初めまして、Ryoと申します。現在アメリカ・ボストンにあるバブソンカレッジMBAで留学中です。
元々は会計士として監査業務に従事し、その後ベンチャー企業でIPOや投資などを経験しながら充実した毎日を過ごしていました。
しかし英語のできる同僚や上司に憧れ、「これからの時代英語は欠かせない」「やるなら今しかない」と覚悟を決めて会社を退職。1年ほどニートをしながらMBA留学の準備を本格化し、20代最後で留学を達成することができました。
今後は5回の連載に渡り、アメリカMBA留学についてのリアルな情報をみなさんにお届けしていきます。今回ご紹介するのは、私がMBA留学するまでの道のりから留学に必要な費用、そして実際の授業にどのようについていったのかについて。これからMBA留学を検討されている方は、ぜひ読んでみて下さいね。
私の通うバブソン大学は、スタンフォードやハーバードなど、名の知れた有名校と比べると日本での知名度は低いです。
しかしある1つの分野、アントレプレナーシップ(起業)においては世界ランキングが長年No.1と、知る人ぞ知るようなビジネススクールです。実は、かの有名なトヨタ自動車の社長も歴代に渡りバブソンMBAにて学習をしているらしいです。
以下は、Wikipediaより引用したバブソン大学MBAについての紹介文です。
バブソン大学のMBAコースは、2016年現在、USニューズ(USニューズ&ワールド・レポート)のランキングで23年連続でアントレプレナーシップNo1に輝いている。
他校でもアントレプレナーシップと呼ばれる授業はあるが、バブソンではその量、質ともに群を抜いている点が評価されている。会計や経済学の授業であっても、アントレプレナー(起業家)の立場であればどうすべきか議論され、すべての科目において“アントレプレナーシップ”がキーワードとなっている。
2年制MBAは、約55人のクラスが3クラスあり、全体で160人程度と、他校と比べて学生の数が少ないのが特徴である。そのため、多くの教授はすべての学生の顔と名前を覚えるなど、教授の学生に対する面倒見がよい。インターナショナルスチューデントは、全体の40%ほどを占め、国際色豊かである。
高校生の頃から「MBAってなんかかっこいい」という憧れがあり、社会人になってからも「いつか行ってやる」とずっと思っていました。
しかしMBAで求められる英語力はとても高く、戦う敵は帰国子女やネイティブ達。
仕事をしながら1日1時間勉強しても、彼らに勝てる見込みはありません。準備に何年かかるかもわかりません。残業も多く、勉強ができない日もたくさんありました。年をとって昇級し結婚して子供が生まれて、もうリスクが取れなくなる、会社が辞められなくなる自分を何度も想像しました。
「まぁ、やってみるか。」
辞めるなら早い方が良い。20代のうちにやっておきたいという気持ちが最終的には勝ち、仕事を辞めました。何とかなると思っていた、MBA出願で必要なTOEFLやGMATで泣くことになるのはその後です。
ちなみに、私が仕事を辞めた際の英語力はTOEIC900点程度(TOEFL80点)でした。アメリカのMBA出願では最低でもTOEFL100点が必要です。
仕事を辞めた後、大手留学予備校に入るも、半年以上TOEFLのスコアが上がりませんでした。私は勉強は苦手な方ではなかったので、「先生たちの言うことを信じてやり切れば絶対大丈夫」と思っていましたが、日本の英語教育の質を甘く見ていました。
というのも、留学予備校からのアドバイスは「同じ問題を何度も解く」「シャドーイングを毎日1時間する」のような、ネットを見ればどこにでもあるようなものでした。それを信じて努力(1日10時間程度の学習)をしましたが、肝心のスコアは上がりません。
転機は、予備校の言うことを一切辞めた時からです。
読解力を上げたければ、もっと読むしかない。Kindleを購入し、洋書を読み漁りました。リスニング力を上げるには、もっと聞くしかない。TOEFLの音源だけでなく、英語ニュースや海外ドラマも日々の生活に取り入れました。
長く、辛い道のりではありましたが、徐々にスコアは上がり始め、最終的に第一希望のバブソン大学から合格を得ることができました。
仕事を辞めてまで、MBAに挑戦することに価値はあるのでしょうか?
MBAでかかる費用は、ざっくり計算すると1年間で学費と生活費込みで1,000万、2年間なら2,000万。仕事を辞めることを考えると2年間稼げなくなるため、機会費用が1,000〜2,000万はかかります(辞める時点の給料にもよりますが)。とすると、2年制なら約3,000〜4,000万の投資、1年制ならその半分の1,500〜2,000万の投資になります。
もちろんそんな貯金が20代の私にあるわけなく、ほぼ大半は借金です。そして卒業後にその投資が回収できるのは数年後なのか、何十年後になるのかは全くの未知数です。反対する人もたくさんいました。
しかしそんなリスクを背負ってでも、私はこの決断をして良かったと思っています。
高校生からの憧れ、英語への劣等感、新しい経験や出会い、そして苦しみ。留学は楽しいことばかりではなく、辛いことも悔しいこともたくさんあります。
ただここで得られる経験は、月並みな回答ですが日本に居続けたら絶対に得られないものでした。もちろん、英語が喋れてMBAも得たらお給料もアップするだろう…… というちょっとした下心があったのは事実ですが、お金で買えない経験ができたのは事実です。
留学して1年半が経ちやっと英語にも慣れてきましたが、アメリカについた時、最初の半年は英語のわからなさに絶望しておりました。
特にボストンはカリフォルニアなどスタンダードな英語が話される地域とは異なり、独特のアクセントやスラングがあったり、話すスピードも早めです。現地に着いたばかりの時はほとんど理解できませんでした。
MBAの授業はさらに過酷でした。着いた早々にグループワークでビジネスのシミュレーションをやらされ、僕以外のチームメンバーは南米系とインド人で英語ペラペラ、彼らも独特のアクセントを持っており全く理解できません。
こうやって、喋れない日本人が完成するんだと思いました。
MBAではレクチャー形式の授業はほとんどなく、授業中のパーティペーションやグループワークが占める比重が高いです。純ジャパで海外経験も全くない私にとってはまさに地獄のような日々でした。
しかし、そこで諦めるのは私ではありません。
グループでプロジェクトを進める際には、前もってプレゼンを用意し、プロジェクトのアイディアだけは出す。プレゼンは練習もできるので、その場でパッと話すより楽なのです。これにより、何度も私のアイディアが採用され、「こいつはクリエイティブだ!」「英語はできないけど勇気がある!」みたいな印象を残すことができました。
写真は1年生の初めに取り組んだアートプロジェクトで、僕が考案した「Smile Cube」。
そのほかにも、私も含めてアジア人は数学や会計が得意な傾向があるので、会計やファイナンスの授業のグループワークを率先してリードし、インド人やアフリカ人に会計を教えたりしていました。
そんなことをしているうちに、信頼してくれる人も増え、英語力も上がり、なんとかアメリカで生き残ることができています。もちろん完璧とはほぼ遠く、英語は多くの時間と修行が必要ですが。
仕事を辞めてMBA留学することは、相当覚悟が決まっていない限り万人におすすめできることではありません。今まで日本で築いてきたものを失うことも、これから何が起こるのかわからないというリスクもあります。
しかし、「いつか行ってみたい」という気持ちがあれば、一歩踏み出して準備を始めるのは「今」なのだと思います。
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