カナダに行ったら絶対行きたい!世界遺産20カ所すべてを紹介してみた

カナダ 世界遺産

みなさんは、カナダと聞いて何を思い浮かべますか?

ロッキー山脈、ナイアガラの滝、オーロラなど、雄大な自然をイメージする人が多いと思います。実際にカナダは自然環境が豊かで、10カ所もの世界自然遺産を有しています。

今回はそんな世界自然遺産をはじめとしたカナダ国内にある世界遺産20カ所をすべてご紹介します。これからカナダを訪れる方はぜひ参考にしてみてくださいね。

なお、カナダの観光情報については下のページでまとめているので、おすすめの観光スポットや人気の料理などを知りたい方はチェックしてみてください。
カナダのおすすめ観光スポットやイベント、グルメなどを紹介

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カナダの世界遺産一覧

まずはカナダ国内にある世界遺産を一覧でご紹介します。以下がカナダ国内にある世界遺産20カ所です。

世界遺産名 場所 種類 登録年数
ランス・オ・メドー国定史跡 ランス・オ・メドー国定史跡 世界文化遺産 1978年
スカン・グアイ ブリティッシュコロンビア州 世界文化遺産 1981年
ヘッド・スマッシュト・イン・バッファロー・ジャンプ アルバータ州 世界文化遺産 1981年
ケベック旧市街の歴史地区 ケベック州 世界文化遺産 1985年
ルーネンバーグ旧市街 ノバスコシア州 世界文化遺産 1995年
リドー運河 オンタリオ州 世界文化遺産 2007年
グラン・プレの景観 ノバスコシア州 世界文化遺産 2012年
レッドベイのバスク人捕鯨基地 ニューファンドランド・ラブラドール州 世界文化遺産 2013年
ライティング・オン・ストーン州立公園 アルバータ州 世界文化遺産 2019年
恐竜州立自然公園 アルバータ州 世界自然遺産 1979年
クルアーニー / ランゲル=セント・イライアス / グレーシャー・ベイ / タッチェンシニー=アルセク アメリカ合衆国及びカナダ 世界自然遺産 1979年
ウッド・バッファロー国立公園 アルバータ州 世界自然遺産 1983年
カナディアン・ロッキー山脈自然公園群 アルバータ州、ブリティッシュコロンビア州など 世界自然遺産 1984年
グロス・モーン国立公園 ニューファンドランド島 世界自然遺産 1987年
ウォータートン・グレーシャー国際平和自然公園 カナダ・アルバータ州、アメリカ・モンタナ州 世界自然遺産 1995年
ミグアシャ国立公園 ケベック州ガスペ半島 世界自然遺産 1999年
ギョギンズ化石断崖 ノバ・スコシア州 世界自然遺産 2008年
ミステイクン・ポイント ニューファンドランド島アバロン半島 世界自然遺産 2016年
ナハニ国立公園 ノースウエスト準州 世界自然遺産 1978年
ピマチオウィン・アキ マニトバ州 世界複合遺産 2018年

こちらが、カナダの遺産一覧のマップです。位置確認の際に参考にしてください。

つづいて、順番に一つひとつの遺産について紹介します。

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カナダの世界文化遺産

(1)ランス・オ・メドー国定史跡 / ニューファンドランド・ラブラドール州

カナダ 世界遺産 ランス・オ・メドー国定史跡

カナダ東岸に浮かぶニューファンドランド島。島の北部に位置する「ランス・オ・メドー国定史跡」は、世界で最初に選ばれた世界遺産のひとつです。

1972年にユネスコ総会で世界遺産条約が採択されたのち、1978年に最初の世界遺産の選出が開始されました。当時、世界遺産に選ばれた遺産は、全部で12件だったとされています。

選ばれた遺産の中には、「イエローストーン国立公園」や「ガラパゴス諸島」など世界的に有名なものもありました。それらと並んで「ランス・オ・メドー国定史跡」も世界最初の世界遺産になったのです。

特徴、見どころ

カナダ 世界遺産 ランス・オ・メドー国定史跡

「ランス・オ・メドー国定史跡」は、1000年ごろに北欧から渡来してきたヴァイキングの集落跡です。ヨーロッパ人による北米での最初の入植地が築かれた痕跡が残る場所でもあります。

この地の調査は、1960年代にノルウェーの歴史学者によって行われました。調査をした当時、ノルウェー様式の住居跡や製材所、鍛冶場などが8か所と青銅器、鉄器といった当時の生活用品が発見されています。現在では、当時の建物のうち3つの復元が完了済みです。当時の人々が、この地でどのように暮らしていたのかを、垣間見ることができます。

行き方

「ランス・オ・メドー国定史跡」へは、まずニューファンドランド島の北部にあるセント・アンソニー空港まで行きます。セント・アンソニー空港から市街地までは、現地でツアーに申し込んでから行きましょう。

(2)スカン・グアイ / ブリティッシュコロンビア州

カナダ 世界遺産 スカン・グアイ

カナダ西部の太平洋に浮かぶクイーン・シャーロット諸島。複数の島の中で、最南端にあるスカン・グアイ(アンソニー島)には、先住民であり文字を持たない部族、ハイダ族の集落跡が残っています。

特徴、見どころ

カナダ 世界遺産 スカン・グアイ

この地の先住民ハイダ族は、5000年前にはクイーン・シャーロット諸島に居住し始めていたとされています。さらに、今から2000年前にはアンソニー島に住み始めていたことが、調査から予測されています。しかし後に、白人が持ち込んだ疫病でハイダ族は激減。19世紀末には、アンソニー島にあった彼らの住まいは、廃墟となってしまいました。

現在は、ニンスティンツと呼ばれる村の跡や、貝塚、洞窟跡が残っています。もっとも特徴的なのが、10mほどある32本のトーテムポールです。精霊や伝説上の人物、動物を彫刻したトーテムポールは、文字をもたない先住民の文化を知るのに欠かせない存在といえます。

行き方

スカン・グアイへ行くには、まず国内線でモースビー島サンドスピットへ渡ります。そこから、フェリーでグラハム島スキットゲートへ向かいます。

「スカン・グアイ」があるグアイ・ハアナス国立公園へは、ボートやカヤックなどで移動となります。

(3)ヘッド・スマッシュト・イン・バッファロー・ジャンプ / アルバータ州

カナダ 世界遺産 ヘッド・スマッシュト・イン・バッファロー・ジャンプ

「ヘッド・スマッシュト・イン・バッファロー・ジャンプ」は、5000年以上前の先住民であるブラックフット族が、バッファローの追い込み猟を行っていた断崖です。カナダ南西部、アルバータ州の平原に位置しています。

特徴、見どころ

カナダ 世界遺産 ヘッド・スマッシュト・イン・バッファロー・ジャンプ

先住民にとって、バッファローは食糧としてはもちろん、皮はテントや衣服に、骨や角は生活用品として使用できる貴重な動物でした。彼らが、バッファローを捕らえるための手法として行われていたのが、追い込み猟です。

追い込み漁の方法は、まずは高さ10~15mの断崖にバッファロー群を追い込むことから始まります。追い込まれたバッファロー群は崖に飛びこみ、落ちた所を崖下で槍や石斧で仕留められます。この地の発掘調査は、1938年から行われていました。発掘調査によって、10mにもわたって層をなす、バッファローの骨や解体に用いられた道具が発見されています。

行き方

カンガリー空港から「ヘッド・スマッシュト・イン・バッファロー・ジャンプ」へは、車で3時間ほどです。

(4)ケベック旧市街の歴史地区 / ケベック州

カナダ 世界遺産 ケベック旧市街の歴史地区

セントローレンス川の崖上に築かれた北米唯一の城塞都市ケベック。ケベックは、フランスの植民地の拠点となった場所です。1608年にサミュエル・ド・シャンプランが丸太づくりの砦を築いたのが、始まりと言われています。

特徴、見どころ

カナダ 世界遺産 ケベック旧市街の歴史地区

photo by:nicepix / Shutterstock.com

17世紀、イギリスとフランスは北米の植民地建設をめぐり、争いが続いていました。そんな折に、フランス側の城塞都市として築かれたのが、フランス語で「新しいフランス」を意味する「ヌーヴェル・フランス」です。

のちにケベックは、イギリス領になりましたが、フランス文化は根強く残ります。そこで1994年、イギリスはケベック法を制定し、フランス民法の効力、信仰の自由、そしてフランス語の使用を認めました。

現在でも、ケベック旧市街地はパリのような佇まいを残しています。ケーブルカーで城壁に囲まれた崖上の旧市街地に上がると、セントローレンス川を見下ろせる美しい板張りの遊歩道、テラス・デュフランに出ます。

テラスに面したホテル「フェアモント・ル・シャトー・フロントナック」は19世紀末に開業した歴史あるホテルです。

行き方

日本からは飛行機の直行便がないため、バンクーバーやトロントを経由します。ケベックシティ空港からはバスがないため、タクシーを利用するといいかもしれません。

ケベックシティ空港からは、タクシーで40分ほどです。モントリオールからは、列車、バスも出ています。所要時間は約3時間です。

(5)ルーネンバーグ旧市街 / ノバスコシア州

カナダ 世界遺産 ルーネンバーグ旧市街

「ルーネンバーグ旧市街」は、18世紀半ばにイギリスが北米に建設した植民都市です。当時のイギリスの都市計画に従い、格子状に作られた街並みが特徴です。ルーネンバーグ旧市街は北米の中でもっとも良好な状態で当時の町並みが残されている、貴重な遺産でもあります。

イギリスの都市計画は「すべての道はまっすぐに。すべての曲がり角は垂直に」というものでした。このため道路は格子状に巡らされ、中心を走る幅24.4mのキング通り以外、南北7本の通りは幅12.5m、東西9本の通りは12.2mに統一されました。しかし、この都市計画はロンドンの机の上で役人が建てたものです。現地の勾配までは考慮されていないため、急坂が目立ちます。

特徴、見どころ

カナダ 世界遺産 ルーネンバーグ旧市街

photo by:Joe Benning / Shutterstock.com

「ルーネンバーグ旧市街」は、優れた木造建築物群としても貴重な遺跡です。石造に比べ、焼失や倒壊しやすい木造建造物は保存も大変です。

しかし、この町にある建物の3分の2が、18~19世紀から続く木造建築とされています。その中には、開拓初期にドイツ系移民が持ち込んだ、木枠に横板をはめ込む建築技法を用いた建造物が残されています。

また、ヴィクトリア朝建築の要素が加わったカラフルな住宅も、ルーネンバーグ旧市街ならではの魅力です。遠洋に出たルーネンバーグの漁船が、遠くから見ても自分の家がわかるように外壁をカラフルにしたことが、美しい色合いの町並みを作った理由とされています。

行き方

「ルーネンバーグ旧市街」の最寄り空港はハリファクス空港です。ハリファクス空港からルーネンバーグまでは車で約1時間30分です。

(6)リドー運河 / オンタリオ州

カナダ 世界遺産 リドー運河

リドー運河は1832年に開通された運河で、カナダのオタワとオンタリオ湖畔のキングストンを結びます。今もなお稼働している北アメリカの運河の中では最も古く、貴重な運河となります。

リドー運河は、19世紀の英米戦争中、英国の植民地であったカナダに防御と輸送ルートを確保するために建設されました。軍事戦略を目的につくられた運河ということになります。

特徴、見どころ

カナダ 世界遺産 リドー運河

軍事目的として建設されたリドー運河ですが、カナダとアメリカの争いは避けられ、現在では主に観光、レジャーに使用されています。全長202㎞という大きな規模が特徴ですが、大型蒸気船の航行も考えて取り付けられた、水位調節のための47の堰(いせき)も見所です。

夏は遊覧船の運航、冬は世界一長いスケートリンクとして、観光客の人気を集めています。

行き方

オタワ国際空港からは、バスやタクシーを利用して約30分で市内に到着します。

(7)グラン・プレの景観 / ノバスコシア州

カナダ 世界遺産 グラン・プレの景観

カナダ東部、大西洋に面したノバスコシア州にある「グラン・プレ」は、2012年文化的景観として世界遺産に登録されました。

文化的景観とは、人間が自然と共に作り上げた景観を指す概念です。文化遺産と自然遺産の境界に位置する遺産とも言えます。この美しい土地は人々によってどのように開拓されてきたのでしょうか?

特徴、見どころ

カナダ 世界遺産 グラン・プレの景観

「グラン・プレ」は、フランス語で「大牧草地」を意味します。17世紀、フランス人入植者たちは広大な草原に水路や水門、堤防を建設し農地を開拓しました。

フランス人入植者のうちフランス中西部出身の人々は「アカディアン」と呼ばれていました。彼らは、ノバスコシア沿岸でもっとも大きな集落を形成した歴史を持ちます。1,300haに及ぶ広大な農村地は、人の手によって開拓されてきた土地の歴史を、今もなお語り継ぐ存在です。

行き方

ハイファックスから車で101号線を北へ進み、約1時間ほどで到着します。グラン・プレの景観を楽しみながら車でのドライブがおすすめです。出口10から降りたら、1号線に沿って西へ、「グラン・プレロード」を目指します。

(8)レッドベイのバスク人捕鯨基地 / ニューファンドランド・ラブラドール州

カナダ 世界遺産 レッドベイのバスク人捕鯨基地

カナダ北東部にあるニューファンドランド・ラブラドール州にある「レッドベイのバスク人捕鯨基地」は、16世紀にバスク人により捕鯨基地として使用されていた場所です。海上や海底にその遺跡が残されており、カナダ国定史跡にも指定されています。

特徴、見どころ

カナダ 世界遺産 レッドベイのバスク人捕鯨基地

16世紀のヨーロッパは、ランプ油や食肉用として捕鯨が盛んな時代でした。バスク人はカナダに渡り、この地に捕鯨基地を作り駐屯していました。当時、現地で捕鯨に関わったバスク人の人数は2,000人以上と言われています。

70年ほど利用したのち鯨の数が減ってしまったことから、捕鯨基地は使用されなくなりました。しかし今もその当時の様子は残されたままです。1978年から始められた水中文化財の引き上げ作業により、ガレオン船や当時の捕鯨船が見つかっています。

また海底には大量の鯨の骨も発見されており、当時の繁栄ぶりが伺えます。併せてサドル島には、捕鯨船員たちの墓地や精錬所、樽製造所なども残されており、見学が可能です。

行き方

トロントやバンクーバーなどの大都市からもかなりの距離があるため、飛行機での移動になります。セントルイスのフォックスハーバー空港やシャーロットタウン空港を利用すると便利です。

空港からレッドベイまでは、車かツアーに参加するのが良いでしょう。約3時間で到着します。また、ニューファンドランド島からフェリーでのアクセスも可能です。

(9)ライティング・オン・ストーン州立公園

カナダ 世界遺産 ライティング・オン・ストーン州立公園

ライティング・オン・ストーン州立公園は、カナダのアルバータ州に位置します。隆起した岩石が広がる光景が印象的で、多くの観光客が訪れる場所です。この壮大で力強い景色は約8,000万年前に海底にあった岩々が、地殻変動や火山活動などによって変化した結果、生まれたとされています。

特徴、見どころ

カナダ 世界遺産 ライティング・オン・ストーン州立公園

ライティング・オン・ストーン州立公園には、ペトログリフと呼ばれる岩に描かれたアートが残されています。岩に描かれた動物や人物、抽象的な模様などは、先住民によって約5000年前から刻まれ始め、数千年にわたって作り続けられたものです。

当時の人々はこの岩に描かれた絵によって、神話や信仰、狩りの技術などを伝え合ったり自然とのつながりを表現していたりしていました。独創的なロックアートは、見る人に感動とたくさんの想像力を与えてくれます。

行き方

ライティング・オン・ストーン州立公園の最寄りの空港は、アルバータ州にあるカルガリー国際空港です。空港から公園へは、レンタカーやバス、ツアーなどを活用しましょう。車での移動時間は、約3時間ほどあります。

カナダの世界自然遺産

(10)恐竜州立自然公園 / アルバータ州

カナダ 世界遺産 恐竜州立自然公園

カナダ南西部、カナディアン・ロッキーの南東にある「ダイナソール(恐竜)州立自然公園」は、恐竜の化石が多数出土している場所です。バッドランドと呼ばれ、樹木の生えない荒れた悪地でもあります。

公園内は氷河期の浸食によって地面が削られ、1億4000万年前の白亜紀の地層が地表に現れています。

特徴、見どころ

カナダ 世界遺産 恐竜州立自然公園

ダイナソール州立自然公園で恐竜の骨の発掘調査が始まったのは、1884年だったとされています。考古学者のジョセフ・バール・ティレルによって、肉食恐竜の頭蓋骨が発見されたのが始まりでした。

公園ではその後も発掘調査は進められ、ティラノサウルスやトリケラトップス、アルバートサウルスなど、15科37種の化石が発見されています。発見された化石は、近郊のドラムヘラーにあるティレル古生物博物館と公園内にある別館で展示されています。

行き方

カルガリー市街地からバッドランドの中心地、ドラムヘラーまでは車で約2時間です。見どころが点々としているため、景色を楽しみながらのドライブがおススメです。グレイハウンドという長距離バスの運行もあります。

(11)クルアーニー / ランゲル=セント・イライアス / グレーシャー・ベイ / タッチェンシニー=アルセク / アメリカ合衆国及びカナダ

カナダ 世界遺産 クルアーニー / ランゲル=セント・イライアス / グレーシャー・ベイ / タッチェンシニー=アルセク

「アラスカ、カナダ国境地帯の山岳公園群」は世界最大規模の自然保護区です。

1979年にカナダの「クルアーニー国立公園」とアメリカの「ランゲル=セント・イライアス国立公園」が世界遺産に登録されました。1992年にはアメリカの「グレーシャー・ベイ国立公園」、1994年にはアメリカの「タッチェンシニー=アルセク州立自然公園」と範囲が拡大されています。

このように国境を越えてひとつの地区が世界遺産に登録されることを、トランスバウンダリー・サイトと言います。トランスバウンダリー・サイトの取り組みは、お互いの国で協力し合い遺産を保護していくことを目指しています。

特徴、見どころ

カナダ 世界遺産 クルアーニー / ランゲル=セント・イライアス / グレーシャー・ベイ / タッチェンシニー=アルセク

アメリカとカナダにまたがる世界最大規模のこの自然保護区には、アラスカ最大の氷河や北アメリカ大陸最高峰の山々、広大な森林やツンドラ地帯が広がります。

中でも、海に押し寄せる氷河が轟音を出して崩れ落ちる場面が見られる「グレーシャー・ベイ」は迫力満点です。人々を寄せ付けない厳しい自然は野生動物の楽園となっており、ハクトウワシ、グリズリー、ドールシープなど野生動物の保護区としての役割も果たしています。

行き方

「クルアーニー国立公園」へは、車でアラスカハイウェイをヘインズ・ジャンクションまで行き、降りてからは1時間ほどで到着です。

「ランゲル=セント・イライアス国立公園」へは、アラスカ州チティーナの町から車で向かうことができます。「グレーシャー・ベイ国立公園」と「タッチェンシニー=アルセク州立自然公園」は山々に囲まれているため、近くの都市から船か飛行機で行くことになります。

(12)ウッド・バッファロー国立公園 / アルバータ州

カナダ 世界遺産 ウッド・バッファロー国立公園

カナダ北西部アルバータ州にある「ウッド・バッファロー国立公園」は、ウッド・バッファローを保護する目的で作られた公園です。ウッド・バッファローはかつて狩猟が原因で、一時は絶滅の危機にありました。

1922年の時点では、グレート・スレーヴ湖の南一体が国立公園として指定されています。その後、1926年には面積が拡張されたことで、バッファロー以外の絶滅が危ぶまれている動物も、一緒に保護されることになりました。

特徴、見どころ

カナダ 世界遺産 ウッド・バッファロー国立公園

ウッド・バッファロー国立公園は、北極に近い環境です。世界でも最大級の内陸淡水デルタや、乾季になると地上の水分が蒸発して見られる塩の原野が見られます。デルタの周りには野生動物が集まり、水鳥の憩いの場としても活用されています。

行き方

「ウッド・バッファロー国立公園」へは、飛行機でエドモンドへ行きます。エドモンドからはフォート・スミス空港まで移動し、「ウッド・バッファロー国立公園」まで車で向かいます。

(13)カナディアン・ロッキー山脈自然公園群 / アルバータ州、ブリティッシュコロンビア州など

カナダ 世界遺産 カナディアン・ロッキー山脈自然公園群

北アメリカ大陸西部を南北に貫く総延長4,500㎞ロッキー山脈。その北側、2,200㎞を占める山岳地帯が「カナディアン・ロッキー山脈自然公園群」です。

およそ6000万年前の造山活動により誕生した山岳地帯は、約5億9000万年前のカンブリア紀から白亜紀にかけての粘板岩砂岩、石灰岩でできています。氷河が山を削り、今のような険しい峰を作りだしました。

カナディアン・ロッキーでは標高1,000mの低山から森林限界を超える高山帯まで、様々な種類の植物が自生しています。山麓に広がる針葉樹の森にはグリズリーやアメリカグマ、アメリカライオン、シロイワヤギなど野生動物も多く生存しています。

特徴、見どころ

カナダ 世界遺産 カナディアン・ロッキー山脈自然公園群

その壮大な山脈には、カナディアン・ロッキーの宝石と呼ばれるルイーズ湖やペイトー湖などの氷河湖が広がります。加えてコロンビア大氷原、タカッカウ滝、ヨーホー渓谷など美しい自然に触れられるスポットが満載です。

19世紀末に山脈西部に鉄道が通り、温泉も発見されたことから観光地化し、バンフ国立公園が誕生しました。さらに、ジャスパー、ヨーホー、クートネーの国立公園と、3つの州立公園が制定されました。

総面積は約2万3,000㎢にも及びます。この広大な敷地をゆっくりと列車で横断する旅が人気のようです。

大陸横断の旅

カナダ 世界遺産 カナディアン・ロッキー山脈自然公園群

バンクーバーからジャスパーまで列車で約16時間50分。カンディアン・ロッキーの壮大な景色を列車の車窓から眺めてみてはいかがでしょうか。天井まで総ガラス張りで360度のパノラマが楽しめる2階のドーム式展望室からは、名峰ロブソンが見えてきます。

ジャスパーからパンフまでは、アイスフィールド・パークウェイをドライブ。コロンビア大氷原は325㎢もの巨大氷域で、溶けた水が太平洋、大西洋、北極海にまで流れ込んでいる分水嶺です。

パンフでは、エメラルドの湖「ルイーズ湖」が現れます。そして1888年創建のホテル「フェアモント・バンフスプリングスホテル」は、針葉樹の森に佇む優雅なホテルです。

また、高台には街を見下しながら入れる露天風呂が。アッパー・ホットスプリングスではカナディアン・ロッキーの峰々を眺めながらゆったりと湯に浸かれます。

行き方

カルガリー空港から、ロッキー山脈の玄関口バンフまでは車で約2時間です。カルガリー空港からバンフ、レイクルイーズなど観光スポットまでバスの運行もあります。

(14)グロス・モーン国立公園 / ニューファンドランド島

カナダ 世界遺産 グロス・モーン国立公園

カンダ東部のニューファンドランド島西岸に位置する「グロス・モーン国立公園」は、巨大なテーブルマウンテンとフィヨルドが連なる不毛の大地です。テーブルマウンテンとは地盤が雨や風により削り取られ、固い部分だけが台形状に残された山々を指します。

特徴、見どころ

カナダ 世界遺産 グロス・モーン国立公園

「グロス・モーン国立公園」のテーブルマウンテンは、6億年前から続く地殻変動により地中内部のマントルが地表に出てきたものです。地質には多くの金属が含まれています。

金属を含んだ地質では植物は育たず、地衣類しか生存しません。周りの海岸線も氷河の浸食でつくられたフィヨルドが形成されており、崖が続いています。厳しい環境にも関わらず、この地には4500年前から人類が居住していた形跡が残されています。

行き方

トロント空港から国内線を乗り継ぎ、ニューファンドランド島のディアーレイク空港へ。フライト時間は約3時間30分です。ディアーレイク空港からは、レンタカーを借りるか、ツアーへの参加になります。

(15)ウォータートン・グレーシャー国際平和自然公園 / カナダ・アルバータ州、アメリカ・モンタナ州

カナダ 世界遺産 ウォータートン・グレーシャー国際平和自然公園

カナダとアメリカにまたがる「ウォータートン・グレーシャー国際平和自然公園」は世界初の国際平和公園です。2つの国をまたがっている世界遺産であることから、両国で世界遺産登録がされた「トランスバウンダリー・サイト」になります。

この国際平和公園は、ロッキー山脈で結ばれたウォータートン湖国立公園とグレーシャー国立公園が1932年に統合され誕生しました。オープン期間は夏の3カ月間しかないため、観光で訪れる際は注意が必要です。

特徴、見どころ

カナダ 世界遺産 ウォータートン・グレーシャー国際平和自然公園

大自然が広がるロッキー山脈には多種多様の動植物が見られます。公園内も同じように大自然が広がる環境です。約650もの氷河湖が存在し、1億5000万年前の藍藻類の化石や、約8000年前の人類の生活跡も発見されていることから、考古学の面でも大変貴重な遺産と言えます。

行き方

カナダ側から行く場合は、カルガリーから車での移動になります。

大変広い公園なので、一日では回りきれないかもしれません。周辺にはホテルもあるので、予約は早めにしましょう。野生動物を見るなら、ツアーに参加することをおすすめします。

(16)ミグアシャ国立公園 / ケベック州ガスペ半島

カナダ 世界遺産 ミグアシャ国立公園

カンダ東部ケベック州ガスペ半島の南岸にある「ミグアシャ国立公園」は、脊椎動物の化石が出土しています。化石が埋まっている地層を保護するために、設けられた公園です。総面積は87万3000㎡あり、4億800万年から3億6000万年前のデボン紀の化石が約5,000点発見されています。

特徴、見どころ

カナダ 世界遺産 ミグアシャ国立公園

1842年のこの地層の発見以来、現在まで様々な化石が発掘されています。脊椎動物の起源とされている「ユーステノプテロン」をはじめ、魚類の化石がとくに多く出土しているのが特徴です。

行き方

「ミグアシャ国立公園」まで行ける公共交通機関がないため、レンタカーでの移動をおすすめします。拠点となるケベック・シティーからは、車で6時間ほどの距離です。

また、ガスペ空港までは飛行機が出ていますが、便数が少ないため注意が必要です。

(17)ギョギンズ化石断崖 / ノバ・スコシア州

カナダ 世界遺産 ギョギンズ化石断崖

カナダ東部のノバ・スコシア州カンバーランド湾に位置する「ギョギンズ化石断崖」は、3億5400万年~2億9000万年前の石炭紀の化石が露出している地帯です。その範囲は約14.7㎞にもわたっています。

断崖では、湾に押し寄せる潮の干潮により地層が削られ、数多くの化石が発見されています。

特徴、見どころ

カナダ 世界遺産 ギョギンズ化石断崖

「ギョギンズ化石断崖」で現在まで発掘された化石は96属148種とされています。足跡の発見は20種に及び、中には恐竜の祖先とされている「ヒロノマス」の化石まで発掘されています。

行き方

ノバスコシア州のハリフォックスまでは飛行機で行けます。空港からは車で約2時間です。周辺には「グラン・プレの景観」や「ルーネンバーグ旧市街」もあるので、あわせて見学してみてはいかがでしょうか。

(18)ミステイクン・ポイント / ニューファンドランド島アバロン半島

カナダ 世界遺産 ミグアシャ国立公園

カナダの東海岸ニューファンドランド島にあるアバロン半島の島南端に位置する「ミステイクン・ポイント」は2016年に登録された、比較的新しい世界遺産です。

全長17㎞に及ぶ断崖には様々な動植物が生息しており、自然保護区としての役割も担っています。

特徴、見どころ

カナダ 世界遺産 ミグアシャ国立公園

この土地で発見されたエディアカラ生物群は、地球初期に棲息していたとされています。生物学的には多細胞生物群に分類され、骨格や殻を持っていないため、化石として残りにくいとされてきました。

そのためミステイクン・ポイントで発掘されたことは、地球初期の生物の生態や進化の過程を知る上で、大きな一歩となったのです。生命の記録として、物言わぬ証人である化石の発掘は今もなお進んでいます。

行き方

ミステイクン・ポイントへは、飛行機でセントジョンズ空港まで行き、そこから車で約2時間ほどかけて行きます。

見学するには、ビジターセンターでの申し込みが必要となるため、ツアーに参加することになります。

(19)ナハニ国立公園 / ノースウエスト準州

カナダ 世界遺産 ナハニ国立公園

ネイティブアメリカンのデネ族の言葉で精神を表す「ナハニ」。ナハニ国立公園は、カナディアンロッキー北西の、サウス・ナハニ川沿い一帯に広がる公園です。

ノースウエスト準州の4,722k㎡に渡る広大な公園は、1972年にカナダの国立公園に指定されました。場所によって大きく表情を変えるサウス・ナハニ川の流れが独特の景観を作り出し、地球の歴史を物語っています。

特徴、見どころ

カナダ 世界遺産 ナハニ国立公園

ナハニ国立公園内は高緯度のツンドラ地帯であるにもかかわらず気候が穏やかで、温泉も沸き出ています。また、高さ90mのヴァージニア滝、カヌーでの川下り、オーロラ鑑賞、ハイキングなど自然を満喫できるアクティビティが満載です。

人間がほとんど立ち入れない自然環境は、グリズリーやカリブー、シロイワヤギなど野生動物の生息地となっています。

行き方

ナハニ国立公園は、現在も車道が敷かれておらず、敷地内の唯一の交通手段はカヌーです。まずはカナダのカルガリーから国内線でイエローナイフへ、そこからフォート・シンプソンへ車か国内線を乗り継ぎ移動します。

フォート・シンプソンから水上飛行機でナハニ国立公園に入る手段が主になります。ナハニ国立公園には宿泊施設も少なく、交通手段も限られるためツアーに参加したほうが良さそうです。

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カナダの世界複合遺産

(20)ピマチオウィン・アキ

ピマチオウィン・アキはマニトバ州に広がる川・湿地に囲まれた場所です。カナダの先住民であり、現在もその地で生活を続けるオブジワ族が、7,000年に渡り守り続けてきた場所とされています。

ピマチオウィン・アキは2018年にカナダで初めての複合遺産として登録されていますが、その背景にはオブジワ族の働きがあったようです。

世界遺産は、文化遺産と自然遺産に分類されます。ピマチオウィン・アキを登録するにあたり、自然と文化の調和を重んじるオブジワ族は「自然と文化を分けた世界遺産登録の評価」に反対姿勢でした。

議論や協議が繰り返された結果、ピマチオウィン・アキは自然と文化の共存を認める複合遺産として登録された、というエピソードがあります。

特徴、見どころ

ピマチオウィン・アキには、複雑に張り巡らされた水路が存在します。水路はオブジワ族が生活をする上で欠かせない存在であり、現在も住居用・旅行用・儀式用などで使い分けをしているそうです。

同地の岩には絵が残されており、人と自然との関係を後世に伝えるために描かれたと考えられています。

自然の中に生き、現在も独自の文化を重んじるオブジワ族のありのままの暮らしを、ピマチオウィン・アキで触れることができます。

行き方

ピマチオウィン・アキの最寄り空港は、カナダのウィニペグにあるウィニペグ・ジェームス・アームストロング・リチャードソン国際空港です。空港からの移動手段は、バス・車・レンタカーなどがあります。走行時間は3時間半はかかるため、時間に余裕を持って行動をしたほうが良いでしょう。

まとめ

いかがでしたか?カナダには20か所の世界遺産の他にも、雄大な自然と歴史ある文化が数多く残されています。季節によって表情を変えるカナダの景色は、何度訪れても新しい発見があることでしょう。

皆さんもカナダを訪れる際はぜひこの記事で紹介した世界遺産に足を運んでみてくださいね。

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