こんにちは。交換留学制度を利用してドイツに1年間留学していた愛優です。
交換留学は、単位交換制度を通して単位計算をしっかりと行えば4年間で卒業できる、私費留学に比べて費用が比較的抑えられるなど、メリットの多い留学方法です。
しかしながら、現地で語学を習得するというより、専門分野の知見を深めるというゴールがあります。
そのぶんハードルが高かったり、メリットの多さから応募者が多かったりと、留学に行くまでの道のりは簡単ではありません。
今回は交換留学の準備の中でも最初のハードルである「願書」について、書き方のポイントを実際に交換留学に応募した経験とあわせてご紹介していきます。
交換留学を検討されている方、実際に現在願書を書いている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
[目次]
留学の願書で最も重視されるセクションは「志望理由」です。
というのも、志望理由には端的に、
など、選考に重要なことが含まれているからです。
逆に言うと、これらをしっかりと志望動機に含めなければなりません。
志望動機をしっかりと固めて願書を提出することで、大学など選ぶ側は「この人に留学に行ってもらうことで大学側としてもこんなメリットがある」と感じてもらうことができます。
また面接時、しっかりと留学に向けての意思を伝えなければいけません。そのことを考えても志望動機は非常に重要です。
では、実際にどのようなステップで願書を書いていけばいいのか、具体的に5つのステップに沿ってご紹介していきます。
留学を経てどのような自分になりたいのかを考えてみましょう。ここで重要なのがゴールを具体的に考えることです。
「グローバルな人材に」「海外の知見を得る」という抽象的なゴールでは、合格するとはいえません。
「自分の専門分野をその分野の先進国である○○で学ぶことで、自分の研究に活かす」など、留学は自分のゴールにどのように作用するのかを意識して、設定をしてみてください。
志望動機は全て留学のゴール設定からスタートし、このゴール設定に帰着します。願書の大黒柱となる部分なので、時間をかけてしっかりと固めてください。
ゴールの次はスタートである「目標を持ったきっかけ」を整理します。
留学に行きたいと思ったきっかけは何だったのか、またどうして交換留学という手段を選んだのか、自分の中で掘り下げていきましょう。
もちろん「なんとなく」という理由では志望動機として非常に弱いです。
研究や専門分野の知見の習得であれば、授業中に読んだ論文や著書など、きっかけとして具体的なソースを記載しましょう。志望動機を裏付ける材料として強いです。
交換留学を選んだ理由に関しても、他の留学方法ではなく交換留学でないといけない理由があると、選考で有利になります。
ゴールとスタートを確認したあとは、そのゴールまでに留学が必要な理由を考えてみましょう。
この留学が必要な理由は、ゴールやスタートと一貫していることが大切です。これまで整理してきたことをもとに、留学する理由を書き出してみてください。
応募した際に、「確かにこれを達成するためには、留学しなければいけないな」と思ってもらえると書類審査、面接審査を通過しやすくなります。
もちろん、理由は1つでなくても構いません。他の項目よりも留学への熱意やこだわりをアピールできる重要なポイントとなるので、大切に考えましょう。
「交換留学ではどの大学でもいいので留学したいです」という応募は、基本的にできません。どの国、どの大学に留学したいのか明確にして応募する必要があります。
そのときに、なぜ希望する大学を選んだのか、その大学で具体的にどのようなことをしたいのか、説明できるようにしておきましょう。
このことを説明するためには、留学を希望する大学についてしっかりと調査しなければなりません。
など、その大学を志望する理由をゴールに沿って具体的に挙げていきましょう。
最後に帰国してからのアクションです。
留学して勉強しただけでは、自分のためにもなりません。また、帰国後のことを留学前からしっかりと考えることで、留学をより実りあるものにすることができます。
留学中に勉強したいこと、専念したい活動が帰国後の自分の大学での研究や活動にどのように役立てることができるのか、イメージしてみましょう。
留学の応募の段階で、帰国してからのことを考えている人は意外と多くありません。
帰国後をしっかりと考えている人は、留学について計画的だと好感を持ってもらうことができます。
ここまで紹介したステップで願書の構成を考えた後は、実際に願書を書いてみましょう。ステップごとに、日本語の文章と英語の文章をそれぞれご紹介します。
願書は日本語で書く場合がほとんどですが、面接では英語で聞かれることもあります。英語での表現も併せて確認しておくと、面接のときに役立ちます。
はじめに留学のゴールについてです。願書に必ず書く内容なので、押さえておくようにしましょう。
「私は観光業を専攻しています。現在日本には多くの外国人観光客が訪れているため、将来的に外国人観光客に携わる仕事をしたいと思っています。そこで外国人が多く訪れる国の一つである~~で観光業について学び、将来的に日本の訪日外国人向け観光の分野で活躍したいと思っています。」
ここで紹介するのは、留学のゴールについて伝えることができる表現です。
留学のゴールを表現する方法は様々。
自らが留学を通して学んだことを将来どのように活かしていきたいと思っているのか、具体的に伝えることができるのがこの表現です。
交換留学制度は、単なる語学留学ではありません。海外で自身の専門分野や研究している分野についての知見を広める留学です。
自身の専門や留学先で学ぶことがこのゴールに直結していると、交換留学への熱意をアピールすることができます。
目標を持ったきっかけでは具体的なエピソードを添えると、願書の読み手により詳細にそのきっかけをイメージしてもらえます。
「私がこの目標をもったきっかけは、授業で紹介された本を読んだときです。これまでは日本で十分に観光学について学ぶことができると思っていました。しかし紹介された著書に海外での取り組みが書かれており、その取り組みについて実際に現地で勉強したいと思ったのがきっかけでした。」
ここではきっかけを伝えるときに使える表現をご紹介します。
この表現を使えば、ダイレクトにきっかけを伝えることができます。
きっかけを伝えるときには「~というエピソードがあり、~と思ったことがきっかけで留学に行きたいと思うようになりました。」と長々と書いてしまうことはおすすめしません。
最初に端的にきっかけを書き、続いて具体的なエピソードを書いていくと、読みやすくて伝わりやすい文章になります。
自分のゴールに向けて留学が必要な理由を伝える際には、それが日本では達成することが難しいこと、海外に行くことでよりその目標が近づくことをアピールしましょう。
「私は訪日外国人観光について海外で学ぶ必要があると思っています。日本はまだまだその分野では発展途上国であると言えるからです。
もちろん海外の取り組みは日本でも書籍などで学ぶことができますが、私が着目した取り組みは日本ではまだ実践されていないものでした。
実際に観光に根差して取り組みが進められている~で勉強することで、日本でも同様に実行できるのか、また取り組みの中で起きている問題があれば、それはどのような部分なのかを座学以上に実践的に学ぶことができると考えています。」
「日本ではなく海外だからこそ深く学ぶことができる」ということを伝えられる表現をご紹介します。
より先進的に研究や取り組みが進んでいる国であれば、新しい知見が得られたり、日本に持ち帰って自身の研究に活かしたりすることができます。
むしろ、そのような国を留学先に選ぶようにしましょう。
また、その国が専門分野で進んでいる国でなくとも、活用できる表現です。
特に、民族文化や語学の成り立ちを学んでいる人であれば、「その国で実際に文化や言語に触れることで帰国後の研究に活かすことができること」をアピールするのも一つの方法です。
留学先や大学を選んだ理由を話すには、裏付けのあるデータがあると説得力が増します。その点も意識して理由を書いてみましょう。
「私が~という国を選んだ理由は2つあります。1つは先ほどもお話ししたように訪日外国人観光の先進国といえる存在が~だからです。また、その中でも多く観光客が訪れる~という街で学ぶことで、授業以外でも日常的に外国人の観光について学ぶことができると考えて、この大学を選びました。2つ目は……」
理由について使える表現がこちらです。
理由を話すとき、突然理由を話すことは避けましょう。いくつ理由があるのか、はじめに伝えておくことで、読み手もスムーズに読み進めることができます。
また、それぞれの理由に具体的なエピソードがある場合は、理由を最初に話しましょう。その後、きっかけとなったエピソードを入れると流れがスムーズです。
最後に社会にどのように貢献できるのか、伝えるときの例文です。
「私は留学を通して将来の日本の訪日外国人観光に貢献していこうと思います。
これから増えるとされている訪日外国人観光ですが、日本はまだその流れに対応できていない部分が多くあると考えています。
実際に外国人が多く訪れる国で観光学を学ぶことで、帰国してから、また大学を卒業してから、訪日外国人観光客がより旅行しやすい環境を整える、日本をリピートしてくれる人が増えるような取り組みをするなどの活動をしたいと思っています。」
将来的なことを話すときに使える表現をご紹介します。
自身の留学や経験が将来どのような形で社会を支えることができるのか、直接伝えることができます。
もちろん留学で得たことが、すべて社会貢献につながるわけではありません。
しかし、留学という特殊な経験をすることで、少なからずこれまでの自分の考えや知見とは違ったものを得られるのは確かです。
留学での新しい経験をうまく社会とつなげて考えられるか、社会貢献に関する部分のポイントとなります。
ここからは実際に願書を書いていくときに注意したいことをご紹介します。
知らないと見落としてしまうこともあるので、願書を書くときは気を付けてください。
動機の裏付けには「私の経験から~」、「これまで勉強してきて~」といった主観的な意見ではなく、客観的な事実を用いるようにしましょう。
面接や選考をするのは基本的に、大学の教授です。特に研究や専門分野を留学の動機としている方は、主観的な意見を入れてしまうとすぐにその部分を突っ込まれてしまいます。
自分自身のことを書く場合、客観的に書くことはなかなか難しいかもしれません。しかし、客観的に書くことができれば、内容に説得力を持たせることができます。
最も大事なのが嘘を書かないこと。留学に行きたい気持ちが先行して嘘を書いてしまうと、逆に印象が悪くなってしまいます。
一番大切なのは、自分の正直な志望動機で留学への熱意をきちんと伝えることです。
また、嘘を書くと悪い印象を与えてしまうだけでなく、志望動機が本心ではないので自身のモチベーションも下がってしまいます。
どこかで「本当は違うけれども……」という考えがよぎってしまうことも。せっかく合格しても後ろめたい気持ちが残ってしまうと、留学自体も楽しめなくなってしまいます。
志望動機や願書が一通り完成したら、その内容に一貫性があるかを確認してみましょう。
全体に一貫性がないと、結局何のために留学をしたいのか、留学で何を得たいと思っているのか、伝わりません。
一貫性を持たせるためにも、願書を書く際には何度も留学の目標や留学したいと思ったきっかけに立ち返り、内容が繋がっているかを確認することが大切です。
一貫性があるか自分で気づきにくい場合は、担当教授や友達、先輩など第三者に確認してもらうのも一つの方法です。
最後に留学願書の作成にあたり必要な準備をご紹介します。
まずは自己分析についてです。願書を書くことに直接影響します。
留学に行きたいと思ったきっかけは、留学に行って何を得るのか、留学から帰ってきて何をするのかなど、自分の過去、現在、将来についてしっかり分析しましょう。
もしかしたら分析していく中で志望の国や大学を変更したり、そもそも留学自体を検討し直したりすることもあるかもしれません。
留学という選択肢に自分なりに自信をもって、充実した留学生活を送るためには必要なこと。
自己分析は留学を検討し始めたタイミングで早めにとりかかり、十分に時間をかけましょう。
大学で勉強している専門分野の知見を深めるために留学したい方は、日本でしっかりと自分の専門分野について知見を深めて留学に行くことが大切です。
ただでさえ難しい専門分野を外国語で勉強する場合、予備知識の有無によって理解度が大幅に違ってきます。
また、留学先で自分の専門分野について意見を求められることや、日本でどのようなことを勉強していたのか聞かれることもあるかもしれません。そういったときに知識がないと、悔しい思いをします。
しっかりと受け応えるためにも、あらかじめ日本で自分の専門分野についての知見を身に付けておきましょう。
意外と見落としがちなのが語学の学習です。
最初に少しお話したように、交換留学は語学留学と同じではありません。留学に応募する際の条件として、一定の語学力を求められることがほとんどです。
積極的にTOEICやTOEFLなど英語テストを受験して、基準の点数を上回れるように準備しておきましょう。
また、同時進行で専門英語も忘れずに勉強しておくのがおすすめ。日常会話では使わない単語や表現に留学先で初めて触れると、スタートから躓いてしまいます。
勉強には英語の論文がおすすめです。大学の図書館などで探して、専門分野の英語に慣れておきましょう。
今回は交換留学での願書の書き方、また実際に願書を書くときに注意する点についてご紹介しました。
人生の中で願書を書く機会というのは、そこまで多くありません。いきなり留学の願書を書くといっても、どこから手を付けたらいいのか分からない方もいると思います。
願書を書くときは、まずは自分の目標や留学したいと思ったきっかけとしっかり向き合い、順序通りに組み立てて行けば大丈夫です。
留学への第一歩なので、一朝一夕で仕上げてしまうのではなく、時間をかけてじっくりと願書を完成させてみてください。
みなさんが無事に書類審査や面接をパスし、留学へと出発できますように!
語学留学を具体的に検討するなら、まずは留学を実現するまでの流れを確認しましょう!留学準備では大まかに5つのステップがあります。
留学を思い立ったら、まずは渡航時期、期間、渡航先の目星をつけてみてください。
いつ、どれほどの期間、どんな国で留学するかイメージが持てると具体的な計画を立てやすくなります。
留学へ行くとなると考えることはたくさんあります。
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