TOEICのリスニングパートをスコアアップしたいけれど対策や勉強法が分からないと悩んでいる方は多いでしょう。
この記事では、以下の内容を主にご紹介します。
・TOEICのリスニングパートの問題形式などの基本情報
・リスニングでスコアが上がらないよくある原因
・目標スコア別のリスニング対策方法
・リスニング対策におすすめ参考書やアプリの紹介
・本番2カ月前にできるリスニング対策のスケジュール例
「リスニングの点数がなかなか上がらない」などの悩みを解消してTOEICで目標スコアを獲得できるよう、具体的に勉強方法を知りたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
[目次]
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まずはTOEICのリスニングパートがどのような構成になっているのかを知りましょう。下の表は、リスニングパートの問題構成をまとめたものです。
パート名 | 出題内容 | 設問数 | 想定所定時間 |
---|---|---|---|
パート1 | 写真描写問題 | 6問 | 約4分30秒 |
パート2 | 応答問題 | 25問 | 約8分 |
パート3 | 会話問題 | 39問 | 約18分 |
パート4 | 説明文問題 | 30問 | 約15分 |
各パートの詳細な出題内容や平均スコアを以下で詳しく紹介していきます。
ここではパート1からパート4のリスニングパートの出題内容について解説していきます。
試験では各パートの最初に、どのような形式の問題かを解説する「ディレクション」があります。そこでパートごとの出題内容をあらかじめ知っておけば、「ディレクション」を読む必要も聞く必要もありません。
その分、問題を先読みする時間に当てるのがスコアを伸ばす秘訣です。なお、すべてのパートで出題音声は1度しか流れないので集中して聞きましょう。では詳しく解説していきます。
パート1は写真描写問題です。問題用紙にある写真を見て音声で流れる(A)~(D)の4つの英文から、写真の描写として最も適切なものを選びます。
問題用紙には写真のみ印刷されており、選択肢は記載されていません。設問数は6問です。
パート2は応答問題です。最初に質問や発言などの短い音声が流れます。続いて(A)~(C)の3つの文が流れるので、最初の音声に対して最も適切な応答を選びます。
問題用紙には、“Make your answer on your answer sheet.”(答えを回答用紙にマークしなさい。)と書かれているのみなので、最初から最後まで集中して聞きましょう。設問数は25問です。
パート3は会話問題です。2人または3人による40秒程度の会話音声を聞き、それに関する3つの設問に対してそれぞれ適切な答えを(A)~(D)の4つの選択肢から選びます。
問題用紙には設問と選択肢が書かれています。音声で流れるのは、会話と設問のみです。図表を見て答える問題も2〜3問程度含まれます。
設問と選択肢をできるだけ先読みして、聞くべきポイントを押さえた上で会話音声を聞けると、スムーズに回答できます。会話は全部で13セットで、設問数は39問です。
パート4は説明文問題です。40秒程度の1人のナレーターによるトークを聞いて、それに関する3つの設問に対してそれぞれ適切な答えを(A)~(D)の4つの選択肢から選びます。
パート3と同じく問題用紙には設問と選択肢が書かれ、音声で流れるのはトークと設問のみです。図表を見て答える問題も2〜3問程度含まれます。
パート3同様、設問と選択肢をできるだけ先読みして、聞くべきポイントを押さえた上でトーク音声を聞くようにしましょう。トークは全部で10セットで、設問数は30問です。
日本人のTOEICの平均スコアを紹介します。TOEIC Program の開発者であるETSがまとめたTOEICの受験者に関する2022年のレポートによると、日本人の平均スコアは以下のとおりです(※1)。
・リスニングパート:309(満点:495)
・リーディングパート:252(満点:495)
・トータル:561(満点:990)
結果を見ると、リスニングパートの方がリーディングパートよりもスコアが高いことが分かります。どちらが得意であるかは個人差がありますが、一般的にはリスニングパートの方がスコアを取りやすいです。目標スコアを決めたら、その半分よりも高いスコアをリスニングでは目指しましょう。
TOEICのリスニングスコアを上げたいなら、なぜ上がらないのかを考えて対策すべきポイントを明確にしましょう。
そこで以下では、よくある原因を紹介します。自分がどのパターンでスコアを逃しているのか振り返ってみて、リスニング対策の参考にしてください。
TOEICの問題自体に慣れていないと手間や時間のロスが発生しやすく、集中力も落ちて本来獲得できるスコアを逃しやすくなるでしょう。
TOEICで出題される問題形式や試験の流れは決まっています。それらを分かった上で試験に臨めば時間を効率的に使え、より集中して問題に取り組めるはず。結果としてスコアアップにつながります。
例えば、前述のとおり各パートでは最初に問題形式を説明するディレクションがありますが、すでに問題形式を知っていればそれを理解する手間も時間も必要ありません。
代わりにディレクションの時間をパート3やパート4の設問の先読みにあてることができ、時間を有効活用できます。まずはTOEICの問題形式や流れを知って慣れましょう。
語彙力や文法力が不足していると、そもそも英文を理解することが難しいでしょう。この2つは英語の基礎力として重要です。不足している場合は、以下のような方法で対策をしましょう。
文法は基本的には文法書を一通り勉強すれば完了します。文法が分からないという方は一番厚さの薄いものでいいので、専門の参考書を1冊勉強しましょう。細かい例外的な文法事項については、最初から頭に入れるのが難しければ問題を通してその都度習得していくのもありです。
語彙力はどのレベルになっても勉強しつづける必要がありますが、まずはTOEIC専門の単語帳を1冊用意して徹底的に暗記しましょう。目標スコアが明記されたものを使って勉強をすれば、さらに効率良く語彙力を高められます。特に「頻出」と記載のあるものから集中して覚えることで、スコアに即結びつきやすいです。
ある程度語彙力を高めても正しい発音を理解していないと、音声から正しい語句を認識できずスコアを逃す原因となります。単語やフレーズを暗記するときは、音声を聞いて自身でも発音をして確認する習慣をつけましょう。
また発音と意味の両方理解している単語であっても、文章の中で使われると音がつながり認識できないことがよくあります。この対策としてはリスニング問題を解いて答え合わせをする際に、正誤に関わらず聞き取りづらかった部分を見直すのが有効です。
聞き取りが怪しい部分の音声とスクリプトを照らし合わせ、まず目で確認し、次に声に出して音読をすることで英語独特の音のつながりを体得できます。地道ですが目の前の英文ごとにこれを繰り返し、少しずつ慣れていくことでやっと英語の音声感覚を養えるのです。
リスニングパートの音声では、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアの4カ国の発音がランダムに使われています。同じ単語でも国によって発音が違うものがあるため、同一単語と認識できないということはよくあること。日本語でも地域によって訛りがあり、聞き取りづらいことがあるのと似ています。
実際に、日本の英語教育ではアメリカ英語が主流のため、他の国の英語の発音に慣れていない方は多くいます。
ほとんどの場合、TOEICの問題集の解答ページにはどの国の発音による音声だったのかも記載されているので、答え合わせをする際は発音の種類も必ずチェックするようにしましょう。特定の国の発音が苦手だと分かれば、集中してその発音の対策をすることができます。
ここではTOEICでの各目標スコアにおいて、リスニングパートで目指したいスコアや対策方法を詳しく解説していきます。ここではパート別のコツやリスニング力底上げの練習方法にも触れているので、ぜひ学習に役立ててください。
目標スコアが500、600点台の方は、リスニングパートで300~330点くらいは取れるように目指しましょう。パート1とパート2は1文が短くて比較的スコアを取りやすいので、できるだけここで点数を稼ぐのがおすすめです。
パート1では、1人か複数の人物が写っている描写問題が4〜5問、風景や室内の状況を表す問題が1〜2問出題されます。能動態や受動態、進行形などを使った動作を表す表現や位置関係を描写する表現がよく出るので、練習問題でさまざまなパターンに触れて慣れておきましょう。動詞は何が主語になっているかによって形態が変わります。各選択肢の主語も重要な聞き所となるので注意が必要です。
パート2では、約8割以上が疑問文に対する応答文を答える問題となっています。疑問文は文頭で疑問詞から始まるものが多いので、特に出だしを聞き漏らさないよう集中しましょう。文章自体はシンプルでも、スピードが速く聞き取りづらい場合がよくあります。
問題を解いたあと、音声を聞きながら同じスピードでスムーズに音読できるまで練習すると、英語の感覚に慣れてリスニング力アップに効果的です。
目標スコアが 700、800点台の方は、リスニングパートで400~440点くらいは目指しましょう。取り組みやすいパート1は全問正解を目指し、パート2は間違えても2〜3問までにとどめたいところ。
パート3、4は長い文章が出てきて難易度が上がりますが、それぞれミスをしても10問以内にとどめるよう目指しましょう。
パート3とパート4は似ていて、最初に40秒程度の長めの音声を聞いてそれに関する設問に答える問題です。ここではいかに設問を先読みして、聞くべきポイントを押さえた上で音声を聞けるかがポイント。回答時間の合間や各パートのディレクションの時間を戦略的に活用して、早めに設問に目を通しておきましょう。
パート3では会話文として、電話でのやりとりやレストランへの予約、問合せ対応などいくつかよく出題されるパターンがあります。パート4のナレーターのトークでは、留守番電話への吹き込みや店内のアナウンス、スピーチなどがよく出るパターンです。
各パターンに対する頻出表現があるので、問題集でパートごとの重要表現としてまとめられているものがあれば、集中的に覚えましょう。また、問題の中で出会った表現は確実に身につけていくことが大切です。
目標スコアが900点台なら、リスニングパートでいかに満点の495点に近づけるかがポイント。パートごとに攻略のコツを押さえて対策するのに加えて、リスニング力自体の底上げを目指して訓練することが大切です。パート3、パート4の会話やトークの英文を素材に、以下のような練習をおすすめします。
まずは英文のスクリプトを見て、語句の意味や文法構造を理解しながら自分のペースで音読をしましょう。音読とともに文章の意味が頭に瞬時に浮かぶようになったら、お手本の音声を流しながら同じスピードで同時に音読をします。これにも慣れてきたら、音声の抑揚や間などしゃべり方も真似してみましょう。英語の感覚をより体得できます。
音読に慣れてきたら、次はスクリプトなしで音声を聞いて少し遅れてリピートする「シャドーイング」を行います。耳だけを頼りに音読するため難易度は上がりますが、その分リスニング力が鍛えられます。
音読やシャドーイングは問題文に限らず自分の興味のある英文で練習しても構いません。むしろ取り組みやすくなり、効果も上がりやすくなりますよ。
目標スコアに関わらず、共通して必要となるのは語彙の対策。知っている単語やフレーズが少ないと、そもそも英文の理解が難しくなります。自身の目標とするスコアレベルの単語帳でTOEIC専用のものを用意し、学習を進めましょう。
単語帳を選ぶときは、必ず音声を聞けるものを選ぶのがポイント。さらに単語やフレーズの意味だけでなくそれを使った例文も豊富にあり、その音声も確認できるものがおすすめです。
単語やフレーズは単独で覚えるよりも例文で覚える方が使い方を理解しやすく、実際に問題文に出てきたときも困らないでしょう。さらに音声でも確認することで、その語句が文章の中でどのように聞こえるのかを確認できるため、耳を鍛えるのに効果的です。
ここからは、TOEICのリスニング対策におすすめの参考書やアプリを紹介します。うまく活用してぜひスコアアップにつなげてくださいね。
<主な特徴>
・パート別に問題形式の特徴とスコア獲得のためのコツを丁寧に解説している
・TOEIC全体で600点を目指す方の基礎問題と730点以上を目指す方用の上級問題がある
・パートごとにスコアアップ直結の頻出表現が簡潔にまとめられている
『はじめて受けるTOEIC(R)L&Rテスト 全パート完全攻略』は、TOEIC初級者用の問題と中級者用の問題があり、自身のレベルに合わせて段階的に長く使える総合対策本です。
リスニングだけでなくリーディングパートもすべて勉強できます。各パートの解き方のコツが分かるので初めてTOEICを受験する方や、早くスコアアップしたい方などにおすすめです。
<書籍情報>
Amazon URL:はじめて受けるTOEIC(R)L&Rテスト 全パート完全攻略
出版社:アルク
著者:小石裕子
<主な特徴>
・さまざまなシチュエーションの英会話スキットを、音声とスクリプト、フレーズ一覧付きで勉強できる
・覚えておきたい「今日のフレーズ」を例文とともに毎日更新してお知らせしてくれる
・希望すればTOEICの最新情報を届けてくれる
TOEIC公式による無料スマートフォンアプリの『TOEIC公式コンテンツ』は、ビジネスや日常などさまざまなシチュエーションで使われる英会話スキットにもとづいて、TOEICのリスニング力を鍛えられるアプリです。
英会話音声のダウンロードや再生が可能で、リスニングや理解度チェッククイズ、フレーズテストができます。スキマ時間で効率的に勉強をしたい方や音声を手軽に聴きながら勉強をしたい方におすすめです。
TOEIC公式コンテンツ by IIBC
The Institute for International Business Communication無料posted withアプリーチ
<主な特徴>
・TOEICはもちろん、さまざまな英語試験に向けて音声とともに英単語を習得できる
・ゲーム感覚で英単語の勉強ができる
・TOEICの人気単語帳「金のフレーズ」など140冊以上の単語帳が収録されている
無料スマートフォンアプリの『mikan』は、発音とともに効率的にTOEICの英単語を学べるアプリです。英検、大学受験、TOEFL、ビジネス英会話など豊富な学習コースが用意されているのがうれしいポイント。
有料コースに課金すると、TOEICの実戦問題も学習できます。語句と発音を同時に学習したい方や単語帳での勉強に飽きやすい方におすすめです。
英語勉強アプリmikan-TOEIC/英検®/英会話/英単語
mikan Co.,Ltd.無料posted withアプリーチ
対策方法やおすすめの教材などをご紹介してきましたが、具体的に今日明日から何を始めようかと悩んでしまう方もいるでしょう。
ここでは試験まで2カ月の想定で現在500〜600点台の方が700点台を目指すためのスケジュールの一例を、リスニング対策に焦点を当ててご紹介します。
ステップ1は、勉強スタート1日目にすることです。TOEICの公式問題集や模擬試験で本番と同じように時間を測って、全問題に取り組みます。
これは現在の実力を測るためのステップです。実力を把握することで取り組むべき課題が見えやすくなります。
ステップ2は、勉強を始めて1〜2週間間で進めていきます。先ほど紹介した書籍の『はじめて受けるTOEIC(R)L&Rテスト 全パート完全攻略』などを参考にして、パート別にじっくりと例題に取り組みながら、問題傾向と解き方のコツを理解しましょう。一通りパートごとに問題の特徴を確認したら、ステップ3に移行します。
基本的な文法が怪しい方は、平行して文法書も確認しておきましょう。また語彙の勉強も平行して進めます。
ステップ3は試験直前まで繰り返します。ステップ2で確認したパートごとの特徴と解き方のコツを念頭において、練習問題を解いていきましょう。解いたあとは、丁寧に見直しをします。
具体的には、間違えた問題に対しては何が原因だったのかをまず確認します。聞き取るべきポイントはどこだったのか、文法や語彙、特定の国の発音などどの要素で聞き取れなかったかなどを考えます。
間違いの原因が分かったら、スクリプトを確認しながら聞き取りができなかった部分をまず集中的に音読しましょう。スムーズに読めるようになったら音声のみを流して、シャドーイングをするのもおすすめです。音読は問題の正誤に関わらず、解いた問題すべてで行うのが効果的ですよ。
ここでは試験まで2カ月を切っているので、練習問題の数をこなすというよりも解いた問題を確実に身につけるように意識しましょう。丁寧に見直しをして音読もすることで文法、語彙、発音、リズムなどを体で覚えることができ、とことん英語力を鍛えることができるのです。
ステップ4は、試験まで1カ月を切ったら1週間に1〜2回程度取り入れます。試験は2時間と長いため、このステップでは最初から最後まで集中力を切らさずに取り組む練習をします。毎日する必要はありません。
このステップではできるだけ本番と同じ時間帯で、リスニングもリーディングも通しで模試を解きます。解き終わったらステップ3と同じように丁寧に見直しをし、リスニング部分の音声は繰り返し音読をしましょう。
この記事では、TOEICのリスニングパートのスコアアップに役立つ勉強法やおすすめの教材、対策のスケジュール例などを紹介してきました。
リスニングパートでは、問題形式や試験の流れなど基本的なことを理解し、各パートの攻略のコツをふまえて練習をすることが大切。本番2カ月前でも効率的にスコアアップを図れるはずです。
さらに高得点を目指す方は、リスニング力自体を上げるために音読やシャドーイングといった訓練も取り入れると効果的です。TOEICのリスニングパートで目標スコアを取りたい方は、ぜひこの記事を参考にして対策に取り組んでみてください。
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※1...ETS「2022 Report on Test Takers Worldwide : TOEIC Listening & Reading Test」(参照日:2023-7-8)
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