イギリスにはたくさんの観光地があります。そのため、観光をする際は公共交通機関を利用しての移動がメインとなるでしょう。
イギリスの交通機関の中でも、観光客の助けとなるのが鉄道です。イギリスの鉄道は、イギリス全土に路線が張り巡らされています。イギリスのどの観光地に行くにも使い勝手が良く、現地の人の交通手段としてもなくてはならない存在です。
しかしイギリスの鉄道はとても便利な反面、日本とは違った複雑なルールがたくさんあります。
この記事ではイギリスの鉄道の乗り方やチケットの購入のしかたなどに悩む方へ向けて、イギリスの鉄道の利用方法について詳しく解説します。
これからイギリスに行く予定のある方は、ぜひ参考にしてください。
なお、イギリスの観光情報については下のページでまとめているので、おすすめの観光スポットや人気の料理などを知りたい方はチェックしてみてください。
イギリスのおすすめ観光スポット・イベント・グルメを紹介!
※記事内の金額表示は、イギリスポンドをGBPと表記します。1GBP=176円で計算をしています。(2023年5月18日時点でのレート)
[目次]
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イギリスの鉄道には日本の電車とは大きく異なる点が複数あります。
ここではイギリスの鉄道の特徴について、見てみましょう。
現地では「National Rail」と呼ばれるイギリスの鉄道。29の鉄道会社によって運行されています(※1)。
1994年に民営化が実現したイギリスの鉄道ですが、それまでは国鉄として人々を乗せてイギリス全土を走っていました。しかし時代の変化も伴い、経営はやがて破綻状態に。体制を整えイギリスの人々にとってより有益な存在となる必要に迫られた国鉄は、民間の企業に権利を譲渡します。
そして2023年現在のイギリスの鉄道は、ロンドンを中心にイギリス全土に渡って路線が開通しています。イギリス国民の通勤や買い物、遊びなどの日常生活はもちろん、観光客の移動手段としても重宝されている存在です。
イギリスの鉄道で乗車券を購入する際は、日本の新幹線のチケット購入のときのように、時間や乗る電車を指定します。また、座る席も電車によっては指定が可能です。
加えてイギリスの鉄道チケットは大きく分けて以下の3種類があり、異なる割引制度が設けられています。
予約した電車のみに乗れる。早割が効き、もっとも運賃が安い。
通勤ラッシュを避けた時間帯に乗るチケット。Advanceより高くAnytimeより安い。通勤ラッシュ時間は、都市間を移動する電車であれば月曜〜金曜の9〜16時&19時以降。ロンドン行きの場合は平日の始発〜6時半と9時半〜16時、19時以降。
好きな時間に好きな電車に乗れる、通常のチケット。
観光客が鉄道を利用する際は、 アドバンスチケットの購入をおすすめします。鉄道会社や乗車の時間などにもよりますが、アドバンスチケットの料金はエニタイムチケットの半額ほどになることも少なくありません。
ただし、アドバンスチケットはキャンセルができないため注意しましょう。また、日付や乗車する電車の変更には、手数料として10GBP(約1,760円)の支払いが必要となります。(※2)
鉄道での移動が多い観光客は、ブリットレイルパス(BritRail Pass)を利用するのがおすすめです。
ブリットレイルパスとは、指定区間の電車が乗り放題になるチケットのことを指します。
乗車チケットを普通に購入するよりも割引率が高く、お得に電車移動ができるシステムです。
ブリットレイルパスは、列車等級(ファーストクラス・一般席)と利用期間(2日・3日・4日・8日・15日・22日・1ヶ月のうちどれか)を組み合わせて購入します。
さらに指定した日付から連続期間の利用ができる「連続タイプ」と、有効期間内で利用日を自由に選べる「フレキシータイプ」があります。使い方に合わせて選択しましょう。
連続タイプを購入した場合、たとえば1月1日が有効開始日で3日の利用期間を設定したとすると、1月1〜3日までが指定した区間の電車の乗り放題期間となります。
フレキシータイプを同じ条件で購入した場合、1月中に3日間、指定した区間の電車に乗り放題になる仕組みです。1月1日・5日・20日と日付を3日間自由に選択して、電車の旅を楽しめます。
日にちの制限がない分、フレキシータイプのほうが料金は高額です。しかし一般のチケットを買うよりずっと安価で鉄道の旅を楽しめるため、上手に活用しましょう。
滞在場所がロンドンの場合は、「オイスターカード(Oyster Card)」を用意しておくと良いでしょう。
オイスターカードとは、Suicaのような非接触型のプリペイドICカードのことです。チケット代の支払いがラクになるだけでなく、ロンドンではオイスターカードを利用して乗車券を購入したほうが、切符代が安くなるメリットがあります。
オイスターカードはバスといったその他の交通機関でも使用できます。ロンドンを訪れる際は、ぜひ活用してみてください。
イギリスの鉄道は日本よりも複雑なルールがあるため、初めての利用の際は戸惑ってしまうかもしれません。
イギリス鉄道の利用方法について、あらかじめ把握しておきましょう。
駅についたら、乗車券の準備をしましょう。
あらかじめインターネットで購入をして、チケット代わりのQRコードが発行されている場合は、駅での発券手続きは必要ありません。事前購入をしているものの、チケットの発券手続きが必要な場合は、券売機で予約番号を入力してチケットを印刷します。
チケットのインターネット購入・予約が済んでおらず、当日券を購入する場合は窓口か券売機に向かいましょう。
目的地と出発時間、片道か往復かなど必要事項を入力する、もしくは駅員に伝えることで、チケットが発行されます。
乗車券を手に入れたら自動改札機に通します。インターネット予約でQRコードが送られている場合は、スマホを改札口にあるQRコードリーダーにかざしましょう。
車いすや大きなスーツケースを持っている場合は、広い改札機を利用したほうが安心です。
改札通過前、または通過後のプラットフォームに電子掲示板が吊るされています。
自分が乗る電車と到着予定のホームを、確認しておきましょう。通常であれば到着の20〜30分前には運行情報が表示されますが、状況によっては到着ぎりぎりまで開示されないこともあります。
加えて、イギリスでは駅構内でのアナウンスはほとんどありません。電車の遅延がわかりやすく知らされることもなく、電子掲示板の情報のみで運行状況を把握する必要があります。
電車が到着した際のアナウンスや発車の合図も少ないため、乗り遅れないように注意しましょう。
電車が到着したら、乗車をします。入り口のドアは手動で開けるケースもあるため、扉が開かないと思ったら、ドアに付いているボタンを押してください。
乗車した電車で席指定をしていない場合は、空いている席に座って構いません。席を予約している場合は、車両(Coach)番号とシート番号を確認し、指定の席に座ります。
下車後は、乗車時と同じように改札を抜ければ終了です。改札がない出口の場合は、そのまま通過して問題ありません。
イギリス鉄道のチケット購入方法は、下記の3つがあります。
それぞれの方法について、見てみましょう。
インターネットで乗車チケットを買う場合、National Rail公式かtrainlineをはじめとするチケット購入アプリを活用します。
おすすめはアプリでの予約です。どちらを利用する際も、出発駅と到着駅、時間を入力することで、チケットの候補が表示されます。
しかし公式サイトでチケットの手配をした場合、購入手続きは乗車予定の鉄道会社のサイトにて行われます。サイトの移動が伴うため、複数のチケットを予約する際はわずらわしさを感じてしまうでしょう。
アプリであれば、ワンストップで手続きが完了します。最安チケットの表示も見やすく、操作もスムーズです。旅程や予約時期によって手数料が発生することがありますが、利便性を考えるとアプリが便利です。
どちらで購入をしても、改札でそのまま利用できるQRコードを受け取る方法と、駅の券売機でチケットを印刷して受け取る方法の両方から、好きなほうを選べます。
券売機で当日チケットを発券する際は、現金の使用が可能かどうかを確認しておきましょう。イギリスの駅の券売機の中には、現金の利用ができないタイプもあります。
券売機での発券は、最初の画面で行き先の駅名を入力することからスタートします。主要な行き先はあらかじめ画面に表示されているため、あてはまる場合はタッチをしましょう。
行き先の入力を終えたら、チケットの種類を選びます。片道・往復、エニタイム(Anytime)チケットかオフピーク(Off-Peak)チケットか、さらにファーストクラス・一般席など、求められる情報を入力してください。
オフピークチケットを選ぶと英文での警告文が表示されます。「指定時間以外の乗車はできない」という内容のため、心配する必要はありません。
すべての入力が済んだら、支払い方法を指定して必要金額を入金します。
当日券は窓口での購入も可能です。券売機での操作に不安がある方は、窓口で行き先やチケットの種類を駅員に伝えましょう。
窓口はチケット購入以外の目的でも利用されるため、主要な駅では混雑しがちです。ピーク時は30分以上、順番を待つこともあります。
希望する時間の電車のチケット購入に間に合うよう、時間には余裕を持って駅に向かいましょう。
イギリスで鉄道を利用するにあたって、気になるのが料金の目安かと思います。
ここからはイギリスの鉄道の料金を、主要な駅でシミュレーションしてみましょう。
どの駅も、2023年6月1日9時出発・一般席で設定した上で、2023年5月18日時点での金額・時間を記載しています。
また、算出方法はNational Railの公式サイトを活用しています。
ロンドンキングスクロス駅からエディンバラ駅まではイーストコースト線を利用します。
出発時間 | 到着時間 | 乗車時間 | 金額(Advance) |
---|---|---|---|
9:00 | 13:20 | 4時間20分 | 80GBP(約1万4,080円) |
9:30 | 14:15 | 4時間45分 | 75.8GBP(約1万3,340円) |
ロンドンユーストン駅からマンチェスターまではウエストコースト線を利用します。
出発時間 | 到着時間 | 乗車時間 | 金額(Advance) |
---|---|---|---|
9:13 | 11:19 | 2時間6分 | 47GBP(約8,272円) |
9:33 | 11:44 | 2時間11分 | 97.7GBP(約1万7,195円) |
ロンドンには地下鉄が走っています。地下鉄の料金体系は鉄道とは異なり「ゾーン制」と呼ばれるシステムを採用しています。
ゾーン制とは、料金を区間ごとに分けたシステムのことです。山手線の新宿駅から上野駅までをゾーン1、上野駅から新橋駅までをゾーン2として考えると、わかりやすいでしょう。
ゾーンの数値が増えるほど金額も高くなりますが、同じゾーン内であればどの駅を利用しても乗車料金は一律です。
ロンドンの地下鉄は、オイスターカードを使用することでお得に乗れます。たとえば、ロンドン・ヒースロー空港(ヒースローターミナル2&3)からビッグベンの最寄り駅ウェストミンスターまで、地下鉄で移動をした際の料金は、現金であれば6.7GBP(約1,179円)です。
オイスターカードやキャッシュレス決済であれば、5.6GBP(約986円)となります。(※3)
イギリスの鉄道は、イギリス国民の生活に根付いた交通機関です。そのためイギリス国民であれば当たり前の「暗黙のルール」が存在します。
ここからはイギリス鉄道を利用する際に、注意すべき点についてご紹介します。
イギリスの鉄道は、週末に運休することがあります。
運休の理由はさまざまですが、電車が来ないことで週末の予定が急に台無しになることも少なくありません。
運休をした電車の代わりに、鉄道会社が用意したバスが乗客を目的地まで運びます。バス料金の支払いは、電車のチケットを持っている場合は必要ありません。
しかし乗車時間は電車の倍以上かかってしまいます。週末のスケジュールは万が一を考えて、余裕を持っておくと良いでしょう。
イギリスは日本と比べてストライキが頻発します。ストライキによって運行ダイヤが乱れるケースも考えられます。
電車に乗る際は、公式サイトやアプリから運行情報をこまめに確認したほうが良いでしょう。
また、イギリスの電車は日本の電車ほど正確な時間で運行をしていません。到着・発車時間はあくまで「予定」として、スケジュールをたてましょう。
人同士の距離が近い電車内はスリが発生しやすい場所です。イギリスも例外ではなく、電車内ではスリへの警戒が必要です。ロンドンの地下鉄は、閉塞的な環境から犯罪の発生率がとくに高まると考えられます。
電車に乗る際は財布やスマホ・カバンなどはしっかり持つこと、壁に背を向けること、居眠りをしないことなどを意識して、スリ被害から身を守りましょう。
イギリスの鉄道は日本とは異なるルールが多く、慣れないうちは戸惑ってしまうかもしれません。
しかし電車を乗りこなせるようになれば、イギリス国内の移動がぐっとラクになります。乗車を決めたらなるべく早い段階でチケットを予約し、イギリス国内の電車の旅を、お得に実現しましょう。
これからイギリスへ行く予定のある方は、ぜひ今回紹介した内容を踏まえ、鉄道を利用してみてください。
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※1...National Rail「Find a Train Company」(参照日:2023年5月18日)
※2...National Rail Enquiries「Changing and Cancelling tickets」(参照日:2023年5月18日)
※3...Transport for London「Single fare finder」(参照日:2023年5月18日)
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