留学生が自身の体験を振り返る中で、等身大の留学の価値を発見するインタビューシリーズ「留学を振り返る」。
今回は大学在学時にカナダ留学、その後社会人になりイギリス留学を経験した豊原さんに、2度の留学を通して感じた自身の変化、今考える留学の価値について聞いてみました。
初めての留学でうまくやっていけるか不安な方は、肩の力を抜いて留学できるよう、ぜひ参考に読んでみてください。
豊原 真緒(とよはら まお)さん
宮城県在住。大学2年次にカナダへ2週間の留学へ。想像とは裏腹に現地で全く英語が話せず挫折感を味わいながら帰国。
大学卒業後は塾講師、休職を経てカフェ店員に。その後イギリス留学を経て、現在はカフェで働きつつ、英語学習を継続する日々を送る。
本インタビュー記事の取材はオンラインにて行いました。
[目次]
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ーー豊原さんは大学生の頃にカナダ留学へ行かれたそうですね。
はい、大学2年生の夏休みにカナダの留学へ行きました。
大学の生協で留学のカタログをもらってきて、その中のプログラムに応募しましたね。初めての海外渡航だったので期間は短めの2週間ほどにしました。
カナダを留学先に選んだのも、日本人が多く、治安も良いイメージがあったカナダは、初めての海外にはちょうど良いと思い決めました。
ーー実際に初めて海外を訪れてみて、まずどのような印象を持ちましたか?
カナダに到着した当初、自分は海外でも結構やっていけるんだと感動しました。
一人で飛行機に乗り、現地の空港に降り、入国審査を通過する。日本にいるうちは本当にできるか不安に感じていた入国までの流れが、意外とスムーズにできたんです。
そしていざ街に出てみると、そこには自分の知らない街に、日本では感じたことのない多様な人の暮らしがある。
まさにドラマや映画などで観ていた風景が目の前に広がっていたので、初めはそこが現実とは受け止められず、パラレルワールドに迷い込んだような不思議な感覚を覚えました。
留学先のバンクーバーを港から見た風景
加えて、バンクーバーで暮らしている人々の人柄もとてもフレンドリーで、街では何度も温かく接してもらえました。
ちょうど私がバンクーバーを訪れたのは2011年で、2010年に開催されたバンクーバーオリンピックの翌年。
バンクーバーでは、多くの人々が各国の選手の活躍を観戦し、特に女子フィギアスケート選手の浅田真央さんは、当時韓国代表だったキム・ヨナ選手とのメダル争いで注目が集まり、多くのカナダ人の記憶に残っていました。
私自身、浅田真央さんとは全く関係はないのですが、下の名前が「マオ」ということで、スタバでカップに書く名前を聞かれた時には、「あ、マオだ!」とカウンター内が盛り上がりました。
他にもカフェやスーパー、学校などで名前を聞かれたときには親しみを持って話しかけてもらえました。
ーー2週間でもそれだけ話しかけられると充実した留学だったそうですね。
実は、それがそうでもなく。
せっかくたくさん話しかけてもらえているのに、私は英語力がないばかりに何一つまともに返せなかったんです。
特に入国審査まではスムーズに来ていただけに、自分が全く相手とコミュニケーションを取れない現実に気づいたときには相当ショックを受けました。
よくよく考えると入国審査では何を聞かれるかがわかっていますし、さまざまな国籍の人を相手にするコミュニケーションなので、ゆっくりとわかりやすい発音の英語を話してくれていました。
しかし街では込み入った内容の話や、英語ネイティブ同士のスピード感のある会話の中で英語が使われています。暮らし慣れていくほどにそういった実生活で使われる英語を知り、留学当初感じていた自信が、いかに狭い範囲で作られていたかと恥ずかしさと苦しさを感じるようになりました。
ーー実際にどういった場面で英語ができない歯痒さを感じたのでしょうか?
滞在先での他の留学生との会話ですね。
留学中は学生寮で暮らしていたんですが、寮生に英語で話しかけられても、どう返していいかわからず黙ってしまうんです。すると、他の寮生も心配して集まってきて、緊張からますます言葉が出てこない状況にたびたび陥ってしまいました。
留学時滞在していた学生寮の外観。別の棟には日本人が暮らしていたが、この棟では日本人は豊原さん一人だった
寮生と食事を囲む豊原さん。滞在先にはヨーロッパ系、南米系の留学生が多く暮らしていた
その場限りで終わる関係性であれば、それでも気持ちを切り替えようとも思うのですが、学生寮なので毎日同じ人と顔を合わせるんですね。
なので、寮生と顔を合わせる度に「また今日も話ができなかった」「挨拶しかできなかった」と後悔が積み上がり、毎回話しかけてくれる気持ちに応えられない申し訳なさも重なり、段々と苦しさを感じるようになりました。
結局そういった辛さに耐えきれずに英語を使うことを放棄してしまい、たった2週間ほどの留学期間ではありましたが、後半は日本人と日本語を話しながら観光地を巡って留学生活を過ごしました。
今考えると、典型的な留学の失敗例みたいになっていましたね。
ーー期待して行っただけにそのような形になってしまったのは辛いですね。
帰国してからは自分の英語力に呆れ、それまで好きだった英語を避けるようになってしまいました。
留学へ行くまでは、大学では必修以外にも英語の授業をいくつも取っていたんですが、帰国後は必修以外の英語の授業を全て外し、聴く音楽も洋楽から流行りのJ-POPに。
私の所属していた学部では異文化交流なども盛んに行われていて、帰国後も何度か友達に誘われたりもしたんですが、全力で断っていましたね。とにかく英語から逃げる大学生活を送るようになっていました。
家でしていた英語の勉強も帰国後は一切手をつけなくなってしまい、親からも心配されます。自分でも英語嫌いになってしまった現実を受け入れられず、耳を塞いで聞かないふりをしてました。
あの頃はアルファベットすら見たくなかったです。
ーー大学を卒業してからは、どのような進路を進んだのでしょうか?
大学卒業後は、塾講師の仕事に就きます。
知人に子ども向けの学習塾を経営している方を紹介され、その方に小中学生向けに英語指導をしてほしいと誘われたんです。
当時は英語に対して依然として抵抗感を持っていましたが、就職難の中行っていた私の就職活動は正直うまくいってはおらず、声がけ自体ありがたいものでした。
希望ではなかったものの働かないわけにもいかない。流されるような形で私は塾講師として働き出すようになりました。
ただ、実際に生徒に教え出すようになってからは、英語自体の指導は行えたものの、英語ができないという自意識が消えることはなく、「生徒に間違いを教えてしまってるんじゃないか?」と不安になることがしばしばありました。
不安は段々と膨れ上がり、次第に生徒を騙しているのではないかと思い悩むようになってしまいます。
結局耐えきれず、勤め始めて3年ほど経ったタイミングで、結婚を機に辞めました。
結婚後はなるべく英語と関係が薄くストレス少なくできる仕事を探し、興味のあったカフェで働き出すようになります。
カフェで働き出すようになってからは、ストレスのかからない環境で過ごす中で、少しずつ自分のことを考える時間が増えます。
そこで自分のこれまでを振り返っていると、急に将来の生活に不安を感じたんです。
大学時代に英語を拒むようになって以降、勉強など自分を磨くための努力は一切しておらず、流されるように社会人になり、自分の仕事に自信が持てず辞めて今に至る。
気づけば27歳。25歳で結婚してから2年が経ち、徐々にアラサーとしての意識が芽生えだした頃で、何もせずずるずると歳を重ねている状況に焦燥感を抱くようになりました。
何かにチャレンジしたい。
7年ぶりに湧き上がった挑戦心の向け先として頭の中に浮かんだのは、やはり7年前に挫折した英語でした。
「今なら時間はあるし、挫折してからだいぶ期間が経っている。もしかしたら英語に向き合えるかもしれない。」
英語をせっかく勉強するなら、目標として失敗した留学のリベンジをしたい。2度目の留学は、そういった流れで考えるようになりました。
ーー挫折経験から、再び留学へ行くにも躊躇してしまう気持ちもあったかとも思うのですが、何か背中を押すようなものはあったのでしょうか?
留学行きを決められたのは、夫の存在が大きかったですね。
再び英語を勉強したいと思ったものの、当初はかなり軽い気持ちでいて、留学もただ考えが漠然と頭に浮かんだ程度でした。
実際にカナダでは挫折してしまったし、今回もどこかで止まってしまうかもしれない。不安を抱きながら、それでも英語に向き合える可能性を感じた私は、夫に心境を打ち明けてみることにしました。
正直反対されると思っていました。自分一人留学へ行ってしまうのは、夫に寂しい思いをさせてしまいます。
しかし、夫は予想に反して私の背中を押してくれたんです。「いいんじゃない?やってみれば」と。
彼は私のカナダ留学の挫折と、以降英語嫌いになった経緯を、そして何より長い付き合いの中で私自身がそれに対して自信を持てずにいることを知っていました。
そんな彼だからこそ、私の気持ちを汲み取り、背中を押してくれたんです。
「全く英語ができないわけではないでしょ?」と彼に言われ、改めてこれまでのことを振り返ってみました。
確かに学校での英語の成績は良く、カナダでの留学経験もあり、仕事でも英語を教えていた。
自分の意識では英語は苦手なものと決めつけていただけに、ふと経験だけ切り抜いたときに、意外と英語には触れてきたんだと思えたんです。
「まずは英語学習をやってみて、飽きたらそれでもいい。もし飽きずに続けられたら留学を考えてみたら?」。続かなくても問題がないと助言する夫の言葉が後押しとなり、私は英語学習を始めてみることにしました。
ーー近くでずっと豊原さんを見てこられた旦那さんだからこその助言ですね。再び再開した英語学習ではどのような勉強をされていたのでしょうか?
英語に対する苦手意識を克服するところから始めなければいけなかったので、嫌いになっては元も子もないと思い、まずは自分の興味のある英語から学習を始めました。
映画を吹き替えから字幕に切り替えたり、漫画を洋書で読んだりと、自分が楽しいと感じられる形で英語に触れるようにしました。なので参考書を開いて、ガシガシ勉強するというのはほとんどしていません。
そうして少しずつ勉強をしているうちに、カナダ留学の時には知らなかった英語表現をたくさん知り、もう一度海外へ出て学んだ英語を試したい気持ちが湧いてきました。
英語学習を再開して数ヶ月。リベンジに燃える気持ちは高まり続け、留学費用の見積もりを留学エージェントに依頼するなど、実際の留学準備を進める原動力に変わっていました。
ーー2度目の留学に対して、周囲の方々はどのような反応をされましたか?
応援してくれる人が多かったですが、中には反対する声もありましたね。
私の親は、「自分勝手なことをして旦那さんに迷惑をかけるのではないか」「主婦でそんな旦那さんを置いて行くなんてないわよ」と、夫への申し訳なさから反対されました。
他にも何人かの友人からは、主婦やパートをしている身なのに英語を学ぶ必要があるのかと留学する意味に疑問を投げかけられ、挙句には「(遊びに行くんでしょ?)旦那さん稼いでるんだね」と嫌味を言われることもありました。
正直、傷つきましたね。私自身はリベンジに燃えていただけに、遊びではないとムッとしてしまいました。結局、私の親は夫側のご両親が説得してくれどうにか納得し、友人には自分の気持ちを率直に返しその場は収まりました。
そして月日は経ち2019年6月、今度は子どもの頃から憧れを持っていたイギリスでの留学に向け、日本を出発しました。
ーー実際に憧れてたイギリスを訪れてみて、着いた直後に何を感じましたか?
着いた途端泣きそうになってしまいました。本当に憧れてたイギリスに自分が来れたことに感動してしまったんです。
入国審査も想像よりもスムーズに通ることができ、テレビや動画で見ていた街並みを実際に目にした時は、本当に来てよかったと思いました。
ーー2度目に留学ということで、現地で意識していたことはありましたか?
カナダでは語学学校の授業ではほとんど発言しなかったんですが、イギリスではとにかくわからないことを聞いて、積極的に発言することを意識しました。
カナダでは失敗する怖さや間違える恥ずかしさがあり、留学に行っておきながらなるべく英語を人前で話さないようにしていたんですね。
でも、それでは英語がいつまで経っても上達しない。もう社会人なんだから些細な失敗を恐れて挑戦しない方がよっぽど恥ずかしい。
そういう反省があったので、イギリスへ行ってからは知ってる単語を語順を気にせず並べ、とにかく多く話すことにしました。すると次第に英語を話すことに抵抗がなくなり、気づけばクラスメイトに「日本人なのによく喋る」と言われるまでになっていました。
ーーイギリス留学の中で、英語力、また英語の捉え方に変化はありましたか?
英語を自分自身の等身大で使えるようになったのが、イギリス留学での一番の変化ですね。
イギリスへ行くまでは、失敗するとすぐ諦めてしまうのが癖づいていたんですが、イギリスでは自分の英語力に変に期待せずマイペースに学習を続けられたので、自然と英語に対して心がおおらかになりました。
今振り返ると、カナダへ行った時は留学の理想像が強すぎたんです。
「留学へ来たからには外国人の友達を作らなきゃ、たくさん英語を話さなくちゃ」と理想を追い求めるあまり行動が義務のように縛られ、現実にそういう行動が取れない度に落ち込んでしまいました。
そういった反省があったので、イギリスでは理想をなるべく持たず、自然体で行動するように心がけました。
自由な時間も一人で過ごしていいし、友達も無理して作らない。気が合う人と友達になれればいいと思って留学生活を送っていました。
そんな自然体で過ごすことで私の人となりをわかってもらえたのか、自然とクラスメイトの友達はできたので、休日には一緒にお出かけをしたり、観光地に行ったりと交流を楽しめました。
何より、カナダではできなかった、友達とのおしゃべりができた時は嬉しかったですね。
学校でできた友達は私と同じアラサーが多く、年齢特有の恋愛事情や授業の不満や愚痴を言い合ってゲラゲラ笑えたときに、「私、変わったな」とふと思ったんです。
留学先で出会った友達と映る豊原さん
日本で気の置けない友達と話しているような会話を、今、私は英語でできている。
しかも友達の国籍は香港人、ブラジル人、イタリア人、ドイツ人。カナダ留学をしていた頃、まさに話しかけに応えられず負い目を感じていた人種の人たちと、イギリスでは友達になっていました。
歳を重ね込み入った話もできるようになり、話についていくための英語力もようやく手に入れられた。
2度目の留学は、英語学習者として、そして大人としての成長を初めて実感した機会になりました。
ーー2度目の留学を終え、豊原さんは留学にどのような価値があると感じましたか?
固定概念をひっくり返してくれるのが留学の価値だと思いました。
私自身、カナダ留学へ行った時には、「留学はこうしなきゃ」と留学に対する固定概念に縛られ、現実を直視できずに挫折してしまいました。でも、そんな自分に気づけたのも、カナダ留学の反省、そして2度目の留学と何度も留学に触れてきたから。
2度目の留学では、そういった留学、また英語ができない私に対する固定概念を払拭すべく2ヶ月間奮闘し、私でもやればできると自信を持って帰国できました。
そして留学で変わるのは、何も自分が意識したものだけではありません。無意識に自分の中で固定化された考えも、捉えられるようになる機会になります。
留学前に何度も周囲から反対されたこともあり、私自身、イギリス留学へ行くまでは主婦という身、パートとして働く身で留学するのは変なのかなとモヤモヤしていたんですね。
口では目的を持って留学へ行くと言っていたものの、当時は今ほど自分に対して自信を持てなかったので、周囲の言葉が否応なく自分の中に入ってしまっていました。
そこでイギリスでの留学生活初日、入学時に自虐的な自己紹介をしてしまったんです。
「27歳主婦で、夫を置いてイギリスへ来ちゃいました」と。
すると挨拶を聞いた一人の女性のクラスメイトが、「あなたが主婦だろうがアラサーだろうがどういう立場であろうが、勉強することに関係はないんじゃない?」と返してくれたんです。
ハッとさせられました。改めてクラスメイトを見渡すと、学生から高齢者まで様々な年齢層が集まり、話を聞くと医者や弁護士、私と同じパートなど業種や働き方は本当にバラバラでした。
私の自己紹介に返答した女性も当時58歳。夫を早くに亡くし、早期リタイアして暇だから勉強しにきたと話していました。
豊原さんが参加したクラス。右列前から2番目に映る女性が豊原さんの自己紹介に返答した女性
自分みたいな人でも勉強していい。立場や英語の能力は関係なく、誰でも挑戦していいし、大きな目標がなくても学びには取り組んでいいものなんだなと、彼らの言葉や姿勢を見て心から思いました。
ーー帰国してからは、英語学習を続けられていますか?
はい、毎日カリカリ勉強するような形ではありませんが、日々気になった英語を都度調べて、自分の英語力として吸収する勉強を続けています。
帰国後は留学時に使っていたテキストを復習したりもしていました
テレビで流れていた聞き取れなかった英語を調べたり、好きな洋画を字幕で観たりと、英語を避けていた時期と比べると、かなり能動的に英語に触れるようになりました。
ーー英語学習には、何か目標を設定したりされているのでしょうか?
TOEICで高得点を取ったり、英語を使う仕事に転職したりなど、具体的なものは考えていません。今は都度湧いた興味に応えるために、英語を勉強していますね。
私自身の英語学習には、何も大きな目標を持つ必要はないのではないかと今は考えています。
自分の知らないことに気軽に挑戦する。失敗してもいいし、飽きてもいい。
何歳になってもどんな立場になっても、自分を卑下せずに自分の興味に挑戦できるという自信を、イギリスでの留学経験が私に与えてくれました。
帰国後は休職していたカフェでの仕事に復帰しました。イギリス留学へ行くまでは、なんとなく英語に対してモヤモヤを抱えながら働いていましたが、今は気持ちよく働けています。
いろんなことに気軽に興味を持ち、行動できるようになったんです。
新商品の売り出しの際に商品広告を作ったり、お客様に話しかけておすすめを紹介したり。
特にお客様への商品の紹介はいらないとつっぱねられることも多く、あまり積極的にできていませんでしたが、今では断れれたら仕方ないと割り切り、少しでもいい商品をお客様に紹介しようと積極的に声をかけるようになりました。
ーー留学から持ち帰った自信が今の英語学習、そしてカフェでのお仕事でも豊原さんを積極的にさせているんですね。豊原さん、本日はありがとうございました!
【編集後記】
価値観が変わる、視野が広がる。留学にはよくそういった価値が挙げられます。
しかし必ずしもすべての留学生が、留学の価値を体感できるとは限りません。カナダ留学では、「留学へ来たからには世界各国の友達を作らなければ」と息巻き、コミュニケーションが空振り、留学自体を失敗してしまったと、豊原さん自身振り返ります。
それでもまた英語学習に取り組み、2度目の留学へ行けたのは、ただ英語に触れたいという気持ちがあったから。
別にたいそうな理由や目的は作らなくていい。
豊原さんのイギリス留学初日を迎え入れたクラスメイトは、目的や理由もバラバラで、まさにいわゆる留学像などどこにもないことを、自分でしか自分の留学は作れないことを教えてくれたように感じます。
恋愛話や授業の愚痴を話せる英語力。日本でもしていたような何気ない会話を楽しめている実感こそが、豊原さんに英語に対する自信をつけ、また新しい英語に出会える足場になりました。
視野を広げようとしてではなく、等身大の自分を伝える言葉としての英語を身につける。留学の価値は、日本にいた頃と変わらない自分を認めてあげるところから生まれるのかもしれません。
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