ワーキングホリデーの保険はどうする?おすすめは?ファイナンシャルプランナーが解説

  • 2023/12/04

コロナ禍を経ても変わらず人気のワーキングホリデー。その渡航前に気になることの1つが「保険に加入すべきか」ではないでしょうか。ワーキングホリデーは一般的に長期の渡航となることが多いため、保険に加入すると保険料が高くなってしまい、できれば入りたくないと考える人もいるかもしれません。

そこで今回はファイナンシャルプランナーの資格を持つ私が、ワーキングホリデーで渡航する際におすすめのワーキングホリデー保険をご紹介します。

まずはワーキングホリデーでの渡航を希望している国や地域が、ワーキングホリデービザの申請時もしくはワーキングホリデービザでの入国時に保険の加入証明書の提出を必要としているかどうかを一緒に確認しましょう。そして保険の補償内容と特徴を頭に入れた上で、おすすめのワーキングホリデー保険をご紹介します。海外旅行保険や海外留学保険などとの違い、クレジットカード付帯の保険で十分か否かという気になる点についても解説していきます。

いざというときに「保険に入っておけばよかった」と後悔しないためにも、安心して海外での生活を送れるようにしっかりと理解し、参考にしてみてくださいね。

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ワーキングホリデーでの渡航で保険は入った方がいい?なぜ?

ワーキングホリデーという言葉を耳にする機会は多いと思いますが、日本人がワーキングホリデービザで海外に渡航した場合、現地での就労で多いのはどういった職種でしょうか。

最も多いとされているのは日本食レストランでのウェイターやウェイトレスとしての勤務です。日本人のお客さんも多いため、英語や現地の言葉にまだ慣れていない時期でも比較的戸惑うことなく働けます。

また、特にオーストラリアなどではカフェでの勤務も人気のようです。日本への帰国後はバリスタとして店を出したいとの夢を持ちながら働くという話もよく聞きます。

現地での生活に慣れてきたという方々に人気なのはツアーコンダクターの仕事です。その多くは日本人観光客向けのガイドですが、現地の観光施設などと英語や現地の言葉を使って会話や交渉をする機会も持てるため、働きながら語学力の向上が見込めます。

そして、オーストラリアやニュージーランドなどでは、ワーキングホリデービザを延長するための条件としてファームでの労働という条件が課されています。野菜や果物の収穫や工場での食肉加工などの仕事になります。

このようにワーキングホリデーで働く際、例えばツアーコンダクターやファームでの労働では外で体を動かす機会が多くなりますので、思わぬ事故に遭ったり怪我をする可能性が考えられます。また、レストランやカフェなどの室内での就労でも、食器を割ってしまう、店の備品や機械を壊してしまう…など雇用主に損害を与えてしまう可能性は否定できません

もちろん、日本とは環境の異なる国や地域での長期生活ですので、どんなに健康な人でも体調を崩したり病気になってしまうことも考えられます。

そのため、ワーキングホリデーで渡航する場合にはワーキングホリデー保険など海外でのアクシデントを補償してくれる保険に入ることをおすすめします。

ワーキングホリデービザの申請時や入国時に保険の加入証明書が必要な場合も

ワーキングホリデーのビザを申請する際やワーキングホリデービザで該当国に入国する際に、保険の加入証明書の提出が必要な国や地域があります。その場合、保険期間は滞在予定の全期間をカバーする長さで設定することが求められます。

<ワーキングホリデービザ申請時に保険の加入証明書が必要>
・アイルランド
・ドイツ
・フランス
・香港
・台湾

<ワーキングホリデービザでの入国時に保険の加入証明書が必要>
・ニュージーランド
・カナダ

<ワーキングホリデービザの申請時もしくは入国時に保険の加入証明書は必要とされていない>
・オーストラリア
・イギリス(国民健康サービスへの加入は必須)
・韓国

※上記は一例です。また、各国や各地域のワーキングホリデービザの内容や条件などは2024年2月時点のものです。情報が更新されている可能性がありますので、詳しくはそれぞれの国や地域の駐日外国公館等(台湾については台北駐日経済文化代表処等)へお問い合わせください。

このように、多くの国や地域でワーキングホリデービザの申請時もしくは入国時に保険の加入証明書を提示しなければならないことがわかります。ワーキングホリデー保険に加入するか否かを悩む余地はないわけです。

海外生活に対する保険の一般的な補償内容は?

ここまで、ワーキングホリデーでの海外渡航にあたり、ワーキングホリデー保険などの保険に加入した方が安心であることをお話ししました。

次に、海外生活に対する保険についての一般的な補償内容をご紹介します。海外でアクシデントに見舞われた場合に備えて補償内容をあらかじめ確認しておきましょう。

ご自身がどのようなアクシデントに対する補償を必要としているのかを認識することは、どのようなワーキングホリデー保険を選べばいいかを検討するときの大事な判断材料になります。

<海外生活に対する保険の補償内容の一例>

治療費用 ・保険期間中に生じた病気や怪我により医師の治療を受けた場合の治療費用
・保険金請求のために必要な医師の診断書の費用
・入院や通院で生じた交通費
・治療に必要な通訳に支払った費用
疾病死亡 ・保険期間中に持病によって死亡した場合
・保険期間中に発病した病気によって死亡した場合
・保険期間中に感染した特定の感染症により、期間終了日を含めて30日以内に死亡した場合
傷害死亡 ・旅行期間中の事故により怪我をし、事故の発生日を含めて180日以内に死亡した場合。
傷害後遺障害 ・旅行期間中の事故により怪我をし、事故の発生日を含めて180日以内に後遺障害が生じた場合。
救援者費用 ・保険期間中に病気や怪我で3日以上入院し、日本から親族が駆けつけた場合の費用
賠償責任 ・保険期間中に他人に怪我を負わせた場合、または商品を壊してしまうなどして損害賠償を請求された場合の費用
携行品損害 ・保険期間中に衣類、カバン、パスポートなど身の回りの品が盗難に遭ったり、火災などにより損害を受けた場合
※スマートフォンやパソコンなどの電気機器などの補償はオプションとなることが多い
生活用動産の損害 ・保険期間中にアパートや借家、ルームシェア先などの居住施設内での盗難や火災によって、保管していた家財や身の回りの品に損害を受けた場合
飛行機寄託手荷物遅延 ・搭乗する飛行機に預けた手荷物が到着後6時間以上経っても目的地に運搬されなかった場合の、衣類や生活必需品の購入費用

「携行品損害」と「生活用動産の損害」の違い

ここで気になるのが「携行品損害」「生活用動産の損害」の違いです。

「携行品損害」は、渡航先で持ち歩く身の回りの品に対する補償です。渡航先で歩いているとき、もしくは宿泊施設内に置いておいた身の回りの品が盗難に遭ったり、火災などによって損害を受けた場合に補償を受けられます。

一方の「生活用動産の損害」は、携行品に含まれる範囲に加えて渡航先で借りているアパートや借家、ルームシェア先などの居住施設内での盗難や火災といった損害も補償されるものになります。ですので、家財などの持ち歩かない物も補償対象に含まれます。

「ワーキングホリデー保険」おすすめの5プラン!

それでは、ワーキングホリデーに特化した「ワーキングホリデー保険」の中から、おすすめの5プランをご紹介します。

なお、各保険プランは2023年10月時点の内容です。情報が更新されている可能性がありますので、詳しくは各保険会社または取扱代理店へお問い合わせください。

保険会社/プラン名 おすすめポイント 特徴
ジェイアイ傷害火災保険株式会社「t@biho」のワーキングホリデー保険 ・保険期間は最長3年まで設定可能なため、オーストラリアなど長期のワーキングホリデーにおすすめ
・生活用動産の補償プランあり
・オプション加入で歯科治療の費用をカバーできる
・インターネットで加入、延長手続き可能
・リピーター向けの保険料割引あり
・保険期間が31日超の場合は生活用動産の補償プランをオプションでセット可能
※家財、身の回りの品1つあたり20万円、乗車券や航空券等の場合は合計5万円を限度として保険金が支払われる
・保険期間が6カ月以上の場合は、オプションで歯科治療費用をカバー
・24時間、年中無休で日本語による電話相談可能
・日本語サポートの「Jiジャパンダイレクト」の公式アプリをダウンロードすることでWi-Fi通話が使用できるため、アクシデントが発生した場合でも通話料が高額になる心配がない
・インターネットでの加入可能
・出発後に保険期間を延長する場合の手続きもインターネットで完結
・過去に同社の保険を契約したなど条件を満たしたリピーターは、3%の保険料割引あり
AIG損害保険株式会社「海外留学保険ワーキングホリデープラン」 ・生活用動産の補償プランあり
・インターネットで加入手続き可能
・保険期間は最長1年まで、ワーキングホリデーの期間にあわせて設定可能
・保険期間が32日以上の場合は、家財や身の回りの品の盗難や破損、火災による家主への賠償など生活用動産や賠償責任を補償
※家財、身の回りの品1つあたり10万円、乗車券や航空券等の場合は合計5万円を限度として保険金が支払われる
・保険期間が3カ月以上の場合は、オプションで家族の死亡や危篤による一時帰国費用をカバー
・24時間、年中無休で日本語による電話相談可能
・出発当日までインターネットでの加入可能
東京海上日動火災保険株式会社「海外旅行保険」のワーキングホリデープラン ・生活用動産の補償プランあり
・臨床心理士によるカウンセリングを受診可能
・保険期間が32日以上の場合、家財や身の回りの品の盗難や破損、浸水による家主への賠償など生活用動産や賠償責任を補償
・生活用動産の対象は、従来であれば現地で保険をかける必要のあった居住敷地内の物に対しても補償される
・保険期間が3カ月以上の場合は、東京海上グループに所属する臨床心理士による電話およびメールでのカウンセリングを受診可能
・LINEのお友達追加をすることで、アクシデントが発生した場合に受付窓口にLINE無料通話で連絡ができ、通話料が高額になる心配がない
・保険期間が3カ月以上の場合は、オプションで家族の死亡や危篤による一時帰国費用をカバー
・ワーキングホリデー専用の特約はインターネットでの加入不可。また、6カ月を超える契約は加入可否の判断のため東京海上日動火災保険もしくは取扱代理店への問い合わせが必要。
三井住友海上火災保険株式会社「海外旅行保険」の長期滞在プラン ・テロ発生時や弁護士への依頼費用など滞在中の大きなリスクをカバーできる ・テロの発生によって飛行機が欠航した場合の交通費や宿泊費をカバー
・保険期間中に被害に遭った事故について弁護士損害賠償請求を依頼した場合の費用をカバー
・24時間、年中無休で日本語による電話相談可能
・長期滞在プランでは生活用動産の補償は含まれていない
・長期滞在プランはインターネットでの加入不可。三井住友海上火災保険もしくは取扱代理店への問い合わせが必要。
損害保険ジャパン株式会社「海外旅行総合保険」のワーキングホリデー保険 ・保険期間は最長2年まで設定可能なため、オーストラリアやニュージーランドなど長期のワーキングホリデーにおすすめ ・保険期間は最長2年まで、ワーキングホリデーの期間にあわせて設定可能
・24時間、年中無休で日本語による電話相談可能
・ワーキングホリデー保険では生活用動産の補償は含まれていない
・ワーキングホリデー保険はインターネットでの加入不可。損害保険ジャパンもしくは取扱代理店への問い合わせが必要。

よく耳にする「グローブパートナー」のメリット、デメリット

ワーキングホリデーでの保険を探している方が一度は耳にするであろうプランに、フランスに拠点を置く保険代理店が提供する「グローブパートナー」があります。

世界最大の教職員学生共済会MGEN社と総合保険代理店のASSETS社が日本人のために共同で開発した保険商品で、全世界で100万人以上が利用しているとされています。

このプランでは3カ月~1年間の保険期間を設定でき、日本の保険会社が提供しているワーキングホリデー保険と比べるとグローブパートナーの保険料は半分程度と、安さが人気の最大の理由です。

日本出国後でもインターネットで加入できる上に、アクシデント発生時には日本語でサービスを受けられます(ただし日本出国後の契約や契約延長の場合は、インターネットでの申し込み前にASSETS社のジャパンデスクへのメール連絡が必要です)。「緊急歯科治療」や「個人賠償責任」の費用もカバーされていて、補償内容が充実していることもメリットです。

一方でデメリットとしては、「携行品損害」や「生活用動産の損害」に対する補償がないことや、キャッシュレス治療サービスがない点です。入院の場合はグローブパートナーを提供している保険会社が直接病院とやり取りをし還付手続きを行ってくれますが、入院ではなく現地で治療を受ける際の治療費は保険に加入している本人が一旦全額を支払い、後日保険会社に請求する必要があるため手間がかかります。

また、請求した保険金はフランスから振り込まれるため、保険加入者が数千円の海外入金手数料を負担しなければなりません。さらに、出発前に日本国内からではなく、渡航後にグローブパートナーの保険を契約する場合には事務手数料がかかり、それも自己負担となってしまいます。

他に、グローブパートナーでは契約時に渡航先を選択することになります。大きく分けると「ヨーロッパ地域の国」「アジア・オセアニア地域の国」「それ以外の国」を選択できるようになっており、例えばイギリスなどヨーロッパの国を選択した場合の補償地域はヨーロッパ地域のみとなります。

つまり、イギリスにワーキングホリデーで滞在中にアメリカへ短期旅行に行き、アメリカで怪我をしたり病気になった場合は、この保険契約での補償は受けられません。補償を受けるためには旅行前に別途アメリカを渡航先とした短期保険プランに加入する必要があるわけで、この点はデメリットと言えそうです。

一方、日本の保険会社が提供しているワーキングホリデー保険であれば、基本的には保険期間の間はワーキングホリデー中の滞在先はもちろん、世界中どこの国や地域に滞在していても補償対象になります

さらには日本の保険では「一時帰国中担保特約」が自動でセットされていることが多く、ワーキングホリデー中の日本への一時帰国の間も海外での滞在と同様に補償を受けられるため安心です。

渡航先の保険に加入すると不便も

ワーキングホリデーの場合は、渡航した後に現地の保険に加入するという選択肢もあります。日本の保険会社が提供するワーキングホリデー保険に比べて現地で加入できる保険は保険料が割安というケースもあるため、海外で現地の保険に加入しようと考える人もいるかもしれません。

しかし、前述のように、そもそもワーキングホリデービザの申請時や入国時に滞在予定の全期間をカバーする保険期間でのワーキングホリデー保険への加入が義務づけられている国や地域があります

この条件に該当する国や地域でのワーキングホリデーの場合は、渡航前に日本でワーキングホリデー保険に加入しなければなりませんので、現地の保険に加入するという選択肢はありません。

それでは、ワーキングホリデービザの申請時や入国時にワーキングホリデー保険への加入義務がない国や地域ではどうでしょうか。

まず注意しなければいけないことは、ワーキングホリデーでの渡航の場合はワーキングホリデービザでの入国となるため、わざわざ滞在許可証を取得する必要がない点です。現地の保険制度への加入手続きの際に滞在許可証を求められる場合には、滞在許可証を申請して手に入れないと加入が難しくなる場合があります

ただ、ワーキングホリデービザを持っていれば加入できる現地の保険もあります。ワーキングホリデービザの申請時もしくは入国時に保険の加入証明書が必要とされていないオーストラリア、イギリス、韓国を例に国別にご紹介します。

※2023年10月時点の内容です。情報が更新されている可能性がありますのでご注意ください。

内容
オーストラリア ワーキングホリデーなど一時滞在のビザで滞在している場合は、オーストラリア現地の医療保険であるOVHC(Overseas Visitors Health Cover)に加入できます。
ただし、この保険の補償対象は医療費に限られます。その際、免責事項があるため医療費のすべてが補償されるわけではありませんので要注意です。
さらに、この保険は医療保険です。つまり死亡時や携行品損害、生活用動産の損害は補償対象外となります。
イギリス 6カ月以上イギリス国内に滞在する場合は、イギリスの国民保険サービス「NHS(National Health Service)」への加入が可能です。
この加入により公共の医療機関での医療費が無料となります。一方で、私立の医療機関での医療費は補償されません。イギリスで医療機関を受診する場合には事前予約が必要です。
もし、今すぐに診察を受けたくても公共の医療機関が予約でいっぱいとなると、私立の医療機関に向かうしかありません。そうなるとNHSでは医療費をカバーできなくなります。
また、処方薬や歯科治療の費用についても自己負担です。携行品損害、生活用動産の損害も補償対象外となっています。
韓国 6カ月以上韓国国内に滞在する外国人は、基本的に韓国の国民健康保険制度への加入が義務づけられています。加入にあたって別途手続きは必要なく、自動的に加入することになります。保険料は月1万円程度と負担は大きいです。
ただし、6カ月未満ですとこの保険に入れませんので、それまでの期間は日本のワーキングホリデー保険に入ることをおすすめします。また、あくまでも健康保険ですので、死亡時や携行品損害、生活用動産の損害は補償対象外です。

このように現地の保険では医療費のみが補償対象となることが多く、携行品損害や生活用動産の損害は補償対象外と、補償内容は十分とは言えません

その他にも、海外の保険ですとアクシデントに見舞われた際のサポートや保険金の請求を英語または現地の言葉でしか行えなかったり、キャッシュレスで医療機関を受診ができなかったりと不便もあります。

ただでさえ慣れない海外での生活です。アクシデントに見舞われた場合に、英語や現地の言葉で状況を詳細に説明したり、自身の怪我や体調について的確に伝えることは困難も多いでしょう。突然の出来事で気が動転してしまうことも考えられます。

日本の保険会社が提供するワーキングホリデー保険では、アクシデント発生時には日本語で24時間、365日いつでもサポートを受けられることがほとんどです。この点でも日本の保険会社が提供するワーキングホリデー保険に加入した方が安心と言えます。

なお、ワーキングホリデー保険への加入は渡航前に日本国内で行うことが必要です。渡航後の加入は不可とされているプランがほとんどになりますのでご注意ください。

また、永住など帰国の予定がない渡航や、ワーキングホリデーではなく就労ビザを取得しての海外就職を目的とした渡航の場合はワーキングホリデー保険に加入できないことが多いです。加入条件を満たすか心配な方は、加入前に各保険会社または取扱代理店へ確認するようにしましょう。

ワーキングホリデー保険と海外旅行保険の違い

ワーキングホリデー保険について調べている方々は、多くのプランが海外旅行保険と列挙されていることに気がつくと思います。

ワーキングホリデー保険と海外旅行保険との違いはいくつかありますが、最も大きな違いは設定できる保険期間の長さです。

海外旅行保険の保険期間は、そのほとんどが31日以内、長くても90日前後です。しかし、ワーキングホリデーですと半年から1年ほど海外に滞在する場合が多いでしょう。そうなりますと、海外旅行保険の保険期間では渡航期間をカバーできないということになります。一方、ワーキングホリデー保険であればプランによりますが1年~3年の保険期間を設定できます。

また、海外旅行保険では「携行品損害」の補償がついているプランがほとんどですが、「生活用動産」については補償の対象外ということが多々見られます

前述のように、海外生活では借りている部屋の家具が壊れたり盗難に遭うこともあり得ます。「生活用動産」の補償が含まれているワーキングホリデー保険に加入していると、そのような場合でも損害に応じて保険金が受け取れます。

もしくは、就労先の備品や機械を壊してしまう可能性も否定できません。ワーキングホリデー保険のプランによっては「個人賠償責任」の補償が含まれています。適用には条件はあるものの、この点でもワーキングホリデー保険は安心です。

ワーキングホリデーでも海外留学保険に入れる?

海外留学保険は「渡航目的が研究または留学であること」と規定されていることがほとんどです。ワーキングホリデーでの渡航の場合はこの条件を満たせませんので、海外留学保険には入れません。

しかし、ワーキングホリデーでの渡航でも保険期間の間に語学学校などに通う場合は留学と見なされ、海外留学保険への加入が認められる保険会社もあります。

多くの海外留学保険では生活用動産の損害に対する補償が含まれていたり、オプションで家族の死亡や危篤による一時帰国費用をカバーすることができたりと、ワーキングホリデー保険よりも補償が手厚いです。もし語学学校に通うことが決まっているようでしたら、海外留学保険への加入を検討することもおすすめです。
留学で保険に入らないで大丈夫?海外留学経験のあるファイナンシャルプランナーが解説

クレジットカード付帯保険で十分?

クレジットカードに付帯されている保険のほとんどが「補償対象の旅行期間は3カ月(90日)」と期間を限定しています

ワーキングホリデーの場合は半年から1年ほど海外に滞在することが多いでしょう。この点からワーキングホリデーの場合はクレジットカード付帯保険では不十分であると言えます。

それだけではありません。クレジットカード付帯の保険の適用に関しては「利用付帯」と「自動付帯」があります。

「利用付帯」は、クレジットカード会社が指定した適用条件を満たしている場合のみ補償を受けることができるものです。適用条件として多いのは「パッケージツアーやパック旅行といった募集型企画旅行の費用や公共交通機関の交通費の支払いを当該クレジットカードで行うこと」といったものです。

そもそもワーキングホリデーは募集型企画旅行ではありませんので条件を満たせません。公共交通機関の交通費の支払いであれば条件を満たせる可能性がありますが、前述のように補償対象の期間が3カ月(90日)ですので、多くのワーキングホリデー渡航者には不十分でしょう。

一方の「自動付帯」は、保険を利用するための手続きは必要ありません。クレジットカードを保有していれば自動的に保険が適用されます。そのカードを使って海外旅行の費用を支払っていない場合でも補償を受けられます。しかし、この場合も補償対象の期間の短さを考えると不安が残ります。

なお、インターネット上では「付帯保険(利用付帯)がついているクレジットカードを複数枚準備し、3カ月ごとに現地での交通費をカード決済することでワーキングホリデーの期間を乗り切れる」という記載をいくつか見かけますが、これはおすすめしませんし十分な注意が必要です。

クレジットカード会社によって異なるものの、保険期間はカード決済日から3カ月(帰国日まで)とはならず、カード決済がいつであろうと出発日にさかのぼり、出発日から3カ月間を保険期間とするという条件の場合もあるからです。例えば渡航後4カ月目にカード決済しても「保険期間は出発日から3カ月」という条件であれば、カード決済した時点で保険期間が終了しているわけです。

こういった点からも、ワーキングホリデーで渡航する場合はクレジットカードの付帯保険に頼るのではなく、ワーキングホリデー保険へ加入することをおすすめします
海外への渡航時はクレジットカードの保険で十分?ファイナンシャルプランナーが解説

ワーキングホリデー保険を選ぶポイント

ここまでワーキングホリデーで海外渡航する場合にはワーキングホリデー保険に加入した方が安心だとお伝えし、おすすめのワーキングホリデー保険をご紹介してきました。

それでは、自分にふさわしい保険はどのように選べばいいのでしょうか。

渡航期間で検討しよう

前述のように、多くのワーキングホリデー保険では保険期間を最長で1年間と設定していることがほとんどです。もし、あなたがオーストラリアやニュージーランド、イギリスなどにおいて1年以上ワーキングホリデーで過ごすつもりであれば、1年以上の保険期間を設定できる保険を選びましょう

なお、1年以上の保険期間を設定したい場合でも、期間の延長には審査があります。そのため1年ごとの契約更新となることはあらかじめ意識しておく必要があります。

渡航先の国や地域のリスクで検討しよう

ワーキングホリデービザの申請時や入国時に保険への加入が必要な国や地域では、あらかじめ保険の補償内容を指定している場合があります。例えばドイツでは「歯科治療費用」「賠償責任」の補償が含まれていること、加えて女性の場合は妊娠時にも適用される保険であることという条件があります。

条件は国や地域によって異なりますので、ご自身の渡航先はどうなっているのかを前もって確認してから保険に加入することが重要です。

また、ワーキングホリデー保険を選ぶ際は「治療費用」、具体的には「疾病治療費用」と「傷害治療費用」の補償内容を確認しましょう。渡航先の国や地域のリスクを踏まえて、補償内容が十分かを比較することが大切になります。

私の場合はワーキングホリデーではありませんでしたが、シンガポールとインドに長期滞在していた経験があります。日本と生活水準がほとんど変わらないシンガポールと、新興国であり都市部でもインフラが十分に整っていないインドとでは日常の危険や罹る恐れのある病気なども大きく異なっていました。

リスクの高い国や地域にワーキングホリデーで滞在する場合は「治療費用」の補償内容をよりいっそう充実させると安心です。

参考までに、ジェイアイ傷害火災保険株式会社の発表している「海外の医療事情」から、ワーキングホリデーでの人気の渡航先の治療費を示します(※1)。保険に加入していない場合の治療費がいかに高額となるかが一目瞭然ですし、これを参考に「治療費用」の補償額が十分かを判断してみてくださいね。

<病院で治療を受けた場合の費用> ※2021年2月時点

内容
オーストラリア(ゴールドコースト) ・初診料:1万6,200円
・病院部屋代(1日当たり):12万2,100円~12万4,300円
・虫垂炎の手術の総費用:103万9,400円(平均入院日数:3日)
・骨折時の治療費:5万8,200円
カナダ(バンクーバー) ・初診料:1万3,700円
・病院部屋代(1日当たり):14万8,900円
・虫垂炎の手術の総費用:82万8,100円(平均入院日数:2日)
・骨折時の治療費:8万9,100円
イギリス(ロンドン) ・初診料:1万6,200円~2万7,000円
・病院部屋代(1日当たり):13万5,000円~20万2,500円
・虫垂炎の手術の総費用:94万5,000円~135万円(平均入院日数:2日~3日)
・骨折時の治療費:13万5,000円~20万2,500円
フランス(パリ) ・初診料:1万1,500円~1万7,200円
・病院部屋代(1日当たり):12万6,100円
・虫垂炎の手術の総費用:108万9,200円(平均入院日数:3日)
・骨折時の治療費:4万100円~4万5,900円
韓国(ソウル) ・初診料:5,100円
・病院部屋代(1日当たり):5万800円~6万7,700円
・虫垂炎の手術の総費用:65万8,000円~70万5,000円(平均入院日数:4日)
・骨折時の治療費:2万8,200円~4万7,000円
台湾(台北) ・初診料:6,400円
・病院部屋代(1日当たり):2万7,100円~6万6,200円
・虫垂炎の手術の総費用:67万6,800円(平均入院日数:5日)
・骨折時の治療費:5万6,400円
日本 ・初診料:2,820円
・病院部屋代(1日当たり):3万円~10万円
・虫垂炎の手術の総費用:60万円(平均入院日数:4日)
・骨折時の治療費:2万円

保険料の相場を踏まえて検討しよう

日本の保険会社が提供しているワーキングホリデー保険の保険料は、補償内容と滞在期間、そして滞在エリアによって異なりますが、一般的な相場は下記のようになります。

同じ補償内容の場合は、期間が長いほど保険料は高くなります。

<補償期間:6カ月>
・オセアニア:11万円~17万円
・北米:12万円~18万円
・ヨーロッパ:8万円~16万円
・アジア:7万円~14万円

<補償期間:1年>
・オセアニア:20万円~32万円
・北米:20万円~32万円
・ヨーロッパ:17万円~30万円
・アジア:14万円~26万円

※補償期間が1年以上のプランの場合は1年ごとの契約更新となり、期間の延長のためには審査があります。

そのため各保険会社でも1年以上のプランの保険料は明示されていませんが、補償期間1年の保険料の相場を基準として、その保険料に保険期間を乗じた金額をおおよその目安としておくといいでしょう。

なお、格安の保険料のプランですと補償内容が不十分で、いざというときに補償が適用されなかったり、保険だけでは費用が足りなくなる可能性があります。

中でも補償を受ける可能性が最も高いと考えられるのが「治療費用」の項目です。治療費用に対する補償金額やカバー内容が過度に限定されていないかをしっかり確認することが大事です。

一方の金額の高いプランでは、ここまでは必要ないと思われるような補償まで含まれた手厚い内容になりすぎていて、予算を上回ってしまう可能性があります。保険料の相場を参考に、ご自身が必要としている補償内容を最低限含んでいる保険を選ぶようにしましょう。

まとめ

今回はワーキングホリデーにおける保険加入の是非、そしておすすめのワーキングホリデー保険をご紹介しました。

せっかく海外で貴重な経験ができるワーキングホリデーで怪我や病気などのアクシデントに見舞われてしまうと、働けなくなってしまったり、場合によっては予算不足や体調不良のために予定していた期間を切り上げて帰国しなくてはいけなくなってしまいます。

ご自身に最もふさわしい保険に加入をし、ワーキングホリデーを安心して満喫してくださいね。

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    淺川理沙

    フリーアナウンサー。元NHK福島キャスター。シンガポールへの半年間の語学留学を経て海外就労。シンガポールとインドで300社ほどの経営現地化に携わる。帰国後にFP2級を取得し、ファイナンシャルプランナーとして大手生命保険会社における法人研修の講師を担当。ほか証券外務員一種、TOEIC900点(リスニング満点)保有。

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