アメリカで看護師になるには?日米の看護職・制度の違いを比較してみた #アメリカ看護留学連載 Vol.8
こんにちは、アメリカで看護留学をしていたゆうこばです。
アメリカから日本に帰国してから1年近くが経ち、最近までアメリカの大学への編入準備を進めていました。そしてなんとか無事トランスファー先が決定しました!それについてはまた改めてお話したいと思います。
今回の記事テーマは看護留学の連載らしく、日本とアメリカの看護制度の違いについて。
看護職には正看護師の他に看護助手や准看護師など、他にも様々な仕事があります。日米間の違いを比較をしながら、それらをわかりやすくご紹介していきたいと思います!これからアメリカで看護留学や看護領域の仕事をしてみたい方はぜひ読んでみてください。
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# アメリカ看護留学連載
当記事は2019年6月時点での情報を元に作成しております。
公開から年月が経ち、情報が古くなっている恐れがございますので、記事内で紹介しているアメリカの看護資格は最新のものをご確認ください。
日米での看護職の種類と違い
「看護師」というと一般的に指すのは正看護師のこと。しかし冒頭でも触れたように、その他にも数多くの看護職があります。細かく分けたら本当にキリがなくなるので、今回は大まかに分けてお話します。
日本には正看護師の他に、看護助手、准看護師、専門看護師、認定看護師があります。このうち、看護助手を除く全てに資格が必要です。
アメリカには正看護師の他に、看護助手、准看護師、専門看護師があります。日本では看護助手の仕事をする際に資格は必要ありませんが、アメリカでは看護助手も資格が必要です。
それではそれぞれの職種について説明していきます。
正看護師
正看護師の仕事は、療養上の世話と診療の補助です。老人ホームや訪問看護、一般企業で働く働き方もありますが、病院やクリニックでの勤務が主流です。
日本で正看護師になる方法はいくつかありますが、最もポピュラーなのは4年制大学に通う、もしくは3年制の専門学校や短大に通う方法。学校で勉強しながら卒業前に国家試験を受験し合格すれば、学校の卒業と合わせて無事に正看護師の資格取得となります。平均年収は400万円〜600万円程度です。
一方アメリカの正看護師ですが、基本的に業務内容に大きな差はありません。しかしアメリカでは看護師の立場は医師と同等とよく言われています。実際に日本では看護師がカルテ管理から診療補助まで行うので仕事の範囲がかなり広いのですが、アメリカの看護師はカルテ管理などの細かい作業はしないのだとか。診療補佐など、本来の看護師の仕事に注力できるのがメリットと言われています。
アメリカでの正看護師の種類
アメリカには正看護師の種類が「ADN」と「BSN」の2種類あります。ADNはAssociate Degree in Nursingの略で短大卒レベルの看護師を指し、BSNはBachelor of Science in Nursingの略で大卒レベルの看護師を指します。
どちらも受験する試験は同じ「NCLEX(アメリカ合衆国の正看護師資格試験)」なのですが、日本で専門卒看護師と大卒看護師の給料が異なるのと同様、ADNとBSNでは給料やポジションが異なる場合があります。
平均年収は、BSNは70,000ドル程度、ADNは40,000ドル程度です。
アメリカでの正看護師に求められる英語力
またアメリカ人以外が正看護師になる際は多くの州で英語資格の提出が必要です。例えばTOEFLだと、アラスカ州の場合トータル84、内スピーキングが26のスコアを要求されます。
看護助手
看護助手は、看護師の補佐的な役割を担います。日本の看護助手は資格が必要なく、学生や主婦がアルバイト・パートとして働いている例が多いです。基本的に患者さんの身の回りのお世話、例えば食事の介助やシーツ交換などを行います。給料は時給1,000円程度です。
一方、アメリカの看護助手はCNA(Certified Nursing Assistants)と呼ばれ、資格取得には8〜16週間のコースを受講する必要があります。
CNAの仕事は日本の看護助手と同じで、患者さんの介助が主です。ですが同時に血圧測定なども行うのが大きな違いです。この仕事は日本では正看護師が行いますが、アメリカでは看護助手が担ってくれるために、正看護師の負担が少ないのです。給料は時給10〜14ドル程度です。
准看護師
続いて准看護師。准看護師は、看護師と同様に療養上の世話や診療の補助を行いますが、医師や看護師の指示のもとであることが法律で定められています。
日本では准看護師は国家資格ではなく都道府県の免許です。看護師が高卒以上でなければ取得できない資格であるのと比べ、准看護師は中卒以上で勉強を始められます。準看護学校は2年制で、准看護師試験に合格して資格取得ができます。
給料は年収400万円程度です。
アメリカの准看護師はLPN(Licensed Practical Nurse)、LVN(Licensed Vocational Nurse)とありますが、それは州によって名前が違うためです。仕事は主にルーティーンのケアを行ったり患者さんの健康状態を観察したり、医師や看護師の補助をすること。ですが日本と違ってアメリカでは准看護師と看護師の間でできる業務内容に差があります。
給料は年収43,000ドル程度です。
専門看護師
専門看護師は日本では日本看護協会が認める資格で、特定の専門分野の知識や技術が深い人を指します。専門看護師は患者やその家族を広くケアの対象とし、看護師のリーダーとして幅広く活躍します。専門分野での3年の経験を含む、計5年間の実務経験がある人が大学院に進学し、認定試験に合格すると認定証を交付してもらうことができます。
知識や技術が高度であることの証明となるので看護師としてのスキルアップになりますが、現時点で正看護師とできることに違いはありません。年収は働き方によって異なります。
一方アメリカの専門看護師「NP(Nurse Practitioner)」は、処方箋を出したり病気を診断したり治療行為を一部ですが行うことができます。20の州では医師の監督のもとで働く必要はないとされており、クリニックを開業することもできます。
NPになるには1〜2年の実務経験を持った上で大学院に進学し、州ごとに資格を認められると同時に組織からの証明も必要となります。この組織は専門分野ごとに異なります。年収は100,000ドル程度です。
アメリカのCNS資格
また、アメリカの専門看護師「NP」に似たもので、CNS(Clinical Nurse Specialist)というものもあります。こちらはNPと専門領域が違うのですが、その他に大きな違いとしては、CNSは一般的に処方箋を出すことができません。またNPはプライマリーケアを役割とするのに対し、CNPは患者さんへの直接的なケアも含みます。
NPとCNSどちらも修士課程レベルでなることができますが、NPに関しては今後博士課程レベルが要求されるようになると言われています。CNSもNPとだいたい同じ、100,000ドル程度の年収を得ています。
専門看護師と認定看護師との違い
日本では専門看護師は専門分野の知識や技術を深めた看護師を指すのと比べ、認定看護師は知識や技術を用いた看護実践の水準が高い看護師を指します。求められる実務経験は専門看護師と同様5年間で、内3年間が専門分野である必要があります。
認定看護師になるには認定の教育機関で教育を受け、認定を受ける必要があります。年収は働き方によって異なります。
日本において専門看護師や認定看護師の制度はまだ発展している途中で、年々制度が進化しています。今後どんどん専門看護師・認定看護師の資格保持者の活躍の場が広がって行くことと思います。
日本にはないアメリカの看護師の種類ベスト3
今回紹介した一般的な振り分けの他に、アメリカの看護師で日本にはなく私が知って驚いたものをランク付けしてみました!
1. 麻酔専門看護師
麻酔専門看護師はCRNA(Certified Registered Nurse Anesthetists)と言い、手術時の麻酔を行うことができます。年収は看護師で最高レベルの150,000ドル程度で、とても人気です。
2. トラベルナース(日本にも一応ある)
トラベルナースは日本にもありますが、アメリカほど一般的ではないようなのでランクインさせました。トラベルナースとは様々な地域で短期で働くのを繰り返す働き方で、だいたい13〜26週間程度の期間ひとつの場所で勤めます。
3. Legal Nurse Consultant
LNC(Legal Nurse Consultant)は医療関連の問題に関して審議する過程で必要な役割で、記録を読んで分析したりインタビューをして情報を集めたりします。
最後に
日本とアメリカでは一口に看護師と言ってもできることが違います。場合によってはCNSのことを専門看護師と訳すなどといったこともあるのですが、今回の記事ではできるだけ日本とアメリカの看護制度を比較する形でご紹介してみました。
現時点でアメリカは看護先進国と呼ばれています。アメリカで旅行中に知り合った人とお話をしているときに大学の専攻の話になると、真っ先に「あなたは看護学生?」と聞かれるくらい、看護というものが一般的で人気なのです。
それには正看護師になった後も、スキルアップして人の役に立てる可能性をもっと広げられるということも関係していると思います。
日本の看護に関しても、丁寧に患者さんと関わる精神を大切にしながら、看護師が医療の現場でフルに活躍できる形がどんどん作られていくといいなと思います。
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# アメリカ看護留学連載
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