1801年 アイルランドの連合参加により、グレートブリテン及びアイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Ireland)となる
1922年 北の一部を除いたアイルランドが独立国になったことにより、国名はグレートブリテン及び北アイルランド連合王国United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)となり現在に至る

England とWales 一帯
Photo by : http://brilliantmaps.com
England とWales 一帯は1世紀から5世紀初頭にかけてのローマ人支配下でBritannia (Britain)と呼ばれていた地域。

3) 英語表記で国名とその人々、言語の関係を見てみる

さてこれら4つの国を、英語表記でそれぞれの国名とその人々、言語の関係を見ると面白いことがわかります。

国名 言語
England English English
Scotland Scottish Scottish/Scots
Wales Welsh Welsh
Ireland Irish Irish

ご覧のように、実はスコットランドにもアイルランドにもウェールズにも、オリジナルの言語があります。そして現在でもイギリスの国営放送であるBBCには、それらの言語に特化したテレビチャンネルもあったりするのです。

ところがご存知のように現代のイギリスではスコットランド人もウェールズ人もアイルランド人も日常的にはみんな、もともとイングランド人の言葉であったはずのEnglish(英語)を使っています。でもだからと言って彼らは決して English (イングランド人)とは呼ばれません。

"Are you English?"の本来の意味

前出の表をよ~く見て見てください。そうすると、"Are you English?"という質問は単に「イギリス人(イギリス出身)ですか?」と言うことではなく、

「(イギリスの中の)イングランドの出身ですか?」

という地域を特定した意味があるということが分かりませんか?

会話の中でこの国の出身だとは分かっているけれど、特にイングランド出身なのかを尋ねたい時など、イギリス国内でこの質問をする時はあえてそういった意味が込められています。

そしてこの質問の答えとしては、 "Yes, I’m from London." とか "Yes, I’m from Manchester." など自分の出身の都市名(Yesの場合はもちろんイングランドの都市名)を添える人も多いです

しかしまた時にはこの質問をした相手から、"No, I’m Scottish." とか "I’m Welsh."とかいう返事が返ってくることがあるかもしれません。なのでもし "I’m an English man!"と言われたら、それはちょっと誇らしげに「僕はイングランド出身なんだよ!」っていうことです。

スタンダードは、"I’m British, I’m from UK."

イギリスの街中

それでは一般的に彼らが「イギリス人です」と言う時にはどんな表現を使うのでしょうか?(ここまでの道のりが長かった!)

例えば彼らがイギリス国外に出たときなど、自分の出身地域を特定する必要もなく、単に自分がイギリス人であると言いたいとに使われるのは "I’m British."です(British: 名詞で「イギリス人」、形容詞で「イギリスの」 の意味)。これはイギリス国籍という意味でもあるので、もともと違う国からやって来た移民でイギリス国籍を持つ人たちもみんな "British (イギリス人)"と呼ばれます。

ですから当然のことながら、「イギリス人」といっても日本の皆さんが一般的にイメージされるようないわゆる「欧米人」の風貌を持つ人たちばかりではなく、イギリス、特にロンドンに多く住んでいるようなもともと植民地だった国々からの移民やその2世や3世、また政治難民としてやって来た人たちなどもイギリス国籍を取得している限り、みんな等しく "British(イギリス人)"なのです。

また「イギリス出身です」や 「イギリスに住んでいます」と言う時には(やっと出て来ました!)、通常正式名称の最初の部分を省略形 にした"UK(United Kingdom) "を使って、"I’m from UK""I live in UK"と言います(UK: イギリス (国名)。

ただ、一般的にイングランドの人たちは自身のことを British と呼ぶことにあまり抵抗がないようですが、スコットランドやアイルランドの人たちは、どうやら British という言葉をあまり使いたがらないようです

結局のところ、自分のことをScottish 、Irish などの言葉で表さないとどうもしっくりこないのではないかと思います。

その上、特に海外で British と言うと、English(イングランド人)と勘違いされる場合が多いからのようです(English という言葉は日本だけでなく、世界のいろんな国で誤った認識をされているようです・・)。

だんだん話がややこしくなってきましたが、要はそれだけ彼らの間では民族間のアイデンティティーが重要だ、と言うことです。

4) 近い将来、イギリスの国名が変わる!?

スコットランドのバグパイプ
Photo by : pixabay.com

そんな自国愛にあふれた人たちがいっぱいのスコットランドですが、スコットランドと言えば、多くの人にとってイギリスの他のどの国よりずっと具体的にイメージしやすいのではないでしょうか。

タータンチェックにバグパイプ、上質のウールにスコッチウィスキーやネス湖のネッシー伝説などなど・・

これら海外にも強くアピールする独特の文化・風土を持つこの国は、1707年のイングランドとの統合により独立国家でなくなった以降も、常に独自の法律や文化を持ち続けて来ました。スコットランドはイギリスの4カ国の中でも一番、自国と民族としてのアイデンティティーを誇りに思う人たちではないかと感じます

そんな彼らですから、一度はイングランドと統合された議会でしたが、国民投票によって1999年よりUKとしての中央政府とは別に独自の議会が運営されるようになり、地域の独立性を保とうとしています。

このように長い歴史を通じて常に独立意識の強いスコットランドですが、2014年に行われたUKから離脱して単独国家になるかどうかを決める国民投票では、僅差でUKにとどまる結果となりました。ところが昨年イギリスが国民投票によるEU離脱を決定したことを受け、その同じ国民投票で6割以上がEU離脱に反対したスコットランドでは、以来再び独立の機運が高まって来ています。

独立を掲げるスコットランド国民党の現スコットランド政権は、色々課題を抱えながらも近い将来に向けて再度、独立を問う国民投票の実現を目指しているようです

ウェールズの国旗
Photo by : pixabay.com
実質的にイングランドによって併合されたウェールズの国旗は、UKの国旗であるユニオンジャックには含まれていない。

ということで、もし将来イギリスからスコットランドが独立してしまったらイギリスの正式名にどのような影響が出るのか、を考えてみました。

4ヶ国合併のタイムラインにもあったように、スコットランドとイングランドが合併して初めて "Great Britain"となったので、スコットランドが抜けた段階でこの表現は使えないはず。しかしそうなると、いったん付いていた "Great" という greatな言葉を外して以前のようにただの "Britain" だけになってしまい、それではなんだか威厳がなくなってしまったような印象も与えかねません。

それではということで、もしかしたら新しい名称は

United Kingdom of England, Wales and Northern Ireland

とまたもや長ったらしいものになるのでしょうか・・さらにもし本当にスコットランド独立が実現してしまい、それに触発された北アイルランドが自分たちもやっぱり南の同胞と共にひとつのアイルランドになりたい!ということで万が一UKから離れてしまったりすると(実際、1970-90年代にはUKからの北アイルランド奪還を目的としたテロが多発)、もともとウェールズはイングランドに吸収されたようなものですから、その時こそ本当にイギリスが England(Kingdom of) と呼ばれる日が来るのかもしれません!

最後に

ということで、ここらで誰かえらい言語学者とかが出てきて、「もうそろそろ原語に忠実に、これからはイギリスのことをブリテン(あるいはUSAのようにUK)、その人々をブリテン人と呼ぶことにしようではないか!」と提唱してくれることを祈っている今日この頃です。

もしそれが叶わないなら、スコットランドと北アイルランドが独立するまで待つことにしますか・・

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この留学ブログを書いた人

May

May

留学生としてイギリスに渡って以来、今年でロンドン在住は16年目。まわりの人々に支えられ、イギリスで仕事をして生活するという10代の頃からの夢がかないました。自分が留学を目指していた頃の、そのワクワク感をみなさんと共有できるような情報をお伝えしていきたいです!

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