正式名称California Institute of the Arts、通称「カルアーツ」と呼ばれるこの大学は、あのディズニーの生みの親、ウォルト・ディズニーが創設した大学。
ロサンゼルスにあるこの大学のキャラクターアニメーション学科は、世界トップクラスと言われ、卒業生には以下のような著名人が名を連ねています。
・ティム・バートン
『チャーリーとチョコレート工場』『アリス・イン・ワンダーランド』
・ジョン・ラセター
『トイ・ストーリー』『カーズ』
・ブラッド・バード
『レミーのおいしいレストラン』『Mr.インクレディブル』
海外アニメーションが好きな人にとっては、憧れとも言える超有名大学。入学がとても難しいことでも有名で、日本人もまだ数えるほどしか入学していません。
photo by:vesperstock / Shutterstock.com
そんな夢のカルアーツのキャラクターアニメーション科に、アートをはじめてたった1年半で合格した日本人がいます。
僕です。
はじめまして。髭猿と申します。僕は2017年9月から、アメリカ・ロサンゼルスにあるCalifornia Institute of the Artsでキャラクターアニメーションを4年間学びます。
こちらの連載では、アート経験ゼロの僕がアメリカの有名美術大学に合格した経験をもとに、海外美大受験にまつわる情報や、アート留学のアレコレを発信していこうと思います。また、サラリーマン出身の僕が、アーティストとしてどこまでいけるのかというドキュメンタリーでもあります。
元サラリーマンの僕が、どうして、またどのようにカルアーツに留学することになったのか。今回はそれをお伝えしようと思います。
「海外美大に合格するなんてすごいですね!小さいころからずっと絵を描いていたんですか?」
と、よく訊かれます。答えはNOです。
アートの経験なんてまったくない。小さい頃から絵が好きで、気が付いた時には絵が描けるようになっていました、っていうタイプではありません。だって僕は普通のサラリーマンでしたから。カルアーツ合格までの流れを簡単にまとめると、
・大学は法学部、卒業後は大手企業に3年半勤務した後、『映画をつくりたい』ただその一心で退職
・アート経験ゼロのくせに、カルアーツへの留学を目指す
・独学でTOEFL80点を獲得
・本格的にアートの勉強を開始してから1年半でカルアーツに合格
これが僕の略歴です。カルアーツを目指すまでは、アートのバックグラウンドは中学、高校の美術の授業くらいしかありませんでした。つまり、完全に何もない状態から海外美大受験に挑戦したんです。
アートを学び始める前のラクガキ
会社を辞めて海外美大を受験すると公言したときは、とても驚かれました。
「なんで?アートの経験ないんでしょ?」
「会社を辞めても受かる保証ないのに、よく退職したね。」
「そんな甘い世界じゃないんじゃない?」
「リスク高すぎるでしょw」
合格した今でも、これから4年間留学をすると言うと、とても驚かれます。
「なんで今更留学なの?20代後半からの留学って遅くない?」
「その後ちゃんと就職できるの?」
「現実見なよ。」
「ていうかリスク高すぎるでしょw」
でも僕は、何を聞かれても『映画を作りたい』と答えてきました。それが心からの、素直な動機だからです。
就職活動や世間では、筋の通った志望動機や説明が求められる。だから僕は知らないうちに、自分の本当の欲求を押しつぶして、人に理解されやすい選択をしてきました。
ですが僕のこうした価値観は、働き始めてから岩手県へ赴任したことで大きく変わりました。東京だと嫌でも毎日目にするような偏った流行や情報が、岩手県では一切入ってきません。ビジュアル的な情報が遮断されてはじめて、人のことを気にする必要はないんだと分かりました。
好きなことをやって良いとしたら、何をやりたいだろう。
出てきたのは『映画を作りたい』という感情でした。
誰かの承認を得るのはもうやめる。自分がやりたいんだからやる。他人に納得してもらうためにロジカルに説明できるような夢や目標じゃなくて、言葉にできないような衝動に、僕はためらいなく身を委ねることにしたんです。
海外美大受験の基本的な流れを簡単に説明すると、
どの大学も基本はこんな感じです。
大学に提出するものはメジャーや大学によって若干異なりますが、カルアーツを例に説明すると、
を期限までに大学に提出すれば出願完了となります。作品作りだけでも大変なのに、情報不足や英語という敵が隊列を成して容赦なく襲ってきます。
僕は2015年9月に退職後、日本の2つのアートスクールに通い半年間ぎっちり作品制作をして、同年12月に出願しました。しかしあえなく撃沈。世界最高峰の大学にノースキルのぼくが半年で合格するわけがありません(笑) 。
1回目の受験時の作品。Hands 11.69 × 16.54 in
翌2016年はアートだけに集中すると決め再出発。もう一度基礎から徹底的にやらならければだめだと思い、カナダ人のアーティストのもとで、鉛筆デッサンから学び直しました。
その後も彼のアトリエでアートの基本を教えてもらい、アナトミー(美術解剖学)を4ヶ月、パースペクティブ(透視図法)を1ヶ月かけて勉強。食事とお風呂以外の時間は、全てアートに捧げました。
7月のある日、カルアーツで元教授だった人が「P.I. Art Center」というニューヨークのアートスクールで先生をしているとの情報が。どうしてもその人からドローイングを学びたいと思い、9月からはニューヨークへ行き、そのアートスクールに4ヶ月間の短期留学をしました。
ニューヨークでは午前中は課題、午後は授業、夜はまた課題。授業がない日は、午前中に外部のライフドローイングセッションに参加、午後は外でスケッチをしたり、友だちと美術館に足を運んだり。観光や息抜きは一切せず、アートに関係のあることしかしなかったです。むしろアートに没頭できることが楽しくて、息抜きなんて必要ありませんでした。
NYでの制作の様子
12月はポートフォリオ作成のピークで、夜10時に寝て夜中2時に起きて作業をするというスタイルで乗り切りました。ニューヨークでの生活は、不便はあっても不満は一切なかったです。1週間$12だけの食費で4ヶ月生活するのは、なかなかシャープな食生活だったけれど。
一心不乱にアートに打ち込み、昨年とは見違えるポートフォリオ(自分の作品集)ができました。自分としても納得の出来。
写真:NYのアートスクールの様子
そして退職から1年半後、2回目の挑戦にして無事カルアーツに合格することができたのです。
写真:合格した時の作品。自画像:Imprisonment for 40 years 25.6×19.7 in
「小さい頃に母親が病気になったのをお医者さんが救ってくれた。だから自分も医者になりました」みたいなストーリーは、僕にはありません。
大学時代は法律を学び、ラクロス部にも所属。その後営業として仕事をして、今はアートをやっています。
メディアでは未だにシンプルできれいなストーリーを持つ人がクローズアップされることが多いし、そういう人ってやっぱり主人公キャラでかっこいい。小さい頃から何かひとつのことに打ち込んできた人って美しいし、できれば僕もそうありたいと思う。
でも、ウロウロ人生を歩んできた人だって活躍して良いと思うんです。
だから、僕みたいに訳の分からない角度からアートに挑戦する人や、大人になってから新しいことを始めようともがいている全ての人の心を貫くような作品を作りたい。
サラリーマン時代に培ったロジカルな部分とアートのクリエイティブな部分、2つのフィールドを持った稀有な存在になりたいという意気込みを表現して、自分のことをスーツを着たアーティストだと思って、僕はこれからも活動していきます。
留学が今までやってきたことの延長線にはない人も、それが心に引っかかるのなら、まずは自分の声にちゃんと耳を傾けて欲しいです。確かに社会人留学は不安だと思います。でも、それこそ真っ白なキャンバスに絵を描くように、一緒に新しいことに挑戦しませんか?
参考に僕がニューヨークで通っていたアートスクール「P.I. Art Center」については、僕のブログでも紹介しています↓↓
P.I. Art Centerへのお問い合わせ、資料のご請求について
お問い合わせの際に『髭猿ブログ見た!』と記載頂くと、入学金が無料になるキャンペーンも実施中ですよ。
この連載の記事一覧はこちらから↓↓
カルアーツ アート留学連載
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