アメリカ合衆国には、言語や人種、宗教はもちろん、日本とは異なる文化や慣習が多くあります。アメリカ文化に触れてはじめて日本文化との違いを知るとき、驚いたり戸惑ったりすることもあるかもしれません。
今回は、いち早くアメリカの生活に慣れるために、アメリカ留学の経験がある著者がアメリカの伝統文化や食文化などの特徴を紹介します。ほんの一例ですが、日本との違いを発見し、学校生活や仕事、日常生活を楽しみながら、アメリカでの暮らしを満喫できるよう参考にしてみてください。
なお、アメリカ留学についての全般的な情報は下のページでまとめているので、具体的な検討を進めたい方はチェックしてみてください。
アメリカ留学
[目次]
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まずは、アメリカ文化の基本的な特徴を、国民性や宗教、言語から紹介します。キーワードは「多様性」。さまざまな国籍をルーツに持つ人たちが集まる国ならではの多様な文化が、アメリカの特性を形づくっています。
アメリカは、多くの移民で成り立っている国です。さまざまな文化や言語が入り混じり、自分とは違う相手の価値観を尊重し、受け入れ、共生していこうとする多文化主義は、「自由な国」と評価される理由でしょう。一方で、白人至上主義がいまだ残っている側面もあります。
また、個人の権利や自由を重んじる個人主義的な部分も見受けられます。さらに、“good” “nice” “cool” など「良い」というポジティブな言葉を多用することからも分かるように、楽観主義的な側面もあり、通説としてアメリカの国民性とされることがあります。
もちろん、すべてのアメリカ国民がそうとは限りませんし、置かれた状況や環境にもよりますが、集団や公の目を気にしたり、遠慮がちで心配気質な日本人とは日常の言葉選びから違うと感じることがあるでしょう。
アメリカは、長年多くの移民が住んでいることから、さまざまな宗教への信仰が存在しています。およそ6割がキリスト教徒ではありますが、宗派の違いもあり、国教として定められているわけではありません。
アメリカの宗教人口の割合は2023年にピュー・リサーチ・センターが発表した全国世論参考調査(NPORS)によるとプロテスタントが約41%、カトリックが21%、ユダヤ教2%、イスラム教1%や仏教1%などを含むその他の宗教が約7%、無宗教が約28%となっています(※1)。
近年は無宗教の人が増えているようですが、アメリカに限らず宗教は個人やルーツを尊重するものです。相手が信仰するものを否定したり、からかったりすることはご法度。一方でイベントや礼拝など、他宗教の人にも自由に門戸を開けていることが多いです。異文化を経験する意味でも、招かれたら積極的に参加してみると良いでしょう。
アメリカで主に話されている言語は英語ですが、実は公用語ではありません。言語も多様で、英語以外に中国語やスペイン語など複数の言語を話せる人が少なくありません。
特定の地域やコミュニティでは、英語以外の言語を母語として使う人が多いこともあります。たとえば、カリフォルニア州の南に位置するサンディエゴは、メキシコ国境に面しているので、スペイン語を話す人も多く、中南米由来の文化を感じる機会も多いです。街中やウェブサイトでも、英語とスペイン語が併記されていることに気付くでしょう。
アメリカの日常生活におけるアメリカ文化の特徴やルール、日本との違いを紹介します。今回は、時代の移り変わりとともに変化しつつある側面もあわせてご紹介していきます。
欧米などでは、室内に入るとき靴を脱がないのは日本でもよく知られています。しかし昨今のアメリカでは、特に若い人たちを中心に、自宅では靴を脱ぐ人が増えているのだとか。リラックスして過ごしたい、衛生面を考えて……など、理由はそれぞれですが、「室内でも靴は脱がない」が常識ではなくなりつつあります。
ただし日本のように玄関が室内より低い位置にはなく、フラットな状態の住居が多いので、どうしても砂や塵などが室内に入りやすくなります。そのため玄関の外と室内の入ってすぐの場所に、マットを敷いている家庭が多いです。訪問する際には、靴裏の汚れをよく落としてから入室することもマナーの一つです。
日本ではなじみの薄い「サンクスギビングデー」は、アメリカで毎年11月の第4木曜日に設定されている祝日です。「感謝祭」と訳されることが多く、収穫の恵みに感謝する日とされています。
現地ではハロウィンとクリスマスの間にある一大イベントです。家族や友人たちが集まり、大きな七面鳥を丸ごとオーブンで焼いたローストターキーやパンプキンパイなどのごちそうを食べてゆっくり過ごします。
サンクスギビングデーは祝日なので、銀行や公的機関、学校、職場などもお休みです。スーパーマーケットや飲食店なども閉店時間が早まるので、注意しましょう。
アメリカでは洗濯乾燥機を所持している家が多く、各部屋が狭い集合住宅(日本でいうマンションやアパートなど)には、共用部分に乾燥機が設置されているところもあります。
庭やベランダなど室外に洗濯物を干すことはあまりありません。外に干すと景観を乱し、不動産価格に影響するというのが主な理由のようです。
ただし最近ではハワイなど一部の州で、洗濯物を外に干す権利を主張しているところもあります。洗濯乾燥機は電気エネルギーを使用するため、自然の風で乾かす方がSDGsの観点から合理的だという考えが広がっているようです。
アメリカはUnited Statesと呼ばれることから分かるように「州」の集合体で国家が成り立っています。各州に大きな権限が与えられていて、地方分権が進んでいます。
州ごとに法律や税率が決められているので、運転免許の取得や選挙、同性婚、薬物所持の規定などさまざまな面で違いがあります。州をまたいで移動する際には、法を犯さないようによく確認する必要があります。
喫煙や飲酒の年齢制限に関しても、州ごとにルールが異なります。多くの場合、喫煙は18歳から飲酒は21歳からとされています。アメリカでは近年禁煙試行が進んでおり、屋内は全面禁煙のエリアも少なくないので注意しましょう。州によって税率は異なるものの、タバコ自体の価格も高額になっています。
飲酒に関しても、テラス席を含めた屋外での飲酒を禁止している州もあります。スーパーマーケットなどで酒類を購入する際には身分証明書が必要な場合もあり、童顔が多い日本人は、例え40歳でも提示を求められることがあります。
アメリカは国土が広大なので、本土だけでも4つの時間帯(タイムゾーン)に分かれていて、時差があります。
ニューヨーク州などがある東から順に、東部 (EST:イーストタイム)、中部 (CST:セントラルタイム。東部時間に+1時間)、山岳部 (MST:マウンテンタイム。東部時間に+2時間)、太平洋 (PST:パシフィックタイム。東部時間に+3時間)となっています。
そのほか、アラスカ州(東部時間に+4時間)とハワイ州(東部時間に+5時間)も異なりますので、あわせると6つのタイムゾーンがあります。州をまたいで移動したり、異なるタイムゾーンに住む人とやりとりする際には注意が必要です。
アメリカは、低所得者や高齢者・障がい者には公的医療保険がありますが、日本のような国民皆保険制はなく、多くの国民は、民間企業の医療保険に加入する必要があります。
加入していないと全額自己負担になり、高額な医療費を支払わなくてはなりません。
また留学の場合は、保険に加入しないと授業が受けられないこともあるほどです。必ず加入してから向いましょう。
日本よりも自主・自立・自由な雰囲気が強いアメリカの学校生活は、最初はその自由さに戸惑うこともあるでしょうが、自分の意志、行動次第で、とても充実したものになります。知っておくと役に立つ文化の違いを紹介します。
アメリカの学校は、三学期制または二学期制を採用していることが多く、新年度は9月から始まり、6月(または5月下旬)で終わります。
長い夏休みのあと、新年度が始まることになりますが、日本のような入学式はありません。1週間程度のオリエンテーションが終わると、すぐに授業がスタートします。
日本の高校を3月に卒業してからアメリカの大学に入学する際は、その年の9月に渡米して入学するケースが一般的です。
アメリカでは小学校から大学までの期間、留年や飛び級制度があります。ルールや基準は州や学校によって異なりますが、特別な制度ではありません。
日本では小学校や中学校に入学する年齢は決まっていますが、アメリカでは学力が必要なレベルに達していると認められれば、飛び級や早期入学が可能です。
日本人が抱く留年や飛び級のイメージは「留年=成績が悪いから進学できなかった」「飛び級=著しく優れた才能があるので早く進学・卒業できる」のようなもので、思い込みがある方もいるかもしれません。
しかしアメリカでは、留年も飛び級も本人(あるいは保護者)の希望で選択し、学校側が許可すれば実現できるといったものです。
日本で授業中に何かを食べることは、ご法度。かつては水を飲むことさえ許されなかった時代もあったほどです。一方アメリカでは、なにかを食べながら授業を受けている生徒は、珍しくありませんし、怒られることもありません。先生もりんごをかじりながら教鞭をとっていたりします。
ちなみにランチはカフェテリアと呼ばれる食堂で食べることもありますが、自分で持って行く場合には、弁当箱ではなく、タッパーや密閉袋にフルーツやサンドイッチ、クラッカーなどのスナックといった簡単なものを入れて持ってくる人が多いようです。
日本のように、栄養バランスや見た目を考慮した食事というよりも、ささっと手間なく用意できて、ぱっと手軽に食べられる簡単なものを持参することが多いです。
州や地域によりますが、アメリカでは大半の場合16歳以上になると運転免許が取得できるので、高校や大学に自分で運転して登校する学生は珍しくありません。
公共交通機関が整っていないエリアだと、車がないと通学どころか生活するのにも困ることが多々あります。そのような地域に留学する人は、渡米後すぐにアメリカの運転免許を取得して、中古車を手に入れて自分で運転して通学しています。
合理的で実力主義なアメリカで、日本人が職を得ることは簡単ではありません。しかし努力次第で大きな経験となることは間違いないので、臆せず挑戦しましょう。そのためにもアメリカでのビジネスマナーやルールは、しっかりと押さえておきたいところです。アメリカでの働き方の特徴や文化の違いを説明します。
アメリカでは新卒一括採用や中途採用という考え方はなく、日本のような就職活動時期というものはありません。通年採用をしている企業が多いので、それぞれのタイミングで活動をします。
実績や経験のある社会人と比べると新卒は不利ともいえるので、在学中にできるだけ多くの企業でインターンをして経験値を上げて就職活動をする人もいます。一方で学生の間は勉強に集中し、卒業してから就職先を探す人も少なくありません。
日本語で「解雇」というと、社員の過失などによって「クビ」になることを連想しがちですが、アメリカでは「ファイヤー(fire)」と「レイオフ(lay off)」で区別されます。
「ファイヤー」は社員側にその原因があるケースが多いですが、「レイオフ」は会社の業績悪化や人件費削減が理由の場合が多いです。また特定の部門縮小を意味する「ポジションクローズ」など企業側に合理的な理由がある場合もあります。レイオフは業績が回復するなど状況が好転すると再雇用することを約束する一時解雇です。
アメリカでもレイオフは簡単に実行されることではありませんが、珍しいことでもありません。レイオフは手当や保険の対象になるので、突然言い渡されても明日から路頭に迷うことはないので、ご安心を。
実力主義のアメリカでは転職することが一般的なので、次へのステップだと前向きに捉えて転職活動につなげる人もいます。
アメリカのビジネスシーンにおいて英文メールは意外と簡単です。「結末から書く、シンプルな文章で、要件だけを簡潔に伝える」を意識すれば良いのです。
もちろん状況や相手によって、それだけでは不十分なこともありますし、感謝やお詫びの言葉が必要な場合もあります。ただし長々と回りくどく書き連ねると、逆に嫌悪感を抱かせてしまうこともあるので避けましょう。
日本では上司や目上の人の名前に「さん」などの敬称を必ずつけます。しかしアメリカで「さん」に該当する「Mr.や Ms.」をつけて呼ぶことはほとんどありません。
ファーストネームを”Richard”などと呼び捨てにするか、ニックネームなどで呼ぶのが一般的です。ただし、あまり関係性の薄い上司や、初対面やそれに近い場合には、最初は「Mr. Jobs」などと敬称つきで呼んだほうがいいでしょう。
相手の方から”Call me Richard.”などと言ってくれたら、それ以降はファーストネームで呼ぶといいです。あるいは、呼び方に迷ったときは、”What should I call you?” などとたずねてみると関係性も近くなって、より良いでしょう。
アメリカは肉食文化でジャンキーな食文化が多いと思われがちですが、ヘルシーな食事を選択できる機会は日本より多くなってきました。詳しくご紹介します。
アメリカで好まれている食べ物トップ3といえば、ハンバーガー、ピザ、ホットドッグ。一緒に飲むドリンクはコークやソーダなどの炭酸飲料が多く、どれも大きさや量は日本の1.5倍、2倍はあります。
渡米直後はそのボリュームに面くらうものですが、滞在期間が長くなるほど胃もアメリカンサイズになるのか、ぺろりと平らげてしまう方も多いでしょう。
アメリカといえば「ステーキ!」というイメージも強く、確かにステーキハウスも多いですが、実は鶏肉人気も高く、揚げたチキンをバンズなどに挟んだチキンサンドもよく食べられています。
日本で販売されているサンドイッチやサラダ、定食は具材の組み合わせが決まっていることが多いですが、アメリカでは、サイズ、パンの種類、野菜や肉などの具材、ドレッシングやソースなど自分で選べるレストランやショップが多いです。
そのためアレルギーや宗教、志向・思想などの面で菜食中心の食生活をしている人と、肉も牛も卵もOKな人が同じ店で食事をすることはとても容易です。
前述のように肉食やジャンクフードを好む人が多いと思いきや、ヴィーガンやローフード、グルテンフリー、マクロビオティックなどに対応した食を選択できる機会は多く、オーガニック系のショップもあちこちにあります。
留学やアメリカ滞在がきっかけで食への関心が高まって菜食になったり、オーガニック野菜を選ぶようになる人もいるほどです。
地域や店舗にもよりますが、アメリカのスーパーマーケットに入ってまず驚くのは、その陳列です。色とりどりの野菜や果物が、隙間なく横に縦に最大限に積まれている様子は圧巻です。
牛乳などの冷蔵コーナーでもスナックなどの常温コーナーでも、「きっちり」「たくさん」並べる「魅せる陳列」に感動します。
ちなみに、日本では会計前に商品を開封したり、食べたりすることはあり得ませんし許されませんが、アメリカではOK。小さな子どもが「ママ、これ食べたい」とスナックの箱を親に渡すと、ママは慣れた手つきで開封し、子どもも自然な流れで食べ始めます。それを見て咎める人は誰もいません。会計時に空箱を出して、申告すれば問題ないのです。
これは子どもに限ったことではなく、計り売りコーナーでナッツやフルーツを計量したあと、つまみながら買い物をする大人もよく見かけます。
アメリカ合衆国はスポーツが盛んな国ですが、なんといっても、中心はアメリカンフットボール。日本にいるとなかなか試合を目にする機会は少ないですが、アメリカではとても日常的な会話にも登場するスポーツです。
アメリカ滞在の機会に、ぜひお気に入りのチームを見つけてください。アメリカでの生活がより一層楽しめるかもしれません。
アメリカで人気の4大プロスポーツは、アメリカンフットボール(NFL)、野球(MLB)、バスケットボール(NBA)、アイスホッケー(NHL)です。
一番人気はアメリカンフットボール(以降アメフト)で、アメリカでは「football(フットボール)」と呼ぶことが多いです。
もともとは19世紀にイギリスのフットボールと、さらにそれが変化したラグビーがアメリカに入ってきたことがはじまりです。その後、長い年月をかけてアメリカ独自のルールができました。
アメフトはアメリカ発祥のスポーツで、自国で生まれたスポーツに愛着を持っていることが、絶大な人気を誇る理由の一つだといえます。
アメフトの重要な試合は週末やイベントシーズンにTVで放送されることが多いので、家族や友人が集まってホームパーティをしたり、バーベキューをしながらアメフト観戦をするのが一般的です。
特にアメリカ最大のイベントの一つ、サンクスギビングデーにはNFLのゲームがメインイベントとしてTV放映もされます。よって家族や友人たちと過ごす大事なサンクスギビングの日に、アメフト観戦するのは国民にとって恒例行事でもあり家族団らんの日でもあるのです。
「football」という単語は、アメリカでは「アメリカンフットボール」のことを差しますが、イギリスやヨーロッパ、中南米などでは、「サッカー」を意味します。
サッカーをsoccerと呼ぶのは北米や日本、韓国などが中心で実は世界的に見ると少数派です。
では「soccer」はアメリカで生まれた言葉なのかというと、実はイギリス発祥で、Association football(協会式フットボール)が語源です。19世紀にサッカーのルールを統一したイギリスの協会が、当時「ラグビーフットボール」と呼ばれていたラグビーと区別するために、そのような名称にしたとされています。
当時、若者たちの間で言葉を短縮するのが流行っており、asoccer(アサッカー)がやがてsoccer(サッカー)になったようです。
国籍や人種で、人の性質を決めつけることはできませんが、日本とは異なる対人関係の築き方や、表現の仕方などコミュニケーションの主な違いや傾向、特徴を紹介するので参考にしてください。
すべてのアメリカ人がそうとは言い切れませんが、日本人よりも表現が豊かだと感じることは、日常生活の中でもたびたびあります。たとえばバスの中でスマホ画面を見ていた乗客の一人が、応援しているNFLのチームが勝ったので急に拍手をしながら、喜びの声をあげてて見知らぬ隣席の客と握手やハグをして喜び合うシーンを目にすることもあるでしょう。
良いことがあったのか、歌いながら仕事をしているショップの店員さんを見かけたり、逆に機嫌が悪いときには、仕事中であっても明らかに不貞腐れた態度で接客していたりすることもあります。
喜びや感謝、何かポジティブな感情を伝えるとき、あるいは相手をなぐめたりするとき、ハグをすることは日常茶飯事です。
そういう環境に身を置いていると、自分の気持ちに素直になったり喜怒哀楽の表現が分かりやすくなったりします。
アメリカ人は正直だから、社交辞令なんて言わないと思うかもしれませんが、意外にもよく使います。「いいね」「素敵ね」などの褒め言葉をよく口にしますが、あいづち感覚で社交辞令として発している場合も多く、真に受けていると「あれ?こないだは褒めてくれていたのに……」と態度の変化に面くらうこともあるでしょう。
あるいは何かお願いごとなどをしたときに、「いいよ」と快く受けてくれたと思っていたのに、忘れられることも。それらは決して悪気があるのではなく、社交辞令の一つである可能性もあります。
いつも笑顔でフレンドリーに接してくれていても、ネガティブな側面をただ見せていないだけということもしばしば。相手の国籍を問わず、目に見える印象だけに捉われないようにしましょう。
さまざまなジェスチャーがありますが、極端に違う意味や反対の意味になるものは知っておきましょう。
手のひらを上に向けて「おいで」の動きをするのは、日本と同じで「こっちに来て」の意味ですが、手のひらを下に向けて同じ動きをすると、「あっちに行け」という意味になってしまいます。
また日本で手のひらを顔の前で左右に振ると、「いいえ」「いりません」という意味になりますが、アメリカでは「くさいです」という解釈になってしまいます。Noを伝えたい場合は、手は使わず、首を左右に振ればOKです。
日本で「お金」を表現するときは、親指と人差し指で、丸をつくってOKサインのようにしますが、アメリカでは、親指を人差し指・中指をこすり合わせるのが、お金という意味になるので注意しましょう。
家族間で”I love you”などと言いあっていたり、成人している娘と肩を組んで歩いているお父さんを見かけたり、家族の行事ごとに親戚家族一同が集まって食事をしていたり……。
アメリカ人は感情表現が豊かだったり、気持ちが行動に表われやすいので、私たち日本人からすると「家族が大好きなんだなぁ」と感じる機会が多いでしょう。
アメリカでは、さまざまなルーツや文化を持つ人が集まっている多種多様の国なので、人の気持ちを察して行動する習慣があまりありません。相手に何かを伝えたいときには、自分の意見をはっきりと述べる必要があります。
学校や職場で、遠慮して自分の意見を述べずにいると、それは「参加していない」「そこにいない」とみなされることがあります。
学校では、成績に落第点をつけられる場合も。自己主張をすることはわがままを通すことではなく、周囲に自分の考えを伝えるために、論理的かつ明確に言語化することを意味します。そうすることが円滑なコミュニケーションにつながります。自分の権利を主張するのは、アメリカで自分らしく生きていくために必要なスキルともいえるでしょう。
人を好きになってお付き合いに至るまでに、アメリカでは「Dating」と「Seeing」というプロセスを経ることがあります。
Datingとはデートのみをする期間のことです。誰か特定の人を決めるまで、デートする相手は複数人であることも珍しくありません。Seeingとは同じ人と何度かデートを重ねたあと、その人とお付き合いするかどうかを判断したり、絞りこんだりする期間のことです。Seeingを経て、家族や友人たちに「恋人」として紹介されたり、「I love you」などの言葉のやりとりで晴れて恋人同士になれるといった具合です。
しかし実のところ、この境目はあいまいで、双方で認識が違っていることもあります。文化の違いに戸惑う場合は、都度言葉に出して確認した方がトラブルを避けられるでしょう。
「郷に入っては郷に従え」といわれますが、異国の地で生活する場合はその言葉が身に沁みます。
まずはアメリカのマナーやルール、慣習を知り、そのうえで日本人らしさや自分らしさを表現できるようになると、アメリカ文化に馴染めるだけではなく、人として成長できるように思います。そのためのポイントを2点紹介します。
英語がまだおぼつかない状態で、はじめてアメリカに住むことになった場合は不安でいっぱいかもしれません。英語が通じない、聞き取れないと落胆したり現地の人と楽しそうに話すアジア人(日本人)を見かけると孤独を感じ、自分が異質だと感じたり、どうしようもない劣等感に苛まれることもあるでしょう。
アメリカは移民を多く受け入れている国です。さまざまな国や地域出身の人だらけなので「英語」といっても、国や地域のなまりが強いことは多々あります。また、肌や目の色など異なることの方が一般的です。
まずは、分からないことは周囲の真似をしてみたり、質問してみたりすると良いと思います。それを繰り返していくと、アメリカの生活も英語も、自分の身になっていくでしょう。
日本人であることに誇りを持っておくことは、アメリカに限らず異国で生活する際にとても大切です。日本には独自の文化や歴史があり、日本人としての背景も誇るべきものです。
自分のルーツを打ち消して、アメリカに染まろうとするのではなく、自分のアイデンティティを受け入れ、認めることでより一層魅力的な自分に、あるいはあるがままの自分を表現できるようになっていくでしょう。
またアメリカには、日本に興味関心があったり、日本好きな人がたくさんいます。「こういう場合日本ではどうするの?」「あなたが好きな日本のいいところはどこ?」「その日本語の響き素敵だね」などと、声を掛けられることも多いでしょう。そんなときは自信を持って、ポジティブに答えられると、アメリカでの生活がより楽しくなります。
事前に日本独特の文化や歴史、食などについて、知識を深めておくと良いでしょう。
ここまで紹介したアメリカの文化や風習の内容は、ごくわずかです。カルチャーショックに悩むこともあるかもしれませんが、渡米後にさまざまな違いや特徴を見つけて、違い自体を楽しめるようになる頃には、あなたはもう「アメリカに馴染んだ」なの状態かもしれません。
渡米前に自分が滞在する地域のルールやマナーは必ずチェックし、細かいことは現地で情報収集を心がけましょう。そこに住む人たちに助けてもらいながら、暮らしに馴染んでいけば良いと思います。
アメリカの学校の特徴や日本との違いを知りたい人はこちらの記事もご覧ください。
アメリカの学校の特徴と知っておきたい注意点!日本とは何が違う?
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※1…Pew Research Center「TNPORS」(参照日:2024-06-25)
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