【留学前に必ずチェック】留学時の年金の手続きをまとめて解説

  • 2019/03/20

「留学中、年金の支払いってどうしたらいいのかな……」

と感じている方。

留学中でも、年金の支払いは必要です。ただし「海外転出届け」を提出することで、免除や納付猶予になり、出費を抑えることが可能です。

とはいえ、具体的な手続きや準備は、なかなかわかりにくいですよね。

そこで今回は、

  • ・留学中の年金支払いについて
  • ・海外転出届けを提出するメリットとデメリット
  • ・年金の手続きの流れ

などを紹介します。

まずは留学中の年金事情について、ざっくりと解説します!

なお、留学前にすべき公的手続きは下のページでまとめているので、具体的な検討を進めたい方はチェックしてみてください。
留学前にやるべき公的手続き一覧!役所や公的機関での手続きを一挙解説

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留学中は年金の支払いが必要?

留学中、年金の支払いは必要です。

ただし条件を満たしていれば、手続きによって免除になるケースもあります。

まずは、

・年金の概要
・支払いが免除や猶予になる条件

を紹介します。

年金とは、日本国内に住む20歳から60歳までが支払う保険料

年金とは、日本国内に住んでいる20歳から60歳までの人を対象に支払う保険料で、自分が住んでいる街の市役所などに納めます。

主に以下の2種類があります。

厚生年金:企業に勤めている人が加入するもの。給料から自動的に支払われる。
国民年金:自営業や個人事業主、もしくは無職の人が加入するもの。納付書が届くため、役所やコンビニで支払う。

20歳になる誕生月の前後に、日本年金機構から「年金手帳」と「国民年金被保険者関係届書」が届きます。書類を記入し、市役所や年金事務所に提出することで年金の支払いが発生します。

そして65歳以降に年金を受給しますが、以下の3種類があります。

  • ・老齢基礎年金
  • ・障害基礎年金
  • ・遺族基礎年金

国民年金の加入者で納付が難しい場合「納付猶予制度」を利用する人も少なくありません。また日本国内に住んでいない人や現役の学生も、免除が可能です。

その条件を次で詳しく見ていきます。

免除・猶予の条件

年金は収入の減少や失業など、経済的に支払いが難しい場合に免除の申請ができます。メリットは未納せずに申請をすることで、免除や猶予の期間が年金の受給期間に計算されることです。

そのため免除になっても、将来の年金受給額がゼロになることはほとんどありません。また後から納付もできるため、一時的に支払いが難しい場合は申請するべきです。

条件は以下の通りです。

・本人の所得が少ない
・世帯主や配偶者の収入も少ない

また免除の範囲にも種類があり、

  • ・全額免除
  • ・3/4免除
  • ・半額免除
  • ・1/4免除
  • ・納付猶予

など、収入状況に応じて判断されます。

留学中は「海外転出届け」の提出で年金加入の義務がなくなる

ここまで、収入が少ない場合の免除や猶予について解説しました。

その他の理由である、留学やワーキングホリデーなど海外に滞在する場合、以下の2つの選択肢があります。

・海外転出届けを提出して免除
・任意加入で支払いを継続

まず「海外転出届け」を提出することで支払いが免除されます。

海外転出届けとは「自分が今どこに住んでいるのか」を証明するものです。住民票のようなものですね。

海外での滞在を証明することで、以下の支払いが免除になります。

  • ・国民健康保険
  • ・住民税
  • ・国民年金

海外転出届けを出すことで、基本的に3つとも免除の対象になります。しかし年金だけは、「任意加入」が可能です。

任意加入とは、海外転出届けを提出しても年金の支払いだけは継続することです。クレジットカードや口座引き落とし、身内による支払いで継続可能に。任意のため、余裕がある方は支払うことをおすすめします。

ただし学生は「学生納付特例制度」を利用していると思いますが、これは免除の対象にはなりません。次で詳しく解説します。

【学生の年金】留学中に「学生納付特例制度」は利用できない!

ここでは

・学生納付特例制度
・留学中は免除にならない理由

を解説します。

年金の「学生納付特例制度」とは、学生は支払いを免除できること

年金は、20歳から支払いの義務が発生するとお伝えしました。しかし学生は20歳以上でも「学生納付特例制度」を活用することで、支払いが免除になります。

これは「“本人の所得が一定以下の学生”は年金が免除される制度」です。学生の場合、アルバイトをしていても収入はあまり大きくありませんよね。支払い能力がないため、納付を免除できます。

この制度では、家族の所得などは一切問いません。また学校の種類は大学や短期大学、高等専門学校、特別支援学校、通信課程など問わないため、ほとんどの学生に適用されています。

留学中は学生納付特例制度を利用できない

学生であっても、留学中は学生納付特例制度を利用できません。なぜならば、留学中は「強制加入」の期間ではないからです。

というのも、年金は日本国内に住む20歳から60歳の人に対して納付義務が発生するものです。この年齢で日本に住んでいる人は、必ず支払う義務があります。

しかし海外にいる間は「日本国内に住んでいる」という条件から外れますよね。そのため学生納付特例制度の利用条件を満たすことができないため、この制度を活用できないのです。

そのため支払いを免除したい場合は、学生であっても「海外転出届けの提出」もしくは「免除や納付猶予の申請」をする必要があります。

ここまで留学中の年金手続きについて、ざっくりと解説しました。続いては海外転出届けの手続きをするメリットとデメリットをお伝えします。

留学前に年金の手続きをするメリットとデメリット

ここでは、海外転出届けの

・メリット
・デメリット

を解説します。

留学中に海外転出届けを出すメリット

海外転出届けのメリットは、以下の通りです。

  • ・滞在中の支払い義務が必要なくなる
  • ・追納すれば受給額が減らない
  • ・遺族年金や障害基礎年金が受給できる

1年以上の留学となると、税金だけで数十万円の支払いになることも少なくありません。提出することで、税金の支払い義務が一時的になくなります。

留学中に海外転出届けを出すデメリット

デメリットは以下の通りです。

・将来の年金受給額が減る
・(海外での病気やケガで障害が残った場合)遺族年金や障害基礎年金が受給できない

納付免除になると将来の受給額が大幅に減りますが、帰国後に納付も可能です。2年前までは後から納付でき、受給額にも大きな影響を与えません。

留学期間も考えて検討する

海外転出届けは、基本的に「1年をこえる海外での滞在」が対象です。そのため、長期留学では提出した方がメリットが多いです。

短期留学は任意ですが「○カ月以上の滞在から受け付ける」などのルールは特にありません。提出することで税金の支払いが免除されるため、お得なことは多いです。

また留学期間が決まっていない場合も、とりあえず提出を検討してみてください。渡航してからの手続きは代理人を立てる必要があり、なかなかスムーズに進まないからです。

ここまでメリットとデメリットをお伝えしました。続いては、実際の手続きの流れを解説します。

【留学の年金手続き】ステップ1:役所や年金事務所で手続き

まず留学前の手続きとして、

・申請場所
・必要な書類

を解説します。

手続きは年金事務所や役所

手続きは基本的には「年金事務所」ですが、以下でも受け付けています。

・市役所
・区役所

また両親など、代理人での申請も受付が可能です。

もしも「留学準備で忙しい……」という場合は郵送をお願いすることもできます。

その場合は書類を自宅まで郵送してもらい、記入して役所に発送。ただし間違いや記入漏れがあった場合、何度も郵送を繰り返すことになります。

なるべく役所で、担当の方にチェックしてもらうことをおすすめします。

海外転出届けに必要な書類

手続きに必要書類は以下の6つです。

・年金手帳
・印鑑
・パスポート
・(任意加入の場合)通帳と口座番号がわかるカード
・マインバーカードもしくはマイナンバー通知カード
・印鑑登録証

申請場所によって必要となる書類は異なる場合もあるため、申請の際には事前に申請窓口が公開している情報を確認しましょう。

【留学の年金手続き】ステップ2:帰国後の手続き

続いては帰国後の流れとして、

・手続きの期日
・申請場所

を解説します。

帰国後にすぐ手続きをしよう

留学後は、帰国から14日以内には海外転入届けを済ませておくことをおすすめします。なぜならば14日より遅れて手続きをすると、「住所不定からの転入」と記載されるからです。

多くの人が帰国後、実家に帰るかと思います。このときに「どうせ就職するとすぐに引っ越すから」と、手続きを後回しにする人も少なくありません。

しかし勤務先の手続きが長引くと、住民票の手続きも長引くことに。その結果14日を過ぎてしまい「住所不定から転入」と記載されてしまいます。

公的な手続きをしていないと、海外に住んでいたことが証明できません。14日以内には役所で住民票を異動し、年金の手続きをしてもらいましょう。

帰国後の手続きをする場所

帰国後の手続きは、以下の2カ所で行います。

・住民票の異動:役所
・年金の手続き:役所、もしくは年金事務所

ここまで手続きの流れを解説しました。最後に、準備における注意点をお伝えします。

年金の手続きをする前にチェックするポイント2つ

留学前の年金準備での注意点として、

・海外転出届けの提出日
・還付

について解説します。

海外転出届けの提出日に注意

「海外転出届け」は、異動日に注意してください。なぜならば異動日によって、国民健康保険や住民税、年金の免除月が変わるからです。

手続きによる税金の支払い義務の失効は、異動日の翌日です。そのため例えば、2月1日に異動すると失効する日は2月2日に。そのため2月の支払いは通常通り必要となります。

住民票を異動できるのは、出国日の14日前からです。そのため出国日が2月12日であっても、異動は14日前の1月30日にしておく方が税金の節約につながります。

なるべく早めの異動をおすすめします。

前もって支払った年金は還付も可能

海外転出届けの提出によって年金の支払いは免除されます。しかし中には「年金を前もって1年分支払っている」という方もいるかと思います。

その場合はすでに支払った年金のうち、支払いが免除となる月以降の年金を還付してもらうことができます。還付は銀行口座への振込です。

留学費用に使いたいという場合は、還付の申請も検討してみてくださいね。

まとめ

今回は留学の年金手続きについて解説しました。

おさらいすると、留学中の年金は以下の対応が可能です。

・海外転出届けを提出して免除
・任意加入で支払いを継続

もしも海外転出届けを提出する場合、以下の流れで手続きを進めます。

  • (1)年金事務所や役所で海外転出届けを提出する
  • (2)帰国後、住民票を移動させる
  • (3)必要あれば、年金を追納する

今回の記事を参考に、留学前の年金準備を進めてみてくださいね。

なお、行政手続き以外に留学で準備すべきことなどは、LINEで相談を受け付けているので、留学先の手配をはじめ具体的に準備を進めたい方はお気軽にご相談ください。

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また留学では年金以外にも住民税などの税金手続きが必要な場合があります。知らずに損をしないためにもあわせて下の記事も参考にしてみてはいかがでしょうか。
【社会人向け】留学中にかかる税金と支払い方法まとめ。海外転出届けの提出方法も紹介

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    この記事を書いた人

    モリキアユミ

    1992年生まれ、京都府出身のフリーライター。大学卒業時に就職を蹴って、24カ国・50都市の世界一周を実行し、旅の途中からそのままライターへ。現在はタイと日本を行ったり来たりしています。オーストラリア留学とセブ島留学の経験あり。

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