年間を通して気候が温暖で住みやすく、大学での勉強にも適した環境であるフロリダ州。そんなフロリダ州で最も規模が大きく有名な大学が、フロリダ大学です。
本記事では、数あるアメリカの大学の中からフロリダ大学について取り上げ、その特徴や費用、留学方法などについて紹介します。
「アメリカの大学にはどんなところがあるか知りたい」「フロリダ大学に行きたいが英語や費用が心配」といった人に向けて役立つ情報を提供しますので、ぜひ参考にしてみてください。
まずは、フロリダ大学の基本情報から解説します。
フロリダ大学は、フロリダ州で最も古くに設立された州立大学です。1853年創立のフロリダ神学校から始まり、その後大学になりました。
フロリダ大学では、学部で100の専攻、大学院では200のプログラムを受けることができ、フロリダ州でも最大規模を誇っています。ノーベル賞受賞者をはじめ、さまざまな有名人・著名人の出身校でもあるのが特徴です。
複数の大学世界ランキングでもフロリダ大学は上位に入っており、U.S. News & World Reportによる、2022年の世界大学ランキングでは28位に、Times Higher Education Rankingの2022年THE世界大学ランキングでは154位に、それぞれランクインしています。
後者のTimes Higher Education Rankingを見て日本の大学と比較すると、京都大学が61位、東北大学が201~250位群です。日本トップレベルの大学にも引けを取らないことがわかり、大学の教育レベルは高いといえます。
【参考】University of Florida - Programs
以下で一覧にあげているのが、フロリダ大学の学部や学科です。文系・理系両方の分野を網羅しており、日本の総合大学のように幅広い分野が学べることがわかります。
・AGRICULTURAL AND LIFE SCIENCES(農学、生命科学)
・ARTS(芸術)
・BUSINESS, WARRINGTON COLLEGE(ビジネス)
・DENTISTRY(歯学)
・DESIGN, CONSTRUCTION AND PLANNING(デザイン、建築学)
・EDUCATION(教育学)
・ENGINEERING, HERBERT WERTHEIM COLLEGE(工学)
・HEALTH AND HUMAN PERFORMANCE(健康、ヒューマンパフォーマンス)
・JOURNALISM AND COMMUNICATIONS(ジャーナリズム、コミュニケーション)
・LAW, LEVIN COLLEGE(法学)
・LIBERAL ARTS AND SCIENCES(教養・科学)
・MEDICINE(医学)
・NURSING(看護学)
・PHARMACY(薬学)
・PUBLIC HEALTH AND HEALTH PROFESSIONS(公衆衛生、健康)
・VETERINARY MEDICINE(獣医学)
【参考】University of Florida - Colleges
2020−2021年度の生徒数は、学部生が約35,000人、大学院生が約18,000人で、合計約53,000人でした。男女比は男性が約43%、女性が約57%と、女性の方がやや多い比率です。
また、フロリダ大学は、海外から多くの留学生を受け入れています。2019年にフロリダ大学が受け入れた留学生数は約4,400人でした。
年度が異なるため単純に比較はできませんが、留学生の割合は大学全体の学生数の約8%ほどに。アメリカ国外の学生に対しても広く門戸を開いていることがわかります。
【参考】college factual - University of Florida International Student Report
【参考】UNIVSTATS - UF Student Population -
フロリダ大学は、フロリダ州北部のアラチュア郡ゲインズビルに位置しています。ゲインズビルは豊かな自然に囲まれ、温暖な気候で年間通して過ごしやすい場所です。
住所は以下の通りです。
University of Florida
Gainesville, FL 32611
次に、フロリダ大学の特筆すべき点について紹介します。
フロリダ大学は、カレッジスポーツが盛んな文化の大学です。その熱狂ぶりは、アメリカ国内でも有名なほど。フロリダ大学のスポーツチームはゲイターズ(Gators)と呼ばれ、国内のさまざまな大会で優秀な成績を収めてきました。
スポーツの強さがわかる有名なエピソードとして、2006年のバスケットボールとフットボールの優勝が挙げられます。アメリカで最も人気といわれるふたつのカレッジスポーツが、同一年度で同大学が優勝を飾るというのは初めての快挙でした。
他にも、ゴルフ・水泳・テニス・陸上などさまざまなスポーツでトップレベルの成績を収め続け、多くの有名なスポーツ選手を輩出しています。
また、スポーツドリンクでおなじみの「ゲータレード」は、1965年にフロリダ大学の教授によって開発されました。世界初のスポーツドリンクの発明は、フロリダ大学がスポーツに力を入れてきたことを物語る、有名なエピソードの一つです。
【参考】Florida Gators - Overview & History
フロリダ大学は、名門の州立大学を総称した「パブリック・アイビー(Public IVY)」のうちのひとつです。
名門私立大学を総称するアイビー・リーグは聞いたことがある人もいるかもしれませんが、パブリック・アイビーはアメリカの公立名門校をリストアップしたもの。
アイビー・リーグ同様に入学の難易度が高く、学生の質・教育レベルも一定以上の大学のみが選ばれています。その証拠に、フロリダ大学は公立大学のランキングでトップ10に入っているのが特徴です。特に会計学や商学、生物学などが全米で高い評価を受けています。
アメリカに留学したい学生にとって、私立よりも学費が安く、教育の質も保証されているフロリダ大学に入学するのは大きなメリットといえます。入学のハードルは高いかもしれませんが、挑戦してみる価値はあるでしょう。
なお、含まれる大学が決まっているアイビー・リーグとは違い、パブリック・アイビーは人や視点によって含まれる大学が異なります。場合によってはフロリダ大学がパブリック・アイビーに含まれないこともある点には注意が必要です。
フロリダ大学は、人種・性別・国籍を問わず、すべての学生に対して学ぶ機会を提供することを理念として掲げています。
フロリダ大学に通う学生の主な人種の構成は、白人、黒人、ネイティブアメリカン、ヒスパニック、アジア人などさまざまです。他にも、世界中にルーツを持つ学生が多数在籍しており、さまざまなバックグラウンドを持つ人々が集まっています。
たとえ人種や国籍が異なっても、お互いを尊重し学びあえるという経験は、学校の勉強だけでは得られません。フロリダ大学のダイバーシティ・インクルージョンを大切にする校風は、アメリカ国外からくる留学生にとっても居心地の良い場所といえそうです。
【参考】UNIVSTATS - UF Student population
【参考】college factual - UF Demographics & Diversity Report
アメリカの大学に留学する際に気になることのひとつが、学費などの費用面。フロリダ大学に留学する際の学費は、1年間でどのくらいかかるのかについて以下でまとめました。
なお、本記事では米ドルをUSDと表記します。為替レートには2021年12月20日時点での情報を参照し、1USD=114円で計算しています。
フロリダ大学に1年間通った場合、平均的な費用は約523万円ほど。内訳を下の表にまとめました。
個人の状況によって費用は変わりますが、費用の準備をする際の目安として参考にしてください。
費用の種類 | 費用 |
---|---|
学費 | 25,694USD(約293万円) |
教科書費・教材費 | 850USD(約10万円) |
居住費 | 10,220USD(約117万円) |
食費・交通費 | 約43万円 |
渡航費 | 約10〜20万円 |
保険費 | 約28万円 |
その他 | 約22万円 |
合計 | 約523万円 |
【参考】CollegeSimply - Florida Tuition & Cost
留学に必要な費用を負担できるかどうか不安な人は、奨学金の活用がおすすめです。
食費などを節約すれば費用をある程度抑えることは可能ですが、学費の高さやアメリカの物価を考えると、大学生活の費用はどうしても日本より高くなってしまう傾向に。
フロリダ大学の留学生が活用できる奨学金もちゃんと用意されているので、以下を参考に活用を検討してみてください。
なお、以下で言及しているビザの種類については、以下のとおりです。
・J-1ビザ:交換留学生・研究者・職業訓練生
・F-1ビザ:一般学生
・Fulbright Scholars(フルブライト奨学金)
フルブライト奨学金は、専門性の高い学者や大学院生を対象とした国際交流プログラムです。国際的なプログラムですが、フロリダ大学でも応募を受け付けています。
・The University Scholars Program
学部生を対象とした奨学金です。特定のプロジェクト・研究をフロリダ大学と行うことが要件で、合計1,750USD(約20万円)が支給されます。
・UFIC International Student Emergency Hardship Scholarship
経済的な事情で留学費用を賄えない留学生を対象とした奨学金プログラムです。学期ごとにそれぞれ3人の学生に対して、2,500USD(約28万5千円)が支給されます。
・Scarborough Scholarship
修士・博士課程の学生を対象としたプログラムで、1,000USD(約11万4千円)が支給されます。
・Ofelia Anzola Memorial Scholarship
農学またはライフサイエンス専攻の修士・博士課程の学生を対象とした奨学金です。
【参考】University of Florida - ADDITIONAL INFORMATION
【参考】University of Florida - INTERNATIONAL FULBRIGHT SCHOLARS & STUDENTS
【参考】University of Florida - University Scholars Program
【参考】University of Florida - FINANCIAL RESOURCES
次に、フロリダ大学へ入学する方法をいくつか紹介します。
日本の高校を卒業した後、留学生として大学に入学する方法が正規留学です。高校での成績証明書を日本語と英語の両方で準備し、提出する必要があります。
申込みは8月から始まり、出願フォームの締切は11月1日まで。アメリカで教育を受けていない場合は、高校での成績証明書(日本語・英語)を別途提出しなければなりません。
【参考】Univerisy of Florida - Freshman
【参考】University of florida - Freshman International
アメリカ国外の大学からフロリダ大学へ編入するという方法もあります。審査にかなりの時間がかかるため、期間に余裕を持って準備することをおすすめします。
出願に必要な書類は、以下のとおりです。
・NACESによって発行されるCredential Evaluation(信用評価)
・大学の成績証明書(日本語・英語)
英語を公用語としない国の学生の場合は、英語力の証明が必要です。英語の試験を受けるか、アメリカ及び英語を公用語とする国の大学に1年間通い、所定の単位を取得するかのどちらかを選ぶ必要があります。
試験を受ける場合は、以下に記載のスコアを最低限取得することが必要です。
・TOEFL (iBT) : 80
・TOEFL (PBT) : 550
・IELTS Academic : 6.0
【参考】University of Florida - Transfer Eligibility
【参考】College Transfer Net - University of Florida
【参考】UF ADMISSION - International Applicants
コミュニティカレッジからフロリダ大学へ編入することも可能です。「最終的にはフロリダ大学へ行きたいけれど、まだ英語力や成績に不安がある」という人は、まずフロリダ州内のコミュニティカレッジに入学することを検討してみてください。
基本的にはフロリダ州内のコミュニティカレッジから編入することが原則なので、州内で学校を探しましょう。
応募に際しては、所定の出願フォームと通っている学校の成績証明書が必要です。編入の要件として、GPA2.0以上、60単位以上を取得していなければなりません。コミュニティカレッジで単位を取得し良い成績を収めていないと、フロリダ大学への編入は難しいでしょう。
【参考】University of Florida - Transfer Eligibility
パブリック・アイビーに名を連ねるフロリダ大学は、入学にどのくらいの学力や英語力が必要なのでしょうか。
フロリダ大学の合格率は約37%で、競争率は相当高いレベルだといえます。入学が非常に難しい難関校であり、アメリカの高校生に限っていえば、上位10%以内に入るトップクラスの成績を残していないと入学は難しいのが現実です。
学生の平均GPAスコアも約3.9と満点に近いことから、非常に高い学力を有している必要があることがわかります。
留学生でも提出が必要とされているSATやACTの点数で見ても、難易度の高さが顕著に現れているのが特徴です。フロリダ大学に合格した学生は、SATが1310-1470(満点1600点)、ACTが28-33 (満点36点)ほどを取得しています。
ちなみに、アメリカの高校生の平均点は、それぞれSATが約520-530点、ACTが21点です。この結果から見ても、フロリダ大学に合格するにはかなりの学力が必要であることがわかります。
【参考】College Simply - University of Florida
【参考】University of Florida - Admission
英語を母語としない留学生に対しては、大学の授業についていける英語力があることを証明しなければなりません。フロリダ大学が設けている基準は、以下のとおりです。
・TOEFL (iBT & Home Edition): 80
・TOEFL (PBT): 550
・IELTS Academic: 6.0
・Verbal GRE: 140
【参考】College Simply - University of Florida
本記事では、フロリダ大学についての概要や費用面、入学基準などについて説明しました。
フロリダ大学は伝統のある大規模校で、留学生も広く受け入れており、さまざまな分野の専攻を選ぶことができます。また、スポーツも盛んで、文武両道の活気にあふれた大学です。
難関校のため入学のハードルは高いかもしれませんが、自分の状況にあった入学方法を探してみてください。
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