中学生はカナダに留学できる?日本との教育制度の違いを知って、最適な留学方法を考えよう!

自然豊かで治安がよく、住みやすいと人気のカナダ。

優しい人が多く、留学生の受け入れにも慣れており、毎年数多くの留学生が訪れています。英語のなまりが少なく、日本人にとって非常に聞きやすい英語を学ぶことが可能なのも、留学先としての魅力のひとつです。

そんなカナダへ留学したいと考えている中学生の人や、子供をカナダに留学させたいと考えている人も多いはず。

とはいえ、カナダに留学するにはどうすればいいかや、費用がどのくらいかかるのかなど分からないことが多いですよね。

本記事では、カナダへ中学生が留学する場合の方法やかかる費用などについて解説します。カナダ留学を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。

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カナダ留学
なお、本記事ではカナダドルをCADと表記し、為替レートには2022年3月23日時点での情報を参照したうえで1CAD=98円にて計算しています。

カナダはどんな国?

世界で2番目に広い国であるカナダは、壮大な美しい自然であふれた住みやすい国です。なまりのない美しい英語や治安のよさからも、長年留学先として人気を誇っています。

日本と同じく四季があり、夏はカラッとしていて暑すぎず過ごしやすいのも魅力です。冬は地域によって氷点下20℃にまで寒くなるところがあるため、寒さが苦手な人は太平洋沿岸の地域がおすすめ。日本と変わらない気候でありつつ、より爽やかな気候のなかで過ごすことが可能です。

物価は日本とさほど変わりませんが、少しだけ高く感じることがあるかもしれません。とくに外食はチップも支払わなければいけないため、日本に比べてかなり割高に感じることが多くあります

さまざまな国からの移民が集まるカナダでは、食文化も豊富。メープルシロップをはじめ、サーモンやロブスター、アイスワイン、アルバータの牛肉など有名なもの以外にも、ケベックで味わう本場のフレンチやチャイナタウンで食べられる広東料理など、魅力たっぷりです。

カナダの公用語は英語とフランス語の2つがあり、基本的に英語がどこでも通じます。ケベック州ではフランス語が公用語とされているため、住民の多くがフランス語を話しているのが特徴です。

カナダの教育制度や日本との違い

カナダの政府には、日本の文部科学省にあたる教育省がありません。カナダでは各州ごとに教育省の機能を持った機関が存在しているため、教育制度はそれぞれ自治体によって異なります

カナダの2つ目の公用語であるフランス語教育に力を入れている州も多く、幼稚園のときからフランス語学習を取り入れているところもあるのが特徴です。義務教育期間も州によって異なりますが、だいたい6歳頃〜16歳頃までと定めているところが多く、日本よりも少し長めに設けられています。

学年をGrade1〜12で分ける

カナダでは、小学校から高校までの学年を「グレード」で数え、日本の小学1年生がグレード1、高校1年生がグレード10に相当します。

高校課程を修了する際には、それぞれ州によって必要な卒業検定のようなテストや取得すべき単位等が定められており、合格基準も州によって異なります。

グレード11・12のときに統一試験を受けなければいけない州もあれば、グレード9〜12の4年間で指定の単位を取得しなければいけない州など、条件はさまざまです。

中学校がある地域とない地域がある

カナダでは小学校・中学校・高校という決まりがそもそもないため、地域によって中学校にあたる学校がないこともあります。小学校の課程が7年間、高校の課程が5年間と定められていることもあり、州や地域によって異なる点に注意が必要です。

そのため、カナダの中学校へ長期留学がしたい場合には、留学できる学校や地域が限られます。また、基本的には私立の学校や後述するボーディングスクールというものに留学することになるのが特徴です。

入学時期が9月や2月と学校ごとで変わる

カナダの中学や高校へ入学する場合は、9月入学と2月入学の2パターンがあり、それぞれ学校によって異なります。カナダの9月が日本の4月にあたるため、9月スタートの学校が多いのが特徴です。

9月入学であれば、6月末に卒業式を行い、そのまま次の新学期である9月まで夏休みに入るという、カナダでの一般的なスケジュールが適用されます。

仮に2月入学を選んだ場合は、夏休み時期にホームステイ先や寮を一旦出なければいけないため、やや段取りが複雑になるのがデメリットです。また、9月入学のように卒業式がないことも多くあります。

【長期】カナダに中学生が留学できる方法

以下では、カナダへ中学生が留学する場合にはどんな方法があるのかについてそれぞれ解説します。

公立校への留学

カナダでは、ほとんどの子供が公立の学校へ通っていると言われており、学校の数も私立より公立の方が多く存在しています。

カナダの公立学校では留学生の受け入れに積極的なところも多く、英語がまだ話せない留学生のためにESLコースを充実させている学校も少なくありません。カナダには移民も多いため、留学生だけでなく英語が話せない移民の子供もたくさんESLで学んでいます。

私立学校へ留学するよりも費用が安くなることが多く、受け入れの基準も比較的緩めに設定されているのが特徴です。

とくに日本人にも人気が高いバンクーバーがあるブリティッシュコロンビア州では、州政府による留学生へのサポートが充実しているといわれています。

私立中学への留学

カナダでは、私立学校の数はあまり多くありません。公立の学校よりも独自の授業カリキュラムや校風を持っているため、自分にぴったり合う学校を見つけられるかもしれません。

公立がすべて共学校であることに対し、私立では一部男子校や女子校も存在します。後述するボーディングスクールとは違い、必ずしも全寮制というわけではありません。ホームステイ等も選択することができます。

公立学校に比べて留学生の受け入れ基準が厳しいことが多かったり、学費が高くなったりする点には注意が必要です。

ボーディングスクール

ボーディングスクールとは、全寮制の学校のことです。ボーディングスクールの多くが私立ですが、なかには公立も一部あります。世界各国からの留学生や現地の学生たちと、授業だけでなく日々の生活もともにするため、どっぷりカナダの生活に浸ることが可能です。

寮のセキュリティはしっかりとしているほか、寮長などサポート係も駐在しています。ボーディングスクールの多くがハイレベルな設備や授業を用意していることや、共同生活を通して協調性や規則正しい生活が身につくことなど、メリットは豊富です。

ただし、ボーディングスクールの費用は高額になることが多く、1年間で500万円以上かかることがほとんど。プログラムによっては短期間のものもありますが、高校卒業まで通うとなると多大な費用がかかります。

中学生が1年のカナダ正規留学をするメリットとデメリット

次に、中学生がカナダへ1年間正規留学をするメリットやデメリットについて解説します。

メリット

中学生がカナダへ1年間正規留学をするメリットは、以下のとおりです。

・中学生という若い年齢からスタンダードなネイティブ英語に触れられる
・頭や考え方が柔軟な年齢からさまざまな国籍の生徒と交流ができ、価値観や考え方の幅が広がる
・広い視野で将来のことを考えられる
・中学生のうちから親元を離れて異国の地で暮らしたという経験が強みになる

デメリット

中学生がカナダへ1年間正規留学をするデメリットは、以下のとおりです。

・バンクーバーやトロントなど主要都市だと日本人が多く、日本人とばかり交流してしまう可能性がある
・いきなり1年間の留学をするとホームシックでストレスをためてしまう
・中学生だとまだ危機管理能力や自己管理能力が低く、危険な目にあう可能性がある
・費用がかかる

中学生が1年のカナダ長期留学をしたときの費用相場

中学生がカナダへ1年の留学をした場合にかかる費用について、以下で解説します。

カナダへ1年間の中学留学をする場合、公立か私立か、もしくはボーディングスクールに行くのかよって費用が倍くらい変わるのが特徴です。ここでは、最も費用がかかるボーディングスクールを例に紹介します。

カナダのボーディングスクールへ1年間留学した場合の費用合計目安は、約619〜842万円に。ボーディングスクールはほかの学校よりも費用が高く、公立学校の約3倍、私立学校の約2倍ほどかかるのが特徴です。

学校によって、滞在費や教材費、入学金などがプログラム費用にすべて含まれているか、別途発生するかは異なります。以下はあくまでも一例なので、詳しい費用は必ず希望する学校のホームページ等で確認してください。

ボーディングスクールは全寮制なので、毎日の食事は含まれていることがほとんどです。寮で提供される食事以外に、友達と出かけたときやカフェ代などがかかることがあります。

中学生であればお酒を飲んだり喫煙をしたりする嗜好品代がかからないほか、友達と遠出をしたり派手に買い物をしたりすることもあまりないため、そこまで娯楽費や雑費はかからないと考えてよいでしょう。

入学金 約1〜2万円
授業料 約500万円〜700万円
航空券購入費 約10〜20万円
海外旅行保険加入費 約20万円
ビザ申請費 約2万円
食費 約35万円
通信費 約3万円
交通費 約36〜48万円
娯楽費 約6万円
雑費 約6万円
総額 約619〜848万円

ビザは学生ビザが必要です。また、2019年以降ビザ申請費用150CADに加え、バイオメトリクスという指紋認証費用85CADも加算されるようになりました。(※1,2)

朝食と夕食は寮で出ることが多いため、昼食代や友人との食事などでかかる費用目安を紹介しています。

中学生のカナダ留学は短期がおすすめ

中学生ではじめてカナダへ留学をするという場合には、まず短期留学からスタートしてみるのがおすすめです。

カナダへ1年間留学するとなると、先述したとおりかなり高額な費用がかかります。もちろん公立の学校を選ぶなどすることで、費用は3分の1程度におさえることができますが、それでも決して安くはありません。

また、中学生でいきなり長期の留学をするのは、不安も多いはずです。短期留学であれば多少ホームシックになってもすぐに帰れるという安心感がありますが、1年となると耐え難い可能性も大いにあります。

いきなり長期で留学するよりも、まずは短期留学を通して海外に慣れることや、外国籍の生徒との触れ合い方を学ぶこと、自律した生活を送る方法を学ぶことなど、ある程度ひとりで異国の地で生活することに順応しておくことがおすすめです。

次項で、カナダへ中学生が短期留学する場合の方法について解説にするので、ぜひ参考にしてみてください。

【短期】カナダに中学生が留学できる方法

ここからは、中学生がカナダへ短期留学をする方法について紹介します。

ホームステイ

ひとつめの方法は、ホームステイです。カナダでは、現地の家庭での暮らしを実体験できるホームステイプログラムは、カナダへの留学方法として人気があります。

ホームステイでは、ホストファミリーと料理を作ったり、一緒に観光をしたり、近所の住人も呼んでパーティを催したりと、学校や寮生活では経験できないことがたくさんあるうえ、現地の人とコミュニケーションを取る機会が豊富にあるのが魅力です。

期間は短いものだと1週間程度から受け入れてくれるものもあり、気軽に参加できます。ハウスルールを守りながら生活を共にすることで、協調性や自律心も育てることが可能です。

ホームステイのみを行うものだけでなく、短期的に語学学校へ通いながらホームステイをするという留学方法や、親がたくさん提供されています。現地の語学学校で英語を勉強しつつ、ホストファミリーと過ごすことができるプログラムです。

期間は学校やプログラムによってさまざまですが、短期であれば2週間や1ヶ月を選ぶ人が多く、なかには3ヶ月や半年ほど通う人もいます。お試しで行ってみたいという場合には、日本の夏休みや冬休み等を利用して行ける2週間のプログラムがおすすめです。

ホームステイでは、語学学校で英語を学んで終わりではなく、家に帰ってからも英語にどっぷり浸かることができる環境があります。また、カナダ人の生活や文化を体感することができたり、ホストファミリーが作る温かい家庭料理が食べられたりと、メリットは豊富です。

家族との相性の良し悪しはもちろんありますが、語学学校へ事前に希望を出すことである程度自分に合ったところを探してもらうことができます。

サマースクール

夏休みを利用してサマースクールへ行くという方法もあります。カナダでのサマースクールとは、現地の語学学校や大学が主催している小学生から高校生を対象にした短期留学プログラムのこと。

英語が学べる授業だけでなく、スポーツやイベントなどのアクティビティも豊富です。遠足でほかの街へ出かけたり、カナダの大自然を体験できるイベントがあったりと、バケーション気分で楽しめます。

カナダの夏休みである6月末から8月末にかけて行われることが多く、1週間という短期間でも参加が可能なものが豊富です。費用もそこまでかからないため、カナダがどんな国なのかまずは体験してみたい、英語力に自信がないためまずは遊びも含めながら楽しく学びたいという場合におすすめ。

バンクーバーやトロントだと日本人がかなり多いことがありますが、ほかの都市だとさまざまな国の生徒が集まっています。

中学生が1ヶ月のカナダ短期留学をするメリットとデメリット

メリット

中学生が1ヶ月のカナダ短期留学をするメリットは、以下のとおりです。

・費用が抑えられる
・本格的な留学の前の練習になる
・海外への興味関心を増幅させることができる
・アクティビティが豊富で旅行感覚で留学ができる

デメリット

中学生が1ヶ月のカナダ短期留学をするデメリットは、以下のとおりです。

・あくまでも留学体験であるため、英語力はそこまで伸びない
・楽しくなってきた頃に帰国しなければいけない
・現地で経験できることが限られる

中学生が1ヶ月のカナダ短期留学をしたときの費用相場

photo by: oasisamuel / Shutterstock.com

以下では、カナダのサマースクールへ1ヶ月間行った場合にかかる費用の目安を紹介します。サマースクールへ1ヶ月間行った場合の合計費用目安は、約54〜75万円です。

長期留学の場合と同様に、プログラム費用に寮費が含まれていたり、食費が含まれていたりするところもあり、それぞれ詳細は異なります。必ずプログラムを提供している学校へ詳細を問い合わせてみてください。

サマースクールは、1年のなかでも航空券代が高くなりやすい夏場に開催されるため、往復の費用が上がってしまうことは避けられません。なるべくLCCを使ったり、乗り継ぎ便を使ったりすることで費用は抑えられます。

食費は、寮やホームステイであれば朝と夜は出ることが多く、かかるのは基本的に昼食代のみです。

授業料 約30〜40万円
航空券購入費 約15〜25万円
海外旅行保険加入費 約2万円
ビザ申請費 0円
食費 約3万円
通信費 約2,500円
交通費 約3〜4万円
娯楽費 約5,000円
雑費 約5,000円
総額 約54.3万〜75.3万円

1ヶ月の滞在であればビザは不要です。また、朝食と夕食は寮やホームステイ先で出ることが多いため、昼食代や友人との食事などでかかる費用目安を紹介しています。

1ヶ月でも英語力アップなど効果を得るコツ

1ヶ月の留学だと英語力が全く変わらないのではと心配になる人も多いはず。以下では、1ヶ月の留学でも極力英語力をアップさせる方法について解説します。

事前に中学英語を予習しておく

現地での授業やアクティビティにしっかりとついていけるように、中学校で習う英語は予習をしておきましょう。先生や現地の人が話す英語をまったく聞き取れないのと、ある程度聞き取れるのとでは、伸び幅が格段に変わります

また、少しでも英語を使って話すことができれば、自ら積極的にコミュニケーションを取ることができるため、スピーキング力の向上にも役立ちます。言語は、全くわからない状態で浴びても効果が出ません。

知っている英語を使って読み・書き・話す・聞くの4技能を一生懸命積極的にやってみることで、伸ばすことができるものです。

サマースクールでは英語力がそこまで高くない生徒を対象にしているため、先生も難しい英語を使ったり、早口で話したりはしません。中学英語をしっかりと学んだレベルであれば、十分についていくことは可能です。

オンライン英会話などで英語を話すことに慣れておく

現地で躊躇せず英語を口から出せるよう、まずはオンライン英会話などで英語を話すことに慣れておきましょう。

英語のスピーキング上達には、自ら積極的に話すことが何より重要です。とはいえ、あまり英語を話すことに慣れていなかったり、英語を話す機会が今までほとんどなかったりした場合には、いきなり現地で英語を話すことに壁を感じてしまいます。

せっかく現地でネイティブと話せる機会を逃してしまうのはもったいないので、サマースクールへ行くまでに英語を話すことに慣れておくべきです。

オンライン英会話を利用すれば、手軽に英語を話す練習ができます。はじめはうまく話せなくても、回数を重ねていけば英語を口から出すということに抵抗を感じなくなっていくはずです。

オンライン英会話は、オフラインの英会話スクールより費用が格段に安いので、ぜひ一度試してみてください。

お子さんのカナダ留学は高校からもおすすめ

どうしても長期留学がしたい、短期留学だと満足できなさそうと思っている場合には、高校生になってからの留学がおすすめです。

高校生になってからであれば、中学生の頃よりも自律心が向上し、自己管理能力や危機管理能力が伸びているため、ホームシックで耐えられなくなったときに自分で対処できたり、トラブルが起きても立ち向かっていけたりする力が高まります

また、日本の義務教育をしっかりと修了してから行くことで、日本とカナダの教育制度の違いを俯瞰することができ、より広い視野で物事を吸収することが可能です。

費用についても、高校生になるまでに貯蓄しておくことで、ある程度余裕を持たせることができます。中学生の間にしっかりと英語の勉強をして備えてから行くという点でも、英語力のより飛躍的な向上が期待できるでしょう。

カナダの高校留学については、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
高校生の交換留学では何ができる?基本から費用、利用できる主要なプログラムまで紹介!

まとめ

本記事では、中学生がカナダへ留学する場合の方法や費用、メリットなどについて解説しました。もちろん中学生のうちからカナダへ長期留学をするメリットは豊富にありますが、精神面や費用面での不安が残るという人も少なくないはずです。

そういった場合には、短期留学からスタートしてみたり、高校生になるまでしっかりと日本で準備をしてから高校留学に挑戦してみるのがおすすめ。英語力、精神力ともに磨いてから出発できるうえに、費用も蓄えておくことができます。

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    【参考文献一覧】

    ※1...Government of Canala「Canada’s Biometric Requirement」(参照日:2022-3-23)

    ※2...Government of Canada「Fee list」(参照日:2022-3-23)

    この記事を書いた人

    YF

    コンテンツディレクターとして多岐にわたるメディアのSEO記事制作に従事。カナダへの留学やマレーシア、オーストラリアでのホームステイ経験をもとに留学系コンテンツの制作も幅広く実施しています。前職では医療機器を各国へ販売する海外営業職にも従事していました。海外旅行が大好きで、これまで15ヶ国以上を旅してきました。

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