留学するには留年すべき?留学経験を就活で最大限に生かす方法とは
- 2019/05/17
この記事をお読みの方の中には、「留学で留年するとどうなるの?」
と不安な方もいるのではないでしょうか。
長期留学をすると、その間日本の大学で単位取得できないことから留年・休学する人も多いです。同じ時期に大学入学した人に比べて就職活動のタイミングが遅れた場合、就職先からは「なぜ留年したのか」と聞かれるかもしれません。
とはいえ、本当に留学で留年することのイメージは良くないのでしょうか。
そこでこの記事では、
・留学で留年や休学をした経験者が伝える、留学を選ぶべき理由
・留学経験を就活で活かすためのポイント
などをご紹介します。留年や休学をしていても、留学経験を活かしてアピールすることは十分に可能です。
なお、大学生におすすめの留学時期は下のページでもまとめているので、留学を検討中の方はチェックしてみてください。
留学するなら時期はいつがベスト?必見の留学おすすめ時期まとめ
[目次]
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タイミングによっては留年の可能性も
まず、留学=必ず留年するというわけではありません。
留年するかどうかは「卒業・進級に必要な単位を決められた期間内に取得できるか」にかかっています。留学しても単位が足りていれば、留年せずに卒業や進級ができます。必要な単位や科目は学校によって異なるため、詳しくは学校で確認しましょう。
留年と休学の違い
留学を考えている人の中には、留年と休学の違いがよくわかっていない人も多いのではないでしょうか。どちらも4年間で卒業するのは不可能ですが、定義には大きな違いがあります。
留年は特に申請が必要なものではなく、単位が足りずに進級や卒業ができなくなるケースです。大学の授業をまじめに受けていなかった場合やテストの点数が悪くて単位取得ができなかった場合にも可能性があります。そのため、留年は相手に良くないイメージを抱かせるかもしれません。
一方で休学するには申請が必要です。一定期間大学を休むことを指し、留年とは状況が異なります。
休学する理由はさまざまですが、家庭の事情や入院などやむを得ない場合や、ワーキングホリデーや起業など一度学業をストップして取り組みたいことが見つかった場合など、長期間大学を離れることを想定して申請します。長期留学の場合も、留年ではなく休学申請をする人がほとんどです。
長期休暇を利用せずに長期留学をする場合、留年の可能性が高いため、、事前にわかっていれば必ず休学申請をしましょう。留年ではなく休学とすることで、学業以外に目標や夢ができたためだと伝わり、留学経験のアピールもしやすくなるはずです。
留年・休学せずに留学は可能!
留年・休学せずに留学するには、
- ・交換留学や認定留学を利用する
- ・短期留学をする
といった方法があります。
交換留学や認定留学であれば、基本的には海外の大学で取得した単位がそのまま日本の大学の単位として認められます。
短期留学なら春休みや夏休みの時期を活用できるため、日本の大学での授業に影響しづらいというメリットがあります。いずれも留年せずに留学したい人におすすめの方法です。
留学後、留年・休学するとどうなる?
留学後に留年したらどうなるのでしょうか。
実際に「留年=本人の努力不足」という認識を持っている人もいます。
しかし、留学者の数は毎年増加しており、2017年度にはついに年間10万人を突破しました。ここ10年で日本から海外へ留学する学生は格段に増えています。新型コロナウイルスの影響で一時的な減少はあったものの、2022年度には5万人台に回復しました。この数字には休学や留年をして留学した人も含まれているはずです。
留学が就職活動にマイナスに影響するなら、こんなに留学生が増えることはないでしょう。
就職活動への影響は?
文部科学省主導の留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」は2019年、「就職活動と留学に関する意識調査」を実施しています。
企業の採用担当409名にアンケートを取った結果、「留学経験者を今後積極的に採用していきたい」と回答した企業は64.1%にのぼりました。
それだけでなく、「留学のための留年や休学はマイナス評価にならない」と回答した企業は73.9%でした。
このことから、留学による留年・休学は、必ずしも就職活動に悪い影響をおよぼすとは限らないと判断できます。留学による留年・休学をマイナスではなく、プラス評価にとらえてもらえるような企業と出会えるといいですね。
経験者が伝える、留年・休学しても留学すべき理由
次は、経験者へのヒアリングから留年・休学してでも留学すべき理由をまとめたので参考にしてください。
就職で有利になる英語力が確実に身に着く
まず、留学生活を通して英語力が確実にアップするからです。
昨今の日本では、国内だけでなく世界中でビジネスを展開する企業が増えています。多くの業界や企業において不足しているのが、実践的な英語力を身に着けたグローバルな人材です。留学中に身に着けた英語力の高さをアピールできれば、チャンスはすぐに舞い込んでくるでしょう。
ビジネス英語のスキルを証明するなら、特にTOEICが効果的です。一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会によると、TOEICスコアのレベル感は、
・220点以上:通常会話で最低限のコミュニケーションができる
・470点以上:日常生活のニーズを充足し、限定された範囲内では業務上のコミュニケーションができる
・730点以上:どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている
・860点以上:Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる
とされています。英語でコミュニケーションを取る仕事には、730点以上のスコアがあると自信を持ってアピールできると言えそうです。自分の希望する業界や職種で必要なスコアを意識して、英語学習や留学生活に臨みましょう。
海外の大学進学やインターンなど、進路の幅が広がる
2つ目の理由は、留学経験を通して進路の幅が広がるからです。
海外留学で得られるものは、英語力だけではありません。留学をきっかけに海外の大学に正規留学したり、インターン経験を積んで海外企業にアプローチすることも可能です。
海外生活やさまざまな国籍の留学生との交流は、国際感覚が磨かれ視野も広がります。今までに考えたことのなかった、進路の選択肢を見つけることができるかもしれません。
大学生のうちに得られる経験がある
大学生のうちに留学を経験できると、その後のキャリアや人生設計において良い影響があるはずです。
私がヒアリングしたところ、留学した人の多くが「行きたいと思ったら、そのときに行くべきだ」と回答しました。
社会人でも留学はできるとはいえ、大学生のうちに経験しておくと、その後の将来や進路に役立ちます。大学時代にしか得られない経験が山ほどあるはずです。
社会人になると留学が難しくなることも…
社会人で長期留学をするとなると休職は難しく、大半の人は退職したうえで留学していますが、大学生なら退学することなく休学しての留学が可能です。
加えて社会人は、大学生と比べて結婚や出産・子育て、介護などのライフイベントがあり、タイミングによっては長期留学が難しくなってしまうことも。社会人よりも大学生のほうがより留学しやすい状況と言えるでしょう。
留学経験を就活で活かすためのポイント
留学経験をしっかりと就活で活かすには、いくつかのポイントがあります。
ここでは、押さえるべきポイントとして
- ・語学試験を受けておく
- ・インターンシップ経験を積んでおく
- ・留学する前に就活のタイミングを考えておく
を紹介します。
語学試験を受けておく
1つ目は、語学試験を受けておくことです。
留学経験をアピールするうえで、わかりやすいのが「語学試験」です。
なかでも代表的なものは
の4つがあります。
それぞれの語学試験で、どれくらいの点数を取れば就職に役立つかはケースバイケース。ですが、目安となるのは2001年に欧州評議会が発表したCEFRという指標です。(※1)
各試験でどのくらいの点数を取ればどの程度の英語能力があるかを、6段階のレベルで示しています。その中でも実践的な英語力が身に着いていると証明できるのは、「熟練した言語使用者」に分けられる上位のC2とC1レベルです。
このレベルに当てはまるには、
- ・英検:1級
- ・TOEFL iBT:95点以上
- ・IELTS:7.0~9.0
の点数が目安です。このレベルを目指すために長期留学し、その結果休学することとなったとアピールできれば印象はあまり悪くならないはずです。
インターンシップ経験を積んでおく
2つ目は、インターンシップの経験を積んでおくことです。
実務に近い経験が得られるインターンシップは、働くイメージをつかむだけでなく、就職活動でのアピールにもつながりやすくおすすめです。インターンシップとは元々、学生が在学中に企業や団体で就業体験を行うことを意味します。
海外でのインターンシップは、仕事のスキルや実践的な語学力だけでなく、国際的なビジネス感覚を身に着けられます。短期留学生のインターンシップは受け入れていない企業が多いため、将来を見据えた長期留学生だからこそできる経験です。語学学校や大学によっては、留学プログラムの一環としてインターンシップ可能な企業を紹介しています。
インターンシップは、できるだけ就職を志望する業界や職種に近いところがおすすめです。その後の就職活動により役立つことでしょう。
留学する前に就活のタイミングを考えておく
3つ目は、留学する前に就職活動のスケジュールを考えておくことです。
帰国後に就職活動のタイミングを逃してしまい焦らないよう、スケジュールはあらかじめしっかりと立てておきましょう。
ちなみに2024年時点で、2026年卒の就活スケジュールは例年通りの
- ・大学3年生の3月に説明会解禁
- ・大学4年生の6月に採用面接や内々定など解禁
となる見込みです。
また大学院で修士課程まで修了する学生の場合は、
- ・大学院1年生の3月に説明会解禁
- ・大学院2年生の6月に採用面接や内々定など解禁
となります。
面接で留年・休学した理由を聞かれたら
就職活動の面接で、留年・休学した理由を聞かれる可能性はあります。しかし、回答次第では印象が悪くなってしまう場合もあるかもしれません。
留学が理由であれば、留学の目的や得られた経験を伝えると、前向きに捉えてもらうことができるでしょう。
留学のために留年・休学したことを正直に伝える
まずは、留学のために留年・休学したことを正直に伝えましょう。
留学はとても真っ当な理由です。嘘をつかず、自信を持って伝えてください。
伝える際には、
- ・留学の目的
- ・留年や休学をした理由
- ・留年に対する思い
などをまとめておくのがおすすめです。留学前にこれらを明確にしておけば、留学生活も充実したものとなるはずです。
「留年・休学せずに留学できたのでは?」などの問いに対しても自信を持って答えられるようにしておきましょう。
また留年・休学したことに対して、「親に迷惑をかけてしまった」「先生を心配させてしまった」など、周りへの配慮が伝わるようにもしておくべきです。くれぐれも留年や休学を人のせいにしてはいけません。
留学で得た知識やスキルを客観的な評価とともに伝える
次は、留学で得た知識やスキルを客観的な評価とともに伝えましょう。
「貴重な体験がたくさんできました!」
「とても成長できました!」
など、主観だけでは相手に評価されません。
留学に対する評価としては、
- ・語学試験
- ・インターンシップ
- ・海外の大学での単位取得や評価
などがわかりやすいです。
「帰国後、もともと600点だったTOEICを800点まで上げることができました。」
「〇〇という企業で3カ月インターンをし、ソフト開発から販売まで1人で担当しました。」
など、できるだけ客観的な事実や数値を添えて伝えることがポイントです。就職活動でちゃんとアピールできるよう、留学生活を充実させましょう。
仕事にどのように役立つかも伝える
最後に、留学で得た経験やスキルが仕事にどのように役立つかを伝えましょう。
「仕事にどのように役立つか」は相手の立場に立った答え方です。
「私は、視野を広げるために留学をしました!」
「私は、TOEICで800点取れるようになりました!」
というアピールも大切ですが、あくまで自分がどのような人間であるかを伝えたにすぎません。
大事なのは、自身の経験やスキルを通じて、どのように企業に貢献できるかを伝えることです。
こればかりは正解は存在しません。あなたの留学経験を活かしてどのように貢献できるかを真剣に考えて伝えましょう。
まとめ
ここまで、留年・休学しても留学をおすすめする理由や、留学経験を就活にも生かす方法についてお伝えしました。
留学による留年・休学が不安な方は多いかもしれませんが、それほど心配しなくても良いでしょう。
日本国内でも、グローバルな視点やスキルを持った人材の需要は高まっています。採用担当者へのアンケートからも「留学による留年はマイナス評価にならない」という結果が出ています。
留学経験を就活に活かすためのポイントとして、
- 1. 語学試験を受けておく
- 2. インターンシップ経験を積んでおく
- 3. 留学する前に就活のタイミングを考えておく
の3つをお伝えしました。
また、面接で留年や休学について聞かれた際には、
- ・留学のために留年や休学したことを正直に伝える
- ・留学で得た知識やスキルを客観的な評価指標とともに伝える
- ・仕事にどのように役立つかも伝える
を意識しましょう。
留学は貴重な時間とお金を使って得た、かけがえのない経験となるはずです。就職活動にもしっかりと活かせるよう、今から準備しておきましょう!
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- ステップ1:目星をつける
- ステップ2:相談する
- ステップ3:申し込む
- ステップ4:渡航準備
- ステップ5:出発!
留学を思い立ったら、まずは渡航時期、期間、渡航先の目星をつけてみてください。
いつ、どれほどの期間、どんな国で留学するかイメージが持てると具体的な計画を立てやすくなります。
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【参考文献一覧】
※1...文部科学省「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」(参照日:2024-10-24)