こんにちは!Ayakaです。私は現在、キャリアチェンジを目指す1年間のビジネス留学中で、オーストラリア・ブリスベンにあるグリフィス大学に在籍しています。
私は4月~10月までの間、大学での授業と並行して、クイーンズランド州政府観光部でインターンシップをしていました。
インターンシップは近年日本の学生の間にも広まりつつありますが、海外でとなると「どうやって職場を見つけるの?」「いきなり英語環境の職場に飛び込むってどんな感じ?」など、イメージが湧きづらいかと思います。
そこで、今回は私のインターンシップ経験をもとに、私が感じた日本とオーストラリアのビジネス文化の違いやオーストラリアの就職活動事情などをレポートします。日本では当たり前と思っていたビジネスの常識が覆るかも・・!?
なお、オーストラリア留学についての全般的な情報は下のページでまとめているので、具体的な検討を進めたい方はチェックしてみてください。
オーストラリア留学
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インターンシップ(以下、インターン)とは、一般的には学生に就業体験の機会を提供する制度のこと。学生が企業の中で一定期間、職場体験をするのですが、職業選択や適性を見極めることを主な目的にしているため、アルバイトと異なり無報酬のケースが多いです。
私は今回、学生ビザで授業の一環という位置づけで参加しましたが、フルタイムでのインターンシップをする場合、オーストラリアではインターンシップビザを用いるのが普通です。
日本では1日のものから数ヵ月単位のものまでさまざまで、「職場見学」的なものも多いインターンですが、オーストラリアでは社会に出る前の本格的な実地訓練の意味合いが強いのが特徴です。
というのも、日本の大学では新卒採用のシーズンに一斉に就職活動が始まり、企業は一括採用をするのが基本ですが、オーストラリアの場合、新卒採用と呼ばれるものは基本的にありません。どちらかというと、日本でいう転職活動に近いイメージで、インターネットや人脈を駆使して自らポストを探し、書類・面接選考を経て、ポストを獲得するという流れです。
私がグリフィス大学での1学期目に受講した学部授業、Career Development(キャリア開発)では、有名企業のポストは表立って広告されておらず、口コミ(word-of-mouth)やネットワーキングといった「人づて」の紹介が主であると説明されました。オーストラリアでは、80%の職がそのような見えないところにあるとも言われ、「隠れた就活市場」(hidden job market)とも呼ばれていると教わった時は衝撃でした・・!
就職活動では実際の職務経験も大きく評価されるため、オーストラリアでは大学在学中からインターンを通して職務経験を積んでおくことや、ネットワーキング作りは重要視されています。授業やアルバイトの傍ら、インターン経験を積む学生がたくさんいます。
無報酬のインターンといっても、実際の就職活動と同様に一般的には書類・面接選考が存在します。学部1週目のキャリア開発の授業で、クイーンズランド州政府観光部からサイクル・ツーリズム検討チームのインターン生募集が来ていると聞き、応募してみることに。
オーストラリアのインターンや就職活動では、日本で市販されているような履歴書や、企業指定のエントリーシートのようなフォーマットはありません。代わりに、自分でカバーレターとレジュメの2点セットをオリジナルで作成する必要があります。
カバーレターとは、履歴書に添付する志望動機や自己PRなど、職歴以外のアピールポイントを記載するもの。自分の熱意を文章で伝えるカバーレターと異なり、レジュメの方は一般的に盛り込むべき項目がほぼ決まっています。主な項目は以下の通りです。
レジュメの方は簡潔に見やすく、アピールになる情報を漏れなく盛り込むのがポイントです。
一方、表現に工夫が求められるのがカバーレターです。日本での具体的な職歴、現在の大学での学業、将来のビジョンを盛り込んでみたものの、英語ネイティブの友人に添削を頼んだところ、
「アヤカの表現は、とても日本的発想!」
と真っ赤にして返されました。友人が直してくれた部分で特に「これは自分では思いつかない」と思ったのは、以下のような文です。
少々表現がオーバーで自信満々な印象もありますが、オーストラリアではこれぐらい強く言っても問題はないそうです。キャリア開発の教授も言っていましたが、何でもポイントは、“I-brand”、自分をブランド化する、つまり「いかに自分(という商品)を市場に売り込むか」を意識して最大限ポジティブに書くことなのだそうです。
書類は教授経由でメールにて先方に提出しました。強気の表現が功を奏したのか、無事に書類選考を通過し、面接に進めることになりました。面接といっても、日本と違いスーツを着ていく必要はなく、いわゆるスマートカジュアルです。私もオージーの女友達に見てもらい、紺色のワンピースとカーディガンを選びました。
面接は当たり前ですが全て英語です。日豪の面接の違いに熟知した留学のチューターや、社会人経験があるオージーの友人に頼み、模擬面接をして挑みました。
本番はサイクル・ツーリズム検討チームのマネージャーと、課長にあたるマネージャーと2対1で州政府の会議室で約20分間の面接が行われました。志望動機やチームでやりたいこと、留学のきっかけと今後のビジョンなど一般的な質問内容ですが、英語で行うぶん、日本語よりもしっかりとアイコンタクトを取ったり、特に伝えたい部分はジェスチャーを添えて強調するよう心がけました。
また、自分が過去に自転車メディアで執筆やモデル活動をした際の記事をまとめたポートフォリオも大きな助けになりました。実際に見せながら話すことで、自分がいかにサイクル・ツーリズムに対して情熱があるかを伝えられましたし、そのまま提出したことで参考資料にしてもらえました。
そして、簡単そうで意外と難しいのがハンドシェイク(握手)です。欧米文化ではこの握手が第一印象を決める重要な役割を果たしています。キャリア開発の授業でも、「強すぎても弱すぎてもいけず、自分から積極的かつ自然に、自分のエネルギーを伝えるつもりで!」と練習の時間が設けられ、教授が一人ひとり握手の仕方をチェックして回ったほどです。日本でいうお辞儀の角度練習のようなものですね。
握手をすること自体、最初は抵抗のあった私ですが、この練習のおかげで、面接はもちろん、同僚や社外とのミーティングなどでも初対面の人にすっと手を差し出せるようになりました。
握手や問答の特訓の甲斐あり、面接も無事に合格。晴れて州政府観光部サイクル・ツーリズム検討チームのインターン生になることができました!渡豪から約1ヵ月半経ち、「学生」という身に慣れつつあった私ですが、ブリスベンのシティ中心部にあるオフィスへの出勤、職員証にデスクにPC・・という「ビジネスパーソン」としての久々の感覚をとてもうれしく感じました。
私の州政府でのインターンは週に1日、午前9時~午後5時の勤務。無償の仕事ですが、庶務ではなく、実際のスタッフに近い仕事をさせてもらえるのがインターンの魅力です。
私の主な仕事は、これからクイーンズランド州がサイクル・ツーリズムを打ち出していくにあたり、オーストラリアの他州、ニュージーランドといった競合の現状を調査し、どのような自転車ルートやイベントを発展させていくかを検討・提案するというもの。
100ページ以上にも及ぶ調査報告書を作成したり、道路整備を担う交通局、州政府の外局である観光局、自転車イベント主催組織とのミーティングや、日本の自転車政策・イベントのアイデアを取り入れた提案書の作成、プレゼンテーションなどを行いました。
いざインターンを始めると、日本とは違う職場環境や仕事の仕方に驚くことがたくさんありました!
まず一番は、上司も含めたどのスタッフも、きっちり定時で働くということ。午前9時~午後5時の勤務時間が終われば、上司が残っていようが皆「また明日!」といってさらっと帰ります。
職種にもよりますが、オーストラリアの多くの企業はおおむねこのような体制で、午後5時過ぎのシティのスーパーマーケットは仕事帰りの買い物客でにぎわい、バスも自家用車も帰宅ラッシュになります。法律的にも、オーストラリアではフルタイム労働者の場合、労働時間の上限は週38時間と決められているんですね。
時間をきっちり区切る分、それだけ生産性には厳しい模様。会議もダラダラせず、要件・連絡事項の共有のみのミーティングなのか、ブレインストーミングの時間も含めたワークショップなのか、目的・時間を明確に設定しています。
私も、朝一番にメールチェックをした後、メールと口頭で上司に今日のタスクを伝え、帰り際に日報で今日の進捗・次回の予定を報告するようにしていました。
また、人間関係は非常にフラット。上司とも同僚とも普通にファーストネームで呼び合います。上司への朝の挨拶も“Good morning, Chris!” “Hi, Ayaka, how are you today?” のような感じです。仕事中に質問があっても、日本のように「お忙しいところすみませんが・・」のような恭しい前置きはなく “May I talk to you now?” くらいでさくっと切り込んでいきます。
オーストラリアでは、労働者は毎年4週間分の有給休暇を付与されます。しかもこの有給、未消化の場合は次の年に繰り越され、退職時には、雇用者が未消化分の有給休暇に対して、給与を支払う義務まであるんです。
実際に私の上司も4週間のホリデーを9月半ばから取得。ホリデーで誰かが不在の間は、期間にもよりますが他部署から一時的に代理のスタッフが補充されることも。
私が日本で働いていた時は、「有給は消えていくのが当たり前。退職前に消化できればラッキー」くらいの感覚だったので信じがたいですが、本当の話。一人ひとりのワークライフバランスを確実なものにするには、このくらい政府・企業が制度を整える必要があるのかもしれません。
「シティで働いているから、ランチはやっぱり皆で食べに出るのかな?」と思いながら、初日に職場に行ってびっくり。オフィスにはキッチンがあり、家庭用の大きい冷蔵庫2つは職員たちが持参したランチでびっちりと埋まっていました。
それもそのはず、オフィス周辺の丼もの屋やカフェのランチは8ドル~で、飲み物を付ければ10ドルは軽く超えてしまいます。
なので皆、節約のためにランチは持参しているのですね。とはいえ、日本のようにきれいにおかずを詰めたお弁当ではなく、タッパーに入れた昨晩の残り物や、職場にストックしている食パンやハムでサンドイッチを作ったりする程度。私も寮で作ったハヤシライスやミートソースを持っていって電子レンジでチンして食べる手抜きぶりですが、日本でこれをやったら浮きそうです・・。
日本での会社員時代は、英語の教材編集者をしていたとはいえ、実際に英語を仕事のコミュニケーションツールとして使うことはごくまれでした。なので、英語環境の職場に飛び込むのは今回が初めての経験!それでも、大学内では特に問題がなかったので大丈夫だろうと思ったらこれが大間違いでした。
留学生とのコミュニケーションに慣れ、非常にクリアーな英語を話してくれる大学教授陣とは異なり、実際の職場は専門用語・社内用語も含めたハイスピードかつ、オージーなまりの強い英語を話すスタッフがわりと多く、たじたじになりました。
しかしコミュニケーションなくして仕事はできません。なんとか付いていかねばと思い、ミーティングでわからなかったことは後で上司に自分の認識を確認したり、業務の進捗も口頭(=話し言葉)での報告に加え、メール(=書き言葉)でもフォローして、意思疎通を万全にするようにしました。
最初のうちは、ビジネスメールが日本と比べてとてもラフなことにも戸惑いました。日本では部署名や肩書、時候の挨拶など前書きがつきますが、オーストラリアの英文メールは社内外どちらでもとても簡潔で、基本的に用件のみしか書きません。
上司に対しても、"Hi, Peter" で書き始めますし、上司からの指示も、"Can you add more information on your research?” のようにきわめてシンプルです。最初はあまりのシンプルさに驚きましたが、慣れるとメールを読み書きする時間をお互い短縮できるので、生産性という意味でも実は仕事がしやすく今では楽で助かるなと思っています。
日本の会社で働いていた時は、違う業界で働く自分、まして海外で働く自分というのを想像すらできませんでしたが、海外インターンで、転職希望先の業界を英語環境でできたというのは大きな自信になりました。
他にも、ビジネススクールで学んだことの実践や人脈の構築など、得たものはたくさんありますが、一番は「海外の職場環境に混ざることで、自分の働き方を再考する」ということができた点だと思います。
「平日はとにかく仕事。趣味や家族・友達との時間は週末にまとめて」「有給は消化できないのが当たり前」と思っていた点が大きく覆され、この先自分はどういう環境・スタイルで働きたいのか?を大きく問い直すきかっけになりました。
海外留学の際は、ぜひ皆さんも、自分の興味・関心のある業界のインターンにチャレンジすることを強くお勧めします!「学び」に加えて「働く」という経験が加わることで、日本に持ち帰るものもまた一味変わってくると思います。
【連載】元英語教材編集者が行く、オーストラリア留学体験記↓↓
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