ボーディングスクールとは?特徴や費用、おすすめの国まで解説します
- 2019/02/13
「ボーディングスクール」という言葉を聞いたことがありますか?
最近では、イギリスのウィリアム皇太子の長男、ジョージ王子が若干3歳で入学したことでも話題になりました。映画『ハリーポッター』で描かれる学生生活も、ボーディングスクールが舞台です。
次世代のリーダーとなる人材を育てる教育機関として知られ、現在世界で活躍する多くの著名人たちもボーディングスクールで教養や知識を磨いてきました。
今回は、そんなボーディングスクールを徹底解説します。どんな教育内容なのか、ボーディングスクールに通うことで得られるメリットとデメリットまで細かくご紹介していきます。
お子さんをボーディングスクールに通わせたいと思っている親御さんや、ボーディングスクールに興味のある学生さんは、ぜひご参考にしてくださいね。
[目次]
ボーディングスクールとは?
ではまず、「ボーディングスクール」の特徴などをご紹介していきます。
ボーディングスクールの特徴や歴史、日本での呼び方
ボーディングスクールとは、基本的に「全寮制の学校」を指します。国ごとに体制や教育内容に少しずつ違いがありますが、全寮制の場合が多く、24時間体制で友人や教師達と関わりながら人間性を磨いてきます。
イギリスが起源とされ、スイス・イギリス・ドイツ・アメリカ・アジア圏など世界各国で3歳前後から18歳までの子どもたちが学んでいます。授業料が高く、主に富裕層の子どもたちが集うことでも知られています。
勉強だけはなく、高い教養や社交界で必要な知識なども身につけられることが特長です。
日本でいうと、全寮制の「インターナショナルスクール」をイメージするとわかりやすいかもしれません。国内には数は多くはないものの、ボーディングスクールが数校あります。
ボーディングスクールの教育や身につく能力
ボーディングスクールに入学すると、規則や礼儀、道徳心などの生活態度から、コミュニケーション能力や寛容さ、忍耐力、交渉力などの能力までを習得していきます。
子ども達の自主性を高めるだけでなく、創造力、社会でのマナーなどにも焦点を当てたカリキュラムが用意されています。また、今後世界で活躍していくであろう同級生との人脈を築くこともできます。
例えば、多くのボーディングスクールのカリキュラムの柱は学力ではなく、人として「優しくなる」ことや、子ども一人ひとりが持つ可能性を最大に引き出すことにあります。
日本では、躾は各家庭で行われ、教育の場で人間性を高める機会は限られています。
ボーディングスクール入学の対象年齢
ボーディングスクールに入学できる年齢は学校によって異なりますが、最年少では4歳から受け入れています。在学は18歳までが基本で、卒業後は多くの学生が名門大学に進学します。
ボーディングスクールの種類
ボーディングクスールは学校によって、得意な分野や力を入れている分野が異なります。例えば、スポーツ・音楽・馬術などに力を入れている学校、大学進学のサポートが手厚い学校もあるので、学校を選ぶ際は子ども達の性格や興味を考慮して選びましょう。
ボーディングスクールの1日のスケジュール例
ボーディングスクールの1日のスケジュールを簡単にご紹介します。
午前7時 朝食
午前8時〜午後3時 授業と昼食
午後4〜5時 自由時間&アクティビティ
午後6時 夕食
午後7〜10時 自習(Study Hall)&アクティビティ
午後11時 消灯
朝7時に食事をとった後、授業が行われます。授業は午後3時くらいまでで、その後はクラブ活動やアクティビティを行い、最後に自習時間が設けられています。メンターと呼ばれる上級生や、教員が丁寧にサポートしてくれるのもボーディングスクールの特徴です。
就寝時間は年齢によって異なり、上級生ほど遅い時間になります。
ボーディングスクールに通うメリット
次に、ボーディングスクールに通うメリットを考えていきましょう。
メリット(1)多国籍な環境で生活することで、異文化への理解が深まる
ボーディングスクールには、世界各国から優秀な生徒が集まります。多感な時期に多国籍な環境で生活することで、異文化への理解が深まり、人間としてさらに成長することができます。
メリット(2)英語で自分の意見を伝える実践的な能力が身につく
ボーディングスクールでは、日々のやり取りは基本的に英語です。日本では決して得られない環境下で、世界に通用する英語力を身につけることが可能です。
同時に、日本ではあまり学ばない「自分の意見を相手に伝える」というプレゼンテーション能力を身につけられるのもボーディングスクールならではです。ちなみに、スイスのボーディングスクールでは、ドイツ語やフランス語も身につけることができます。
メリット(3)一生の友人に出会うことができる
これはボーディングスクールに限ったことではないかもしれませんが、全寮制という環境の中で、ともに切磋琢磨した友人は生涯付き合っていくことができる大切な存在です。
24時間体制で教えてくれる先生も、人生の師として仰ぐことができる人ばかりです。
ボーディングスクールに通うデメリット
次に、デメリットを考えていきましょう。
デメリット(1)費用が高い
授業料など在学するのに必要な費用が高くなってしまうのは、最大のネックです。この後詳しい値段をご紹介しますが、イギリスでは1年間に少なくとも600万円が必要になります。
その分得られる経験や能力は折り紙付きですが、気軽に行かせるというのは難しいですね。
ただし、近年ではアジアや日本国内でもボーディングスクールが増えているので、もう少し安い費用で学校に進むことも可能です。
デメリット(2)気軽に帰国できる環境ではない
基本的に全寮制という学校が多く、「日本に帰りたい」「家族に会いたい」と願っても、そんなに簡単には叶いません。10代の子どもにとって親元を離れるのは心細くなることもあるかと思います。
もちろん、子ども達をサポートする環境はしっかり整っていますが、強い意志をもって入学することも重要になってきます。
デメリット(3)高い学力が入学時に必要
お金の問題がなくても、入学時には高い英語力を求められます。日本で生まれ育った子どもにとって、普通に生活しているだけでは身につかない英語力です。
ボーディングスクールに進むことを考えている場合は、幼少期から話す・書く・読むことをバランス良く学び、日本のカリキュラムよりも速いスピードで英語力を身につけなくてはいけません。
ボーディングスクールでかかる費用の目安
1年間のボーディングスクールでかかる費用を人気の国別にご紹介していきます。下記の費用は、学費・寮費・渡航費・雑費を含む場合です。
・イギリス:500〜700万円
・スイス:1,000〜1,200万円
・アメリカ:500〜600万円
・マレーシア:300〜450万円
・日本:400〜500万円
物価の高さもあり、スイスのボーディングスクールは年間1,000万円を超えることもざらです。イギリスとアメリカのボーディングスクールは、スイスに比べると値段は低いですが、それでも日本の平均年収以上です。
一方、最近ではアジア圏でのボーディングスクールにも人気があります。値段を見れば一目瞭然。質の高い教育に変わりはないので、選ぶ際のご参考にしてください。
ボーディングスクールの選び方
上記の費用を参考にしながら、ボーディングスクールを選ぶときのポイントをご紹介していきます。
ポイント(1)奨学金の有無
ボーディングスクールに通う場合、奨学金を受け取れることがあります。国によって受給の条件があるので、学校を選ぶ際には奨学金に関してもチェックしましょう。
ポイント(2)留学生の数
留学生の数も事前に確認してください。ボーディングスクールは、世界各国から留学生を迎えています。学校によって、どの国が多いかなど傾向があるので、選ぶ際の参考にするといいでしょう。
ポイント(3)英語研修(ESL)の有無
ノンネイティブで英語力に心配がある人向けに、英語研修を行っている学校があります。ボーディングスクールに入学するには、TOFEL90点が目安と言われています。ただし、その英語力はレベルに達していなくても合格できることがあるので、その際は語学サポートがある学校を選ぶ方がいいでしょう。
ポイント(4)卒業後の進路
卒業後に進みたい大学が決まっている人は、志望校への輩出者が多いボーディングスクールを選ぶ方がいいでしょう。最短ルートを選ぶという意味でも、合格まで導いてくれるカリキュラムがあるという意味でも、必ずチェックしておきたいポイントです。
ボーディングスクールへの入学の流れや応募条件
次に、ボーディングスクールの入学の流れや応募条件を確認していきましょう。
必要な学力の目安
ボーディングスクールに入学する目安は、中学3年生の場合TOFEL90点以上です。名門校であれば、もう少し高いスコアを求められます。
学習は日本の指導要領のスピードでは遅く、中学1年時に英検2級ほどのレベルは必須です。ただし、入学さえしてしまえばサポート体制は万全です。学校によっては、ボーディングスクールの授業と並行してノンネイティブ向けに語学研修を行ってくれることもあります。
応募までの流れは?
受験する場合には、入学願書・成績証明書・推薦状などが必要になります。まずは書類選考を受け、通過することができると面接を受けます。
次のステップは学校によって差はあるものの、現地で面接する場合や電話での面接を行います。この時、筆記テストや知能テストを課すこともあるので、事前に確認し、対策をしておきましょう。
おすすめのボーディングスクール
次はおすすめのボーディングスクールをご紹介します。
スイス:Le Rosey(ル・ロゼ)
スイスの名門校です。スイス最古のボーティングスクールで、8〜18歳までを受け入れています。
自然があふれる環境下で学ぶことができ、世界で活躍する多くの著名人が在籍していました。学費は世界で最も高い年間約1,500万円です。
Le Rosey公式ホームページ
イギリス:Winchester College(ウィンチェスター・カレッジ)
イギリス最古のボーディングスクールです。男子全寮制で、「The Nine」と呼ばれる最も厳格な名門ボーディングスクールの一つに数えられます。
Winchester College公式ホームページ
アメリカ:Cate School(ケイト・スクール)
カリフォルニア州にある名門ボーディングスクールです。自然豊かな環境の中、のびのびと学ぶことができ、コロンビア大学やニューヨーク大学への進学者が多いです。
マレーシア:EPSOM COLLEGE(エプソム・カレッジ)
クアラルンプールにあるボーディングスクールで、イギリスの本校と同様の質の高い教育を実践しています。3〜18歳までが在籍し、社会性と教養を養っています。
日本:インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK)
軽井沢にあるボーディングスクールです。日本国内にありますが言語はすべて英語で、学生と教師の出身国も国際色豊かです。卒業後は、アメリカやイギリスの大学への進学率が高いです。
サマーキャンプという選択肢もある
ボーディングスクールの教育内容を知ると、ぜひ子どもを行かせたいと思うはずです。けれど学費が……と感じた方も多いと思います。そんな方には「サマーキャンプ」をおすすめします。
サマーキャンプとは、語学学校が夏に短期間で実施する語学研修のプログラムです。世界を知るための第一歩として利用する人が多く、金額もボーディングスクールよりは安いのが特長です。
いきなりボーディングスクールのハードルが高いならば、小学生や中学生のうちから、まずはサマーキャンプを体験してみるのもいいでしょう。
一夏で英語学習と異文化交流をどちらも経験できる
語学学校が行なっているサマーキャンプでは、英語学習をはじめさまざまなコンテンツが用意されています。
特に語学学校が主催しているプログラムでは、普段留学生への授業で培った学習ノウハウを活かした英語学習を提供されています。そのため、お子さんも効率的、かつ楽しく英語力を身につけられます。
またアクティビティを通して、子どもたち同士が繋がることによって、異文化に対する興味、理解が進み、一夏を通してお子さんの視野が広がる体験ができます。
サマーキャンプのプログラム内容は学校によって異なるので、具体的にサマーキャンプを検討したい方はぜひお問い合わせください。
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まとめ
ボーディングスクールといっても、国によって少しずつカリキュラムや姿勢が異なります。ただし、すべてに共通するのは、質の高いカリキュラムを通し、一生ものの教養と人脈を得ることができるという点です。
これからは英語が話せて当たり前、海外での経験があって当たり前の時代がやってきます。一歩早く、より質の高い教養を身につけるために、ボーディングスクールは最適です。
集団生活で養う協調性や高い英語力など、国際社会で戦う能力をまるっと身につけられます。ぜひ進学の際の選択肢として、ボーディングスクールを検討してはいかがでしょうか。
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